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第一章 混沌の目覚め
降り立つ世界
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視界が正常になると私は噴水のある広場に立っていた。水の滴る音や頬を撫でる風、人々の喧騒、その情報はここが現実だと言われても驚かないほどに凄まじかった。
街並みは中世ヨーロッパかと思ったらビルのような建物や何故か森林があると言う混沌っぷりだった。散策している最中にNPCもとい、住人と話をしたのだが全員中身に人間が入っているとしか思えなかった、あと全員女扱いして来た、ツライ
ちなみに私の今の服装は【上質な服】だそうだ、装備画面を見たらそう言う名前だと分かった。
そのついでに掲示板も覗いてみたのだがどうやら都市によって初期の服装が違うらしい。性能は【成長加速+5%】というもの、このゲームに防御力という単語は存在しないようだ。
あと、このゲームにレベルアップは無い、ならばどうやって成長するかと言うとその分野に合わせた訓練をするのだ、訓練と言っても簡単で重い剣を持ってればSTRは上昇する。LUKは……よく分かっていない
そして新たなスキルの取得は3つあり1つは【技能取得試験所】と言う場所でお金を払う事により手に入る。
他の方法では独学で剣などを振う事で我流剣技が取得出来るようだが余り強く無いらしい。
ただ特定のスキルはかなり強いとか、まぁギャンブル性のある取得方法だ。
最後の取得方法だが特殊な住人に教えて貰うと言うものだ、これは実に面倒臭いお使いクエストが連発するが中々に便利なスキルを取得出来るらしい(技能取得試験所では取得不可。)
まぁ色々な場所を散策しつつマップを見ると、探索者ギルドと言う物を見つけた。
「冒険者じゃ無いのですか……」
冒険者ギルドを検索機能を使っても該当無し、
多分探索者ギルドが冒険者ギルドの代わりなのだろう
多少の嫌な予感はするのだが行ってみない事には分からない、と言う事で探索者ギルドの前にやって来た。
外観は中世くらいの建物だがよく見るとかなり古い建物のようで、きっと昔からここに建っているのだろう。一眼見た時に何か違和感を感じた気がしたのだがきっと気のせいだろう。
ギルド内に入ると中は外観とは違い空調が効いて涼しくなっており、見渡すと何か掲示板に載せている紙を見ている人達や受付らしき場所で何かを話す者、私が入って来た事で一瞬騒ついた気がしたが気のせいだ。
私が堂々と受付らしき場所まで辿り着き受付の人に話しかける。受付の人は営業スマイルを貼り付けながら私に要件を聞いてきた。
「探索者ギルドへようこそ、ここでは探索者登録やクエスト受注、クエストを頼む事も出来ます。」
「探索者登録を頼みます。」
「了解しました。では此処にお名前と職業をお書き下さい。」
そう言って契約書のような物とボールペンを渡してきた……ボールペン……ファンタジーとは一体、まぁ使いますが
契約書の内容を確認し、小さい字が無いかなどを確認すると私の名前と職業の信仰者を書いた。
「確認します……カルマ・マグナス様ですね。
職業は……信仰者ですか、何の神を信仰しているのですか?」
「え?」
神を信仰? そもそもこのジョブはスキルの回復と神聖を取れるようになるからなので別に何かの神を信仰している訳ではないのだが、世間話で聞いてきたであろうギルド職員の言葉でロールプレイをしてみるのは良いのではないかと思いついた。
テーマは信心深い若者としようか、まぁ直ぐに忘れてしまうだろうが
「……あぁ、私はーー(ちょっと待てよ? 私はこの世界の神の名を知らない、いやマイナーな神だと言えば良いか。誰にするか……よし、これで良いな)
ーーナイアーラトテップを信仰しております。」
「ナイアーラトテップですか……知らない神様ですね。」
「ええ、私の宗教はマイナーなもので」
「あぁ!すみません、失礼な事を」
「いえいえ、良いですよ本当のことですしね。」
「本当にすみません……」
ちなみにこの会話は私の契約書の手続きをしながらで本当に世間話なのである。しばらくすると別の職員からカードのような物を渡された。
「これは探索者登録証、これがあるとクエストの受注やお金の管理も可能です。」
「これが」
見た目はクレジットカードのようだが私の名前と職業と謎の『10th』と言う文字のみが書かれたものである。
「この『10th』と言う文字は階級と呼ばれる評価でこの階級が上がれば割引などのサービスがあります。
階級を上げるには一定回数のクエストクリアと信用出来るかなどの規定を達成すれば上がります。何か質問はありますか?」
「えっと、最大何個までクエスト受注は出来るのですか?」
「クエストの最大受注回数は5つまでですね。
ただし、クエストには常駐クエストと期間クエストがあります。常駐クエストは常にあるので問題ありませんが期限クエストはその名の通り時間制限があるので受ける際にはお気をつけ下さい」
「では、プレイヤーと呼ばれる者達を知っていますか?」
気になったので口に出してみたのだが受付の職員は少し考え込むような素振りで「プレイヤー……」と呟くと
「えぇと、プレイヤー…………あぁ、訪問者ですか」
「訪問者?」
「ええ、曰く別世界から突如として現れた存在で、仮初の命を持っており、死んでも生き返る能力と成長しやすいと言う特性がある者です。」
「ありがとうございます。ついでにクエストを受けて行っていいですか?」
「どうぞ、そこにあるクエストボードからお取りください。」
なるほど、住民からは私達は別世界から来た観光客みたいなものだと認識しつつ、クエストボードの前まで歩いて行く
常駐討伐依頼 対象ゴブリン 報酬:500C
説明:近くの森でゴブリンを5匹倒して下さい。
初心討伐依頼 対象ウルフ 報酬:武器交換券・初心
説明:近くの草原でウルフを5匹倒して下さい。
初心討伐依頼 対象ロックル 報酬:初心回復薬×5
説明:近くの岩場でロックルを3匹倒して下さい。
と言った紙が目に入って来た、これはウルフの討伐依頼を受けた方が良い。同じ草原で出来るクエストをいくつか見繕うと私はギルドを後にした。
【Tips】カオスのNPCには好感度というものが存在する、これは個別に存在しており人によって『信用』『好感』など種類がある。特殊なものとしてギルドはギルドとしての好感度がある。
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ナイアーラトテップはニャルラトホテプの別称です。そしてカルマはTRPGを友人達とたまにやるのでその名前を知っていました。
あと質問などがあったら、感想で送って下さい。
応援ありがとうございます!
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