王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~

葵 すみれ

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07.家からの追放

 セシールは男爵家の屋敷に戻った。
 しかし、待っていたのは家族からの冷たい態度だった。

「この恥さらしめ!」

 父に頬を叩かれ、セシールは床に倒れ込む。

「お前のような娘は我が家の恥だ! もう帰ってくるな!」

 父は怒鳴り散らした。
 義母も、侮蔑のこもった目でセシールを見ている。

「なんて醜いのかしら。こんな豚が家族だなんて、あり得ないわ」

 義母がセシールを見下ろしながら言う。

「そうだ、お前など家族ではない! もう、この屋敷から出て行け! 二度と帰ってくるな!」

 父は怒りに任せて怒鳴り続ける。
 二人の冷酷な態度に、セシールは涙が溢れてくる。
 きっとこうなるだろうと、想像はしていた。
 本当は予想を裏切ってほしかった。大変だったなと抱き締めてほしかった。
 だが、現実は厳しい。

「……はい……申し訳ありませんでした」

 セシールは震える声で謝罪し、ゆっくりと立ち上がる。
 もう、ここは自分の家ではない。彼らは家族でもない。
 とぼとぼと、屋敷の外へ向かった。



 セシールは途方に暮れていた。
 もう帰る家もない。家族もいない。頼れる人もいない。
 行く当てもなく、セシールは街をさまよっていた。
 着ていた服は破れてしまい、みすぼらしい格好をしているためか、道行く人が冷たい視線を向けてくるのがわかった。
 しかし、もう着替えを買うお金も残っていないのだ。
 王女付き侍女としての俸給は、全て実家に入れていたためだ。

「うぅ……」

 セシールは涙を流しながら歩き続けた。
 もう夕暮れ時になっていた。辺りもだんだんと暗くなってきている。

「……ひっく……えっぐ……」

 セシールは泣きじゃくりながら歩く。もう限界だった。
 道端に座り込んで、そのまま地面に倒れていく。

「おい! しっかりしろ!」

 そのとき、そんな声が聞こえてきた。

「え……?」

 セシールはゆっくりと顔を上げる。
 目の前にいたのは銀髪の青年だった。

「ヴァンクール辺境伯令息……?」

 セシールは呆然と呟く。
 夢を見ているのだろうかと思った。
 こんな美しい人が、自分に話しかけるはずがない。

「大丈夫か?」

 青年は心配そうな表情を浮かべて、セシールの顔を覗き込む。

「あ、あの……どうして……」

 セシールは戸惑いながら尋ねる。
 何故こんな場所にいるのか理解できない。

「きみが王女から追放されたと聞いて、ずっと探していた」

 青年はまっすぐにセシールを見つめてきた。
 その目は真剣そのもので、嘘を言っているようには見えない。

「私を……?」

 セシールは信じられない気持ちで青年を見る。
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