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13、お互いの話
部屋の中はけっこう広くて快適そうだった。ベッドがあってその傍にテーブルと椅子が一つあり、さらに荷物を入れる棚まで設置されている。そしてトイレも完備だ。
「良い部屋だな」
「そうでしょう? 椅子に座っても良い?」
「もちろんどうぞ」
あと少しで夕食の時間となるので、その前にお互いあらためて自己紹介をしようと、リラも俺の部屋に来ている。
俺はベッドに座って隣にスラくんを下ろし、体の力を抜いた。やっと一息つけたな……もうこのまま寝たいぐらい疲労感が襲ってくるけど、まだダメだ。
「リラ、俺とパーティーを組んでくれて本当にありがとう。改めてリラは俺の恩人だよ」
「ううん、私にも利益があることだから気にしないで」
「そう言ってもらえると気が楽になるよ……ありがとう」
この世界にいる間は少しでもリラの役に立てるように頑張ろう。そしてもし日本に戻れたとしても、それから先でリラが一人になって苦労しないように絶対に配慮しよう。
「落ち着けたことだし、お互いのことを話そうか。今までちゃんとは話してなかったからね」
「そうしよっか。じゃあ俺から話すけど、俺はこことは別の世界から突然この世界に飛ばされたみたいで、魅了のスキルがあって、パッシブでレベル十。スラくんとユニーが仲間だよ。後は……運動神経は悪くないと思うけど、戦闘の訓練を受けたことはないし武器を持ったこともない。二十八歳の男で、ここに来るまでは歌って踊る仕事をしてた。このぐらいかな?」
リラに通じることだけを思いつくままに話していたら、リラは笑顔で頷いてくれた。
「歌って踊ってたって、踊り子みたいな仕事?」
「うーん、それとはちょっと違うかな……この世界って舞台とかある?」
「演劇ならやってるよ」
「その舞台で歌って踊ってたんだ」
「ふーん、なんとなくはイメージできたかな? とりあえず冒険者とはかけ離れた職業だってことは分かったよ」
冒険者とは全く違うよな……というか日本に暮らすほとんどの人は、冒険者なんて職業とはかけ離れた仕事だろう。狩猟をやってる人が少し近いかな……ぐらいだ。
「じゃあ次は私ね。私は十八歳で、この街の孤児院出身なの。赤ちゃんの時に孤児院の前に捨てられてたから親は知らない。でも孤児院は良いところだったし、生まれを悲観はしてないよ。十五で成人してからは冒険者になって、一人で暮らしてる。冒険者になったのは、私のスキルを一番活かせるからかな」
孤児院出身だったのか……でもその事実を話すリラに悲観した様子は全くない。この国ではそこまで珍しいことでもないのかもしれないな。
「私のスキルは状態異常無効とスキル封じ、それから火魔法と生活魔法だよ。火魔法はレベル六でかなり強いから期待してて。状態異常無効とスキル封じはレベルがないスキルなんだ。生活魔法はレベル四だからまあ普通かな」
「火魔法が使えるんだ。それは楽しみだよ」
ファイヤーボールとか撃てるってことだよな。マジで羨ましい。俺もそういうかっこいいスキルが良かった……! 魅了は強いかもしれないけど、不便すぎるし何よりもカッコ良くない。
「明日からさっそく依頼を受けるけど、魔物を倒す時はリョータが魅了で相手の動きを止めて、その隙に私が魔法で倒すって感じになるかな。リョータの魅了が効かないほどに強い魔物は逃げる一択で。まあレベル十の魅了が効かない相手がいるのか分からないけどね」
「了解。じゃあ俺はとにかく相手を魅了して動きを止めれば良いんだな」
「うん。明日からは意図的に遠くの魔物を魅了する練習もしようか」
声に魔力を載せて魅了をかければ良いんだよな。この面倒くさいスキルが少しでも役立つのなら頑張ろう。
「リョータはこれからどういう依頼を受けていきたい?」
「うーん、そもそもどういう依頼があるのかよく知らないんだけど、とりあえず街の外に出る依頼の方が気楽で良いな」
