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41、賑やかな夕食
屋敷に戻ってからはそれぞれが部屋の片付けをしたり仕事を始めたりして、時間はあっという間に過ぎて夜になった。
今日の夜は親睦会も兼ねて皆で夕食だ。食堂には二十人ほどが座れる大きなテーブルがあったので、そこに皆で集まった。
料理人として雇ったドゥニさんに今夜の夕食は豪華でって伝えておいたんだけど、予想以上にたくさんの美味しそうな料理がテーブルには並んでいる。
ドゥニさんは料理人として各地を転々としていたって話だったけど、かなり料理の腕は良いのかもしれない。これは良い人を雇ったな。
「ドゥニさん、こんなにたくさん作るのは大変じゃなかったですか?」
「いえ、実は兵士団の寮で働いていたことがありまして、大量に作るのは得意なのです」
「そうなんですね。凄く美味しそうです」
「ありがとうございます。お口に合えば良いのですが」
俺とドゥニさんがそんな話をしている間に、皆が食堂に集まってきた。誰もがテーブルの上の食事を見て、瞳を輝かせたり頬を緩めたりしている。
「わぁ! 美味しそう!!」
そんな中、一際嬉しそうなのは子供達だった。兄妹でまだ十歳らしい妹の方が、瞳をキラキラと輝かせながらテーブルに駆け寄って必死に上を覗こうとしている。
「ルイーズ、お行儀良くしないとダメでしょ!」
「ふふっ、大丈夫ですよ。子供は元気が一番です」
ルイーズちゃんを見て、リラは微笑ましげな表情を浮かべてそう言った。リラは孤児院にいたらしいから、小さな子と接することも多かったんだろう。
「冷めてしまってはもったいないですから、皆でさっそく食べましょうか」
俺のその言葉を聞いて、皆は一斉に目の前にあるカトラリーを手に取った。おかずは大皿から自分の取り皿によそう方式だったので、各々好きなものを取っていく。
俺はトマトソースのようなもので煮込まれた肉に、ステーキと野菜炒めを取った。そしてパンと一緒にさっそく口に入れる。
おおっ、めちゃくちゃ美味しい! 日本で食べてたトマトソースよりも濃厚な味だ。中で煮込まれてる肉は鶏肉よりも少し硬めの食感だけど、味はそのまま鶏肉だ。しかもかなり美味しい部類の。
「美味しいです。ドゥニさんは料理がとてもお上手なんですね」
「本当ですか! そう言ってもらえると嬉しいですね。たくさん食べてください」
「ありがとうございます」
サミーさんの称賛に他の人も同意するように頷いて、ドゥニさんは嬉しそうだ。
「お母さん! すっごく美味しいね!」
「本当に美味しいわね……」
「ルイーズ、良かったな」
ルイーズちゃんは、俺と同じトマト煮込みみたいな料理を食べて満面の笑みだ。そしてそんなルイーズちゃんやその兄を見て、両親は瞳を潤ませながら食事を進めている。
「奴隷商では食事ってどうしてたのですか?」
この食事でこんなに感動してくれる理由が気になって聞いてみると、全員が微妙な表情を浮かべた。代表して答えてくれたのはドゥニさんだ。
「奴隷商では食事がもらえないというようなことはないのですが、基本的にはパンと水だけで、たまに栄養バランスを考えて野菜スープがつくだけなのです。確かに生きていく上で問題はないですが、食事を楽しめるような内容ではなかったです」
そうなのか……確かにたくさんいる奴隷の食事代は馬鹿にならないのだろうし、そこを節約するのは仕方ないのかな。
「さらに私達は借金奴隷になる前も貧しく、パンだけだったり調理していない野菜をそのまま食べるだけだったりしていましたので……こうしてちゃんとした食事を食べさせてあげられるのは、本当に久しぶりなのです」
そうなのか……ルイーズちゃんの両親は二人とも礼儀作法がしっかりとしていて敬語も使えているから、元々はそこまで貧しい生活じゃなかったのだろう。それが父親の病気で一気に貧しくなってしまうってことは、国の救済制度みたいなものは機能してないのかな。
