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◇外伝:アンネリースの憂鬱◇
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はじめて妹ができたとき、幼かったアンネリースは両親をとられてしまったようでやきもちをやいた。
だからオデットに冷たくあたった時期もある。
だが、それでもオデットはアンネリースを姉と慕ってなついてくれた。
アンネリースが令嬢に意地悪をされて泣いていると、
小さな身体でアンネリースを抱きしめてくれた。
とても嬉しくなって、一番大切な家族になった。
オデットは子供の頃から騎士団に出入りしている。
アンネリースとしては大反対だった、危険な戦場に赴くなんて。
けれど魔術の才を持って生まれたオデットには運命だった。
そんな彼女を貶す声は多かった、普通なら蝶よ花よと育てられ、社交界にでてゆくものなのに、男だらけの騎士団で、しかも戦場に立って戦う役割を担っているのだから。
だが唯一アンネリースが納得していた点は、彼女がこのけがれた貴族社会にでてこなくていいことだ。
オデットを悪く言った奴らを忘れない、彼女を傷つけた者を忘れない。
――あのこのことは、わたくしが守ってあげなくては。
その結果、アンネリースは自分の美貌をいかしてオデットにきたない虫が近づかないようにふるまうようになった。
女慣れした貴族の男どもにとって、オデットのように純粋な少女は物珍しい。
そう、物珍しいだけ。
そんな奴らを、オデットに近づけるわけにはいかなかった。
ただ、ひとつ大問題があったのだ。
いつもどおり演技でひっかけた男の一人、ランヴァルド・アーノルトにオデットは想いをよせていた。
アンネリースと彼が一緒にいるたびに、オデットが傷ついているのが分かる。
――このうつけ! オデットよりわたくしの演技にひっかかるなんて、絶対この男、許しませんわ!
――わたくしが好きだというなら、ええ……かまわなくってよ、ぼろぼろにしてあげるわ!
だが、どうやら彼はそこまで愚かではないようで、アンネリースの本性に気づいているようだった。
そこで、危機感をおぼえたアンネリースは一度彼と距離をおいたのだが。
そのあいだになにがあったのか、ランヴァルドはオデットに惚れたらしい。
――なんてことなの! これじゃあ相思相愛じゃないの! だめよ、あんな男にだけは絶対にあげないわ! だってオデットが傷つくだけですものっ!
アンネリースとしては、オデットには幼馴染のユーグと結ばれてほしかった。
彼といるときが、一番自然体でいるからだ。
まぁ、自然体すぎてユーグは意識さえされていないようだが。
そこはあとあとどうとでもなる。
そんなときに、バダンテール家にアーノルト伯爵家から手紙がきたのだ。
オデットとランヴァルドの結婚。
これを知ったときアンネリースはすぐに察した、あの男、きっとオデットを指名したのに違いない。
相手の家は婚姻さえ結べればアンネリースでもオデットでもいいのだ。
だが、すくなくとも戦場に立つ騎士であるオデットを指名するとは思えない。
となると、ランヴァルドが押し切ったとしか思えない。
――あの男っ! よくもまぁやってくれましたわねえっ⁉ あのこの片思いを無視してさんざん傷つけたあげく、わたくしの演技にひっかかっていたくせに!
――ゆ、る、し、ま、せ、ん、わっ! こんな強引なテでオデットを自分のものにするなんて!
内心は荒れに荒れていたが、二人の結婚式ではにこやかに、女神のように微笑んで祝福した。
だがオデットが無理して笑っているのを見て、絶対に離縁させてやると心に誓ったのだ。
だからオデットに冷たくあたった時期もある。
だが、それでもオデットはアンネリースを姉と慕ってなついてくれた。
アンネリースが令嬢に意地悪をされて泣いていると、
小さな身体でアンネリースを抱きしめてくれた。
とても嬉しくなって、一番大切な家族になった。
オデットは子供の頃から騎士団に出入りしている。
アンネリースとしては大反対だった、危険な戦場に赴くなんて。
けれど魔術の才を持って生まれたオデットには運命だった。
そんな彼女を貶す声は多かった、普通なら蝶よ花よと育てられ、社交界にでてゆくものなのに、男だらけの騎士団で、しかも戦場に立って戦う役割を担っているのだから。
だが唯一アンネリースが納得していた点は、彼女がこのけがれた貴族社会にでてこなくていいことだ。
オデットを悪く言った奴らを忘れない、彼女を傷つけた者を忘れない。
――あのこのことは、わたくしが守ってあげなくては。
その結果、アンネリースは自分の美貌をいかしてオデットにきたない虫が近づかないようにふるまうようになった。
女慣れした貴族の男どもにとって、オデットのように純粋な少女は物珍しい。
そう、物珍しいだけ。
そんな奴らを、オデットに近づけるわけにはいかなかった。
ただ、ひとつ大問題があったのだ。
いつもどおり演技でひっかけた男の一人、ランヴァルド・アーノルトにオデットは想いをよせていた。
アンネリースと彼が一緒にいるたびに、オデットが傷ついているのが分かる。
――このうつけ! オデットよりわたくしの演技にひっかかるなんて、絶対この男、許しませんわ!
――わたくしが好きだというなら、ええ……かまわなくってよ、ぼろぼろにしてあげるわ!
だが、どうやら彼はそこまで愚かではないようで、アンネリースの本性に気づいているようだった。
そこで、危機感をおぼえたアンネリースは一度彼と距離をおいたのだが。
そのあいだになにがあったのか、ランヴァルドはオデットに惚れたらしい。
――なんてことなの! これじゃあ相思相愛じゃないの! だめよ、あんな男にだけは絶対にあげないわ! だってオデットが傷つくだけですものっ!
アンネリースとしては、オデットには幼馴染のユーグと結ばれてほしかった。
彼といるときが、一番自然体でいるからだ。
まぁ、自然体すぎてユーグは意識さえされていないようだが。
そこはあとあとどうとでもなる。
そんなときに、バダンテール家にアーノルト伯爵家から手紙がきたのだ。
オデットとランヴァルドの結婚。
これを知ったときアンネリースはすぐに察した、あの男、きっとオデットを指名したのに違いない。
相手の家は婚姻さえ結べればアンネリースでもオデットでもいいのだ。
だが、すくなくとも戦場に立つ騎士であるオデットを指名するとは思えない。
となると、ランヴァルドが押し切ったとしか思えない。
――あの男っ! よくもまぁやってくれましたわねえっ⁉ あのこの片思いを無視してさんざん傷つけたあげく、わたくしの演技にひっかかっていたくせに!
――ゆ、る、し、ま、せ、ん、わっ! こんな強引なテでオデットを自分のものにするなんて!
内心は荒れに荒れていたが、二人の結婚式ではにこやかに、女神のように微笑んで祝福した。
だがオデットが無理して笑っているのを見て、絶対に離縁させてやると心に誓ったのだ。
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