126 / 128
シーズン1
126.怪しい招待状
パーティーが終わって数日後、執事が持ってきた一通の手紙を受け取った瞬間、私の胸には不穏な予感が広がった。
封筒は上品な装飾が施され、筆跡も整っている。だが、このタイミングで届くこと自体が異常だった。
「ユリ、グリーンルーク家からお茶会の招待が来たわ。」
慎重に言葉を選びながら、私はユリに手紙を見せる。
書斎のデスクに座っていたユリは、ペンを止めて静かに顔を上げた。
彼の金色の瞳が手紙に落ち、瞬時に鋭い光を宿す。
「……どういうつもりでしょうか。」
彼の声には、明らかに警戒の色が滲んでいた。
私は封を切り、中の招待状を取り出して内容を読む。
表面上は丁寧な文面だが、文脈のどこかに違和感がある。
「……ここで招待状が届くのは、おかしすぎる。」
ユリは低く呟くと、眉をひそめ、指先で机を軽く叩いた。
「何か仕掛けられている可能性が高いですね。」
私は胸に広がる不安を振り払おうとしたが、どうしても気になってしまう。
ユリの表情を見れば、彼がこれまで以上に慎重になっているのがわかる。
「そうね……」
封筒の端をなぞりながら、私は考えを巡らせる。
普通のお茶会の招待であれば、ここまで警戒する必要はない。
けれど、これは間違いなく普通のお茶会ではない。
「私だけの招待ね……。お兄様の件が絡んでいるかもしれないわね。」
小さく息を吐きながら、封筒を机の上に置く。
ユリは、ゆっくりと指を組みながら深く息を吐いた。
その仕草が珍しく感じられた。普段、冷静沈着な彼がここまで考え込むことは滅多にない。
「正直、行かせたくない。」
低い声でそう言ったユリの瞳には、今まで見たことのないほどの不安が浮かんでいた。
「俺はこの招待が純粋なものとは到底思えません。
何か裏がある。……いや、これは間違いなく罠です。」
ユリの視線はどこか遠くを見ている。
私はそっと彼の手に触れ、その温もりを確かめながら言葉を選んだ。
「でも、もし私が断ったら、それがさらに敵意を煽ることになるかもしれないわ。」
ユリは目を閉じ、こめかみを押さえながら考え込む。
「……そうですね。
しかし、ここまで監視をつけ、内部工作員まで潜り込ませていたのに、彼らが動いた……。
俺の情報網をかいくぐってまで、メイをお茶会に招待するということは、よほど周到に計画されたものだということです。」
「でも、だからこそ行くしかないんじゃないかしら?」
ユリは私をじっと見つめた。
いつもなら即答する彼が、珍しく言葉を飲み込んでいる。
その沈黙が、逆に彼の焦燥を際立たせていた。
私は再び招待状に視線を落とす。
ふと、違和感を覚えた。
「……ユリ、この招待状、主催者が夫人になってるわ。」
「令嬢ではなく……夫人?」
ユリの表情が険しくなる。
「おかしいわよね。普通、貴族の女性の社交界で主催者が母親というのは珍しすぎるわ。」
ユリは腕を組み、目を伏せる。
「……間違いなく、これは罠です。」
彼の声が、酷く低く響いた。
私は彼を見つめ、意を決して尋ねた。
「ユリ……どうするべきだと思う?」
ユリはしばらく黙った後、ふっと深呼吸をして顔を上げた。
「……行くしかありません。」
彼の瞳には、決意の光が宿っていた。
「俺が全力で守ります。
ゼノを護衛につけるべきか悩みますが、ルーにはユフィを守ってもらわなければなりません。
ミレーヌとゼノを分け、それ以外の護衛を全てつけます。」
私は彼の言葉に頷きながらも、彼がまだ何か言いたそうなのを感じた。
「メイ……行かないでほしい。」
突然、彼が低く囁いた。
私は驚き、ユリの瞳を覗き込む。
「……閉じ込めてしまいたい。」
ユリの手が、私の頬を優しく撫でる。
だが、その手はわずかに震えていた。
「……閉じ込められた先の未来は?」
私は、静かに問いかける。
ユリはしばらく私を見つめた後、ぎゅっと目を閉じた。
「……死よりも辛い、闇でしかありません。」
その言葉には、彼の痛みと葛藤が詰まっていた。
私はそっと彼の手を握り、そっと微笑む。
「私は逃げないわ。ユリ、あなたと一緒に戦う。」
ユリは私を抱き寄せ、私の髪にそっと口づけた。
「……わかっています。でも、どうしても怖いんです。
メイ、俺はもう大切な人を失いたくない……。」
彼の腕が、さらに強く私を抱きしめる。
私はユリの計画に頷きながらも、心の奥底に広がっていく不安を拭うことができなかった。
ユリもまた、同じように悩んでいるのだろう。彼は深く溜息をつくと、額に指を当てて小さく呟いた。
「……最悪のことばかり考えなければいけないなんて、情けないですね。」
その声には、自分の無力さを責めるかのような悔しさが滲んでいた。
いつもはどんな状況でも冷静で、すぐに最善策を見つける彼が、ここまで自分を追い詰めている。
それほど、今回の招待状は彼にとっても大きな脅威なのだと、私は改めて実感した。
私はそっとユリの顔を覗き込んだ。
彼の金色の瞳は、憂いを帯びて私を見つめていた。
「ユリ……」
胸が苦しくなる。
彼がこんな表情をするなんて、今まで一度もなかった。
「私…あなたと一緒なら……例え死んでも悔いは……悔いは……」
言葉が詰まり、胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。
どれだけ強くあろうとしても、恐怖は消えない。
もし私が死んだら、お腹の子はどうなるの?
