最哀ラブレター

︎冬

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最哀ラブレター

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それは突然の出来事だった

夜の八時

「あのね、宮くん。言いたいことがあるの」と宮くんに送った

数十分後、宮くんから、「ウザ。今仕事中なんだけど。それと、数日は、帰らねぇから」と言われた

宮くんとは、私の彼氏だ

私は、こまめにラインをするタイプで

宮くんは、違う

必要最低限の事しか送ってきてくれない

私は、画面を見返した

いつもの気分屋が出たのかと思っていた

私は、頭の中で、そんなはずない。宮くんは、ウザイなんて言わない。

私の言いたいことも聞いてくれてた。きっと気分屋さんが出たんだ

そう願いながら、「もー、またいつもの気分屋さん?笑」と送った

宮くんの返信を待っている間、私は、頭がずっと混乱していた

私、宮くんに何かしたったけ。

ラインの送りすぎ?んーん。それなら言ってくれるはず

言いたいこと多すぎた?でもうんうんと頷きながら聞いてくれてた

じゃあ何、?

私は、考えすぎて余計に頭が混乱した

私がラインを送って数十分後、宮くんから返信が来た

「気分屋じゃねぇよ。仕事中も送ってきて、前にも言ったよな。辞めろって」

文面からでも分かる。

宮くんは、私のせいで怒っている

私は、でも、、と返そうとしたが、宮くんをまた怒らせてしまうかもしれない

そう思った私は、「そっか、ごめんね。」とだけ送信した

数分後、宮くんから怒った口調のまま

「取り敢えず今の仕事が終わるまで、お前のライン、ブロックしとくから

俺に送りたいなら独り言でも送っとけば」と送信されてきた

え...?

