外れスキル持ちの天才錬金術師 神獣に気に入られたのでレア素材探しの旅に出かけます

蒼井美紗

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2巻

2-3


「休憩で止まるぞ~」

 本日最後の休憩として馬車が街道の端に止まると、乗客はすぐ外に降りていく。この時間になると、座っている体勢に疲れてくるのだ。

「う~ん、尻が痛い」

 俺たちも馬車から降りて、固まった体を伸ばした。

「さすがにこの時間になると痛くなってくるね。でもあと少しだよ」
「そうだな。あと一時間ぐらいだっけ?」
「確かそのぐらいだったはず」

 適当な雑談をしながらストレッチをしていると、リルンとデュラ爺が俺たちの近くにやってきて草原に寝そべる。
 ここまでずっと走ってるからか、少し疲れたみたいだ。

「何かおやつを食べる?」
『うむ、パンが食べたいぞ』
『わしにも肉をくれるか?』
『二人とも食べるの? なら僕もコルンの実を食べる!』

 皆のリクエストに従って鞄に入れておいた食料を取り出すと、三人は嬉しそうに顔を綻ばせてそれぞれの好物にかぶりついた。
 俺たちも果物を少し食べて水分補給をして、三人の隣で休憩だ。
 のんびり穏やかな休憩時間を過ごしていると……急にリルンが顔を上げ、耳をピクピクッと動かした。
 悪い予感を覚えながら、リルンの言葉を待っていると……

『魔物がいるな』

 予想通りの事態だった。

『む、本当じゃな。しかもかなり近いぞ。風上で気付かんかったようじゃ』

 リルンとデュラ爺は同時に立ち上がると、二人で森の中に向かう。

『倒してくる』
「ありがとう。気を付けてね」

 魔物が近くにいることにわずかな不安を覚えたが、頼もしい二人の後ろ姿に安心した。
 本当に皆がいてくれて良かったな。
 そんなことを考えながら、何気なく周囲を見回すと……俺たちから少し離れたところで遊んでいる二人の子供たちの後ろに、青色の大きな魔物が見えた。
 のそりと静かに近づく魔物には、誰も気付いていない。リルンとデュラ爺も近くにいないから、二人が倒しに行った魔物とは別の個体みたいだ。
 どうしよう、どうすればいい?
 俺は恐怖と混乱に体が強張るのを感じながらも、必死に隣にいたフィーネの腕を掴んだ。

「フィ、フィーネ、魔物がいる」

 その言葉に俺の視線の先を確認したフィーネは、大きく目を見開いてそっと立ち上がった。俺も一緒に立ち上がり、戦闘態勢を取る。

「あの魔物、ウォーターベアだよね」
「ああ、素材を扱ったことがあるからほぼ確実だと思う。水を使った遠距離攻撃ができるし、防御力も攻撃力も高い。かなり強い魔物だ」
「なんとか……私たちで子供たちを助けよう。ラトは結界で防御、私とエリクが攻撃ね。リルンとデュラ爺が戻ってくるまで耐えればいいから」
『分かった。二人のことは僕が絶対に守るからね』
「ラト、ありがとな。三人で頑張ろう」

 軽く動きを確認したところで、俺は腰に差していた剣を抜いた。
 まだまだ初心者の域だが、しっかり鍛錬は続けてるんだ。俺にもできるはず。

「行くぞっ」

 そのかけ声とともに、俺たちはウォーターベアに向けて飛び出した。
 子供たちに襲いかかる機会を窺っていたウォーターベアも、俺たちの動きに気付いたのか、大きく体を起こす。

「グオォォォォ!」

 その叫びで、子供たちも他の大人たちもウォーターベアの存在に気付いた。

「きゃあぁぁぁぁ!」

 女の子が恐怖で叫ぶ中、ウォーターベアが鋭い爪を振り上げて子供たちを切り付けようとしたが、間一髪、俺の剣が爪を弾いた。
 ガキンッッ!
 鈍い音が辺りに響き、俺の腕を強い痛みとしびれが襲う。
 剣を落としそうになったが、それだけはなんとか耐えた。しかしすぐに体を動かすことはできず、ウォーターベアの標的が俺になって……水弾が至近距離から放たれたが、ラトの結界によって俺まで届くことはなかった。