ユリやルー、ユフィを残してしまったら……?
次々と湧き上がる不安に、涙が止まらなくなった。
ポロポロと頬を伝う涙を、ユリは驚いたように見つめた後、すぐに優しく手を伸ばし、
震える指先でそっと拭ってくれた。
「メイ……」
彼の声は、震えていた。
怖い……。
私は本当に、この道を進んでいいの……?
「ユリ、私……」
声が震え、涙声になってしまう。
「もし私がいなくなったら、あなたや子供たちをどうすればいいのか分からないわ……
お腹の子も……」
ユリは強く私を抱きしめ、その温もりで私を包み込んだ。
彼の体温が、かすかに震えているのを感じる。
「メイ、そんなことは考えなくていいです。」
耳元で囁くその声は、いつもの冷静さを失っていた。
「メイも、子供たちも、俺が必ず守ります。
どんなことがあっても、俺はメイを失うことだけは絶対にしない。」
その言葉に、少しずつ私の心の中の恐怖が薄れていく。
ユリがいる。彼はどんなことをしてでも、私を守ってくれる。
「ユリを信じてるわ……」
私は彼の胸にしがみつきながら、涙を拭い、深呼吸をした。
ユリは私の背中をゆっくりと撫で、その手は微かに震えていた。
彼だって怖いのだ。
それでも、私を守ると誓ってくれる。
ユリは涙を拭った後、私と、そのまま会議室へ向かった。
これからのことを決めるために。
ユリの直属の部下たちが、すでに部屋の中で待機していた。
ゼノ、ベティ、ミレーヌ、そして何人かの護衛隊のメンバー。
全員の顔には緊張と警戒心が滲んでいた。
ユリが静かに扉を閉め、彼らを見渡すと、部屋の空気はさらに引き締まる。
「皆、集まったな。」
低く、落ち着いた声。
だが、その内側には鋭い決意が込められている。
「グリーンルーク家から、お茶会の招待状が届いた。」
その言葉に、一瞬、部屋の空気が凍りついた。
「これは単なる社交の場ではなく、何か裏があると考えている。」
彼の言葉に、全員が無言で頷く。
彼らもまた、ただの茶会で済むとは思っていないのだ。
ユリは深く息を吐き、真剣な目で部下たちを見渡した。
「今回の茶会は非常に危険だ。
メイは必ず参加しなければならない。
だが、俺も能力を使って潜入し、彼女の側にいる。」
ユリの冷静な言葉に、ゼノが静かに頷く。
「では、私は表向きの護衛を担当します。」
「ベティ、お前も頼む。」
「……了解。」
透明化の能力を持つベティは、一言だけ短く返した。
「ミレーヌ、君はルーの側につけ。」
ミレーヌは口を引き結び、頷く。
「ルーにはユフィの護衛を任せる。
彼の瞬間移動能力があれば、何かあったときに即座に対応できる。」
部屋の中に緊張が走る。
全員が、自分に課せられた責務を理解し、覚悟を決めているのが分かる。
ユリはゆっくりと立ち上がり、静かに言った。
「皆、今回の任務は非常に重要だ。
失敗は許されない。俺はメイを失うつもりはない。
お前たちも、それを肝に銘じて動いてくれ。」
「了解!」
全員の声が重なり、部屋に響き渡る。
ユリは一瞬だけ目を閉じ、静かに頷いた。
その後、部下たちはそれぞれの持ち場へと向かっていく。
彼らの背中を見送るユリの目には、いつもの冷静さの裏に、揺るぎない決意が宿っていた。
封筒は上品な装飾が施され、筆跡も整っている。だが、このタイミングで届くこと自体が異常だった。
「ユリ、グリーンルーク家からお茶会の招待が来たわ。」
慎重に言葉を選びながら、私はユリに手紙を見せる。
書斎のデスクに座っていたユリは、ペンを止めて静かに顔を上げた。
彼の金色の瞳が手紙に落ち、瞬時に鋭い光を宿す。
「……どういうつもりでしょうか。」
彼の声には、明らかに警戒の色が滲んでいた。
私は封を切り、中の招待状を取り出して内容を読む。
表面上は丁寧な文面だが、文脈のどこかに違和感がある。
「……ここで招待状が届くのは、おかしすぎる。」
ユリは低く呟くと、眉をひそめ、指先で机を軽く叩いた。
「何か仕掛けられている可能性が高いですね。」
私は胸に広がる不安を振り払おうとしたが、どうしても気になってしまう。
ユリの表情を見れば、彼がこれまで以上に慎重になっているのがわかる。
「そうね……」
封筒の端をなぞりながら、私は考えを巡らせる。
