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第四章 交易発展編
146、長距離転移
今日はついに転移板を使って王都に戻る日だ。俺は朝起きた時から少し緊張しつつ支度を整え、父上と共に転移板が設置されている外壁までやってきた。
「ヤニック、準備は整っているか?」
「もちろんです。いつでも転移していただけます」
転移板が設置された部屋に入ると、中には数人の騎士が警備として立っていた。そんな部屋の真ん中に転移板は鎮座している。
初めて試す長距離転移だ。問題ないことは分かってるんだけど、少し緊張する。
「フィリップ、皆のことを頼んだぞ。私はこちらで皆が来る準備をしておく」
「かしこまりました。必ず安全にこちらまでお連れします」
俺は父上にそう挨拶をして、懐にしまっていた手紙を取り出した。そして小さい方の転移板の上に手紙を載せて、魔力を自ら注いでいく。やはり小さい方はそこまで魔力が必要なく、転移を発動できるようだ。
「これで返事が来るまでは待機です。向こうから転移が可能との手紙が来てから私が転移をします」
「ふむ、これならば危険もないな」
「はい。できる限り安全に転移ができるように、毎回このやりとりはしていただきたいです」
それから転移板についての話をしながら返事を待っていると、十分後ぐらいに小さい方の転移板がピカッと光って手紙が現れた。フレディが手に取って危険がないかを確かめてから俺に渡される。
ちゃんと紋章が押されていることを確認してから開いてみると……中に入っていた手紙は母上の字だった。準備は整っているからいつでも転移してきて良い。というようなことが書かれている。
「ヴィクトリアからだな」
「はい。……こちらの手紙は父上が保管いたしますか?」
「そうしよう」
父上は少しだけ頬を緩めながら母上が書いた手紙を手にした。父上ってあんまり顔には出さないけど、母上が大好きなんだよな……俺は仲の良い両親の様子に嬉しくなり、自然と笑顔になった。
「では父上、行って参ります」
「ああ、頼んだぞ」
俺がニルスとフレディと共に転移板の上に乗って、ヤニックが魔力を注ぐと段々と光が強くなり……少しの浮遊感がなくなってから目を開けると、目の前には母上がいた。そして隣にはマルガレーテとローベルトもいる。
「兄上だ! 兄上が帰ってきた!」
「お兄様、おかえりなさいませ!」
「フィリップ、おかえりなさい。転移板というのは凄いのね」
俺はニルスが転移板の外に置いてくれた靴を履き、皆に近づいた。
「ただいま戻りました。無事に長距離の転移もできたようで良かったです」
「ええ、手紙もしっかりと届いていたわ」
「兄上は領地から来たんだよね? 一瞬で来たの?」
「そうだよ。転移板を使えば数秒で領地と王都を行き来できるんだ」
俺のその言葉を聞いて、ローベルトは瞳をキラキラと輝かせた。
「僕もやってみたい……! あっ、やってみたいです!」
ローベルトは公の場で家族に敬語を使えるようにと、家の中でも敬語を使うように心がけている最中なのだ。俺としては今のままで良いんだけど、ローベルトのためだからと頑張りを応援している。
「数日後にはローベルトも体験できるよ。それまでちょっと待っててね」
「はい!」
そうして元気なローベルトと話をして、マルガレーテと母上とも転移板についての話をしながら部屋を出た。そして家族皆が寛げるリビングへと向かう。
「私達は何日後に領地へ行くのかしら?」
「そうですね……こちらでファビアン様達と話し合いたいこともありますので、明後日はいかがでしょうか? ティナもこちらの屋敷に呼んで、五人で転移をしたいと思っています。それぞれ従者や護衛がいて一度には無理なので、一人ずつとなると思いますが」
俺のその提案に特に反対意見は出なかったので、明後日に領地へ向かうことで決まりとなった。今日はこれからティナのところに行って帰還の挨拶と明後日の予定を伝えて、明日は王宮に行こう。
「お兄様、領地では新たな食べ物が見つかったのですか?」
「もちろん見つかったよ。コメっていうパンの代わりになるような主食なんだけど、向こうの料理長であるハイナーに皆のために料理を頼んでるから、領地に着いたら食べられると思う。そうだ、明後日に帰ることを手紙で伝えておかないとね」
「新しい料理、楽しみです!」
「ローベルトはきっと気に入ってくれると思うよ」
ローベルトはトマソースが大好きだし、やっぱりトマソース煮込みが一番かな。ティナも好きだって聞いたことがあるから、多めに準備してもらうようにお願いしておこう。
「そういえば母上、父上が手紙を大切に懐へしまっておりましたよ」
さっきの父上の様子を思い出して母上に伝えると、母上は嬉しそうな笑みを浮かべて片手を頬に当てた。
「では明後日に伺うことについても私が手紙を書こうかしら」
「そうされると父上が喜ぶかと思います。トマソース煮込みを多めに準備するようハイナーに伝えて欲しいとの伝言も、一緒にお願いしても良いでしょうか?」
「分かったわ。では私はお手紙を書いてきます。フィリップはこれから予定があるの?」
「はい。私はティナのところへ行く予定です」
ただ今はお昼まで後一時間という時間帯だ。お昼ご飯を食べてからの訪問にしたほうが良いだろう。
「十四時ぐらいに屋敷を出ると思います」
「分かったわ。ではお昼ご飯は皆で一緒に食べましょう」
「かしこまりました」
俺達は母上が部屋を出ていくのを見送って、リビングに三人だけとなった。
「兄上、領地での話をしてください!」
「もちろんだよ。じゃあまずは……領地にある公爵邸についての話からにしようか」