『エリク、大丈夫!?』
「ああ、ラト、ありがとう……」

 バクバクとうるさい心臓の音を聞きながら、俺は恐怖に固まっている子供たちの元に向かう。

「もう大丈夫だ。向こうに逃げよう」
「う、うん……」
「ひくっ、わ、分かった……っ」

 子供たちは泣きながらだが、自分の足で立ち上がってくれた。
 それに安堵しつつ、急いでその場を離れる。
 するとすぐにお母さんが子供たちの元にやってきて、二人を抱きしめた。

「おかあさぁぁん……っ」
「こ、怖かったっ……」

 安心したのかより激しく泣き出す二人を抱きしめながら、お母さんは何度も頭を下げた。

「子供たちを助けてくださり、本当にありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか……」
「いえ、大丈夫ですよ。魔物に襲われそうな子供がいたら、助けるのは当然ですから」

 命をかけてって話になると躊躇うかもしれないが、俺には心強い神獣の仲間がいるんだ。無事に助けられる可能性が高い中で、躊躇う理由はない。

「本当にありがとうございます!」
「じゃあ、俺は戻ります。ここも危ないかもしれないので、もう少し離れていてください」

 そう伝えてから、俺はまだウォーターベアが暴れる場所に戻った。
 そこではフィーネがナイフを手にして身軽に舞っているが、致命傷となるような傷は与えられてないみたいだ。

「フィーネ、大丈夫か!」
「うん! ラトのおかげで怪我は全くないよ。ただ、倒しきれなくて……」
「やっぱりウォーターベアって防御力も高いんだな」

 リルンとデュラ爺が戻ってくる気配はまだない。
 そろそろだと思うんだが……

「ラト、一瞬だけ俺とフィーネで耐えるから、二人を呼びに行ってくれないか?」

 ラトなら瞬間移動ですぐに呼びに行けると思って頼むと、ラトは少しだけ心配そうに眉を下げながらも、頷いてくれた。

『分かった。でも僕がいない間、すっごくすっごく気を付けてね!』
「ああ、分かってる」
「私たちなら大丈夫だよ」

 俺とフィーネの顔を交互に見たラトは、フィーネの肩からするするっと鞄に入るような仕草をしてから、瞬間移動で姿を消した。
 遠距離馬車の他の乗客に戦える人はいないようで、全員がかなり遠くに避難しているので戦闘の詳細は見られてないだろうが、一応の配慮だ。

「エリク、絶対に怪我一つなく耐えるよ」
「もちろんだ」

 ラトが離れてる間に俺たちが怪我なんてしたら、ラトが凄く悲しむに決まっている。それは絶対にダメだ。

「はぁぁ!」

 俺はリルンからよく言われている、攻撃は強い防御になるという言葉を思い出し、思いっきり剣を振った。
 その攻撃はウォーターベアの腕に止められてしまうが、その隙にフィーネがウォーターベアに切りかかる。
 どちらかが注意を引いて、もう片方が不意打ちで攻撃を仕掛ける。
 この連携がなんとか上手くいってウォーターベアを少しずつ追い詰めていたが……俺たちのやり方にストレスを溜めたらしいウォーターベアが、耳をつんざくような雄叫びを上げて前脚を大きく持ち上げた。
 それとともに巨大な水球が生成される。これは絶対に逃げないといけない、本能でそう感じる。
 しかしそうすぐに体は動かないもので、俺が逃げようとしている中ですぐに水球は撃たれ、襲ってくる衝撃に耐えようと体を硬くした、まさにその瞬間。
 ゴウッという轟音とともに鋭い風が吹いた。
 水球は誰もいない森の中へ吹き飛び、さらにウォーターベアも近くの大木に思いっきり体を打ち付ける。

「リルン! デュラ爺も来てくれたんだな……!」

 戻ってきてくれた二人の姿に、俺は心から安堵した。

『危なかったな。肝心な時にいなくてすまなかった』
『ふんっ、エリクはやはりまだ初心者だな。ウォーターベアくらい倒せなくてどうする』

 デュラ爺と違ってリルンからは文句が発されるが、そんなやり取りも安心要素の一つになった。

『二人とも怪我はない!?』

 心配からへにゃりと眉を下げたラトに、俺は笑顔を向けた。

「どこも怪我はしてない。大丈夫だ」
「ラト、二人を呼びに行ってくれてありがとね」

 俺たちの言葉にラトは満面の笑みになり、大きく頷く。

『うん!』

 そんな話をしているうちに、リルンの風魔法によって吹き飛んだウォーターベアがむくりと起き上がった。
 怒りをあらわにして地面を蹴り、こちらに突進してくる。しかしその途中で、デュラ爺が動かした植物に足を絡め取られ、その場に倒れ込んだ。
 倒れたウォーターベアへ、どこか優雅に近づいたリルンが――鋭い爪で一撃。
 ウォーターベアはビクッと震え、すぐに息絶えた。

「やっぱり凄いな……」

 俺の剣だと全く致命傷を与えられなかったのに、リルンなら一撃だ。もはや凄すぎて羨ましいって感情も湧かず、尊敬の念しかない。

『エリク、攻撃とはこうするのだぞ』

 しかしこちらを振り返ってニヤニヤとあおってくるリルンに、尊敬の気持ちは一瞬で消し飛んだ。

「リルン、そういうとこだぞ」

 俺たちがそんな会話をしていると、遠くに避難していた他の乗客たちがこちらに近づいてくるのが見えた。
 そこで大きく手を振り、もう安全だと伝える。

「魔物は討伐しました!」
「こっちに戻って大丈夫ですよ~」

 俺たちの声かけに全員が一斉に駆け戻り、興奮のまま感謝を伝えてくる。

「お前たち、強いんだな!」
「助けてくれてありがとうっ」
「あなたたちがいて良かったわ!」
「ウォーターベアなんて出たら、下手したら全滅だぞ!」
「マジで助かった……!」

 全員から大袈裟おおげさなほどに感謝され、俺はなんだか照れてしまう。
 そんな中でギリギリで助けられた子供たち二人が俺たちの元にやってきて、可愛らしく口を開いた。

「あのね、助けてくれて、ありがとう……」
「あ、ありがとう」

 子供たちからの感謝に胸が温かくなり、俺は目線を合わせるためにしゃがみ込む。

「ああ、怪我がなくて良かったな」

 満面の笑みを浮かべた二人を見ていると、鍛錬をもっと頑張ろうという気持ちが湧いてきた。
 それから皆で一通り無事を喜び合い、ウォーターベアを解体して持てるだけの素材を馬車に載せたところで、また先を急ぐことになった。
 ともに危機を乗り越えたことで乗客皆の距離が縮まり、王都までの道中はとても楽しいものになった。



 第三章 王都到着と辺境へ


 楽しい馬車の旅は思っていたよりもあっという間で、俺たちは王都に到着した。
 初めての王都は――あまりにも大きくて人がたくさんいて、門前広場で思わずぽかんと周辺の景色を見つめてしまう。

「やっぱり王都は凄いね~」
「こんなに大きいなんて、予想外だ。大きいんだろうなって予想はしてたけど、ここまでなんて……」
『確かに広い街じゃな』
『いろんなパンがありそうだ』
『木の実もたくさん売ってるかな!』

