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13話 見抜かれた
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「じゃあまずは私から。私のスキルは単純、魔法操作よ。魔力の扱いに長けているから最後に見せたような技や結界のようなものも準備なしに発動できる。魔力さえあれば万能に近いスキルよ。もう一つは・・・あとで話すわ。貴方のスキルが聞きたい」
『これは試されているのでしょうか。私の存在に気付いている可能性もあります』
(そうだったとしてもお前の存在は言いたくねぇな)
「・・・・・・」
「そうだな、俺のスキルは2つだ。1つは感覚強化、一時的に五感の機能を高めることができる。もう一つは疲労回復、多少無茶をしてもすぐに回復することのできるスキルだ」
「・・・そう、じゃあ私の2つ目のスキルを言うわ。私のスキルは読心術です」
「えっ、それじゃあ」
「隠し事は無しっていう話ですよね」
(俺が嘘をつくとわかったうえでその質問をしたのか?いや、そもそもはったりの可能性すらあるし・・・)
『試してみますか?はったりかどうか、私の考えまで読めるのかどうか』
あまり考えている時間はなさそうだ。ここは正直に話そう。
「すまない。本当はスキルは3つあるんだ。でも俺はこのスキルのことがあまり好きじゃなくて何とかしたいと思ってる」
「そんな感じだろうとは思っていました。それに私のスキルも不完全なものです。それほど高い精度で読めるものではありません。伝わってほしいと思ったことははっきりとわかるのですが」
「ということはあの戦闘中に俺の意図を察してくれたのは?」
「まぁ、そう言うことですね。あの時は私も困っていましたから貴方が動いてくれて助かりました・・・っと話が逸れましたね」
「大体は察しがついているかもしれないが並列思考のスキルを持っている。俺がよくわかんない奴と話しているのはそう言うことだ」
「そうだったのね。てっきり精霊等と話しているのかと思っていました。貴方に潜んでいるもう一人の貴方の声は全く聞こえなかったですね」
『少し安心しました。私の考えが読まれるのは本意ではありませんからね』
(納得いかねぇなぁ、俺の考えはお前にもユカにも読まれるってのは、やっぱお前いなくなって欲しいわ)
「・・・大変そうなのですね。心の叫びが聞こえてきます」
「わかってくれるのか?この苦しみを」
「なんとなくですが分かります。とは言っても私の場合は知りたくもない声を聞いてしまうことで悩んでいるので少し性質は違いますが避けられない理不尽という意味では同じだと思います」
確かに、彼女のスキルも普通に考えればメリットの方が圧倒的に大きい、だが常時発動されているとなると話は別だ。常に言葉という刃が彼女をいつ襲わんとしているのだ。
「何だか急に親近感を持てたよ。君はそのスキルをどうにかしたいと思ったことはないのかい?」
「もちろんあるわ。でもうちの書庫にはそんな情報はなかった。だからもう諦めたの」
ここに目的の書物が無いことが確定し絶望する。しかし、同時に同じような悩みを持つ同士がここにいるということもまた事実だ。
「実はスキルを解く方法を探すことも俺が旅をする理由の一つなんだ。俺もこのスキルを何とかしたい。この屋敷の書庫が見たいというのもこの件だったんだけどどうやらそれは叶わなかったようだな。だが君と街まで行くということに変わりはない」
「どうして、もう私と一緒にいる理由なんてないはずでしょ?」
「俺と一緒にスキルをどうにかするための旅に出たいと思ったからだ。もちろん、急にこんなことを言われて返事に困るというのはよくわかる。その答えは一先ずの目的地、サウスに着いてから聞かせてもらう」
『いくら読心術がある相手とは言え短時間で色々と伝えすぎです。多少混乱しているように見えます』
アンデレに諭されてさっきまでの俺の行動を冷静に思い返して恥ずかしくなった。
ユカはユカで顔を赤くして困っているようで奇妙な沈黙が流れた。