「じゃあやっぱり魔物の討伐依頼だね。まずは魔物をたくさん倒して依頼を達成して、お金を稼いで生活基盤を整えようか。そして基盤が整ったら……リョータが生まれ育った国に戻る方法を見つける?」
俺はリラのその言葉を聞いて、感動して思わず抱きつきそうになってしまった。日本への帰り方を見つける手助けもしてくれるなんて、リラが良い子すぎて困る。この世界に来てマジで最悪だと思ってたけど、リラに出会えたことは最高だ。
「リラ、ありがとう。余裕がある時だけで良いから日本への帰り方を見つけたい」
「了解。じゃあこの街から移動することも視野に入れようか。まあまだ先の話だけどね。とりあえず冒険者ランクをCにはあげないとかな」
「冒険者ランクって何?」
「あれ、そういえばさっき説明しなかったっけ」
それからリラに説明してもらったことを簡潔にまとめると、冒険者にはそれぞれランクがあって一番下がF、一番上がSらしい。依頼を達成したり冒険者ギルドに貢献すると上がっていき、自分のランクの一つ上の依頼までしか受注できないんだそうだ。
パーティーにはパーティーランクというのもあり、パーティーで依頼を受けるときにはこのランクが大切になる。そしてこのランクは、パーティーメンバーの冒険者ランクの平均が適用されるらしい。
「ということで、今の私とリョータのパーティーはランクがEなの。私がCランクでリョータがFランクで、パーティーランクは平均の低い方になるから」
「理解できたよ。とりあえずパーティーランクをCにしたいってことだな」
「そういうこと。つまりはリョータのランクをCまではあげたいんだ。その辺から稼げる依頼も増えるから」
この世界に来てどうすれば良いかと途方に暮れてたけど、明確な目標ができるとやる気が出るな。まずはCランク目指して頑張るか。
「明日から頑張るよ。リラ、これから長い付き合いになると思うけどよろしく」
「こちらこそよろしくね!」
俺とリラはお互いに笑顔で握手を交わし、これから頑張ろうと気合を入れた。
「良い部屋だな」
「そうでしょう? 椅子に座っても良い?」
「もちろんどうぞ」
あと少しで夕食の時間となるので、その前にお互いあらためて自己紹介をしようと、リラも俺の部屋に来ている。
俺はベッドに座って隣にスラくんを下ろし、体の力を抜いた。やっと一息つけたな……もうこのまま寝たいぐらい疲労感が襲ってくるけど、まだダメだ。
「リラ、俺とパーティーを組んでくれて本当にありがとう。改めてリラは俺の恩人だよ」
「ううん、私にも利益があることだから気にしないで」
「そう言ってもらえると気が楽になるよ……ありがとう」
この世界にいる間は少しでもリラの役に立てるように頑張ろう。そしてもし日本に戻れたとしても、それから先でリラが一人になって苦労しないように絶対に配慮しよう。
「落ち着けたことだし、お互いのことを話そうか。今までちゃんとは話してなかったからね」
「そうしよっか。じゃあ俺から話すけど、俺はこことは別の世界から突然この世界に飛ばされたみたいで、魅了のスキルがあって、パッシブでレベル十。スラくんとユニーが仲間だよ。後は……運動神経は悪くないと思うけど、戦闘の訓練を受けたことはないし武器を持ったこともない。二十八歳の男で、ここに来るまでは歌って踊る仕事をしてた。このぐらいかな?」
リラに通じることだけを思いつくままに話していたら、リラは笑顔で頷いてくれた。
「歌って踊ってたって、踊り子みたいな仕事?」
「うーん、それとはちょっと違うかな……この世界って舞台とかある?」
「演劇ならやってるよ」
「その舞台で歌って踊ってたんだ」
「ふーん、なんとなくはイメージできたかな? とりあえず冒険者とはかけ離れた職業だってことは分かったよ」
冒険者とは全く違うよな……というか日本に暮らすほとんどの人は、冒険者なんて職業とはかけ離れた仕事だろう。狩猟をやってる人が少し近いかな……ぐらいだ。