 完全にいつも通りなリルンとラトの言葉を聞いていると、なんだか感動が少し薄れた。

「二人とも、もう少しこう、情緒はないのか?」
『なんだそれは。そんなことよりも美味いパンを探そう』
「お前なぁ」

 呆れつつもそんなリルンを憎めないことは事実なので、俺はぐるりと広場を見回す。
 しかしパンを売っている屋台を見つける前に、フィーネが口を開いた。

「まずは宿を探してからにしようね。パンはそれからだよ」

 確かに今はもう日が沈むような時間だ。早く今夜の居場所を確保しないといけないだろう。
 それにはリルンも反論できないのか、少し不満げにしつつも頷いた。

『分かった』

 そうして街の中心部に向かって大通りを歩き出すと、いくつもの大きくて派手な建物が目に入る。

「……本当に圧倒されるな」
「エリク、ボーッとしててはぐれないでね」

 フィーネが苦笑しつつ声をかけてきたので、上がり気味になっていた視線を前に戻してフィーネの隣に並んだ。

「気を付ける。それで、この中から宿を選ぶんだよな」
「そうだよ。たくさんあって悩むけど、従魔用の小屋があるところに絞るだけで、半分には減ると思う。多分大きなところの方が小屋も整備されてると思うんだよね……」

 そう言って確認するように周囲の宿を見回したフィーネは、何かを思いついたような様子で「あっ」と俺を振り返った。

「そういえば、一軒家を借りるって話をしてたよね。それはどうする?」
「確かに忘れてたな。うーん、でもあの話って一週間単位だったし、今回はすぐ不毛な大地に向かうなら宿でもいいんじゃないか? 荷物もあんまり出さないと思うから」
「そっか。じゃあ今回は宿を探そう」

 一軒家は不毛な大地から戻ってきて、しばらく王都に滞在するってなった時がいいだろう。


 それからいくつかの宿を巡って、一番清潔で評判が良さそうな宿を選んだ。大きなドアを開けて中に入ると、にこやかな男性が俺たちのことを迎えてくれる。

「いらっしゃいませ。ご宿泊を希望されるお客様でしょうか」
「はい。従魔が三人いて、一人は小さいので室内希望で、他の二人は大きいので小屋希望なのですが、大丈夫でしょうか?」
「もちろんでございます。まずは、従魔を小屋にお連れいただけますか?」
「分かりました」

 無事に手続きを済ませて宿を取ることができ、一度それぞれの部屋に向かった。
 そして少し休んでから、宿の食堂で夕食の時間だ。

「移動中はずっと座ってるだけだったのに、やっぱり疲れたね」

 そう言って疲れをにじませたフィーネに、俺は何度も頷いて同意した。

「分かる。依頼で街の外に出た時より疲れたかも」
「疲れの種類がちょっと違うんだよね」

 俺たちの会話をテーブルの上で聞いていたラトが、木の実を手にしたまま首を傾げた。

『そんなに疲れたかなぁ』

 ラトはいつでも専用のクッションで寝ていたし、馬車に乗っていることに飽きたらデュラ爺やリルンの背中に乗って楽しんでたし、あれならそこまで疲れないだろう。

「ラトもずっと座ってるだけだったら疲れるでしょ? 途中で寝るのも馬車から降りるのも禁止だよ?」

 フィーネの言葉に想像できたのか、ラトは尻尾をピンッと立てて頷いた。

『うん。僕には無理かも』

 ラトも分かってくれたか。そう思っていると、続いたラトの言葉に思わず椅子から滑り落ちそうになる。

『途中で木の実を発見しても採りに行けないってことだもんね……!』
「いや、そこ?」
「ふふふっ、ははっ、ラトらしいね……っ」

 フィーネはツボに入ったのか、お腹を押さえて笑っている。
 木の実を見送らないといけない想像に恐怖しているラトと、そんなラトに笑っているフィーネ。二人を見ていたら俺も自然と笑顔になり、楽しい夕食の時間は過ぎていった。
 そして夕食後は疲れからか、すぐ眠りに落ちた。


 次の日の朝。さっそく星屑石があるという不毛な大地の情報を得るために、皆で冒険者ギルドに向かった。
 王都の冒険者ギルドはさすがの大きさで、働く職員の多さにも圧倒される。