「と、とりあえずサウスの街まではよろしく」
「おう・・・」
奇妙な間は部屋の扉がノックされたことで破られる。どうやらお昼の時間らしい。それを聞いた俺は強烈な空腹感に襲われる。
「俺にも何か食わせてくれないか?スキルのこともあってとにかくエネルギーが必要なんだ」
「もちろん、貴方が目覚めたら食事をふるまった後に出発する予定でしたからね。思う存分食べていってください」
どのような美味にありつけるのか。期待していたが、実際に運ばれてきた料理はその想像を遥かに超えるものだった。
「う、美味い。こんな美味しいものを俺が食べてもいいのか?」
今食べているのはエビのような魔物を丸ごと茹でた後中身だけ取り出して特製ソースをかけた品だ。
一見シンプルに見えるが素材本来の塩味とソースの酸味が絶妙にかみ合い、軽いのに満足感は十分という一品だ。俺の想像できる範囲でこの素材からはこれ以上の料理はできない、そう確信させるような品だった。
空腹は最高のスパイスとは言うがそうでなくてもきっと今と同じことを思うだろう。
「これも、あれも。全部美味しい。これなら本当にいくらでも食べれてしまう」
「そんなに焦らなくても・・・もう少しゆっくり食べなさい。ここには私と執事くらいしかいないからいいけど他でこんな真似したら他人のふりをするからね」
「す、すまない・・・さっき執事さんもいるって言ってたけど」
「ほらそこにいるでしょう。貴方料理が来たら他は何も見えていないのね」
「ごめん、今回だけだから」
「本当ね?」
信じられてなさそうだが、ここで俺がいくら言ってもダメだ。これからの行動で示していくしかない。
それはそうと、俺は腹いっぱい料理を平らげた。
そして食事を終えるといよいよユカは執事に対して出かけることを告げる。
「できればこの屋敷で待っていて欲しいのですがねぇ、負けてしまったので今更止めはしませんが」
「心配かけてごめんなさい。でもどうしても行ってこの目で確かめたいの」
俺が寝ている間に話しはついていたのか簡素な挨拶をしただけだ。そして2人は俺の元へ向かってきた。
「じゃあ行くわよ。とりあえずサウスの街まで2週間くらいの間、よろしくね」
「アンドレ様、どうかお嬢様をよろしくお願いします」
昨日倒した執事と兵士たちに見送られて俺達は旅立った。ここから世界の運命に関わっていくことになる。
『これは試されているのでしょうか。私の存在に気付いている可能性もあります』
(そうだったとしてもお前の存在は言いたくねぇな)
「・・・・・・」
「そうだな、俺のスキルは2つだ。1つは感覚強化、一時的に五感の機能を高めることができる。もう一つは疲労回復、多少無茶をしてもすぐに回復することのできるスキルだ」
「・・・そう、じゃあ私の2つ目のスキルを言うわ。私のスキルは読心術です」
「えっ、それじゃあ」
「隠し事は無しっていう話ですよね」
(俺が嘘をつくとわかったうえでその質問をしたのか?いや、そもそもはったりの可能性すらあるし・・・)
『試してみますか?はったりかどうか、私の考えまで読めるのかどうか』
あまり考えている時間はなさそうだ。ここは正直に話そう。
「すまない。本当はスキルは3つあるんだ。でも俺はこのスキルのことがあまり好きじゃなくて何とかしたいと思ってる」
「そんな感じだろうとは思っていました。それに私のスキルも不完全なものです。それほど高い精度で読めるものではありません。伝わってほしいと思ったことははっきりとわかるのですが」
「ということはあの戦闘中に俺の意図を察してくれたのは?」
「まぁ、そう言うことですね。あの時は私も困っていましたから貴方が動いてくれて助かりました・・・っと話が逸れましたね」
「大体は察しがついているかもしれないが並列思考のスキルを持っている。俺がよくわかんない奴と話しているのはそう言うことだ」
「そうだったのね。てっきり精霊等と話しているのかと思っていました。貴方に潜んでいるもう一人の貴方の声は全く聞こえなかったですね」
『少し安心しました。私の考えが読まれるのは本意ではありませんからね』
