染谷君は知らない滝川さんはもっと知らない交差するキュンの行方とその発信源を

黒野 ヒカリ

文字の大きさ
9 / 54

三人でお昼ご飯を食べた件②

しおりを挟む
 


 シートに座る僕はかなり戸惑っている。

 偽装の彼氏となった滝川さんはまだいい、でもなんで北澤さんまでいるのだろう?

 校内の有名人二人と一緒にお昼を食べる僕には周りの男子の厳しい視線が向けられている。
 僕はこの後、誰かに呼び出されてリンチされたりしないだろうかと心配になってしまう程の殺気を帯びた視線なのだ。

 (堪えられない……)

 僕の心の声は二人には聞こえない。 
 思わず「はぁ~」とタメ息が出てしまう。

 「なんで賢はタメ息吐いてるのよ」
 
 そう言った滝川さんは持っていた袋から篭を取り出すと蓋を開いた。 

 中身は色とりどりに敷き詰められたサンドイッチだった。

◇◇◇
 
 「美味しそうでしょ?杏は料理も上手なんだよ!あっ、私は同じクラスの北澤美織です。よろしくね、知ってるよね?」

 「知ってます北澤美織さん、僕は染谷賢一です。よろしくお願いします」

 そんな染谷君を見て私は不思議に思う。

 『どうして杏は染谷君を選んだんだろう』

 杏は女子の私から見ても魅力的でモテる。

 杏が沢山の男子に言い寄られて困っていたのは知っていたけど、それを避ける為に偽装の彼氏を染谷君にお願いしたのは失敗だと思う。
 偽装の彼氏とは言え、杏と付き合ったと知れわたればきっと染谷君には周りからのすごいプレッシャーがのし掛かるだろう。
 見た感じ、染谷君がそれに堪えられるとは思えない。
 
 (変な事になって杏の株を下げる事はしないでね)

 杏の作ったサンドイッチをボーと見つめる染谷君に心の中で私はお願いした。

◇◇◇
 
 賢は私の作ったサンドイッチを見つめ固まっている。
 折角頑張って作ったのに一口も食べないなんて…… 

 「食べないの?」

 サンドイッチに全く手を付けようとしない賢に私が聞くと顔を上げた賢が私を見た。

 「いいの?これもしかして滝川さんが作ったの?」

 「そうだけど…」

 「すごく美味しそう……」

 賢はまたサンドイッチを見つめひとつ掴むと口に運んだ。

 「美味しい……美味しいよ…僕、家族以外の女子の手作りの料理食べたの初めてだよ……」

 「そ、そうなの?偽装だけど彼氏なんだからこれからもお弁当作ってあげてもいいよ」

 「本当に!」

 私は嬉しそうにする賢がなんだか可愛く見えてしまった。
 前髪で隠れてよく顔が見えないのにそう思ってしまった私はちょっとおかしいかもしれない。

 「杏、染谷君で大丈夫なの?」

 「何が?」

 「染谷君、なんだか変だと思うんだけど…」

 「確かに変だけど今の賢少しかわ──」

 嬉しそうにサンドイッチを頬張る賢に聞こえない様に美織と小声で話をしていた私は『可愛い』と言おうとした途中で口を組むいだ。

 ニヤニヤとする美織の「続きは?」には答えず私もサンドイッチを頬張った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

妹の仇 兄の復讐

MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。 僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。 その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

処理中です...