胸キュン系BL短編いろいろ

夏向りん

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知らなかった

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俺、橘奏太には好きな人がいる。
それは8歳離れたお隣さん、黒瀬春樹だ。
生まれた時から、隣の家に住んでいたのは春樹で、同性だし、趣味も結構合ったりしたから、気が付けば仲良くなっていた。
小さいころ、それこそ俺が小学校低学年のときや、幼稚園の時なんかはよく遊んでいたが、春樹が大きくなるにつれて、一緒に過ごす時間は減っていった。
それもそのはずだ。
春樹は、超が付くほど美形で、頭もよく、運動だってできるというすべてを兼ね備えた男なのだから。
そんな春樹を同級生が放っておくはずがない。
幼心ながらにそれを察した俺は、本当はもっと一緒に遊びたいといいたいきもちを抑えた。
寂しいという気持ちを必死に隠しながら。
多分そのころからだったと思う。明確に春樹が好きなんだなと思い始めたのは。
そこから、春樹に好きだという気持ちを悟られないようにと片思いを続け、今に至る。

今の俺と春樹の関係は、幼馴染、お隣さん、だけではない。
生徒と教師だ。
春樹がいたからこの学校に入学したわけではなかった。だから、入学式の日その姿を目にしたとき、俺は心底驚いた。
入学式の時、春樹も俺のことに気が付いていたが、特に言葉も交わさなかった。
今まで道り、お隣さんのまま何も進歩していない。

まさかこの学校に春樹がいるとは思わず、最初は気分上々で、毎日学校がたのしみで仕方なかった。
しかし、現実はそう甘くなかった。
さっき言ったと通り春樹は顔がとても良い。告白イベントなんて日常茶飯事だ。

そして今も。

「好きです、付き合ってください」

お昼休み、どこで昼食をとろうと悩み、学校をふらふらしている時だった。
漫画やアニメで聞くような告白のセリフが聞こえてきたと思ったら、その相手は春樹だった。
俺は、こんな不意打ちで告白現場に立ち会ってしまうとは夢にも思っておらず、物音を出してしまったらしかった。
告白してる側の女の子はそれどころじゃないのか俺になんて目もくれなかったが、春樹の視線はこっちに向いてしまっていた。

春樹は驚いた顔をしていたが、おれはその途端この場にいたくなくなって、いてはいけない気がして、脱兎のごとくそこを飛び出した。
 
知っていたことだ。春樹がモテモテで告白なんて珍しいことじゃないって。
それでも、やっぱり好きな人が告白されるところなんて見たくなかった。

思わず涙が出てきそうになったから、人目が付かないところへ向かう。
校舎のはしっこにある階段を見つけ、ここなら、と思い座ろうとすると、携帯にメールの着信を告げる音が鳴った。

『今日俺の家きて』


放課後になってしまった。
正直言って春樹の家にはいきたくない。何を言われるかわからないのだから。
別に俺は何もしてないし、こちらがびくびくする必要はないと思うのだが。

そろそろ帰ってきた頃だろうか。
 ピンポーン
「はーい、あ、奏太。来てくれたんだ。うれしい」
そういってほほ笑む春樹は特に怒ってる様子もなかった。
「ん、お邪魔します」

「はい、紅茶でよかった?」
「うん、ありがとう」
「ところで話って何?」
紅茶を渡されたはいいものの、それから気まずくなりそうな雰囲気があったので、単刀直入に聞いてみることにした。
「今日、俺が告白されてるとこ見てたでしょ?あれほんとに何もないよって言いたかった」
予想もしなかった答えに唖然とする。
「は、なんでわざわざ…」
「だって俺、奏太のこと好きだもん。だから誤解といておきたかったのもあるし、家来てくれたらもっと一緒に話せるなって」
「ちょっと待って、それは恋愛感情のほうの?」
「うん、もちろん」
「なんで、いきなり。す、すきとか」
「俺これでも結構我慢したと思うんだけどなー。ずっと好きだったんだよ。でも奏太が俺のことどう思ってるかわかんないし、最近は接点なさ過ぎて全然しゃべってなかったし。
それなのにずっと同じ学校にいてずっとかわいい奏太見れるんだもん。我慢の限界だった。」
そんなこと、考えたことなかった。まさか春樹が俺のこと好きだなんて。
「俺も、だよ。俺も春樹がずっと好き。ね、恋人になってくれる?」
ちらっと上目遣いで見てみると、春樹が勢いよく抱き着いてきた。
「ねえ、ほんと可愛すぎ。もちろんだよ。これからは恋人としてよろしくね」
「こちらこそ、よろしく」

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