1 / 1
私は猫
しおりを挟む私は猫、
名前はまだない……
なんてね!
有名な小説の真似をしてみたけど名前はあるんだよ。
『ミー子』って変な名前だけどね。
私を拾ってくれた亜矢ちゃんが付けてくれた名前だから文句は言えないけど……
そんな事より私の事、変な猫だと思ってない?思っているよね?
しょうがないからちょっとだけ私の事を教えてあげるね。
私はいわゆる…転生者
忘れもしない、あれは二十四歳の春!突然胸が苦しくなって気を失った。そして気がついたら猫だったんだよね。しかもダンボールの中
そこにたまたま通りかかった亜矢ちゃんが拾ってくれたお陰で今があるわけで…本当に感謝だよ。
なになに?うん、
気がついたら猫でなんでこんなに明るいのかって?それにもお答えしましょう。
猫になってかれこれ五年、そんだけ猫やってれば開き直りもするってもんよ!とほほっ
私を拾ってくれた時は中学生だった亜矢ちゃんも高校生になって最近すごく綺麗になった。
だから悪い男が寄ってこないか少し心配なんだよね…
ほら、男って狼じゃん?
まぁ私は猫なんだけどね笑
「ただいまー」
噂をすればなんとやら、亜矢ちゃんが帰ってきたので玄関までお迎えに行きましょうかね。
「あっ、ミー子ただいまー」
「みゃー(おかえりなさい)」
んっ?おやおや?、そちらにおられる野郎はどちら様ですかねぇ…
「崇くん入ってー、あっ、この子うちのミー子」
なるほど、崇と言う名か……
何しに来やがった!
シャーっと威嚇する私に苦笑いをする亜矢ちゃん。でも威嚇はやめない。亜矢ちゃんの操は守らねばならぬのだ!
「もぉミー子どうしたの?崇くんごめんね、いつもはこんな感じじゃないんだけど…」
「大丈夫だよ、亜矢ちゃん」
そう言って崇は私に顔を近づけた。
「ミー子ちゃん、崇と言います。よろしくお願いします」
まぁなんて丁寧な子なんでしょう!
そしてイケメン!
人間年齢と猫年齢合わせて二十九才の私を怯ませるほどの顔面力!末恐ろしい…
そして私は崇に抱かれた。
ちっ、イケメンには勝てないのだよ。
私のモフモフを堪能した崇が、私をソファーに置くと鞄から教科書やら筆記用具を取り出してテーブルに並べた。
その間に亜矢ちゃんは台所に行ってコーヒーを用意している。
「崇くん、どうぞ」
「みゃー(堪能しろよ)」
「亜矢ちゃんありがとう」
亜矢ちゃんがコーヒーを持ってくると二人は一度口にして勉強会を始めた。
「崇くん、これどうするの?」
「これはね、こことここを、こうすると」
「なるほど、ありがとう」
「どういたしまして」
かなりいい雰囲気で勉強している二人はとても微笑ましく見えた。
なるほど、亜矢ちゃんは崇が好きっぽいな…
「亜矢ちゃん、トイレ借りてもいい?」
「どうぞ、ここを出て右に曲がったとこにあるから」
「ありがとう」
そう言って崇がトイレに行くと亜矢ちゃんは頬を赤くして私に話掛けてくる。
「ミー子、崇くんかっこいいでしょ?私、崇くんが好きなんだ」
「みゃーみゃうー(やっぱりね、亜矢ちゃん分かりやすいよ)」
「崇くん、私の事好きかなぁ…」
「みゃーうー(見た感じ、崇も好きだと思うよ?)」
私の話が通じてるとは思わないけど私は思いを込めた鳴き声で返事を返した。
「崇くん、おかえりなさい」
「ただいま、亜矢ちゃん」
トイレから帰ってきた崇と見つめ合う亜矢ちゃんはすごく眩しかった。
しょうがない…
亜矢ちゃんの為に頑張って差し上げましょう。
私はソファーを降りて壁際まで行くと崇に向かって猛ダッシュで飛びかかった。
私に驚いた崇は亜矢ちゃんの方に倒れむと、亜矢ちゃんを押し倒す形になった。
「ご、ごめん」
「いいよ、崇くんなら…」
「亜矢ちゃん…」
二人は見つめ合ってキスを……
しなかった。
いや、私がさせなかった。
シャーっと威嚇して二人の間に私は割って入ったのである。
応援はするけど誰もいないこの状況に最後まで行ったら大変だからね。
うん、私はできる子だから!
「もーいいところだったのに…」
頬を膨らませる亜矢ちゃんには悪いとは思うけど流れに身を任せてはいけないのだよ。
「ははは」
苦笑いをしてる崇よ、チミはちゃんと気持ちを伝えないとダメだよ?はっきりしろ!
私の思いが通じたのか、沈黙が続いた後に崇は亜矢ちゃんに告白をした。
「亜矢ちゃん、好きです、付き合って下さい」
「はい、よろしくお願いします」
二人は照れ笑いを浮かべて幸せそうだった。
「みゃうー(よかったね、亜矢ちゃん)」
私は、亜矢ちゃんの想いが叶った事を素直に喜んだ。
しばらく楽しそうに勉強会をした二人は、後片付けをすると立ち上がって玄関まで行く。
「崇くん、また明日ね」
「うん、また明日ね、亜矢ちゃん」
そう言って崇は亜矢ちゃんの頬にキスをした。
「もー崇くんたら…」
恥ずかしそうにする亜矢ちゃん
「亜矢ちゃんがあまりにもかわいいから…嫌だった?」
「嫌じゃないけど…ずるいよ、崇くん…」
そう言って亜矢ちゃんも崇くんの頬にキスをした。
そして見つめ合う二人に私は威嚇する。
「シャー(こら崇!亜矢ちゃん泣かせたら許さんぞ!幸せにするんだよ!)」
しばらく見つめ合った後、崇は帰って行った。
けど……、
私頑張ったよ?頑張ったよね?
なのに夕飯がいつも同じってどうゆう事なの?
少し楽しみにしてたその日の夕飯はいつものキャットフードだった。
不満はあったけど幸せそうな亜矢ちゃんが見れたから我慢したよ……グスン
「行ってきまーす」
翌朝、元気よく出ていく亜矢ちゃんの後ろ姿を見つめる私
「みゃー(行ってらっしゃい)」
今日も亜矢ちゃんの帰りを待つ
うん、いつもの朝、今日も平和だ!
亜矢ちゃんが帰ってくるまで寝るとしましょう…
そして、私はソファーでくるまって眠りについた。
完
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
新緑の光と約束~精霊の愛し子と守護者~
依羽
ファンタジー
「……うちに来るかい?」
森で拾われた赤ん坊は、ルカと名付けられ、家族に愛されて育った。
だが8歳のある日、重傷の兄を救うため、ルカから緑の光が――
「ルカは精霊の愛し子。お前は守護者だ」
それは、偶然の出会い、のはずだった。
だけど、結ばれていた"運命"。
精霊の愛し子である愛くるしい弟と、守護者であり弟を溺愛する兄の、温かな家族の物語。
他の投稿サイト様でも公開しています。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる