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5話 旅に出たい
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「決めた、俺は今回の揺れの原因を探るため旅に出る」
ある日、夕食の場で両親に対し決心したことを語る。もちろん、これは半分嘘だ。本当の目的は常時発動のスキルをどうにかする方法を探すことだ。ついでに揺れのことを知れたらラッキーくらいにしか思っていない。
「ううむ、確かにあれから特に危険なことは起こっていないから旅に出ても大丈夫ではあろうが・・・」
あの揺れの後、一旦旅に出るという話はなかったことになった。流石に俺もそれには従うしかなかった。しかし、あれから数日経ったが何もなかったのでこうして再び旅に出るという話を切り出したのだ。
「これからも安全とは限りません。あの揺れでそう思った人も多いはず、でもまた元の日常に戻ろうとしている。本当に何かが起こっているのならそれまでに何か手を打っておかねば手遅れになる。そんな気がするんです」
「私から反対することはないわ。もう十分に訓練もしたことですし、これから実践経験も積まなければいけないわ。一人でって言うのは少し不安だけども・・・仲間と呼べる存在を見つけるのも大事だわ。いつまでもここにいるわけにはいかないから速いか遅いかの差だけよ」
「そう・・・だな。お前の言っていることの方が正しい。本当ならばもう少し成長する姿を見たかったが外に出て色々な経験をする方が成長できるだろう」
両親の許可も得たことだ。これでやっと旅に出れる、そう思っていたのだが・・・
「最後に一つだけ試験をしよう。俺と母さん、この2人を相手に模擬戦を行う。勝ち負けではなく、戦いの内容で判断する。もし駄目だったらあと3か月は訓練を受けてもらう」
「確かにそうね。実践的な戦いは1回はしておかないとね。今までは実践風だったけど稽古という側面が強かったから。久しぶりに本気出しちゃおうかな」
マジかよ、と思ったがここで落ちるようでは外に出てもまともにできないということなのだろう。よし、成長した俺の姿を見せて驚かせてやろう。
『コテンパンにされそうな気もしますが・・・』
(そんなわけないだろ。確かに手を抜かれている感じはあった。でもこっちだって全力を出し切ったことが無いというのは同じだ)
『・・・(まぁこれも経験でしょう)』
試験は明日ということになり、その日は早く寝ることにした。流石に万全の状態でなければ勝つ可能性はない。それくらいは俺にだってわかる。
今更小手先の技術でどうにかなるわけはないということはわかっているので緊張などはしない。しかし、俺の実力が認められるかという不安はある。だが、俺の実力をわかったうえで試験をすると言ってくれているのだろう。俺が余程本番に弱いと思われない限りは大丈夫・・・・なはず。
『心配するより早く寝て明日に備えましょう』
あぁ、そうだな。お前に言われなきゃ素直にうんと言えるんだがな。
そう思いながらゆっくり眠りに落ちていくのであった。
翌朝、差し込む朝日で目が覚める。いつもはまだ寝ている時間だが今日は柄にもなく早起きをしてしまった。特に早く起きたからと言ってやることはないんだがな。
「さて、まだ試験までは時間はあることだから少し身体を馴らしておくかな」
『朝食の準備はまだ終わっていなさそうなのでそれでよろしいかと』
居間へと降りて行ったが確かにまだ準備はできていなかった。なんというか・・・こいつの言うことの的中率たけぇよな。
『お褒めに預かり光栄です。もっと頼っていただいてもいいのですよ』
それは・・・考えておく。お前がいなくなったときに何もできなくなるようなポンコツになっても困るからな。何事も程々ってやつが大切だ。
「あら?もう起きてたの?まだ準備できてないからもうちょっと待っててね」
「わかったよ、母さん。ちょっと外で身体動かしてくる」
試験前最後の確認を込めてスキルを駆使した動きを今一度確認する。あまりやり過ぎても疲れるだけなのであくまで軽くだ。
「・・・よし、もうできることはないな」
『一つだけよろしいでしょうか』
(なんだよ、急に言われても今更何かできることなんてないぞ)
『いえ、今までは運よく並列思考のデメリットを感じる機会が少なかったかと思うのでそれについてです』
(デメリットなら十分感じてるぞ。お前を黙らせれないこととかな)
『そういうことではありません。貴方には疲労回復のスキルがありますがそのスキルが並列思考のスキルのデメリットも軽減しているという話です』
(はぁ?なんで今までそのことを言わなかったんだよ)
『通常時であればほとんど意識しなくてもいいからです。並列思考のスキルが働いている時は通常の2倍頭を使っていることになるため当然その疲労も大きくなります。通常時であれば疲労回復のスキルでこの分の疲労は相殺できていますが過酷な状況が続けば通常時よりもひどい疲労感に襲われる可能性があります』
(つまり今日の試験でそうなる可能性があると?)