「本当にありがとうございます」
「いえ、皆さんには働いてもらいますから、その対価として当然ですよ。そうだ、奥さんは足が悪いということでしたが大丈夫ですか? できないことは皆に共有しておいた方が良いと思うのですが」
「ご配慮ありがとうございます。最近は良くなってきていますので、普通に歩く分には問題ありません。ただ重いものを運んだり、梯子を登ったりするのは難しいと思います。申し訳ございません」
その程度なのか。それなら仕事の割り振りだけ気をつければ大丈夫かな。あまり動かなくてもできる仕事をして貰えば良いだろう。
「フルールさん、仕事の采配をする時に配慮してあげてください」
「かしこまりました。備品の管理など細かい仕事を中心にやっていただこうと思います」
それからも皆でこれからの話や美味しい食事について、また今までの皆の人生についてなどの話をして、とても楽しい時間が過ぎていった。
「そろそろお開きにしようか」
「そうだね。皆も初日で疲れてると思うし」
「ドゥニさん、美味しい食事をありがとう。明日からもよろしくお願いします」
「かしこまりました。お任せください」
席に着いている皆を見回すと、ルイーズちゃんはかなり眠いのか体が左右にふらふらしている。これは早く寝させてあげないと可哀想だな。
「俺達は先に行くので、皆もそれぞれ休んで下さい」
「皆さん、また明日」
俺達がいたら皆が動けないだろうと思って、リラと一緒に先に食堂を出た。
「リラもまた明日」
「うん。おやすみ」
そしてリラともすぐに別れ、俺は足早に自室へと向かった。今日は朝から謁見の準備にとかなり動いたので、俺も相当疲れたのだ。とりあえず寝て、明日からのことは起きてから考えよう。
「ユニーも一緒に部屋に来る?」
食堂では一緒に食事をしてたけど寝る時はどうするんだろうと思って聞いてみると、ユニーは俺と一緒に行くと言うように顔を擦り付けてきた。
「お前は可愛いなぁ。じゃあ皆で一緒に寝るか」
そうしてその日の夜はベッドに俺、ベッド脇のサイドテーブルにスラくん、そして部屋の絨毯の上にユニーという構図で眠りについた。
今日の夜は親睦会も兼ねて皆で夕食だ。食堂には二十人ほどが座れる大きなテーブルがあったので、そこに皆で集まった。
料理人として雇ったドゥニさんに今夜の夕食は豪華でって伝えておいたんだけど、予想以上にたくさんの美味しそうな料理がテーブルには並んでいる。
ドゥニさんは料理人として各地を転々としていたって話だったけど、かなり料理の腕は良いのかもしれない。これは良い人を雇ったな。
「ドゥニさん、こんなにたくさん作るのは大変じゃなかったですか?」
「いえ、実は兵士団の寮で働いていたことがありまして、大量に作るのは得意なのです」
「そうなんですね。凄く美味しそうです」
「ありがとうございます。お口に合えば良いのですが」
俺とドゥニさんがそんな話をしている間に、皆が食堂に集まってきた。誰もがテーブルの上の食事を見て、瞳を輝かせたり頬を緩めたりしている。
「わぁ! 美味しそう!!」
そんな中、一際嬉しそうなのは子供達だった。兄妹でまだ十歳らしい妹の方が、瞳をキラキラと輝かせながらテーブルに駆け寄って必死に上を覗こうとしている。
「ルイーズ、お行儀良くしないとダメでしょ!」
「ふふっ、大丈夫ですよ。子供は元気が一番です」
ルイーズちゃんを見て、リラは微笑ましげな表情を浮かべてそう言った。リラは孤児院にいたらしいから、小さな子と接することも多かったんだろう。
「冷めてしまってはもったいないですから、皆でさっそく食べましょうか」
俺のその言葉を聞いて、皆は一斉に目の前にあるカトラリーを手に取った。おかずは大皿から自分の取り皿によそう方式だったので、各々好きなものを取っていく。
