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第四章 交易発展編
145、試食
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「フィリップ、今日は新しく発見した作物を使って料理をしたんだったか?」
「そうです。上手くいきましたので、本日の昼食に出してもらうようハイナーにお願いしています」
「そうか、それは楽しみだな」
そう言った父上の言葉には、新しい作物への期待がこもっているようだ。父上が気に入ってくれると良いな……ライストナー公爵領の特産品にしたいと思ってるから、まずは父上が気に入ってくれるかどうかが重要なのだ。
そうして話をしつつ俺達が席に着くと、すぐにハイナーがワゴンを押して料理を持ってきてくれた。俺が炊いたコメに合うと言ったからか、肉と野菜を塩と香辛料で炒めたおかずも作ってくれたようだ。
「ほう、とても良い香りだな」
「お待たせいたしました。本日の昼食はフィリップ様のご指導を受けて作製いたしました。こちらがコメを少量の水で茹でたもの。正式にはコメを炊くと言うらしいですが、こちらが炊いたそのままのコメでございます。そしてこちらが先ほどのコメに塩をかけたものです」
ハイナーは俺がぽろっと溢しただけの食べ方まで覚えていて、ちゃんと準備してくれたみたいだ。ハイナーめちゃくちゃ優秀だな。
「そしてこちらがコメをトマソースに入れて茹でたもの。こちらが炊いたコメを他の具材とともに植物油で炒めたものです」
そうして並べられた料理は食欲を刺激する良い香りを放っていて、思わずお腹が鳴ってしまう。
「父上、さっそく食べましょう。温かいうちが美味しいですから」
「そうだな」
二人で食前の祈りをして、最初に俺がスプーンで掬ったのはただのコメだ。やっぱり味が濃くないものから食べた方が、全てを美味しく感じられるだろうと思ったのだ。
その考えは合っていたようで、口に入れたコメからは噛めば噛むほどに素朴な甘さを感じられる。
「めちゃくちゃ美味しい……」
塩をかけた方は、そのままのコメを何倍も美味しくしていた。改めてコメってこんなに美味しかったんだな。ライストナー公爵領にあって幸運だった。これからは好きなだけ食べられるようになるだろう。
「これは、面白い食感だな。味はとても良い」
「ジャモやパンの代わりとなるものなのですが、いかがでしょうか?」
「とても素晴らしいな。私はパンよりもこちらの方が好きかもしれない」
「それは良かったです」
父上とそんな会話をしながら、しかし深い話は後回しにしてとりあえず美味しいコメ料理を堪能する。
次はトマソースで煮込んだコメだ。スプーンでトマソースごと掬って口に入れると……炊いたコメよりは少しだけ硬いけど、とても美味しいリゾットがそこにはあった。
こっちの少し硬めのコメも良いんだよな。トマソースにめちゃくちゃ合っている。これはもう少し火にかけたらもっと柔らかくなるだろうし、そこも好みで変えられるのが良いな。
最後は炒め飯だ。俺は前世で一番好きだったコメ料理である炒め飯を前にして息を呑んでから、意を決して口に運んだ。
噛めば噛むほどに出てくるコメ本来の旨みにプラスして、野菜の旨みも肉の旨みも香辛料の旨みも、全てを感じられる最高の一品だ。
「フィリップ、これは凄いな。美味すぎる」
「分かります。美味しいですよね」
父上がそう言ったのは炒め飯だった。父上と好みがあって良かった。
炒め飯はとにかく美味しいんだけどそれだけじゃなくて、作るのが簡単で失敗が少なかったり、何を入れても違う味わいでおいしくなったり、そういう良いところがたくさんあるのだ。
醤油が作れたら焦がし醤油味とか、めちゃくちゃ美味しいんだよな。絶対にいつかは作ろう。あとバターとかも入れると風味が出て美味しい。
「これはコメ、だったか?」
「はい。イネという作物を収穫したもので、コメと言います。ムギの仲間のような感じで、さまざまな使い方ができるんです。今回のように炊いたり茹でたりしても良いですし、ムギのように粉状にしても使えます」
コメ粉で作った団子とか美味しかったよなぁ。少し余裕ができたらコメを使ったおやつにも手を出してみよう。
「これは王都にはないのだな?」
「はい。なので公爵領の特産品にするのが良いかと思います。イネは収穫してからも調理しなければかなり保存できますし、輸送中にダメになるというような心配はありませんので」
「……確かにそれはありだな。これは確実に需要があるだろうから、売れないという心配はいらない。大量生産できるように領民にも手伝ってもらい、環境を整えるか」
おおっ、父上がやる気を出してくれるなら、もう大量生産されることが決定したようなものだ。これでコメ料理はいつでも食べられる……!