「受付で聞いてみるか」
「そうだね。ギルド登録してる人になら、色々と親切に教えてくれると思う」

 俺たちは空いている窓口の中でも優しそうな女性を選び、カウンターに向かった。

「おはようございます」
「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「少しお聞きしたいことがありまして、不毛な大地なんですけど、王都から行くにはどうしたらいいのでしょうか」

 その問いかけを聞くと、女性は俺たちのギルドカードを確かめてから、後ろに下がって一枚の紙を持ってきた。
 その紙は簡易的な地図と、遠距離馬車の運行について載っているもののようだ。

「不毛な大地はこちらになります。ここ王都からはそこまで遠くはないのですが、何もない場所ですので不毛な大地に直接向かうことができる馬車は出ておらず、その手前の街までになります。そこからは歩いて向かっていただくしかないでしょう」
「この街までは馬車でどのぐらいでしょうか」
「二日程度で着くと思われます。そこから徒歩で……さらに二日程度でしょうか。ただ、魔物が多い場所ですので、もっと時間がかかる可能性もございます」

 そこまで遠くないとは言っても四日もかかるのか。しかも、また二日間も馬車に揺られないといけない。
 まあ、行かないという選択肢はないから仕方ないな。

「分かりました。教えてくださってありがとうございます」
「いえ、お役に立てたのでしたら良かったです」

 受付の女性に感謝を伝えてその場を離れ、次に俺たちが向かったのは依頼が貼られた掲示板だ。
 もし道中でこなせそうなちょうどいい依頼があれば受けようかと思ったんだが……あっ、意外とあるかも。

「この辺はさっき聞いた街の周辺の依頼だね」
「依頼達成の期日が長いものを受けるか」
「じゃあこっちの採取依頼と、この二つの魔物討伐依頼にしよう」
「そうだな」


 依頼の受注処理を済ませた俺たちは、冒険者ギルドを出て遠距離馬車乗り場に向かう。
 不毛な大地に一番近い街への馬車はそこまで人気がないらしく、週に一度の運行なのに席はほとんど空いていて、二日後の便を取ることができた。

「明日一日は準備日にして、また明後日から移動だな。リルンとデュラ爺は走りっぱなしだけど大丈夫か?」
『全く問題ないな。我は神獣だぞ?』
『わしも同じじゃ』
「それなら良かった」
「でも辛くなったらいつでも言ってね」

 そうしてさっそく王都を出ることが決まり、俺たちは今日明日の二日間を有意義に過ごそうと、さっそくラトご所望の木の実ケーキが食べられるカフェを探すことになった。
 結局王都での二日間は、木の実とパンと肉を探し回っているだけで過ぎてしまった。


 王都を出発して二日後の午後。
 俺たちは問題なく、不毛な大地に近い街までやってきていた。国の端だからか予想していたより何倍も頑丈そうな外壁に囲まれた街は、結構栄えている様子だ。
 しかし王都などとは雰囲気が異なり、いかにも戦いに従事していますという人が多いように見える。
 国の端ということで魔物が多く、さらには万が一のために国を守る役目に就いている人たちもたくさん住んでいるのだろう。
 宿の部屋を借りて少し休憩したところで、まだ夕食まで時間があったので街の外に出てみることになった。

「人の手が入ってないね」
「本当だな。こっち側には街道もない」
「でも、私たちが向かうのはこの先なんだよね」

 外門を出てから街の周囲を少し回ると、すぐ近くに深い森があるのが視界に入る。その森の先が不毛な大地がある場所なのだ。

『この森を二日も奥へ行くのか。魔物がたくさんいそうだな』
『楽しそうじゃ』
『木の実もたくさんありそう!』

 少し憂鬱ゆううつな気分になっている俺たちとは違い、神獣三人組は楽しそうに目を輝かせた。

「デュラ爺、野営の時はお願いね」
『ああ、任せておけ。木の上に野営場所を作り、ベッドも設置しよう』
「異空間収納に布団も入れたもんな」
『快適に寝られるじゃろう』

 そう考えると、森の中での野営も悪くないと思えてくるから不思議だ。木の上で布団に寝られたら……うん、気分が上がってきたかも。

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