私は、慌てながらも宮くんに「嘘だよね?」と送信した

何分たっても既読にならなかった

もしかしたら、まだ見てないだけかもしれない

そう私は、自分を安心させ続けた

翌朝の七時

朝起きると、隣に宮くんは居ない

ダブルベットに私だけが寝ていた

いつものように、隣でおはよと声をかけてくれる宮くんは、居ない

ラインの既読は、ついているはず

そう思うも、どこか不安だった

覚悟を決めて私は、ラインを見た

宮くんからの通知は来ていなかったし既読すらついていなかった

そっか。私、本当に宮くんにブロックされちゃったんだ

ダブルのベットの上にぽつんと1人残された私が何だか惨めに思えてきたが

宮くんへの愛は、それでも変わらなかった

仕事終わるまでって言ってたからいつか既読つくよね

その時に言えばいいよね














宮くんは、もう数日間帰ってきていない

いつ帰ってくるのか、そんなラインを送っても当然既読なんかつかなかった

部屋にテレビの音だけが響く

いつも一緒に笑ってくれる宮くんは居ない

宮くんの香りがあまりしなくなったダブルベットに顔を埋め

「寂しい」と呟いた















「宮くんの好きなドラマ再放送するよー!!」

と送ったのが夜の七時

「ねぇ、早くしないと始まっちゃうよ」

と送ったのが夜の八時

「録画バッチリしといたからね!!二人で見ようね」

と送ったのが夜の八時半
















「今日はね、ケーキを焼いてみました!!!宮くんの好きなチョコケーキだよ!!」

と送ったのが昼の一時

「帰って来ないなら、私が一人で食べちゃうぞ~笑」

と送ったのが昼の一時半

「冷蔵庫にラップして入れて置いたからね!二人で食べようね!」

と送ったのが昼の二時半














「宮くんの好きな猫カフェに新しい猫が入ったんだって!!一緒にみにいこうよ!」

と送ったのが朝の九時半

「三毛猫だって!ほら!かわいいね!」


「―画像―」

と送ったのが朝の十時半


「いつか二人で行こうね」と送ったのが正午
















2日後





私は、あのことを伝えることにした

このことも見てくれないなんて分かってる

分かってるけど、感謝を伝えたかった

結婚してくれたことも好きだと言ってくれたことも

私にとっては、全部全部初めてだったから

それと、最後の最後まで怒らせてしまったことも




あのね、実はね、私はもう長くなかったんだ。

ごめんね。こんな形で言うことになって。

ごめんね。最後まで怒らせて。

宮くんは、優しいしいい人だし何でも出来るから

すぐに恋人できるよ。

私を恋人にしてくれてありがとう。

最後まで嫌いって言わないの宮くんの優しさだと私は勝手に思ってます。

この言葉を送信して次の文を書いていると突然視界がぼやけてきた

嗚呼、私は、ここまでなんだろうか

最後に伝えたかったな

「私は、ずっとだいすきです。」その言葉も送れないままで__

























仕事中に通知音が鳴った

画面を見てみると彼女の青だった

「あのね、宮くん。言いたいことがあるの」

仕事中は、ラインをしてくるなって何回言ったら分かるんだ

そう思いながら、俺は「ウザ。今仕事中なんだけど。それと、数日は、帰らねぇから」と返した

多少きつい言葉で言わないと青は、聞かないからだ

きつい言葉で返したのにも関わらず青は、「いつもの気分屋さんだよね?」と返してきた

全くお花畑もいいとこだろう

「気分屋じゃねぇよ。仕事中も送ってきて、前にも言ったよな。

辞めろって」俺は、こう送った

すると青は、ごめんねと返信してきた

謝るぐらいなら、最初からしなければいいじゃないか

そう思いつつ、俺は、「仕事が終わるまでブロックするから」と言って、ブロックした

ここ数日、家に帰っていないので、隣に青はいない

別に青が隣に居ようが居まいが、どーでも良かった

とにかくあのうるさい通知音がならなくなったのは、良かった

それにしても青が言いたいことって何だろう

まぁ、帰ったら聞けばいいか

そう思い、上司の電話に出た
















仕事内容の電話をし終えたあと、上司が

「そういえば、数日前、お前の奥さんが病院に入っていくとこを見たんだが

どこか悪いのか?」と聞いてきた

そんなこと俺は知らなかった

「え?そうなんですか。妻に聞いてみます。」と言った

















何だか胸騒ぎがした

俺から避けておいてなんだが、俺は、青が心配になって、ラインを送った




「病院行ってたって聞いたけど、本当?」

「なんで俺には、言ってくれなかったの」



いつもならすぐ既読がつくのに今日は、既読がつくのが遅い

俺は、心配なって追いラインをした



「なぁ、なんでいつもは、すぐ返すのに今日は返してくんないの?」

「そんなに俺の事嫌い?」

「青の好きなケーキ買って来たから一緒に食べよ」




何回送っても既読には、ならなかった

俺は、急いで家に帰った

いつもの寝ているか拗ねてるかのどちらかだと思った

玄関を開けて青を呼んだ


「あおー、居ないのー?」


そう呼んでも返事はかえって来ない

リビングに向かうも青の姿が見当たらなかった

模様替えをした形跡はないし

二人の写真も飾られたままで何処にも違和感なんてなかった

無かったけれど、何処かが可笑しかった

俺は、別の部屋も探そうと思ったので

とりあえずケーキを冷蔵庫にしまおうと後ろをむいた瞬間

キッチンの所から、青白い足が見えた

誰か倒れているようだった

足を見てみると俺があげたミサンガがついていた

あおだ。青が倒れているんだ

救急車を呼ばないと。いや、青にかけよるべきか

俺は、混乱していたが、青にかけよった

唇が青紫色になっていた

目の横には、涙を流したような跡がある

俺は、青の名前を叫んだ

叫んだが、いつものような元気な声は、聞こえてこない

携帯がそばに落ちていた

死ぬ原因が携帯に隠されているかもしれない

そう思った俺は、携帯を開けた

携帯のパスワードは、俺達の記念日の日だった

ロックを解くと俺とのトーク画面が開かれた

そこには、














あの時、言おうと思ってたんだけど

私、もう長くないんだ。

ごめんね。こんな形で言うことになって。

ごめんね。最後まで怒らせて。

宮くんは、優しいしいい人だし何でも出来るから

すぐに恋人できるよ。

私を恋人にしてくれてありがとう。

最後まで嫌いって言わないの宮くんの優しさだと私は勝手に思ってます。












と送られていた

俺は、涙が出た。青が居なくなったのも勿論悲しいが、青を突き放した俺の愚かさに涙が出た

「私は、ずっとだいすきです。」

と打ち込まれたまま送信されずに書いてあった文字を見て

俺は、なんてことをしてしまったんだと後悔した

失って初めて気づいた

俺の中で青の存在がこんなにも大きなっていたことに


「俺も大好きだよ。ごめんな。」
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