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第四章 交易発展編
144、お米料理
まずはコメを洗うところからだ。コメには目には見えない粉みたいなものがついていて、これにも栄養があるって前世では言われていたけど、落とした方が美味しいのだ。
たまに落とさない方が好きっていう珍しい人もいるんだけど、俺は落とした方が好きだった。
「まずはこのコメを水で何回か洗って欲しい」
「かしこまりました」
ハイナーが給水器から桶に水を溜め、その桶からコメが入っているボウルに水を入れた。するとすぐに水が白く濁ってしまう。
「この濁りがなくなるまで洗って欲しい。でも完全には難しいだろうから、少しは残ってても大丈夫だよ。洗う目安は五回ぐらいかなぁ」
「かしこまりました」
それからハイナーが慎重に洗ってくれて、コメは綺麗になった。とりあえずトマソースで煮込む用には炊かないで残しておいて、他は炊いちゃって良いかな。
「ハイナー、三分の一ぐらい残して後はこれからする調理に使うから、二つに分けてくれる?」
「三分の一ですね」
「うん。それで三分の二の方は鍋で炊く……そうだね、茹でるみたいな感じかな。そんな調理をするから鍋も準備して欲しい。あと火加減を少し弱めた方が良いかな」
俺にコメを炊いた経験は一度しかないから上手くいくか分からないけど、とりあえず祈るしかない。食べられるものができれば良しとする。
「火加減ですね。少々お待ちください」
それからもハイナーは俺の指示通りに動いてくれて、三分の二のコメは無事に鍋の中で火にかかっている。水は少なめにしてもらったから、足りなかったら途中で追加しようと思う。焦げないようにだけは気をつけないと。
「これでこっちのコメは待ちかな。じゃあ次なんだけど、フライパンで水気が多めのトマソースを作って欲しい。それにコメを入れて煮るんだ」
「トマソースで煮るのですね。他に何か具材は入れますか?」
「そうだね……できればいくつかの野菜と肉を入れたいかな」
俺のその言葉を聞いて、ハイナーは台の上に食材を並べてくれた。その中からトマソースに合いそうなものを選んでいく。
ラディは水分が多いからちょっと違うだろう。野菜はオニンとレタにしよう。
「この肉って何?」
「ワイルドボアとビッグラビットです」
「じゃあ、ビッグラビットにして欲しい。淡白な味の方がトマソースには合うからね」
「かしこまりました」
それからハイナーは野菜と肉を一口大に切って、トマソースを作ってくれた。トマソースには塩と香辛料を入れて味を整えてあるので、すでにこの段階でめちゃくちゃ美味しそうだ。これにコメを入れるとか……そんなの美味しすぎる。
「もうコメを入れて良いでしょうか?」
「うん。それで蓋をして二十分ぐらいかな。まだコメが硬かったら、もう少し時間を伸ばして欲しい」
炊いたコメを入れる方が良いのか、野菜や肉より先にコメを入れる方が良いのか、その辺は分からないのでこれから色々試してみるしかない。とりあえず今日はこの方法だ。
後はチーズがあると良いんだけどな……この世界ではまだミルクも見つけていないからチーズがあるはずもない。ホワイトカウはどこにいるんだろう。うちの領地にもいなかったら他の領地か、最悪は他国かな。
「フィリップ様、そろそろこちらは良いのではないでしょうか?」
ハイナーがそう言って鍋の蓋を開けたので、俺は湯気に気をつけながら鍋を覗き込んでみた。すると……そこには艶々に輝いているコメがあった。
「めちゃくちゃ美味しそう!」
「これで良いのでしょうか?」
「うん! 食べてみよう。スプーンをもらえる?」
「こちらをどうぞ」
ハイナーから受け取ったスプーンで、コメを一口分掬ってまずは匂いを嗅いでみた。うわぁ、コメだ。めちゃくちゃ感動する。俺はパンよりもコメ派だったのだ。
匂いを十分に嗅いでから口に入れると……口の中にコメの香りが広がった。咀嚼するとどんどん甘味が出てくる。少し粘り気があって甘い種類のコメみたいだ。
「ハイナー、めちゃくちゃ美味しいよ」
「本当ですか? 私も食べてみて良いでしょうか」
「もちろん! 最初は普通に、次は塩を少しかけて食べてみて」
俺のその言葉を聞いてコメを口に運んだハイナーは、数回咀嚼するとどんどん瞳を輝かせる。気に入ってもらえてみたいで良かった。
「驚きました。これは美味しいですね。何にでも合いそうです」
「良かった。これはパンと同じようなものだから、本当に何にでも合うと思うよ。焼いた肉とかコロッケとか、野菜を炒めたものとかも」
「色々と試してみます!」
「よろしくね。楽しみにしてるよ」
ハイナーはやる気十分みたいだし、俺が下手に知識を与えないで任せてみようかな。その方が独自の料理が生まれそうだ。
「じゃあこの炊いたコメは半分ぐらいこのまま残しておくとして、残りの半分で炒め飯を作ろうか。炒め飯はフライパンに植物油を敷いて野菜や肉を炒めて、そこに炊いたコメを入れて塩と香辛料で味を整えた料理だよ。卵を入れても美味しいと思う」
「簡単そうですね。やってみます」
「お願いね」
それから十分ほどで炒め飯が完成し、トマソースの煮込みも時を同じくして完成した。これで今日予定していた全てのコメ料理が完成だ。
「そろそろお昼ご飯の時間だよね? 父上にもこの料理を食べてもらいたいし、今日の昼食はこれで良いかな」
「かしこまりました。ではこちらを盛り付けて、食堂に運ばせていただきます」
「よろしく。じゃあ俺は一足先に食堂へ行くよ」
