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27.背徳者2
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「聖女だと……?」
「まさか、糾弾するために来たのか……?」
「そんな……」
住民たちは口々に不安そうな声を上げている。
その様子を見た神官は、ますます勢いづく。
「その店の品をご覧ください! 聖典に載っていない、神に許されざる物をこやつらは食しているのです! これは重大な背徳行為であり、今すぐその店の品を焼き払うべきです!」
神官は大きな声で主張するが、シルヴィアは静かに首を横に振る。
「いいえ、それは違います」
きっぱりと否定され、神官は困惑したように眉を寄せた。
「な、何をおっしゃっているのです? 神の教えに背く行為なのですよ?」
必死に訴える神官に対し、シルヴィアは穏やかな口調で語りかける。
「焼き払えとおっしゃいますが、ならばここの方たちは何を食せばよいのですか? 当然、あなたが用意するのですよね?」
シルヴィアが問いかけると、神官は言葉に詰まったように黙り込んだ。
「そ、それは……」
そして口ごもってしまう。
二人のやり取りを見た住民達はざわめき始めた。
「おい、どうやら聖女さまはあの神官より話が通じるみたいだぞ」
「あの神官から我々を救ってくださるのか?」
周りの声に後押しされるように、シルヴィアは神官に語りかける。
「あなたは先ほどおっしゃっていましたね? 神の教えに背く行為だと」
「そ、そのとおりです! その者達が食しているものは……」
「……では、その教えとはなんなのですか? 神は『あなた』に、どのような教えを授けてくださったのですか?」
『あなた』という言葉を強調したシルヴィアの問いかけに対し、神官は言葉に詰まる。
神の声を聞ける者は、歴史上でも数えるほどしかいない。
この神官が直接、神から教えを授かった可能性は極めて低いだろう。
「そ、それは……その……」
しどろもどろになる神官に対して、シルヴィアは穏やかな口調で続けた。
「わたくしは、神の声を聞くことができます。ですが、神はわたくしたちを見守り、後押ししてくださるだけです。あなたのおっしゃる教えなど、わたくしは存じ上げません」
「そ、そんな……」
「それに、聖典に記されていないというのなら、追記すればよろしいではありませんか。人は高みを目指して進んで行くもの。ならば、その過程で新たな発見も生まれるでしょう」
シルヴィアの言葉に、神官は愕然とした表情を浮かべた。
「な、なんと……聖典に新たなる記載をしろだと……? き、貴様! それでも聖女か! いや、違う! 貴様は偽者だ! 聖女を騙る不届き者め!」
神官は激昂して叫び、シルヴィアに掴みかかろうとする。
だが、その腕をマテウスが掴んだ。
「そこまでだ」
マテウスは神官の腕をひねり上げ、地面に組み伏せる。
「くっ……呪われ大公め! 聖女をたぶらかしたのは貴様か! 悪逆公の生まれ変わりめ! この地の愚か者どもも、貴様に騙されているにすぎん! この背徳者め!」
「まさか、糾弾するために来たのか……?」
「そんな……」
住民たちは口々に不安そうな声を上げている。
その様子を見た神官は、ますます勢いづく。
「その店の品をご覧ください! 聖典に載っていない、神に許されざる物をこやつらは食しているのです! これは重大な背徳行為であり、今すぐその店の品を焼き払うべきです!」
神官は大きな声で主張するが、シルヴィアは静かに首を横に振る。
「いいえ、それは違います」
きっぱりと否定され、神官は困惑したように眉を寄せた。
「な、何をおっしゃっているのです? 神の教えに背く行為なのですよ?」
必死に訴える神官に対し、シルヴィアは穏やかな口調で語りかける。
「焼き払えとおっしゃいますが、ならばここの方たちは何を食せばよいのですか? 当然、あなたが用意するのですよね?」
シルヴィアが問いかけると、神官は言葉に詰まったように黙り込んだ。
「そ、それは……」
そして口ごもってしまう。
二人のやり取りを見た住民達はざわめき始めた。
「おい、どうやら聖女さまはあの神官より話が通じるみたいだぞ」
「あの神官から我々を救ってくださるのか?」
周りの声に後押しされるように、シルヴィアは神官に語りかける。
「あなたは先ほどおっしゃっていましたね? 神の教えに背く行為だと」
「そ、そのとおりです! その者達が食しているものは……」
「……では、その教えとはなんなのですか? 神は『あなた』に、どのような教えを授けてくださったのですか?」
『あなた』という言葉を強調したシルヴィアの問いかけに対し、神官は言葉に詰まる。
神の声を聞ける者は、歴史上でも数えるほどしかいない。
この神官が直接、神から教えを授かった可能性は極めて低いだろう。
「そ、それは……その……」
しどろもどろになる神官に対して、シルヴィアは穏やかな口調で続けた。
「わたくしは、神の声を聞くことができます。ですが、神はわたくしたちを見守り、後押ししてくださるだけです。あなたのおっしゃる教えなど、わたくしは存じ上げません」
「そ、そんな……」
「それに、聖典に記されていないというのなら、追記すればよろしいではありませんか。人は高みを目指して進んで行くもの。ならば、その過程で新たな発見も生まれるでしょう」
シルヴィアの言葉に、神官は愕然とした表情を浮かべた。
「な、なんと……聖典に新たなる記載をしろだと……? き、貴様! それでも聖女か! いや、違う! 貴様は偽者だ! 聖女を騙る不届き者め!」
神官は激昂して叫び、シルヴィアに掴みかかろうとする。
だが、その腕をマテウスが掴んだ。
「そこまでだ」
マテウスは神官の腕をひねり上げ、地面に組み伏せる。
「くっ……呪われ大公め! 聖女をたぶらかしたのは貴様か! 悪逆公の生まれ変わりめ! この地の愚か者どもも、貴様に騙されているにすぎん! この背徳者め!」
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