青いsquall

黒野 ヒカリ

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初めての店員さん

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 目が覚めた私は、いつもの朝のルーティーンを始める。 
 出来上がったコーヒーをテーブルの上に置くと化粧をしていく。

 『リョウスケくんはナミの事がお気に入りだと思うよ』

 化粧をしながら京ちゃんに言われた言葉を思い出す。

 リョウスケくんはかっこいいとは思ったけど、グイグイくるタイプは苦手だ。それに私は自分に自信が無い。
 沖縄から出てきて一年経つが、余り垢抜けて無い私が京ちゃんと並ぶと霞んで見えるだろう。

 もし京ちゃんを高島さんが見て、好きになってしまったらと考えたらゾッとする。 
 私なら自分より京ちゃんを選んでしまうから。

 準備を終えると家を出る。
 御茶ノ水駅に着くといつものコンビニに向かった。

 店内に入ると高島さんの姿が見えなくてタメ息を吐いた。今日は休みだろうか?
 サンドイッチが陳列された棚に行くと、タマゴサンドを手に取りレジへ向かった。

 高島さんがいないならレジ打つ店員さんは誰でもいい。

 リスっぽいかわいい顔をした店員さんがバーコードを通し、言われた料金を支払った。

 「高島さんがいなくてごめんね」

 申し訳無さそうにお釣りを手渡す店員さんの言葉に、心臓が跳ね上がり顔が真っ赤になるのが分かった。
 お釣りを受けとると恥ずかしくて急いでコンビニを出た。

 初めて見た店員さんだった。高島さんしか見ていないから気が付かなかっただけかもしれないが、でもどうして私が高島さんの事を気にしているのが分かったのだろう。

「私って分かりやすいのかな……」

 そう呟き、大学に向かった。

 全ての講義が終わり、たまたま最後の講義が一緒だった京ちゃんと帰る事になった。

 「そう言えば、ジンくんから連絡があってリョウスケくんがナミのLIME教えてほしいんだって」

 京ちゃんは重ねて「ね、言った通りでしょ」と私を肘でつつく。

 正直、余り興味の無い男性とやり取りするのはめんどくさいので止めてほしい。

 「ダメだよ京ちゃん」

 「どうして?他の男とも少しぐらい話して見てもいいと思うよ。それでもダメならムシすればいいんじゃない?」

 押せばイケると思ってる京ちゃんは、私が断れない事を知っている。
 少し頑張ってみたが抵抗虚しく私は押しきられる形で頷いた。

 「ちょっとコンビニに寄って行こうよ」

 笑みを見せる京ちゃんは私を落とした事で嬉しそうにしていた。
 タメ息を吐き、先を歩く京ちゃんの後を着いて行く。

 そして、コンビニに入ろうとした所で自分の目を疑った。

 この時間にはいるはずの無い高島さんがレジカウンターに立っていた。
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