普通のお茶会の招待であれば、ここまで警戒する必要はない。
けれど、これは間違いなく普通のお茶会ではない。
「私だけの招待ね……。お兄様の件が絡んでいるかもしれないわね。」
小さく息を吐きながら、封筒を机の上に置く。
ユリは、ゆっくりと指を組みながら深く息を吐いた。
その仕草が珍しく感じられた。普段、冷静沈着な彼がここまで考え込むことは滅多にない。
「正直、行かせたくない。」
低い声でそう言ったユリの瞳には、今まで見たことのないほどの不安が浮かんでいた。
「俺はこの招待が純粋なものとは到底思えません。
何か裏がある。……いや、これは間違いなく罠です。」
ユリの視線はどこか遠くを見ている。
私はそっと彼の手に触れ、その温もりを確かめながら言葉を選んだ。
「でも、もし私が断ったら、それがさらに敵意を煽ることになるかもしれないわ。」
ユリは目を閉じ、こめかみを押さえながら考え込む。
「……そうですね。
しかし、ここまで監視をつけ、内部工作員まで潜り込ませていたのに、彼らが動いた……。
俺の情報網をかいくぐってまで、メイをお茶会に招待するということは、よほど周到に計画されたものだということです。」
「でも、だからこそ行くしかないんじゃないかしら?」
ユリは私をじっと見つめた。
いつもなら即答する彼が、珍しく言葉を飲み込んでいる。
その沈黙が、逆に彼の焦燥を際立たせていた。
私は再び招待状に視線を落とす。
ふと、違和感を覚えた。
「……ユリ、この招待状、主催者が夫人になってるわ。」
「令嬢ではなく……夫人?」
ユリの表情が険しくなる。
「おかしいわよね。普通、貴族の女性の社交界で主催者が母親というのは珍しすぎるわ。」
ユリは腕を組み、目を伏せる。
「……間違いなく、これは罠です。」
彼の声が、酷く低く響いた。
私は彼を見つめ、意を決して尋ねた。
「ユリ……どうするべきだと思う?」
ユリはしばらく黙った後、ふっと深呼吸をして顔を上げた。
「……行くしかありません。」
彼の瞳には、決意の光が宿っていた。
「俺が全力で守ります。
ゼノを護衛につけるべきか悩みますが、ルーにはユフィを守ってもらわなければなりません。
ミレーヌとゼノを分け、それ以外の護衛を全てつけます。」
私は彼の言葉に頷きながらも、彼がまだ何か言いたそうなのを感じた。
「メイ……行かないでほしい。」
突然、彼が低く囁いた。
私は驚き、ユリの瞳を覗き込む。
「……閉じ込めてしまいたい。」
ユリの手が、私の頬を優しく撫でる。
だが、その手はわずかに震えていた。
「……閉じ込められた先の未来は?」
私は、静かに問いかける。
ユリはしばらく私を見つめた後、ぎゅっと目を閉じた。
「……死よりも辛い、闇でしかありません。」
その言葉には、彼の痛みと葛藤が詰まっていた。
私はそっと彼の手を握り、そっと微笑む。
「私は逃げないわ。ユリ、あなたと一緒に戦う。」
ユリは私を抱き寄せ、私の髪にそっと口づけた。
「……わかっています。でも、どうしても怖いんです。
メイ、俺はもう大切な人を失いたくない……。」
彼の腕が、さらに強く私を抱きしめる。
私はユリの計画に頷きながらも、心の奥底に広がっていく不安を拭うことができなかった。
ユリもまた、同じように悩んでいるのだろう。彼は深く溜息をつくと、額に指を当てて小さく呟いた。
「……最悪のことばかり考えなければいけないなんて、情けないですね。」
その声には、自分の無力さを責めるかのような悔しさが滲んでいた。
いつもはどんな状況でも冷静で、すぐに最善策を見つける彼が、ここまで自分を追い詰めている。
それほど、今回の招待状は彼にとっても大きな脅威なのだと、私は改めて実感した。
私はそっとユリの顔を覗き込んだ。
彼の金色の瞳は、憂いを帯びて私を見つめていた。
「ユリ……」
胸が苦しくなる。
彼がこんな表情をするなんて、今まで一度もなかった。
「私…あなたと一緒なら……例え死んでも悔いは……悔いは……」
言葉が詰まり、胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。
どれだけ強くあろうとしても、恐怖は消えない。
もし私が死んだら、お腹の子はどうなるの?