俺はトマトソースのようなもので煮込まれた肉に、ステーキと野菜炒めを取った。そしてパンと一緒にさっそく口に入れる。
おおっ、めちゃくちゃ美味しい! 日本で食べてたトマトソースよりも濃厚な味だ。中で煮込まれてる肉は鶏肉よりも少し硬めの食感だけど、味はそのまま鶏肉だ。しかもかなり美味しい部類の。
「美味しいです。ドゥニさんは料理がとてもお上手なんですね」
「本当ですか! そう言ってもらえると嬉しいですね。たくさん食べてください」
「ありがとうございます」
サミーさんの称賛に他の人も同意するように頷いて、ドゥニさんは嬉しそうだ。
「お母さん! すっごく美味しいね!」
「本当に美味しいわね……」
「ルイーズ、良かったな」
ルイーズちゃんは、俺と同じトマト煮込みみたいな料理を食べて満面の笑みだ。そしてそんなルイーズちゃんやその兄を見て、両親は瞳を潤ませながら食事を進めている。
「奴隷商では食事ってどうしてたのですか?」
この食事でこんなに感動してくれる理由が気になって聞いてみると、全員が微妙な表情を浮かべた。代表して答えてくれたのはドゥニさんだ。
「奴隷商では食事がもらえないというようなことはないのですが、基本的にはパンと水だけで、たまに栄養バランスを考えて野菜スープがつくだけなのです。確かに生きていく上で問題はないですが、食事を楽しめるような内容ではなかったです」
そうなのか……確かにたくさんいる奴隷の食事代は馬鹿にならないのだろうし、そこを節約するのは仕方ないのかな。
「さらに私達は借金奴隷になる前も貧しく、パンだけだったり調理していない野菜をそのまま食べるだけだったりしていましたので……こうしてちゃんとした食事を食べさせてあげられるのは、本当に久しぶりなのです」
そうなのか……ルイーズちゃんの両親は二人とも礼儀作法がしっかりとしていて敬語も使えているから、元々はそこまで貧しい生活じゃなかったのだろう。それが父親の病気で一気に貧しくなってしまうってことは、国の救済制度みたいなものは機能してないのかな。
「本当にありがとうございます」
「いえ、皆さんには働いてもらいますから、その対価として当然ですよ。そうだ、奥さんは足が悪いということでしたが大丈夫ですか? できないことは皆に共有しておいた方が良いと思うのですが」
「ご配慮ありがとうございます。最近は良くなってきていますので、普通に歩く分には問題ありません。ただ重いものを運んだり、梯子を登ったりするのは難しいと思います。申し訳ございません」
その程度なのか。それなら仕事の割り振りだけ気をつければ大丈夫かな。あまり動かなくてもできる仕事をして貰えば良いだろう。
「フルールさん、仕事の采配をする時に配慮してあげてください」
「かしこまりました。備品の管理など細かい仕事を中心にやっていただこうと思います」
それからも皆でこれからの話や美味しい食事について、また今までの皆の人生についてなどの話をして、とても楽しい時間が過ぎていった。
「そろそろお開きにしようか」
「そうだね。皆も初日で疲れてると思うし」
「ドゥニさん、美味しい食事をありがとう。明日からもよろしくお願いします」
「かしこまりました。お任せください」
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「俺達は先に行くので、皆もそれぞれ休んで下さい」
「皆さん、また明日」
俺達がいたら皆が動けないだろうと思って、リラと一緒に先に食堂を出た。
「リラもまた明日」
「うん。おやすみ」
そしてリラともすぐに別れ、俺は足早に自室へと向かった。今日は朝から謁見の準備にとかなり動いたので、俺も相当疲れたのだ。とりあえず寝て、明日からのことは起きてから考えよう。
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