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学園祭一日目が始まった件⑤
しおりを挟む後夜祭会場の体育館は盛り上がりを見せている。
いよいよ後夜祭一日目のとり、あゆたんの登場だ!
「宏くん、浩司くんいよいよあゆたんの出番だ!用意はいいかー!」
「「イエッサ、ボス!」」
僕はオタク仲間の宏と浩司を引き連れ、舞台の真正面を陣取った。
ピンクのハチマキにあゆたんTシャツを着て、背中に『I LOVE あゆたん』と書かれたピンクの法被を羽織った戦闘服に身を包んだ僕達の半径三メートルに人はいない。
僕は回りを見渡し、可愛そうな人を見るように僕達に視線を向ける生徒達に「むしろ好都合」とテンションが上がって行く。
『それでは後夜祭一日目のとり、スペシャリストゲストの篠田愛弓さんの登場です!』
司会の声に僕達のボルテージが羽上がる。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
まばらな拍手の中、僕達の叫びが響き渡る。
「皆さん初めまして、篠田愛弓と言います。本日は後夜祭に呼んで頂いてありがとうございます。私の事、知らない人が多いと思いますがよろしくお願いします」
あゆたんはとても丁寧な挨拶をするとニコリと微笑んだ。
「そんな事はなーい!僕達がついてるぞー!」
「そうであーる!」
「我らがおる!」
僕達はステージに向けてそれぞれの思いをぶつける。
そんな僕達の言葉が届いたのかは知らないが、会場に拍手の音が響く。
「誰か知らんけどいい人っぽい」
「顔がいい」
「可愛い声してるよね」
「この人何してる人?」
拍手の渦の中、そんな声が聞こえてくるとあゆたんの歌が始まった。
一曲、二曲とあゆたんの曲が進んで行き、僕のボルテージが最高潮を迎えたところで最後の曲になった。
「みんな一、ありがとー!寂しいけど、次が最後の曲」
「「「えーっ!」」」
「聞いて下さい、『君の瞳にwind』」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
タンタンタンタン♪
前奏に合わせて僕はペンライトを振り、オタ芸を繰り出していく。
「君の~♪」
「「「HEY!」」」
「瞳に~♪」
「「「ハイ!ハイ!ハイ!」」」
「wind~♪」
「「「あゆたんの瞳にもwind~!」」」
あゆたんが歌うサビに乗せて僕達は合いの手を合わせる。
「みんな一、今日は本当にありがとー」
ライブが終了してあゆたんは舞台のから手を振りながら去って行った。
「感無量……」
「燃え尽きたである……」
「もう、動けぬ……」
僕達は全力を出しきり、床にひれ伏していた。
そこに一人の男がやってきて、
「君達の熱いパルスを感じた!感動した!」
そう言って去って言った。
去って行く男の後ろ姿を見ながら僕達は新たな同志の登場に心を震わせていた。
床にひれ伏しながら……
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