自分で書いた未完のラノベ小説の世界に転生したけどどうしたらいいですか?

黒野 ヒカリ

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No.39

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 「ラグー行くよー!」

 「はい、今行きます」

 部屋の外から聞こえたパメラ様に返事をすると俺は部屋を出た。

 デビルマウス討伐から一年が経ち、いよいよ今日はミラベル学園への入学試験に望む。

 正式な婚約はまだだが、この一年の間に、

 「ラグーくんはパメラの婚約者で家族だから住むよね?拒否権は無いよ」

 と半ば強引にパリントン公爵に言われ、デリー公爵家に住むことになった。

 デリー公爵家に住むようになってから何かとちょっかいを出してくるメイさんに頭を抱えながら過ごしていた。

 お掛けで一緒に住んでいるのにパメラ様とはあれから全く進んでいない。

 パリントン公爵に「ミラベル学園を卒業するまでは色々と控えてくれ」と言われいるので手を出すつもりは無いがキスぐらいはしたい。

 でもどうゆう訳かパメラ様といい雰囲気になるといつもメイさんが現れパメラ様と言い合いになって流れてしまう。

 メイさんは暇なの?と思ってしまうがちゃんと仕事はしているらしい。

 「恐ろしい程手際よく正確に仕事をこなすから余計に頭にくるのよね」

 とパメラ様が言っていたのでそうなのだろう。

 ミラベル学園へ向かう馬車の中、俺はパメラ様と会話を楽しんでいた。

 「パメラ様、試験緊張しますね」

 「ラグー言わないで、余計に緊張するから」

 すると一緒の馬車に乗っているメイさんは呆れた表情を見せた。

 「お二人とも何を仰ってるのですか?パメラ様もラグー様もミラベル学園の入試ごときで落ちる程の実力ではありませんよ。お二人の実力は既に卒業生レベルを越えております。ミラベル学園を卒業した私が言うのだから間違いありません」

 「えっ!メイさんミラベル学園の卒業生なんですか?」

 「ええ、入学から卒業までずっと首席を守り通しました」

 驚いた。メイさんミラベル学園でずっと首席だったようだ。
 言ってくれればメイさんに色々聞いて対策が練れたのに。

 「それでお父様が直々にメイをスカウトしたのよね」

 パメラ様も知ってたんかいとツッコミをしたかったが堪えた。

 「パメラ様も知ってたんですか?それならもっと試験対策を練れたのに…」

 「普段のメイとやり取りしてたらすっかり忘れていたのよ」

 「なるほど…」

 俺はメイさんに色々やられた事を思い出し頷いた。

 「お褒め頂きありがとうございます」

 お辞儀をするメイさんに俺とパメラ様は同時に突っ込んだ。

 「「誉めてないから!」」

 「おやおや、息がピッタリですね。さすが婚約者です」

 メイさんは本当にいい性格をしている。
 憎めないから余計にたちが悪い。

 俺とパメラ様は同時にタメ息を吐いた。

 「パメラ様、ラグー様いってらっしゃい」

 手を降るメイさんに手を降り返してミラベル学園の門を潜った。

 ミラベル学園はかなり広大な敷地で、勉学に励む建物、生徒が生活する寮、実践訓練をする森、闘技場、魔法演習場等が全て同じ敷地内にある。

 学舎は中世ヨーロッパのお城のような豪華で大きな建物だ。
 ここに通うようになると思うとワクワクしてくる。

 「ラグー何してるのよ、行くよ!」

 試験を受ける場所は魔法演習場なので移動しなければならない。

 「分かりました」

 立ち止まり、学舎を見ていた俺は返事をして移動した。

 魔法演習場に着くと沢山の入学希望者が列を成していた。

 俺とパメラ様は列に並び順番を待っていると、

 「おい平民!何故平民がこんな事にいる!」

 と声が聞こえた。

 「いきなり失礼だわ!貴方はなんなんですか!」

 パメラ様が俺の変わりに怒鳴った。

 「俺はバーゲン、ガラフ・バーゲンだ。王族にそんな態度だと命はないぞ!」

 「王族でしたか。失礼しました。しかし、私の婚約者をバカにされたので仕方ありません」

 言葉は丁寧だが顔を見れば分かる。
 パメラ様かなり怒っている。

 「はっはっはっ、お前気に入った!この国には来たばかりで女がいなくて困っていた。ちょうどいい、お前俺の女になれ!贅沢させてやる!」

 その瞬間パメラ様から殺気が放たれた。

 「押さえて下さい!パメラ様」

 今にもバーゲンに襲い掛かりそうなパメラ様の腕を掴み制止させた。

 「いくら王族だからって言って良いことと悪いことがあるわ」

 「パメラ様落ち着いて下さい!ここで手を出したら戦争になるかもしれません」

 「う~~」

 唸るパメラ様は怒りを何とか押さえているが本当に危ない。

 バーゲンは俺が嫌味なキャラとして考えた。

 王であるガラフ・ダインに甘やかされて育ち地位を使ってやりたい放題に育った。
性格は最悪で気に入らなければ直ぐに手を上げるクソ野郎だ。

 ここで手を出せば戦争にまではいかなくても何かしらの嫌がらせがあるだろう。

 実際コイツはサラサ皇女を無理矢理手込めにするのだ。

 「はっはっはっ!益々お前が気に入った、まぁ良い、入学すればいくらでもやりようはある。楽しみにしてろ!行くぞ!」

 「はっ!」

 バーゲンは従者に向け手を上げると去って行った。

 「何よアイツ!本当にムカつくわ!」

 地面に足をガンガンさせるパメラ様はまだ怒りが収まらないようだ。

 「パメラ様、何があっても絶対に僕が守りますから」

 「バカッ!急に何を言ってるのよ!恥ずかしいじゃない…」

 顔を赤くしてキョロキョロとするパメラ様は絶対に俺が守らなければならない。

 バーゲンは自分で考えておいてなんだが、クソ野郎だ。本当に何をしてくるから分からない。

 「絶対に守ります…」

 俺はパメラ様を見つめ呟いた。
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