『それもあります。問題はその時にさらに感覚強化を使うとどうなるか、これは貴方にも想像がつきますね』
追い詰められた俺が感覚強化のスキルを使うことでさらに追い詰められる姿を想像してしまう。
『まぁ今回は試験なのでそれはいいかもしれません。ただ、それによって両親は不思議に思うでしょう。感覚強化だけで疲労回復のスキルを大きく超えるほど消耗するのか・・・と』
(つまり、全力を出し過ぎない方がいいと?じゃあお前が足かせになっているってことじゃないか)
『そうなる可能性もあるということです。しかし、そうならないように私は全力でサポートします。並列思考がない場合よりも戦闘をスムーズに行える場合の方が圧倒的に多いということは確実です』
(うーん、そうなるか。実際こいつはムカつくけど役には立っているからな。そこまで追い詰められた時点で負けということにするしかないか)
思いがけない告白に少し戸惑ったが仕方ないと割り切れるもので良かった。そうしているうちにパンのいい香りが漂ってきた。どうやら朝食の準備ができたようだ。
「さて、あとは全力でぶつかるだけだな」
朝食を終えた後、いよいよ試験が始まるのだった。
ある日、夕食の場で両親に対し決心したことを語る。もちろん、これは半分嘘だ。本当の目的は常時発動のスキルをどうにかする方法を探すことだ。ついでに揺れのことを知れたらラッキーくらいにしか思っていない。
「ううむ、確かにあれから特に危険なことは起こっていないから旅に出ても大丈夫ではあろうが・・・」
あの揺れの後、一旦旅に出るという話はなかったことになった。流石に俺もそれには従うしかなかった。しかし、あれから数日経ったが何もなかったのでこうして再び旅に出るという話を切り出したのだ。
「これからも安全とは限りません。あの揺れでそう思った人も多いはず、でもまた元の日常に戻ろうとしている。本当に何かが起こっているのならそれまでに何か手を打っておかねば手遅れになる。そんな気がするんです」
「私から反対することはないわ。もう十分に訓練もしたことですし、これから実践経験も積まなければいけないわ。一人でって言うのは少し不安だけども・・・仲間と呼べる存在を見つけるのも大事だわ。いつまでもここにいるわけにはいかないから速いか遅いかの差だけよ」
「そう・・・だな。お前の言っていることの方が正しい。本当ならばもう少し成長する姿を見たかったが外に出て色々な経験をする方が成長できるだろう」
両親の許可も得たことだ。これでやっと旅に出れる、そう思っていたのだが・・・
「最後に一つだけ試験をしよう。俺と母さん、この2人を相手に模擬戦を行う。勝ち負けではなく、戦いの内容で判断する。もし駄目だったらあと3か月は訓練を受けてもらう」
「確かにそうね。実践的な戦いは1回はしておかないとね。今までは実践風だったけど稽古という側面が強かったから。久しぶりに本気出しちゃおうかな」
マジかよ、と思ったがここで落ちるようでは外に出てもまともにできないということなのだろう。よし、成長した俺の姿を見せて驚かせてやろう。
『コテンパンにされそうな気もしますが・・・』
(そんなわけないだろ。確かに手を抜かれている感じはあった。でもこっちだって全力を出し切ったことが無いというのは同じだ)
『・・・(まぁこれも経験でしょう)』
試験は明日ということになり、その日は早く寝ることにした。流石に万全の状態でなければ勝つ可能性はない。それくらいは俺にだってわかる。
