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28話 再開
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3日後、俺達は旅立つ準備を終え、いよいよサウスの街へ向かうところだった。
街の人、特にギルド長からは何度も引き留められたが俺達の意思が固いことを示すと最後には折れてくれた。
「なんだかいろんな人に止められちゃって街を出る前から疲れちゃったんだけど」
「仕方なかろう、そなた等はこの街を救った英雄だからの」
「そういえばアンナ、君も戦えるんじゃないか?見たところ魔法の操作に関しては俺が見た中でもダントツと言っていいくらいには上手かったからな」
「さ、さてどうじゃろうな。我はつまらんことは嫌いなのじゃ」
(それって魔物達は倒し甲斐がないってことなんじゃ・・・)
「まぁいい、街の外に出たらなるべくは俺達で戦うが最低限自衛くらいはしてくれよ」
「はーい」
元気よく返事をしたことで俺の疑問は確信へと変わった。
「ほら、さっさと出ましょ。ここでゆっくりしていたらまた誰かに呼び止められるかもしれない」
ユカに急かされ、俺達はなるべく絡まれない様に注意しながら街の南側の門へと向かった。
門の前に衛兵の人はいたが、俺達がここに来ることを知っていたのだろう。特に驚いている様子はなかった。
「門を開けてくれないか?今は魔物はいないはずだ」
俺達が周囲の魔物を粗方倒したおかげで今は常に見張っていないといけないような状態ではない。しかし、南側への用がある人がいない事、念には念をということで基本この門が開くことはない。
「わかりました。本当に行ってしまうのですか、街の者に沢山引き留められても進むと選択をした貴方方を今更止めようとは思いませんが寂しいものがありますね」
「すまないな、やらなければいけないことがあるんだ。それに本来街のことは街の人間だけでどうにかできないといけないんだ。厳しいことを言うかもしれないが立て直せる時間もあることだからしっかりしてくれ」
「おっしゃる通りです。本来はそうあるべきなんですけどね・・・いや、これからはそうなるよう頑張ります。少なくとも貴方方が戻ってくるまではこの街を魔物どもに好き勝手にさせることはありません」
衛兵の覚悟のこもった声に思わず感動してしまう。おっと、ここで時間を取られ過ぎてしまったな。
「じゃあ俺達は行ってくる」
「お気をつけて」
衛兵は俺達の姿が見えなくなるまで律義に見送りをしていた。全く、いくら安全とは言えちょっと不用心じゃないのか?
『その割には何やら嬉しそうですね』
(さぁな)
街を出たとはいえ、街が見える範囲の魔物は粗方倒しているため、少しの間は平穏だった。しかし、徐々に魔素の濃度が上がっていくのを嫌でも感じずにはいられなかった。
「お主らはこの異変をどう考えておるのじゃ?」
「魔素が関係しているだろうということしかわかっていない。それとあの地震の震源地に近づくほどに魔素の濃度が上がっているということくらいかな」
「ふむぅ、魔素か、我もあまり詳しくないのでの、勉強させてもらうとしよう」
「2人とも呑気ねぇ、私なんていつ襲われるか分からないから気を張りっぱなしだよ」
「そうじゃな、魔物の索敵はユカと交代でやるとするかの。なに、気にすることはない。魔力はしっかり余らせるよ」
そして交互に索敵を行うことになり、ユカの精神的な負担はかなり和らいだ。
アンナは元々鈍感なのかはしらないが、長時間索敵し続けても精神的にすり減ることはないようでさすがベテランといった感じだ。
(こいつの底は見えねぇなぁ。この旅を続けていれば嫌が応でも見ることにはなると思うが・・・)
「すごーい、アンナさんってなんでもできるんですね」
「もっと褒めるがよいぞ。我は気分がいい」
アンナとユカは楽しそうだ。人の心を自分の意思とは関係なく読んでしまう彼女がここまで仲良く話しているのを見たことがない。何か分からないけど波長が合うっていうやつなのかな。
「そういえばお主ら2人、変わったスキルを持っているようじゃな」
「!なんでそれを・・・」
アンナの急な一言に思わず口が滑る。しまったとも思ったが同時に同じパーティーのメンバーに隠し事はどうなんだという思いも広がる。
ユカの方をちらりと見ると話しちゃいなよと言いたげな表情をしていた。うーむ、この際だ俺達に知らないことを知っているアンナなら何か情報を得ることができるかもしれない。素直に話すとしよう。
「いや、すまない。取り乱して。隠すつもりもなかったんだが話すつもりも無かったと言わせてもらおう」
「何やら訳アリといった感じじゃのう。スキルにはそれほど詳しいわけではないが・・・何やら新たな発見の匂いがするぞ」