ユリやルー、ユフィを残してしまったら……?
次々と湧き上がる不安に、涙が止まらなくなった。
ポロポロと頬を伝う涙を、ユリは驚いたように見つめた後、すぐに優しく手を伸ばし、
震える指先でそっと拭ってくれた。
「メイ……」
彼の声は、震えていた。
怖い……。
私は本当に、この道を進んでいいの……?
「ユリ、私……」
声が震え、涙声になってしまう。
「もし私がいなくなったら、あなたや子供たちをどうすればいいのか分からないわ……
お腹の子も……」
ユリは強く私を抱きしめ、その温もりで私を包み込んだ。
彼の体温が、かすかに震えているのを感じる。
「メイ、そんなことは考えなくていいです。」
耳元で囁くその声は、いつもの冷静さを失っていた。
「メイも、子供たちも、俺が必ず守ります。
どんなことがあっても、俺はメイを失うことだけは絶対にしない。」
その言葉に、少しずつ私の心の中の恐怖が薄れていく。
ユリがいる。彼はどんなことをしてでも、私を守ってくれる。
「ユリを信じてるわ……」
私は彼の胸にしがみつきながら、涙を拭い、深呼吸をした。
ユリは私の背中をゆっくりと撫で、その手は微かに震えていた。
彼だって怖いのだ。
それでも、私を守ると誓ってくれる。
ユリは涙を拭った後、私と、そのまま会議室へ向かった。
これからのことを決めるために。
ユリの直属の部下たちが、すでに部屋の中で待機していた。
ゼノ、ベティ、ミレーヌ、そして何人かの護衛隊のメンバー。
全員の顔には緊張と警戒心が滲んでいた。
ユリが静かに扉を閉め、彼らを見渡すと、部屋の空気はさらに引き締まる。
「皆、集まったな。」
低く、落ち着いた声。
だが、その内側には鋭い決意が込められている。
「グリーンルーク家から、お茶会の招待状が届いた。」
その言葉に、一瞬、部屋の空気が凍りついた。
「これは単なる社交の場ではなく、何か裏があると考えている。」
彼の言葉に、全員が無言で頷く。
彼らもまた、ただの茶会で済むとは思っていないのだ。
ユリは深く息を吐き、真剣な目で部下たちを見渡した。
「今回の茶会は非常に危険だ。
メイは必ず参加しなければならない。
だが、俺も能力を使って潜入し、彼女の側にいる。」
ユリの冷静な言葉に、ゼノが静かに頷く。
「では、私は表向きの護衛を担当します。」
「ベティ、お前も頼む。」
「……了解。」
透明化の能力を持つベティは、一言だけ短く返した。
「ミレーヌ、君はルーの側につけ。」
ミレーヌは口を引き結び、頷く。
「ルーにはユフィの護衛を任せる。
彼の瞬間移動能力があれば、何かあったときに即座に対応できる。」
部屋の中に緊張が走る。
全員が、自分に課せられた責務を理解し、覚悟を決めているのが分かる。
ユリはゆっくりと立ち上がり、静かに言った。
「皆、今回の任務は非常に重要だ。
失敗は許されない。俺はメイを失うつもりはない。
お前たちも、それを肝に銘じて動いてくれ。」
「了解!」
全員の声が重なり、部屋に響き渡る。
ユリは一瞬だけ目を閉じ、静かに頷いた。
その後、部下たちはそれぞれの持ち場へと向かっていく。
彼らの背中を見送るユリの目には、いつもの冷静さの裏に、揺るぎない決意が宿っていた。
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく
星乃和花
恋愛
縁談に悩む子爵令嬢リゼットが助けを求めたのは、名門侯爵家の長男アルフレッド。
穏やかでやさしく、理想のお兄様のような彼は、「君のことは僕が見ている」と甘く手を差し伸べてくれる。
送り迎え、花や手紙、完璧なエスコート。
守られているだけのはずが、気づけば周囲には「彼女はもうノースウェル侯爵家のもの」という空気ができあがっていて――。
ふわふわ優しいのに、実はかなり策略家。
やさしく逃げ道をなくしてくるお兄様系ヒーローに、恋愛に疎い令嬢がじわじわ囲い落とされていく、甘くて幸せな溺愛ラブストーリー。
――「待つよ」と言いながら、外堀はきっちり埋めてくる――
(完結済ー本編10話+後日談2話)