今更小手先の技術でどうにかなるわけはないということはわかっているので緊張などはしない。しかし、俺の実力が認められるかという不安はある。だが、俺の実力をわかったうえで試験をすると言ってくれているのだろう。俺が余程本番に弱いと思われない限りは大丈夫・・・・なはず。
『心配するより早く寝て明日に備えましょう』
あぁ、そうだな。お前に言われなきゃ素直にうんと言えるんだがな。
そう思いながらゆっくり眠りに落ちていくのであった。
翌朝、差し込む朝日で目が覚める。いつもはまだ寝ている時間だが今日は柄にもなく早起きをしてしまった。特に早く起きたからと言ってやることはないんだがな。
「さて、まだ試験までは時間はあることだから少し身体を馴らしておくかな」
『朝食の準備はまだ終わっていなさそうなのでそれでよろしいかと』
居間へと降りて行ったが確かにまだ準備はできていなかった。なんというか・・・こいつの言うことの的中率たけぇよな。
『お褒めに預かり光栄です。もっと頼っていただいてもいいのですよ』
それは・・・考えておく。お前がいなくなったときに何もできなくなるようなポンコツになっても困るからな。何事も程々ってやつが大切だ。
「あら?もう起きてたの?まだ準備できてないからもうちょっと待っててね」
「わかったよ、母さん。ちょっと外で身体動かしてくる」
試験前最後の確認を込めてスキルを駆使した動きを今一度確認する。あまりやり過ぎても疲れるだけなのであくまで軽くだ。
「・・・よし、もうできることはないな」
『一つだけよろしいでしょうか』
(なんだよ、急に言われても今更何かできることなんてないぞ)
『いえ、今までは運よく並列思考のデメリットを感じる機会が少なかったかと思うのでそれについてです』
(デメリットなら十分感じてるぞ。お前を黙らせれないこととかな)
『そういうことではありません。貴方には疲労回復のスキルがありますがそのスキルが並列思考のスキルのデメリットも軽減しているという話です』
(はぁ?なんで今までそのことを言わなかったんだよ)
『通常時であればほとんど意識しなくてもいいからです。並列思考のスキルが働いている時は通常の2倍頭を使っていることになるため当然その疲労も大きくなります。通常時であれば疲労回復のスキルでこの分の疲労は相殺できていますが過酷な状況が続けば通常時よりもひどい疲労感に襲われる可能性があります』
(つまり今日の試験でそうなる可能性があると?)
『それもあります。問題はその時にさらに感覚強化を使うとどうなるか、これは貴方にも想像がつきますね』
追い詰められた俺が感覚強化のスキルを使うことでさらに追い詰められる姿を想像してしまう。
『まぁ今回は試験なのでそれはいいかもしれません。ただ、それによって両親は不思議に思うでしょう。感覚強化だけで疲労回復のスキルを大きく超えるほど消耗するのか・・・と』
(つまり、全力を出し過ぎない方がいいと?じゃあお前が足かせになっているってことじゃないか)
『そうなる可能性もあるということです。しかし、そうならないように私は全力でサポートします。並列思考がない場合よりも戦闘をスムーズに行える場合の方が圧倒的に多いということは確実です』
(うーん、そうなるか。実際こいつはムカつくけど役には立っているからな。そこまで追い詰められた時点で負けということにするしかないか)
思いがけない告白に少し戸惑ったが仕方ないと割り切れるもので良かった。そうしているうちにパンのいい香りが漂ってきた。どうやら朝食の準備ができたようだ。
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