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二部
◇迫る期日◆
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二日目、オデットの苦悩は続いていた。
ユーグが屋敷を出るのとともに外へ出て、なんとか気を紛らわそうとするのだが、当然うまくいかない。
公園のベンチに座って、なんとかする方法がないものかと必死に考えをめぐらせていた時だった。
「やあ、オデットじゃないか」
「――ザクセンさん」
黒い騎士服を着たザクセンが軽く片手をあげてやって来るのを見て、オデットは彼に頼めば良いのではないかと考えたが、それは無駄であろうとすぐに考え直す。
「暗い顔をして、いったいどうしたんだ?」
「――……いえ、たいしたことではないのです」
隣に座ったザクセンはじっとオデットを見つめて、首を傾げる。
「きみがそんな顔をするなんて、たいしたことではないと思えないのだが?
……そういえば、昨日は姫様がアニタだけを連れて外出なさったが、まさかきみのところに行ったのではないだろうな」
なにも答えられずにいると、ザクセンは片手で顔を覆っておおきなため息を吐いた。
「……まったくあのかたは、戻ったら陛下がどれほどお怒りになることか」
ザクセンはかぶりを振って、オデットに視線を戻す。
「よければ事情を教えてくれないか? できるかぎりのことはしよう」
「――」
話してしまえば良いのだろうかと考えた、だが、それをツェリアが知ったらどうなるだろう。
彼女の父に知れれば状況は変わるかもしれないが、それまでにどれほどの痛手を家族が負うことになるのか。
なにも言えずにいるオデットを見て、ザクセンは口もとに手をあてる。
「当ててみせよう、ランヴァルドと別れろ、そうしなければ彼かきみの家族がどうなるか分からないぞ。そんなところじゃないか?」
思わずびくりと震えたオデットを見て、ザクセンは笑った。
「あのかたが子供の頃から護衛をしているんだ、予想もできないほどではないさ。
だが、見事に当たっていたようだ」
「……や」
オデットはようやく震える唇を開いた。
「いやなのです、私は、あのかたが本当に……好きで……」
「――……そうか」
涙ぐむオデットを見て、ザクセンは少しばかり残念そうにため息を吐いた。
「しかし、まいったな。陛下に知らせるまでには少しばかり時間がかかる。
そのあいだにおおごとにされては、姫様の立場も危ういものだ」
やはりそうなのだと、零れそうになるオデットの涙にザクセンが手を伸ばす。
「大丈夫だオデット、きみのためにも、姫様のためにも、きっとなんとかするから。私はきみの力になりたい」
「あ、りがとうございます……ザクセンさん……」
少しだけ希望を持てた、気がしたのだが……。
「なんとかするってどうするの? ザクセン」
唐突に聞こえたツェリアの声に、前を向けばベンチの前にツェリアが一人で居た。
「――姫様、お一人でどうなさったのです? ランヴァルドはどうしました?」
「ちょっと待ってもらっているのよ、二人が仲良く座ってお話しているから、なんのお話をしているのか聞いてくるって、言って」
言うとおり、遠く公園の入り口にランヴァルドの姿がある。
なにか問いかけたそうな彼を見て……オデットはじっとしたまま、口をつぐんだ。
話をしたいがツェリアの前、できそうにない。
「ザクセン、余計なことをしたら……分かるわよね」
「どの道、戻れば陛下の鉄槌がくだりますよ、姫様」
ザクセンの言葉に、ツェリアは表情をゆがめる。
「フン、お父様がこの私を、そんなに叱ったことがあって?」
「ことがことですので、それはもうお怒りになられるでしょう」
「あなたの妄想なんて知らないわ、だけど、手出しするなら時期を早めるだけよ」
姫君の言葉に、ザクセンは押し黙る。
それに気を良くしたのか、ツェリアは腰に手をあてて言う。
「あなたに選択肢なんてないのよ、分かったら、さっさと別れてちょうだい」
ユーグが屋敷を出るのとともに外へ出て、なんとか気を紛らわそうとするのだが、当然うまくいかない。
公園のベンチに座って、なんとかする方法がないものかと必死に考えをめぐらせていた時だった。
「やあ、オデットじゃないか」
「――ザクセンさん」
黒い騎士服を着たザクセンが軽く片手をあげてやって来るのを見て、オデットは彼に頼めば良いのではないかと考えたが、それは無駄であろうとすぐに考え直す。
「暗い顔をして、いったいどうしたんだ?」
「――……いえ、たいしたことではないのです」
隣に座ったザクセンはじっとオデットを見つめて、首を傾げる。
「きみがそんな顔をするなんて、たいしたことではないと思えないのだが?
……そういえば、昨日は姫様がアニタだけを連れて外出なさったが、まさかきみのところに行ったのではないだろうな」
なにも答えられずにいると、ザクセンは片手で顔を覆っておおきなため息を吐いた。
「……まったくあのかたは、戻ったら陛下がどれほどお怒りになることか」
ザクセンはかぶりを振って、オデットに視線を戻す。
「よければ事情を教えてくれないか? できるかぎりのことはしよう」
「――」
話してしまえば良いのだろうかと考えた、だが、それをツェリアが知ったらどうなるだろう。
彼女の父に知れれば状況は変わるかもしれないが、それまでにどれほどの痛手を家族が負うことになるのか。
なにも言えずにいるオデットを見て、ザクセンは口もとに手をあてる。
「当ててみせよう、ランヴァルドと別れろ、そうしなければ彼かきみの家族がどうなるか分からないぞ。そんなところじゃないか?」
思わずびくりと震えたオデットを見て、ザクセンは笑った。
「あのかたが子供の頃から護衛をしているんだ、予想もできないほどではないさ。
だが、見事に当たっていたようだ」
「……や」
オデットはようやく震える唇を開いた。
「いやなのです、私は、あのかたが本当に……好きで……」
「――……そうか」
涙ぐむオデットを見て、ザクセンは少しばかり残念そうにため息を吐いた。
「しかし、まいったな。陛下に知らせるまでには少しばかり時間がかかる。
そのあいだにおおごとにされては、姫様の立場も危ういものだ」
やはりそうなのだと、零れそうになるオデットの涙にザクセンが手を伸ばす。
「大丈夫だオデット、きみのためにも、姫様のためにも、きっとなんとかするから。私はきみの力になりたい」
「あ、りがとうございます……ザクセンさん……」
少しだけ希望を持てた、気がしたのだが……。
「なんとかするってどうするの? ザクセン」
唐突に聞こえたツェリアの声に、前を向けばベンチの前にツェリアが一人で居た。
「――姫様、お一人でどうなさったのです? ランヴァルドはどうしました?」
「ちょっと待ってもらっているのよ、二人が仲良く座ってお話しているから、なんのお話をしているのか聞いてくるって、言って」
言うとおり、遠く公園の入り口にランヴァルドの姿がある。
なにか問いかけたそうな彼を見て……オデットはじっとしたまま、口をつぐんだ。
話をしたいがツェリアの前、できそうにない。
「ザクセン、余計なことをしたら……分かるわよね」
「どの道、戻れば陛下の鉄槌がくだりますよ、姫様」
ザクセンの言葉に、ツェリアは表情をゆがめる。
「フン、お父様がこの私を、そんなに叱ったことがあって?」
「ことがことですので、それはもうお怒りになられるでしょう」
「あなたの妄想なんて知らないわ、だけど、手出しするなら時期を早めるだけよ」
姫君の言葉に、ザクセンは押し黙る。
それに気を良くしたのか、ツェリアは腰に手をあてて言う。
「あなたに選択肢なんてないのよ、分かったら、さっさと別れてちょうだい」
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