興味津々なアンナに対し、まずは俺からスキルについて話すことになった。
街の人、特にギルド長からは何度も引き留められたが俺達の意思が固いことを示すと最後には折れてくれた。
「なんだかいろんな人に止められちゃって街を出る前から疲れちゃったんだけど」
「仕方なかろう、そなた等はこの街を救った英雄だからの」
「そういえばアンナ、君も戦えるんじゃないか?見たところ魔法の操作に関しては俺が見た中でもダントツと言っていいくらいには上手かったからな」
「さ、さてどうじゃろうな。我はつまらんことは嫌いなのじゃ」
(それって魔物達は倒し甲斐がないってことなんじゃ・・・)
「まぁいい、街の外に出たらなるべくは俺達で戦うが最低限自衛くらいはしてくれよ」
「はーい」
元気よく返事をしたことで俺の疑問は確信へと変わった。
「ほら、さっさと出ましょ。ここでゆっくりしていたらまた誰かに呼び止められるかもしれない」
ユカに急かされ、俺達はなるべく絡まれない様に注意しながら街の南側の門へと向かった。
門の前に衛兵の人はいたが、俺達がここに来ることを知っていたのだろう。特に驚いている様子はなかった。
「門を開けてくれないか?今は魔物はいないはずだ」
俺達が周囲の魔物を粗方倒したおかげで今は常に見張っていないといけないような状態ではない。しかし、南側への用がある人がいない事、念には念をということで基本この門が開くことはない。
「わかりました。本当に行ってしまうのですか、街の者に沢山引き留められても進むと選択をした貴方方を今更止めようとは思いませんが寂しいものがありますね」
「すまないな、やらなければいけないことがあるんだ。それに本来街のことは街の人間だけでどうにかできないといけないんだ。厳しいことを言うかもしれないが立て直せる時間もあることだからしっかりしてくれ」
「おっしゃる通りです。本来はそうあるべきなんですけどね・・・いや、これからはそうなるよう頑張ります。少なくとも貴方方が戻ってくるまではこの街を魔物どもに好き勝手にさせることはありません」
衛兵の覚悟のこもった声に思わず感動してしまう。おっと、ここで時間を取られ過ぎてしまったな。
「じゃあ俺達は行ってくる」
「お気をつけて」
衛兵は俺達の姿が見えなくなるまで律義に見送りをしていた。全く、いくら安全とは言えちょっと不用心じゃないのか?
『その割には何やら嬉しそうですね』
(さぁな)
街を出たとはいえ、街が見える範囲の魔物は粗方倒しているため、少しの間は平穏だった。しかし、徐々に魔素の濃度が上がっていくのを嫌でも感じずにはいられなかった。
「お主らはこの異変をどう考えておるのじゃ?」
「魔素が関係しているだろうということしかわかっていない。それとあの地震の震源地に近づくほどに魔素の濃度が上がっているということくらいかな」
「ふむぅ、魔素か、我もあまり詳しくないのでの、勉強させてもらうとしよう」
「2人とも呑気ねぇ、私なんていつ襲われるか分からないから気を張りっぱなしだよ」
「そうじゃな、魔物の索敵はユカと交代でやるとするかの。なに、気にすることはない。魔力はしっかり余らせるよ」
そして交互に索敵を行うことになり、ユカの精神的な負担はかなり和らいだ。
アンナは元々鈍感なのかはしらないが、長時間索敵し続けても精神的にすり減ることはないようでさすがベテランといった感じだ。
(こいつの底は見えねぇなぁ。この旅を続けていれば嫌が応でも見ることにはなると思うが・・・)
「すごーい、アンナさんってなんでもできるんですね」
「もっと褒めるがよいぞ。我は気分がいい」
アンナとユカは楽しそうだ。人の心を自分の意思とは関係なく読んでしまう彼女がここまで仲良く話しているのを見たことがない。何か分からないけど波長が合うっていうやつなのかな。
「そういえばお主ら2人、変わったスキルを持っているようじゃな」
「!なんでそれを・・・」
アンナの急な一言に思わず口が滑る。しまったとも思ったが同時に同じパーティーのメンバーに隠し事はどうなんだという思いも広がる。
ユカの方をちらりと見ると話しちゃいなよと言いたげな表情をしていた。うーむ、この際だ俺達に知らないことを知っているアンナなら何か情報を得ることができるかもしれない。素直に話すとしよう。
「いや、すまない。取り乱して。隠すつもりもなかったんだが話すつもりも無かったと言わせてもらおう」
「何やら訳アリといった感じじゃのう。スキルにはそれほど詳しいわけではないが・・・何やら新たな発見の匂いがするぞ」
興味津々なアンナに対し、まずは俺からスキルについて話すことになった。
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