それから俺は、マルガレーテとローベルトと共に穏やかで楽しい時間を過ごした。やっぱり家族との時間は良いな。心からそう思った。
「ヤニック、準備は整っているか?」
「もちろんです。いつでも転移していただけます」
転移板が設置された部屋に入ると、中には数人の騎士が警備として立っていた。そんな部屋の真ん中に転移板は鎮座している。
初めて試す長距離転移だ。問題ないことは分かってるんだけど、少し緊張する。
「フィリップ、皆のことを頼んだぞ。私はこちらで皆が来る準備をしておく」
「かしこまりました。必ず安全にこちらまでお連れします」
俺は父上にそう挨拶をして、懐にしまっていた手紙を取り出した。そして小さい方の転移板の上に手紙を載せて、魔力を自ら注いでいく。やはり小さい方はそこまで魔力が必要なく、転移を発動できるようだ。
「これで返事が来るまでは待機です。向こうから転移が可能との手紙が来てから私が転移をします」
「ふむ、これならば危険もないな」
「はい。できる限り安全に転移ができるように、毎回このやりとりはしていただきたいです」
それから転移板についての話をしながら返事を待っていると、十分後ぐらいに小さい方の転移板がピカッと光って手紙が現れた。フレディが手に取って危険がないかを確かめてから俺に渡される。
ちゃんと紋章が押されていることを確認してから開いてみると……中に入っていた手紙は母上の字だった。準備は整っているからいつでも転移してきて良い。というようなことが書かれている。
「ヴィクトリアからだな」
「はい。……こちらの手紙は父上が保管いたしますか?」
「そうしよう」
父上は少しだけ頬を緩めながら母上が書いた手紙を手にした。父上ってあんまり顔には出さないけど、母上が大好きなんだよな……俺は仲の良い両親の様子に嬉しくなり、自然と笑顔になった。
「では父上、行って参ります」
「ああ、頼んだぞ」
俺がニルスとフレディと共に転移板の上に乗って、ヤニックが魔力を注ぐと段々と光が強くなり……少しの浮遊感がなくなってから目を開けると、目の前には母上がいた。そして隣にはマルガレーテとローベルトもいる。
「兄上だ! 兄上が帰ってきた!」
「お兄様、おかえりなさいませ!」
「フィリップ、おかえりなさい。転移板というのは凄いのね」
俺はニルスが転移板の外に置いてくれた靴を履き、皆に近づいた。
「ただいま戻りました。無事に長距離の転移もできたようで良かったです」
「ええ、手紙もしっかりと届いていたわ」
「兄上は領地から来たんだよね? 一瞬で来たの?」
「そうだよ。転移板を使えば数秒で領地と王都を行き来できるんだ」
俺のその言葉を聞いて、ローベルトは瞳をキラキラと輝かせた。
「僕もやってみたい……! あっ、やってみたいです!」
ローベルトは公の場で家族に敬語を使えるようにと、家の中でも敬語を使うように心がけている最中なのだ。俺としては今のままで良いんだけど、ローベルトのためだからと頑張りを応援している。
「数日後にはローベルトも体験できるよ。それまでちょっと待っててね」
「はい!」
そうして元気なローベルトと話をして、マルガレーテと母上とも転移板についての話をしながら部屋を出た。そして家族皆が寛げるリビングへと向かう。
「私達は何日後に領地へ行くのかしら?」
「そうですね……こちらでファビアン様達と話し合いたいこともありますので、明後日はいかがでしょうか? ティナもこちらの屋敷に呼んで、五人で転移をしたいと思っています。それぞれ従者や護衛がいて一度には無理なので、一人ずつとなると思いますが」
俺のその提案に特に反対意見は出なかったので、明後日に領地へ向かうことで決まりとなった。今日はこれからティナのところに行って帰還の挨拶と明後日の予定を伝えて、明日は王宮に行こう。
「お兄様、領地では新たな食べ物が見つかったのですか?」
「もちろん見つかったよ。コメっていうパンの代わりになるような主食なんだけど、向こうの料理長であるハイナーに皆のために料理を頼んでるから、領地に着いたら食べられると思う。そうだ、明後日に帰ることを手紙で伝えておかないとね」
「新しい料理、楽しみです!」
「ローベルトはきっと気に入ってくれると思うよ」
ローベルトはトマソースが大好きだし、やっぱりトマソース煮込みが一番かな。ティナも好きだって聞いたことがあるから、多めに準備してもらうようにお願いしておこう。
「そういえば母上、父上が手紙を大切に懐へしまっておりましたよ」
さっきの父上の様子を思い出して母上に伝えると、母上は嬉しそうな笑みを浮かべて片手を頬に当てた。
「では明後日に伺うことについても私が手紙を書こうかしら」
「そうされると父上が喜ぶかと思います。トマソース煮込みを多めに準備するようハイナーに伝えて欲しいとの伝言も、一緒にお願いしても良いでしょうか?」
「分かったわ。では私はお手紙を書いてきます。フィリップはこれから予定があるの?」
「はい。私はティナのところへ行く予定です」
ただ今はお昼まで後一時間という時間帯だ。お昼ご飯を食べてからの訪問にしたほうが良いだろう。
「十四時ぐらいに屋敷を出ると思います」
「分かったわ。ではお昼ご飯は皆で一緒に食べましょう」
「かしこまりました」
俺達は母上が部屋を出ていくのを見送って、リビングに三人だけとなった。
「兄上、領地での話をしてください!」
「もちろんだよ。じゃあまずは……領地にある公爵邸についての話からにしようか」
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