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第3作 彼女の思い出

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「今日も掃除しておいてあげるね!」

優美は僕の家でデートするときは必ずトイレを掃除してから帰る。

別に普段汚くしているわけではないが、ピカピカにしてくれてとてもありがたいと思っている。

最初のうちは「いいよ!トイレ掃除は僕がやるから。」と言っていたが、最近は「いつもありがとう!」と掃除してもらうのが当たり前になってきた。


それにしてもどうしてトイレ掃除だけして帰るのかわからない。

お風呂は一緒に入ってもお風呂掃除はしてくれる気はないようだ。

たまに鏡が汚れて曇っていても何も言わない。


付き合い始めて3か月になるが、さすがに「ついでにお風呂もよろしく!」とも言いづらい。


だからどうしてトイレを掃除してくれるの?と聞きづらい感じがしていた。

「トイレを?」が「トイレだけ」に聞こえてしまうとなんか他も催促しているようでまずいと思う。

もちろん優美のことは大好きだから、余計な感情を抱かせて怒らせたくはないし。

しかし、何故トイレだけ掃除してくれるのか気になって仕方ない。

しかも、帰りがけにである。

もし仮に優美がすごく潔癖症なら、家に着いたらまず、僕のトイレの後の汚れがついている段階で掃除するはずだと思う。除菌なんかもするはずだ。


「よし、思い切って聞いてみよう!」

疑問が収まらない僕はついに今日のおうちデートの帰り間際に「しかし、一人暮らししてると家の掃除って大変だよなあ~。お風呂なんかほんとに面倒だよな。」と話かけた。


するとそれまで楽しそうだった優美は少しだけ顔つきを変えた。

普通を装っているが、明らかに気持ちの変化が起きてる顔だ。

「まずかったかな?、、、」そう後悔したがもう遅い。

胸騒ぎがして僕は心臓が少し縮んだように感じた。

なんで余計なこと言ったんだろう。俺もバカだよなあ。言わなくていいことを。


その気持ちを読まれたかもしれない。

優美は「そろそろ帰るね!」と言ってトイレに向かった。

いつもの帰りの前の掃除のパターン。

「あぁ良かった!気分を害したと思ったけど気のせいかな。少し安心!」


しばらくして優美がトイレから出てきた音がした。

そして、続けて玄関のドアが開いた音がすると「さよなら!」と言って優美は出て行った。

「えっ!優美が帰ってしまった!やばい!絶対怒らせた。」


「優美は僕には最高の彼女だ。なんとか謝らないと!」


まずは落ち着かないと。そう落ちついてからLINEしよう。

残っていた赤ワインを飲みながら、LINEの文章を頭でシュミレーションしてみる。

まず、また会ってくれる程度の問題なのか、それともかなりまずいレベルなのかによって文章は違う。

「もしかしたらもう二度と会ってくれないかもしれない。いや、こんなことでそれはないよな!」

頭の中でぐるぐるいろいろなケースが回って動揺していることが自分でもわかる。

「ほんと、俺余計なこと言っちゃって、、、。くそ!くそっ!そうだ!そう言えば糞したくなった。」

ブゥー!「あっ、やべ!中身がオナラででたかも」

こんな時なのにうんこがしたくなった俺は、トイレに駆け込んだ。


すると、便器の蓋が閉まっている。

普段はだらしないかもしれないがいつも開けっ放しにしていて、優美が掃除してくれてもそのまま開けていてくれている。

「あれ!今日は閉まってる!なんでだ!これまずいサインかな?」また今度は強い胸騒ぎが襲ってきて心臓が一段と縮んだように感じる。

「ごめんな、優美!」

僕はこの心からの謝罪の気持ちをテレパシーで精一杯優美に向けて送った。


そして、うんこをしようと便器の蓋を開けた。


すると、便器のノズルの出口の下の切り立った壁の部分にベットリとウンコが付いているではないか!



その時である。

優美からテレパシーが来た。


「もうお別れね。」





















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