俺のその言葉にハイナーが頷いてくれたのを確認して、俺はニルスとフレディと一緒に厨房を出た。そしてそのまま食堂に向かうと、ちょうど父上も食堂に来たところのようで食堂前でばっちりと鉢合わせる。
たまに落とさない方が好きっていう珍しい人もいるんだけど、俺は落とした方が好きだった。
「まずはこのコメを水で何回か洗って欲しい」
「かしこまりました」
ハイナーが給水器から桶に水を溜め、その桶からコメが入っているボウルに水を入れた。するとすぐに水が白く濁ってしまう。
「この濁りがなくなるまで洗って欲しい。でも完全には難しいだろうから、少しは残ってても大丈夫だよ。洗う目安は五回ぐらいかなぁ」
「かしこまりました」
それからハイナーが慎重に洗ってくれて、コメは綺麗になった。とりあえずトマソースで煮込む用には炊かないで残しておいて、他は炊いちゃって良いかな。
「ハイナー、三分の一ぐらい残して後はこれからする調理に使うから、二つに分けてくれる?」
「三分の一ですね」
「うん。それで三分の二の方は鍋で炊く……そうだね、茹でるみたいな感じかな。そんな調理をするから鍋も準備して欲しい。あと火加減を少し弱めた方が良いかな」
俺にコメを炊いた経験は一度しかないから上手くいくか分からないけど、とりあえず祈るしかない。食べられるものができれば良しとする。
「火加減ですね。少々お待ちください」
それからもハイナーは俺の指示通りに動いてくれて、三分の二のコメは無事に鍋の中で火にかかっている。水は少なめにしてもらったから、足りなかったら途中で追加しようと思う。焦げないようにだけは気をつけないと。
「これでこっちのコメは待ちかな。じゃあ次なんだけど、フライパンで水気が多めのトマソースを作って欲しい。それにコメを入れて煮るんだ」
「トマソースで煮るのですね。他に何か具材は入れますか?」
「そうだね……できればいくつかの野菜と肉を入れたいかな」
俺のその言葉を聞いて、ハイナーは台の上に食材を並べてくれた。その中からトマソースに合いそうなものを選んでいく。
ラディは水分が多いからちょっと違うだろう。野菜はオニンとレタにしよう。
「この肉って何?」
「ワイルドボアとビッグラビットです」
「じゃあ、ビッグラビットにして欲しい。淡白な味の方がトマソースには合うからね」
「かしこまりました」
それからハイナーは野菜と肉を一口大に切って、トマソースを作ってくれた。トマソースには塩と香辛料を入れて味を整えてあるので、すでにこの段階でめちゃくちゃ美味しそうだ。これにコメを入れるとか……そんなの美味しすぎる。
「もうコメを入れて良いでしょうか?」
「うん。それで蓋をして二十分ぐらいかな。まだコメが硬かったら、もう少し時間を伸ばして欲しい」
炊いたコメを入れる方が良いのか、野菜や肉より先にコメを入れる方が良いのか、その辺は分からないのでこれから色々試してみるしかない。とりあえず今日はこの方法だ。
後はチーズがあると良いんだけどな……この世界ではまだミルクも見つけていないからチーズがあるはずもない。ホワイトカウはどこにいるんだろう。うちの領地にもいなかったら他の領地か、最悪は他国かな。
「フィリップ様、そろそろこちらは良いのではないでしょうか?」
ハイナーがそう言って鍋の蓋を開けたので、俺は湯気に気をつけながら鍋を覗き込んでみた。すると……そこには艶々に輝いているコメがあった。
「めちゃくちゃ美味しそう!」
「これで良いのでしょうか?」
「うん! 食べてみよう。スプーンをもらえる?」
「こちらをどうぞ」
ハイナーから受け取ったスプーンで、コメを一口分掬ってまずは匂いを嗅いでみた。うわぁ、コメだ。めちゃくちゃ感動する。俺はパンよりもコメ派だったのだ。
匂いを十分に嗅いでから口に入れると……口の中にコメの香りが広がった。咀嚼するとどんどん甘味が出てくる。少し粘り気があって甘い種類のコメみたいだ。
「ハイナー、めちゃくちゃ美味しいよ」
「本当ですか? 私も食べてみて良いでしょうか」
「もちろん! 最初は普通に、次は塩を少しかけて食べてみて」
俺のその言葉を聞いてコメを口に運んだハイナーは、数回咀嚼するとどんどん瞳を輝かせる。気に入ってもらえてみたいで良かった。
「驚きました。これは美味しいですね。何にでも合いそうです」
「良かった。これはパンと同じようなものだから、本当に何にでも合うと思うよ。焼いた肉とかコロッケとか、野菜を炒めたものとかも」
「色々と試してみます!」
「よろしくね。楽しみにしてるよ」
ハイナーはやる気十分みたいだし、俺が下手に知識を与えないで任せてみようかな。その方が独自の料理が生まれそうだ。
「じゃあこの炊いたコメは半分ぐらいこのまま残しておくとして、残りの半分で炒め飯を作ろうか。炒め飯はフライパンに植物油を敷いて野菜や肉を炒めて、そこに炊いたコメを入れて塩と香辛料で味を整えた料理だよ。卵を入れても美味しいと思う」
「簡単そうですね。やってみます」
「お願いね」
それから十分ほどで炒め飯が完成し、トマソースの煮込みも時を同じくして完成した。これで今日予定していた全てのコメ料理が完成だ。
「そろそろお昼ご飯の時間だよね? 父上にもこの料理を食べてもらいたいし、今日の昼食はこれで良いかな」
「かしこまりました。ではこちらを盛り付けて、食堂に運ばせていただきます」
「よろしく。じゃあ俺は一足先に食堂へ行くよ」
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