(納得いかねぇなぁ、俺の考えはお前にもユカにも読まれるってのは、やっぱお前いなくなって欲しいわ)
「・・・大変そうなのですね。心の叫びが聞こえてきます」
「わかってくれるのか?この苦しみを」
「なんとなくですが分かります。とは言っても私の場合は知りたくもない声を聞いてしまうことで悩んでいるので少し性質は違いますが避けられない理不尽という意味では同じだと思います」
確かに、彼女のスキルも普通に考えればメリットの方が圧倒的に大きい、だが常時発動されているとなると話は別だ。常に言葉という刃が彼女をいつ襲わんとしているのだ。
「何だか急に親近感を持てたよ。君はそのスキルをどうにかしたいと思ったことはないのかい?」
「もちろんあるわ。でもうちの書庫にはそんな情報はなかった。だからもう諦めたの」
ここに目的の書物が無いことが確定し絶望する。しかし、同時に同じような悩みを持つ同士がここにいるということもまた事実だ。
「実はスキルを解く方法を探すことも俺が旅をする理由の一つなんだ。俺もこのスキルを何とかしたい。この屋敷の書庫が見たいというのもこの件だったんだけどどうやらそれは叶わなかったようだな。だが君と街まで行くということに変わりはない」
「どうして、もう私と一緒にいる理由なんてないはずでしょ?」
「俺と一緒にスキルをどうにかするための旅に出たいと思ったからだ。もちろん、急にこんなことを言われて返事に困るというのはよくわかる。その答えは一先ずの目的地、サウスに着いてから聞かせてもらう」
『いくら読心術がある相手とは言え短時間で色々と伝えすぎです。多少混乱しているように見えます』
アンデレに諭されてさっきまでの俺の行動を冷静に思い返して恥ずかしくなった。
ユカはユカで顔を赤くして困っているようで奇妙な沈黙が流れた。
「と、とりあえずサウスの街まではよろしく」
「おう・・・」
奇妙な間は部屋の扉がノックされたことで破られる。どうやらお昼の時間らしい。それを聞いた俺は強烈な空腹感に襲われる。
「俺にも何か食わせてくれないか?スキルのこともあってとにかくエネルギーが必要なんだ」
「もちろん、貴方が目覚めたら食事をふるまった後に出発する予定でしたからね。思う存分食べていってください」
どのような美味にありつけるのか。期待していたが、実際に運ばれてきた料理はその想像を遥かに超えるものだった。
「う、美味い。こんな美味しいものを俺が食べてもいいのか?」
今食べているのはエビのような魔物を丸ごと茹でた後中身だけ取り出して特製ソースをかけた品だ。
一見シンプルに見えるが素材本来の塩味とソースの酸味が絶妙にかみ合い、軽いのに満足感は十分という一品だ。俺の想像できる範囲でこの素材からはこれ以上の料理はできない、そう確信させるような品だった。
空腹は最高のスパイスとは言うがそうでなくてもきっと今と同じことを思うだろう。
「これも、あれも。全部美味しい。これなら本当にいくらでも食べれてしまう」
「そんなに焦らなくても・・・もう少しゆっくり食べなさい。ここには私と執事くらいしかいないからいいけど他でこんな真似したら他人のふりをするからね」
「す、すまない・・・さっき執事さんもいるって言ってたけど」
「ほらそこにいるでしょう。貴方料理が来たら他は何も見えていないのね」
「ごめん、今回だけだから」
「本当ね?」
信じられてなさそうだが、ここで俺がいくら言ってもダメだ。これからの行動で示していくしかない。
それはそうと、俺は腹いっぱい料理を平らげた。
そして食事を終えるといよいよユカは執事に対して出かけることを告げる。
「できればこの屋敷で待っていて欲しいのですがねぇ、負けてしまったので今更止めはしませんが」
「心配かけてごめんなさい。でもどうしても行ってこの目で確かめたいの」
俺が寝ている間に話しはついていたのか簡素な挨拶をしただけだ。そして2人は俺の元へ向かってきた。
「じゃあ行くわよ。とりあえずサウスの街まで2週間くらいの間、よろしくね」
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