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プロローグ 語り部 Mother
しおりを挟むさあ、さあ、皆さんおはよう。
ここは不思議な不思議な不思議の国。
他の国で言う普通や常識と言うモノがあってないような国。
この国に名は無いけれど、通称はたくさんあるわ。
大体の方が呼ぶのは不思議の国だけれど、その他はたしか……。
願いの叶う国。
桃源郷。
ジパング。
ネバーランド。
後は……。
天国。
地獄、とかかしら。
あ! そういえば、『 』なんて呼ぶ方もいるみたいね。
あら、聞こえなかった?『 』よ、『 』。
…………ふふふ、ごめんなさい。
どうやらこの通称が聞こえるようになるのは、あなたがこの物語を読み終わった後みたい。
それにしても今日は清々しい朝。
え?今は夕暮れじゃないかですって?
いいえ、今は朝よ。
夕方なのか早朝なのか。
空に太陽が徐々に昇り明るくなっていっているからこれから朝かと思えば、その空には大きな真ん丸お月様が浮かんでて。
夜明けであれば、今から閉じた蕾を開いて朝露で顔を洗い起きるはずであろう花が、まるで真昼に咲いているかのように大きく花びらを開いて天を仰いでいる。
そんな時間が分からない状況なのに、何故、朝と断言できたのかですって?
それは他国の基準で今が朝と呼ばれる時間ですから。
だから、一番最初におはようと言ったのですよ。
一応この国にも他国出身の子も多くいますし、王族貴族と呼ばれる役職を持つ者などは他国の時間基準で過ごしたりもしますからね。
あらあら、皆さんに挨拶をしている間に私の愛しい子が起きたよう。
私の事を呼んでるわ。
「マザー、マザー? あれえ?起きてないのかなあ。お腹すいたあ……」
はいはい。
起きてますよ、愛しい子。
今ご飯の準備をしますからね。
顔を洗って、身だしなみを整えてらっしゃいな。
「はーい……」
あの子は私の愛しい子。
私の中で暮らしているのよ。
ん? 私は何者かですって?
あらあら、ごめんなさい。
きちんと最後までご挨拶が済んでいなかったわね。
私はこの国でマザーと呼ばれているこの国の土台になっているようなモノよ。
詳しくはそのうち分かると思うわ。
今少しだけ登場した子は、私の愛しい子。
私はこの国の土台だから、何時でもそばにいるけれど。人間のような姿をしているわけではないから。
あの子が一人でいるように見えることが多いけれど、寂しくないように愛情をたっぷり込めて育てているの。
あの子の名前はドール。
真っ赤な大輪の花弁のような美しい髪で、瞳はまるで星のような宝石のような蜂蜜のような飴玉のような、キラキラと綺麗でつるりと美味しそうな瞳をしているでしょう?
この国でも他国でもなかなか見ない、その名の通りお人形のように美しく綺麗な女の子だと思うんだけど…………。
「マーザー! 僕のリボンタイどっかに行っちゃったー! 今日は何処で寝てるんだろー」
あらあら、ドール。
シャツの裾がズボンから顔を出してるわ。
それにソックスガーターにご飯を上げなかったの? ソックスを食べ始めているわよ。
「あ! しまった! 待って待って、これは食べちゃダメ! シャツさんもズボンの中に入ってー」
少しおっちょこちょいなのは可愛いから許せるけど、女の子なのにいつからか男の子の恰好や喋り方を好むようになってしまって。
あの子に似合うと思って、可愛いドレスを用意してもたまにしか来てくれないのが悩みなの。
あら、ドール。
リボンタイを見つけたわ。
どうやら今日はティーカップの中で寝ていたようね。
「えぇ! どの子ー?」
青薔薇夫人のティーカップよ。
「青薔薇夫人―! リボンタイ起こしてこっちに来るよう言ってくれる―? 今ソックスガーターにご飯あげててそっちに行けないやあ」
「――、――――」
「ありがとう!」
さてさて、朝食の準備はそろそろできるとして。
今度は――――。
あら、何度もごめんなさいね。
皆さんをほったらかしにしてしまって。
そうそう、皆さん。
この物語はこの国が舞台となるお話ですわ。
語り部は基本、私になると思いますが、たまに私がお話しできない場合などは別の方に頼みますからご安心を。
我が子可愛さで、ついついあの子の事ばかり語ってしまうと思いますが、許して下さいましね。
さあさあ、ようこそ。
不思議の国へ。
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