「じゃあ次は私ね。私は十八歳で、この街の孤児院出身なの。赤ちゃんの時に孤児院の前に捨てられてたから親は知らない。でも孤児院は良いところだったし、生まれを悲観はしてないよ。十五で成人してからは冒険者になって、一人で暮らしてる。冒険者になったのは、私のスキルを一番活かせるからかな」
孤児院出身だったのか……でもその事実を話すリラに悲観した様子は全くない。この国ではそこまで珍しいことでもないのかもしれないな。
「私のスキルは状態異常無効とスキル封じ、それから火魔法と生活魔法だよ。火魔法はレベル六でかなり強いから期待してて。状態異常無効とスキル封じはレベルがないスキルなんだ。生活魔法はレベル四だからまあ普通かな」
「火魔法が使えるんだ。それは楽しみだよ」
ファイヤーボールとか撃てるってことだよな。マジで羨ましい。俺もそういうかっこいいスキルが良かった……! 魅了は強いかもしれないけど、不便すぎるし何よりもカッコ良くない。
「明日からさっそく依頼を受けるけど、魔物を倒す時はリョータが魅了で相手の動きを止めて、その隙に私が魔法で倒すって感じになるかな。リョータの魅了が効かないほどに強い魔物は逃げる一択で。まあレベル十の魅了が効かない相手がいるのか分からないけどね」
「了解。じゃあ俺はとにかく相手を魅了して動きを止めれば良いんだな」
「うん。明日からは意図的に遠くの魔物を魅了する練習もしようか」
声に魔力を載せて魅了をかければ良いんだよな。この面倒くさいスキルが少しでも役立つのなら頑張ろう。
「リョータはこれからどういう依頼を受けていきたい?」
「うーん、そもそもどういう依頼があるのかよく知らないんだけど、とりあえず街の外に出る依頼の方が気楽で良いな」
「じゃあやっぱり魔物の討伐依頼だね。まずは魔物をたくさん倒して依頼を達成して、お金を稼いで生活基盤を整えようか。そして基盤が整ったら……リョータが生まれ育った国に戻る方法を見つける?」
俺はリラのその言葉を聞いて、感動して思わず抱きつきそうになってしまった。日本への帰り方を見つける手助けもしてくれるなんて、リラが良い子すぎて困る。この世界に来てマジで最悪だと思ってたけど、リラに出会えたことは最高だ。
「リラ、ありがとう。余裕がある時だけで良いから日本への帰り方を見つけたい」
「了解。じゃあこの街から移動することも視野に入れようか。まあまだ先の話だけどね。とりあえず冒険者ランクをCにはあげないとかな」
「冒険者ランクって何?」
「あれ、そういえばさっき説明しなかったっけ」
それからリラに説明してもらったことを簡潔にまとめると、冒険者にはそれぞれランクがあって一番下がF、一番上がSらしい。依頼を達成したり冒険者ギルドに貢献すると上がっていき、自分のランクの一つ上の依頼までしか受注できないんだそうだ。
パーティーにはパーティーランクというのもあり、パーティーで依頼を受けるときにはこのランクが大切になる。そしてこのランクは、パーティーメンバーの冒険者ランクの平均が適用されるらしい。
「ということで、今の私とリョータのパーティーはランクがEなの。私がCランクでリョータがFランクで、パーティーランクは平均の低い方になるから」
「理解できたよ。とりあえずパーティーランクをCにしたいってことだな」
「そういうこと。つまりはリョータのランクをCまではあげたいんだ。その辺から稼げる依頼も増えるから」
この世界に来てどうすれば良いかと途方に暮れてたけど、明確な目標ができるとやる気が出るな。まずはCランク目指して頑張るか。
「明日から頑張るよ。リラ、これから長い付き合いになると思うけどよろしく」
「こちらこそよろしくね!」
俺とリラはお互いに笑顔で握手を交わし、これから頑張ろうと気合を入れた。
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