救世主として転生させられたが余計なスキルのせいで快適な異世界生活どころじゃない。良かれと思ってだろうがスキル解除するまで世界は救ってやらない

takaoka

文字の大きさ
17 / 45

17話 旅の問題

しおりを挟む
「うっぷ、もう食べれない・・・」

「私も、今日中に食わないと駄目そうだけど諦めるしかないわね」

なんだかんだ言ってもったいないの精神が働き、渡された大量の食べ物を毎食食べている。育ちの良さそうなユカも俺と同じように食べているのは謎だけど。

「さて、今日はこの辺りで休もうか。俺から見張りをするから先に休んでくれ」

「じゃあ遠慮なく。疲れがたまって来たらすぐに起こしなさいよ」

やはり2人での旅となると休息の時間が厳しい。あと1人でもいれば・・・

『なかなか難しいでしょうね。好き好んでサウスの街に行く人なんていないですからね』

「それなんだよなぁ、この間の村でもサウスの街に関する情報は何もなかったからそういうことだよね・・・」

やはり誰も行きたがらないから自分で行くしかないのか・・・そう思っていた時

『地震の直後は様子を見に誰かが言ったとは思います。流石に薄情な人ばかりということはないでしょう』

まぁそれはそうだ。そうでなくても状況確認の依頼は出ていると考えるのが普通だ。

だとしたらそれに関する情報は少しくらいは出てこないとおかしい。何か原因があるのだろうか・・・

『結局は行ってみないと分からないということです。ここまでは順調に進めているのですから焦らず行きましょう』

むぅ、確かに。やることは変わらないんだから新たな情報を手に入れるまではとにかく進むしかないか。

何かある度に色々と考えるが結局答えにはたどり着けない。今がまさにその時である。そういう時は無駄な時間を使いがちだ。

(今はお前がいるおかげで止めてくれるけどな)

『珍しく褒められた気がします』

(そういうところだぞ)

俺が頭の中で言い争っていることをユカは薄々感づいているようだ。何か楽しそうに見える。

「言っておくが碌でも無い奴だぞ」

「それはどっちの方のことを言っているのかしら」

「それを俺に言うとはいい度胸だな」

『全くです』

はぁ、どいつもこいつも俺の敵ばかりだ。

並列思考によって得られるものは知識、状況判断等挙げていけばキリがない。それに対してのデメリットなんて先に上げたものに比べれば小さいものだ。

・・・と言い聞かせ続けてきてここまでやってきた。あるかもわからない常時発動のスキルを何とかするという目標を掲げてここまではやって来れた。

しかし、この世界の住人ならば並列思考のスキルを有難がることこそあれ、忌み嫌うことはほとんどないのである。理由は単純で先に上げたメリットの方が圧倒的に大きいからだ。思考を除かれていることに対することをストレスとは思わない。完全にスキルの機能として受け入れているところがあるからだ。

しかし、アンドレもとい斎藤信二は前世の記憶を持ったまま転生してしまった。現代的な考えが残ったままのこの状態では並列思考というものを不気味に思うのはある意味仕方がないことなのだ。

スキルを与えた存在もこのことを考慮できていなかったため良かれと思ってこのスキルを与えたのだ。

もちろん、このことをアンドレは知る由もないしスキルを与えた存在も彼の苦しみを知ることはない。

結果的に世界を救ってくれれば知ったことではないのだ。

アンドレは日々苦しみながらも日々世界を救うための行動を結果的にする羽目になっている。それが運命であるかのように・・・

「なんだかすこし雰囲気が変わってきたか?」

次の街はサウスの街の手前では最も大きい街だ。この街はサウスの街とも交易が盛んであるため、情報収集にはうってつけだ。

だが、その街が近づいて来るに従い、何やら魔物の様子がおかしい。明らかに魔物の強さが上がっているのだ。

『今の貴方達では対処は可能ですが並の冒険者では苦戦は免れられないです。魔物の数も多くなってますし駆除が追いついていない可能性が高いです』

街の周囲に魔物が増えれば交易を阻害してしまうことにもなる。

そうなれば必然的に街からの情報も来なくなる。しかし、普通ならば徐々に魔物が強くなっていくのでどこまでは情報が入ってくるのかということはわかるのだ。

(そうなっていないから情報が中途半端なのか?それとも手前の街の情報を集めることを怠ったのが悪いのか?)

『次回以降は集める情報の範囲を広げて提案するようにします。今回は今更引き返すわけにもいかないのでこのまま進みましょう』

こういう時に融通が利かないやつとも思ったがある意味俺の分身体でもあるので俺自身が気づけなかったことに期待するのは何か違う。自身の未熟さを悔やむがこれも勉強と思うしかない。

「気づいていると思うが魔物の様子が今までと明らかに違う。なんとなく予想できたかもしれないがこれからは今までのような呑気な旅とはいかない。休息の取り方も見直さなければいけないかもな」

今までは一人が見張りでもう一人が休むという方式を取っていたが、いつまでできるかは分からない。一人では魔物の対処が困難になった時、休むことができなくなってしまう。そうなればもう進むことはできなくなる。

「疲れも溜まってきたし次の街に着いたら色々と備えないとね。この様子だと街の中ですら怪しいかもしれないけど・・・そうなったときは引き返すことも視野に入れないといけないかもしれないわ」

ユカの口から引き返すという単語が出てきたことに驚いた。しかし、彼女もそれくらいの判断はできる人だ。自身が助からなければさらに多くの人に迷惑がかかることも理解している。

「やっぱり2人じゃ厳しいのかな。それとも何か安全に休息を取れるような方法があればいいんだけど・・・」

大きくなりつつある疲労回復という問題に悩まされつつ2人の冒険者は人通りの少ない街道を進んでいく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

処理中です...