救世主として転生させられたが余計なスキルのせいで快適な異世界生活どころじゃない。良かれと思ってだろうがスキル解除するまで世界は救ってやらない

takaoka

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4話 異変発生

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翌朝、目が覚めると同時に並列思考の声が脳内に響き渡る。

『はーっ、いい朝ですね。私も貴方もよく眠れたようで何よりです。それと、両親はとっくに起きていますよ』

(はぁ、少しは黙るということを覚えて欲しいよ)

『それはできませんね。私の存在意義でもありますから・・・話は変わりますが私にも何か名前を付けて頂けないでしょうか?貴方に他人と認識されている以上、アンドレと名乗ることはできません』

ふぅむ、とまだ寝ぼけている脳を動かして適当な名前を考える。思いついたものをすぐに拾ってくれることは嬉しいが、どれも納得がいくものではなかった。

(もういちごジャムでいいだろ。考えるのも面倒だよ)

『途中から適当すぎます。最初の方は下手なりに考えていることが伝わってきましたが最後の方は貴方が今食べたいものじゃないですか』

流石にこいつには嘘はつけない。やはり面倒だな。とは言ってもすぐに気の利いたものが出てくるような奴じゃないってのはお前も知っているはずだ。

(もういい、お前は俺に似て非なる者だからアンデレだ。もう面倒だから考えない)

『ふむ、アンデレですか。わかりました。以後私を呼ぶときはそう呼んでください』

何かある度に並列思考が~というのも何かおかしかったのでまぁいいだろう。

朝のひと悶着も片付いたところで朝食を食べに部屋を出る。焼きたてのパンの香ばしい香りがここまで漂って来る。

『まだ焼き終えてから10分も経過してなさそうですね。匂いからして味にも期待できそうです』

(言われなくてもわかってるわ。お前は精々俺の味わった感覚を味わってろ)

いくら俺の思考が読めるとしても俺の身体は俺にしか扱えない。近くにあるのにどうすることもできないもどかしさをあいつは感じているのだろうか?

『今は特にそのようなことは感じていませんね。最終的に貴方が世界を救うために動いてくれるのならこれ以上は望みません』

(はぁ、悔しがるお前の声が聞きたかったのに・・・)

もしかしてこいつ無敵か?と思ったがそれ以上考えても無駄なやり取りが続くだけだ。


その後、朝食を取り今日の稽古を始める。相変わらず何かある度に話しかけてきて鬱陶しい。こいつの言っていることを必要なとき以外聞き流せれる技術の取得は急務だった。

(そんなスキルでもあればなぁ。まだ2日目だけどもう頭がおかしくなりそう)

毎日この有能な余計な一言が異常に多い相方に苦しめられる日々が続いたが、徐々に必要な時以外は聞き流す技術を身に着けていった。それに従って別のことへリソースを割けるようにもなっていった。


そんな日々が5年続き15歳の誕生日、ついにこれ以上教えることはないと両親に言われ、旅に出ることを許可された。

これでいよいよこのアンデレから解放されるための一歩を踏み出せる。その夜は厳しい稽古に耐えたこと、俺の誕生日を祝っていつもより豪華な晩御飯を両親と食べていたところ事件は起こった。

正体不明の地震が1分ほど発生したのだ。それだけならまだありえなくもないことなのだが、大地を割るような揺れとおぞましい叫び声が響き渡り、ここが地獄ではないのかと錯覚させるほどだった。

揺れも収まり、叫び声も聞こえなくなり元通りの夜が戻ってきたが不安に感じていない者は誰一人としていなかった。

「な、なんだ?今のは・・・」

ティムは窓から外の様子をちらりと確認する。特に変わったことはない。さっきの揺れに驚いた村人がぞろぞろと家からでてきているくらいだ。

「流石に不用心すぎるわね。冒険者をやったことの無い人ってそんなものかしら」

両親は冒険者をやっていたこともあり、警戒心は他の人と比べても強い。そのためすぐに家から出ることをせずに外の様子の確認から入ったのだ。

「流石に俺でも不用心だと思う。所謂平和ボケってやつなのかな?」

「そうねぇ。世界の危機なんて絶対起きない。さっきのを経験して尚、そう思っている人もいるでしょう」

流石にそれはないだろと思っていたが外から聞こえる声を聞く限りあながち間違いというわけでもなさそうだ。まぁ確かにあの後特に何かあったわけではないからな。

(今の何かわかるか?)

『おや、貴方から話しかけてくるとは珍しい。そうですね、まだ判断するには材料が少ないです。しかし、これが始まりという可能性はありますのでこれからは今までとは違う、そう思っていただいた方がいいと思います』

確かにそうだよな。まだ両親含めて誰も外に出ていない。情報を集めることが先だ。

「多分外に出ても問題はなさそうだ。一応警戒しながら外の様子を見に行こう」

親父の提案に2人は頷く。そして戦闘になったとしても最低限戦える準備をした後、恐る恐る外へと足を踏み出したのだった。

時を同じくして俺達と同じく警戒して出てこなかった村人たちもゆっくりと外へ出てきていた。彼らも同じ考えだったのだろう戦える格好をしていた。

平和そのものの村に武装した人がかなりの数いるのは中々見かけない光景ではあるが少なくとも武装した人にとってはそれ程の事態ということだ。

「・・・一見何も変わっていない様に見えるけど気づいている人はいるようね。私もはっきりとは分からないけど何か変わっているわ」

母親の言う通り、見た目は何も変わっていないが微かに何か違和感を感じる。それが何なのかまではわからないが。

『これは・・・魔素の気配ですかね。非常に微量なので違和感を感じれてもそれが何なのか、特定までは難しいですがこのような感覚になるのは私の知る限りではこれしかありません』

(これで世界の危機は確定か、お前がいないと困りそうなのはわかったがやはり今のままではだめだ。早くなんとかしないと・・・)

世界の危機は気になるが、それよりもアンデレをどうにかすることの方が優先度が高いことには変わりない。冒険者が警戒を続ける中、彼は全く別のことを考えているのであった。
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