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46.レオポルドの告白2
「……俺は母に似ていた。髪も顔も。父や兄とはあまり似ていなかった」
パメラが黙って耳を傾けるなか、レオは続ける。
「母の家系は、成長につれて髪の色が濃くなることが多いらしくてな。俺も、十五を過ぎた頃から黒くなっていった」
ふと、レオは自分の髪に視線を落とした。
その黒鉄色は、過去の名残をほとんど感じさせない。
「見た目が変わっていったのも、逃がされやすかった理由のひとつかもしれない」
その呟きは、自嘲にも似ていた。
「そして──家を出た一年後、アシュフォード家は反逆の罪で粛清された」
その言葉に、パメラはわずかに息をのむ。
「父も兄も、処刑されたよ」
レオの声は静かだった。
けれどその静けさの奥に、深く沈んだ怒りと悲しみが確かにあった。
「そんなはずがない。あの人たちが、反逆なんて……」
彼の目は過去を見つめるように遠くを見据えている。
その眼差しに宿る憤りは、消えることのない疑念に彩られていた。
「誰かに嵌められた。そう思った俺は、傭兵として生きながら、調べ始めた」
幾つもの戦場を渡り歩き、血の上で築いた名声の裏で、レオは一つの真実を追い続けていた。
その執念だけが、彼を生かし続けていたのかもしれない。
「そして辿り着いたのが、ラングリー家だ。密告に関わっていたらしいと知った」
名を知ったときのことを思い出したのか、レオの眉間に皺が寄る。
「──だから、そこの娘を娶った」
少しの沈黙。
「……利用するために」
その言葉のあと、短い沈黙が落ちる。
レオの声が一瞬、低く震えた。
けれどそれは怒りではなく、迷いの滲むような震えだった。
パメラは、そっと視線を落とした。
手の中にあるレオの手は、あたたかく、力強い。
彼が語ったのは、復讐の理由。
けれどそのすべてに、彼の痛みと迷いが滲んでいた。
「……では、わたくしは“利用されるため”に、妻になったのですね?」
問いかける声は、責めるようではなかった。
ただ、確かめるように──静かに。
レオは小さく息をのみ、目を伏せた。
「……そうだった」
言い切ったその声は、どこか苦しげだった。
「けど、もう違う。……今は、そうじゃない」
ゆっくりと顔を上げたレオの目が、真正面からパメラを見つめていた。
「俺は……お前を、失いたくない」
馬車が静かに進むなか、再び沈黙が降りた。
その沈黙のなかで、パメラはそっとまぶたを閉じる。
何かを断ち切るように、そっと息を吐き──そして、微笑んだ。
ほんの少しだけ、隣のレオに身体を預ける。
「……奇遇ですわね。実は、わたくしも復讐したい相手がおりますの。そして、どうやらレオさまと同じ相手のようですわ」
パメラが黙って耳を傾けるなか、レオは続ける。
「母の家系は、成長につれて髪の色が濃くなることが多いらしくてな。俺も、十五を過ぎた頃から黒くなっていった」
ふと、レオは自分の髪に視線を落とした。
その黒鉄色は、過去の名残をほとんど感じさせない。
「見た目が変わっていったのも、逃がされやすかった理由のひとつかもしれない」
その呟きは、自嘲にも似ていた。
「そして──家を出た一年後、アシュフォード家は反逆の罪で粛清された」
その言葉に、パメラはわずかに息をのむ。
「父も兄も、処刑されたよ」
レオの声は静かだった。
けれどその静けさの奥に、深く沈んだ怒りと悲しみが確かにあった。
「そんなはずがない。あの人たちが、反逆なんて……」
彼の目は過去を見つめるように遠くを見据えている。
その眼差しに宿る憤りは、消えることのない疑念に彩られていた。
「誰かに嵌められた。そう思った俺は、傭兵として生きながら、調べ始めた」
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「──だから、そこの娘を娶った」
少しの沈黙。
「……利用するために」
その言葉のあと、短い沈黙が落ちる。
レオの声が一瞬、低く震えた。
けれどそれは怒りではなく、迷いの滲むような震えだった。
パメラは、そっと視線を落とした。
手の中にあるレオの手は、あたたかく、力強い。
彼が語ったのは、復讐の理由。
けれどそのすべてに、彼の痛みと迷いが滲んでいた。
「……では、わたくしは“利用されるため”に、妻になったのですね?」
問いかける声は、責めるようではなかった。
ただ、確かめるように──静かに。
レオは小さく息をのみ、目を伏せた。
「……そうだった」
言い切ったその声は、どこか苦しげだった。
「けど、もう違う。……今は、そうじゃない」
ゆっくりと顔を上げたレオの目が、真正面からパメラを見つめていた。
「俺は……お前を、失いたくない」
馬車が静かに進むなか、再び沈黙が降りた。
その沈黙のなかで、パメラはそっとまぶたを閉じる。
何かを断ち切るように、そっと息を吐き──そして、微笑んだ。
ほんの少しだけ、隣のレオに身体を預ける。
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