後は交易体制を整えることができれば完璧だな。まずは王都と交易をして、近いうちに他の領地ともそこでしか育たない作物などをやりとりしたい。
交易をするのに必要な転移板を早急に増やせるように、魔鉱石の採掘に力を入れてもらい、他の領地にも森の探索をしてもらうよう通達を出すか。
「フィリップ、まずは我が領地で新たな作物が生産できる体制の構築に尽力してくれ」
俺の思考が先へ先へと行っていることが分かったのか、父上が苦笑しつつそう口にした。俺はそれに頷きつつ、とりあえず今度王都に帰ったら、他の領地にも冒険者と騎士を派遣できないかファビアン様に話をしようと頭の中にメモをする。
パトリスとヴィッテ部隊長なら慣れてるし信頼できるし、他の領地の探索も安心して任せられる。公爵領では周辺の調査は終わって有益なものが見つかったので、とりあえず探索は急がなくて良くなったし、他の領地に派遣した方が人材の有効活用になるだろう。
「では父上、私はそろそろ一度王都に戻ります。ファビアン様やマティアスと今後について話し合いをして、母上とマルガレーテ、ローベルト、それからティナをこちらに連れてきても良いでしょうか?」
「そうだな。そろそろ落ち着いたし良い時期だろう。このコメ料理を皆に振る舞えるように準備をしておく」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
それからはコメ料理を堪能して、幸せな気分のまま昼食は終わりとなった。久しぶりに皆に会えるのが楽しみだな。
「そうです。上手くいきましたので、本日の昼食に出してもらうようハイナーにお願いしています」
「そうか、それは楽しみだな」
そう言った父上の言葉には、新しい作物への期待がこもっているようだ。父上が気に入ってくれると良いな……ライストナー公爵領の特産品にしたいと思ってるから、まずは父上が気に入ってくれるかどうかが重要なのだ。
そうして話をしつつ俺達が席に着くと、すぐにハイナーがワゴンを押して料理を持ってきてくれた。俺が炊いたコメに合うと言ったからか、肉と野菜を塩と香辛料で炒めたおかずも作ってくれたようだ。
「ほう、とても良い香りだな」
「お待たせいたしました。本日の昼食はフィリップ様のご指導を受けて作製いたしました。こちらがコメを少量の水で茹でたもの。正式にはコメを炊くと言うらしいですが、こちらが炊いたそのままのコメでございます。そしてこちらが先ほどのコメに塩をかけたものです」
ハイナーは俺がぽろっと溢しただけの食べ方まで覚えていて、ちゃんと準備してくれたみたいだ。ハイナーめちゃくちゃ優秀だな。
「そしてこちらがコメをトマソースに入れて茹でたもの。こちらが炊いたコメを他の具材とともに植物油で炒めたものです」
そうして並べられた料理は食欲を刺激する良い香りを放っていて、思わずお腹が鳴ってしまう。
「父上、さっそく食べましょう。温かいうちが美味しいですから」
「そうだな」
二人で食前の祈りをして、最初に俺がスプーンで掬ったのはただのコメだ。やっぱり味が濃くないものから食べた方が、全てを美味しく感じられるだろうと思ったのだ。
その考えは合っていたようで、口に入れたコメからは噛めば噛むほどに素朴な甘さを感じられる。
「めちゃくちゃ美味しい……」
塩をかけた方は、そのままのコメを何倍も美味しくしていた。改めてコメってこんなに美味しかったんだな。ライストナー公爵領にあって幸運だった。これからは好きなだけ食べられるようになるだろう。
「これは、面白い食感だな。味はとても良い」
