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友達のお願い
しおりを挟むお昼休みになり、私は友達の須藤京子と大学内中央にある庭のベンチに座っていた。
私は京ちゃんと呼んでいて休日になると一緒に出掛けたりしてとても仲がいい。
「ねぇナミ、またサンドイッチなの?」
呆れた表情を見せる京ちゃんはとても美人で、女の私でもたまにドキッとしてしまう。
「私はこれでいいの」
そう言って私はタマゴサンドを口に運んだ。
「全く、ちゃんと食べないと私みたいに大きくならないよ」
胸を張る京ちゃんのサラサラな黒髪が風に靡く。
京ちゃんは胸も大きく、スタイルもいい。
おまけに愛嬌もあるので京ちゃんを見てると神様は不公平だと思ってしまう。
私は自分の胸に視線を向けるとタメ息を吐いた。
「安藤さんだっけ?ナミは告白はしたの?」
その瞬間、口に含んだタマゴサンドが喉に詰まりむせてしまった。
「ゴホッゴホッ、まだだよ告白なんて…それに高島さんだからね!」
告白なんてとんでもない。私は高島さんの事を何も知らないし、高島さんが私の事をどう思っているのかも分からない。
それにもし告白して断られたらと考えると怖くて告白なんて出来ない。
「そうだ!ナミ、お願いがあるんだけど」
思い出したようにそう言った京ちゃんはつぶらな瞳を私に向けている。
「お願いって?」
「あのね週末に飲み会があるんだけどメンバーが足りないの、だからね?」
首を傾け、目を潤ませてお願い事をするのは京ちゃんの常套手段。
この顔をされたら大抵の男は京ちゃんのお願いを聞いてしまう。
それは女の私も例外では無い。私も京ちゃんのこの仕草に弱いのである。
「私、お酒飲めないよ?」
沖縄の人はお酒に強いイメージがあるみたいで、初めて京ちゃんと居酒屋に行った時に「沖縄の人なのに飲めないなんて意外」と言われた。
沖縄の人が全員お酒が飲めるとは思わないでほしい。こっちはいい迷惑だ。
「大丈夫大丈夫、ナミは居てくれるだけでいいから!」
「……分かったよ」
「本当に!」
嬉しそうにする京ちゃんは鞄からスマホを取り出してイジリ出した。
「これでよし!LIMEでオッケーって返事したからナミは絶対に来ないといけないよ」
ウィンクをする京ちゃんに私は苦笑いを浮かべ頷いた。
「それじゃ次の講義があるから行くね。誰が来るかはお楽しみにと言う事にしてて」
そう言い残し京ちゃんは去って行った。
誰が来るかはお楽しみにしててと言われても私がする事は変わらない。
誰が来ようと隅で大人しくして適当に時間を過ごし飲み会が終るのを待つだけだ。
残ったタマゴサンドを口に放り込み、高島さんから貰ったコーヒーを一口飲むと次の講義がある教室へと向かった。
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