青いsquall

黒野 ヒカリ

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京ちゃんがお泊まり

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 「綺麗にしてるね」

 キョロキョロとする京ちゃんはそう言って足の低いテーブルの前に座った。 

 私はカップを二つ用意して出来上がったコーヒーを注ぎ、一つは京ちゃんの前に置いた。

 「どうぞ」

 「ありがとう」

 京ちゃんはニコリと微笑むとコーヒーを口にした。

 「ねぇナミ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」

 京ちゃんは私に真剣な表情を向ける。

 「うん、なに?」

 京ちゃんは口を紡ぎ、一度下を向くと顔を上げ私を見つめた。

 「ナミ見たよ、珍しく男の人と歩いていたよね?」

 「えっ?京ちゃん見てたの?見てたなら声を掛けてくれれば良かったのに」

 京ちゃんが家に来るなら一緒に帰れば夜道も安心だし、電車内でも楽しく過ごせた。

 「声を掛けにくくて……だから先回りしてナミの家に来たんだ」

 「気にしなくて良かったのに」

 そしてバツの悪そうな顔をした京ちゃんは驚きの言葉を口にした。

 「ナミ……その人と付き合うつもり?」

 京ちゃんの言葉に驚いて手に持つカップを落としそうになった。

 私が颯太さんと付き合う?どうしてそうなるのか分からない。
 確かに颯太さんは優しくてカッコいいとは思うけど間違ってもそうゆう関係になる事は無いと思う。 

 「颯太さんは高島さんと同じコンビニで働いている人で、危ないからって駅まで送ってくれただけだよ。付き合ってるなんてとんでもないよ」

 「そっか……良かった…」

 呟いた京ちゃんの声はよく聞き取れなかったが、京ちゃんは緊張した表情を崩し大きく息を吐いた。

 「京ちゃんお風呂入るよね?タオルと着替えは京ちゃんがお風呂に入ってる間に用意しておくから」

 「分かった。ありがとう」そう言って京ちゃんはお風呂に向かった。

 京ちゃんがお風呂から出ると、今度は私がお風呂の番。

 汗でベトベトになった体を洗い流し、手早く髪を洗うと直ぐにお風呂を出た。

 私がお風呂から出ると京ちゃんはテーブルの前に座りタオルで頭を拭いていた。

 「京ちゃんはベッドで寝て。私は下で寝るから」

 「どうして?一緒に寝たら良くない?」

 座っていた京ちゃんはそう言って立ち上がりとベッドに横になり、布団を捲ってポンポンとベッドを叩いた。

 「ほらナミおいで」

 両手を広げ、微笑む京ちゃんはまだ少し濡れる髪が頬に張り付き、凄く色っぽく見える。

 私は頷き隣で横になると、京ちゃんが布団を掛けてくれた。
 布団を掛けてくれた時の風が京ちゃんの甘い匂いを部屋に漂わせる。

 「なんか照れるね」

 ほんのり頬の赤い京ちゃんの言葉にドキッとしてしまい思わず顔を反らしてしまう。

 「ねぇナミ、手…繋いでもいい?」

 色っぽい京ちゃんの声が耳元を擽る。

 私は何故か恥ずかしくなり布団を頭まで被り頷くと、京ちゃんの手が私の手に触れ互いの指が絡み合った。

 「ナミ、おやすみ」

 京ちゃんはそう言って私の手を握る力を少し強めると寝息を立てた。

 すぐ近くにある京ちゃんの顔と、手から伝わる京ちゃんの体温にドキドキして私は中々眠る事が出来なかった。
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