「ジャモやパンの代わりとなるものなのですが、いかがでしょうか?」
「とても素晴らしいな。私はパンよりもこちらの方が好きかもしれない」
「それは良かったです」
父上とそんな会話をしながら、しかし深い話は後回しにしてとりあえず美味しいコメ料理を堪能する。
次はトマソースで煮込んだコメだ。スプーンでトマソースごと掬って口に入れると……炊いたコメよりは少しだけ硬いけど、とても美味しいリゾットがそこにはあった。
こっちの少し硬めのコメも良いんだよな。トマソースにめちゃくちゃ合っている。これはもう少し火にかけたらもっと柔らかくなるだろうし、そこも好みで変えられるのが良いな。
最後は炒め飯だ。俺は前世で一番好きだったコメ料理である炒め飯を前にして息を呑んでから、意を決して口に運んだ。
噛めば噛むほどに出てくるコメ本来の旨みにプラスして、野菜の旨みも肉の旨みも香辛料の旨みも、全てを感じられる最高の一品だ。
「フィリップ、これは凄いな。美味すぎる」
「分かります。美味しいですよね」
父上がそう言ったのは炒め飯だった。父上と好みがあって良かった。
炒め飯はとにかく美味しいんだけどそれだけじゃなくて、作るのが簡単で失敗が少なかったり、何を入れても違う味わいでおいしくなったり、そういう良いところがたくさんあるのだ。
醤油が作れたら焦がし醤油味とか、めちゃくちゃ美味しいんだよな。絶対にいつかは作ろう。あとバターとかも入れると風味が出て美味しい。
「これはコメ、だったか?」
「はい。イネという作物を収穫したもので、コメと言います。ムギの仲間のような感じで、さまざまな使い方ができるんです。今回のように炊いたり茹でたりしても良いですし、ムギのように粉状にしても使えます」
コメ粉で作った団子とか美味しかったよなぁ。少し余裕ができたらコメを使ったおやつにも手を出してみよう。
「これは王都にはないのだな?」
「はい。なので公爵領の特産品にするのが良いかと思います。イネは収穫してからも調理しなければかなり保存できますし、輸送中にダメになるというような心配はありませんので」
「……確かにそれはありだな。これは確実に需要があるだろうから、売れないという心配はいらない。大量生産できるように領民にも手伝ってもらい、環境を整えるか」
おおっ、父上がやる気を出してくれるなら、もう大量生産されることが決定したようなものだ。これでコメ料理はいつでも食べられる……!
後は交易体制を整えることができれば完璧だな。まずは王都と交易をして、近いうちに他の領地ともそこでしか育たない作物などをやりとりしたい。
交易をするのに必要な転移板を早急に増やせるように、魔鉱石の採掘に力を入れてもらい、他の領地にも森の探索をしてもらうよう通達を出すか。
「フィリップ、まずは我が領地で新たな作物が生産できる体制の構築に尽力してくれ」
俺の思考が先へ先へと行っていることが分かったのか、父上が苦笑しつつそう口にした。俺はそれに頷きつつ、とりあえず今度王都に帰ったら、他の領地にも冒険者と騎士を派遣できないかファビアン様に話をしようと頭の中にメモをする。
パトリスとヴィッテ部隊長なら慣れてるし信頼できるし、他の領地の探索も安心して任せられる。公爵領では周辺の調査は終わって有益なものが見つかったので、とりあえず探索は急がなくて良くなったし、他の領地に派遣した方が人材の有効活用になるだろう。
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