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第二章 常夏の参戦
双子の戦いと暗雲
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私が図書館で本を読み漁っていたその頃、ユリことリリィは………
◇scene ~百合~
私達はゴブリン達にコテンパンにやられた後、現実世界に戻された後にもう一度ログインしようとしたのだがタイミング悪く仕事の電話が掛かって来てしまった。私は休みの申請はしたと言ったのだが先にスケジュールに入れてしまったとかほざきやがったのでいやいや仕事をすることになり、“カオス”にログインが出来なかった。
「やっと、ログイン出来たー!」
そう言って私が全身で喜びを表しているとランが横槍を入れてきた。
「おい、ユリうっさいぞ、目立ってるから」
「むぅ、仕方ないじゃん。」
「まぁ気持ちは分かるんだけどな、取り敢えずこの鬱陶しい視線を振り切るか」
私は了解、と呟くと二人とも早足でその場から離れた。
◇move
私達の容姿も相まって人の視線を集めてしまっているのを振り切り、道中にフード付きの外套が売ってたから、それを買って着てみると人の目はかなり軽減された。
普通ならかなり注目されるんだろうけどここにはカッコいいと思って着てるのかは知らないけど意外と着てる人が多いので居るのであまり注目はされない、せいぜい住人達から怪訝な目をされるだけだし問題ないね。
「さて、と何する?」
「ええ……何も考えてなかったの?」
「そりぁそうだろ、このゲームって自由度高すぎて難しいってよく聞くし」
「だったら、モンスターでも倒す?」
「ま、それが一番簡単だしな、でも何処行くんだ?」
「うーん……」
確かこの都市から行けるフィールドは4つ【原初の草原】【原初の森林】【原初の山道】【原初の沼地】だったはず。
どうせなら新しい場所に行ってみたいし草原と森林は無しとして残りは山道か沼地のどちらか、山道は多少足場は悪そうだけどそれ以外に悪い条件は無い、対して沼地は湿気でジメジメしてそうだし足場悪そうだから山道にすることにした。
それをランに説明すると何故かキメ顔でグッジョブ、とかやりやがったので腹パンを決めつつ山道の方に歩いて行った。
◇move ~混沌都市ケーオス 原初の山道~
何が原初なのか分からない【原初の山道】に辿り着いた。
そこは細い木が不規則に並んでいた、そして所々にこの場所には似つかわしく無い茶色の岩があった。
「モンスター見当たらないね……」
「あぁ」
「ラン?」
「あぁ」
「どうしたのラン、ずっと岩を見つめて?」
「ん、ちょっとな。」
しばらく見つめるとランは唐突に岩の方に歩いて剣を鞘に収めたまま岩を軽く叩いた。最初は何してんだコイツと思っていたのだがもしかしてと思いその行為を見続けているとパキッというような音が聞こえて岩全体に亀裂が走ると光となって消え去ってしまった。
「やっぱりそうだったか!」
「あの岩ってモンスターだったんだ……」
「しかもステータスもかなり上がったぜ」
「ドラゴンなクエストに出てくる金属粘液みたいなやつなのかな?」
「いや、そこまではいかないだろうけど序盤にしてはかなり増えやすいんじゃ無いか? まぁ肉体関係のステータスしか上がらないけど」
「私でも出来ると思う?」
「あれば時間を掛ければ誰でも倒せると思うけど……」
「じゃあやってくる」
私はそう言って近くにあった岩を短剣で叩き続ける、カオスを出来なかった怨みをぶつけていると、先程と同じように亀裂が走り光となって消え去っていった。
「おお、本当にモンスターだったんだ。」
私がモンスターを倒した後に【探索の記憶】とか言う本が振動したので開いてみると
『RESULT』
戦闘時間:124秒
入手アイテム
【ヒビ割れたロックルの死体】
能力アップ
【STR+3】【短剣3】
どうやらこのモンスターはロックルとか言うらしい、何とも言い難いネーミングセンスだけど能力アップが美味しいので良しとする。
ええとこれでどれくらいのステータスになったんだっけ?
『STATUS&SKILL』
NAME :リリィ・マグナス
JOB :魔道士
HP:15
SP:16
STR:8
VIT:5
MAG:10
MND:6
AGL:9
DEX:7
LUK:8
○BATTLE
短剣3 投擲1
○MAGIC
複製3 付与1 障壁1
○ASSIST
筋力2 魔術2 鑑定1 識別1 魔導1
確か付与が能力上げるやつで障壁がSP分の装甲を追加出来るやつ、魔導が魔術関連の使用SPを減らせるやつだったはず。見事な特殊型だけど後悔は無い。
「ねぇラン」
「何だ?」
「もっと動き回るモンスターと戦わない? このモンスター相手にしてたらSTRだけ上がる気がするし」
「……それもそうだな」
「だったら原初の草原行かない? 見晴らしも良いから奇襲を仕掛けられる心配もないからさ」
「そうするか、あぁ~楽して強くなれるなんて事ある訳ないよな」
「時間掛けて強くなるのは現実も一緒だよ、お兄ちゃんが時間を掛ければ強くなれるって言ってたし時間もあるから地道に強くなろ」
「じゃあ行くか」
◇skip ~2時間後~
「ふぅ!戦った戦った!やっぱ動かない敵よりも動き回る敵の方がやりがいがあるね!」
私はランにそう言いながら複製した短剣を盾にして狼の攻撃を防ぐ、耐久力の無い短剣は簡単に折れるが問題無い“ロー・レプリケーション”と唱えて新たな短剣を作り出す。
このロー・レプリケーションは詠唱時間とか言うものが極端に少なく一瞬だけ止まっていれば新たに生成出来るというぶっ壊れである、まぁその分性能は落ちるけど
「そうだな!フッ!」
ランは私に答えつつ私の横を通り抜けて狼を一刀両断してしまった、ランの武器はお兄ちゃんの買ったロングソードではなく“初心の太刀”という初心装備である。最初は武器屋で刀を購入しようとしたのだが思った以上に高かったらしく断念していた。
「もう回復アイテムないけど一旦都市に戻る?」
「ん、そだな。アイテムを補給したらまたここで狼狩り再開しようぜ」
「了解」
そう言って私達は混沌都市に戻っていった。
◇move ~混沌都市ケーオス~
私達が都市に戻ると人が多く下手すれば逸れてしまうのでは? と思うほどに人が賑わっていた。
迷子にならないように気をつけなよ、とランに言おうと背後を振り返るとランが居なくなっていた、思わず「は?」と言ってしまった。
だってさっきまでここに居たはずなのに居なくなっていたら驚くよね? 一応辺りを見渡してみるもランらしき影は見当たらず、仕方無くフレンドになると使用可能になるチャットを使ってみるも応答は無し。
人混みで止まれないのかと思い、ゲーム内機能のチャットでは無くデバイスの機能である電話機能を使っても繋がらない。
一応、お兄ちゃんにもランが迷子になった旨をチャットで伝えておくことにした。
「一体、何処に行ってるのかなぁ」
その少し不安そうな呟きは人々の喧騒の中に消えて行った。
◇scene ~カルマ~
私が本を読んでいると急に本が振動した、また公式からの情報でも届いたのかと思い本を開いてみるとそこにあったのはユリからのチャットであった。
「ランが迷子?」
どうやら一緒に居たはずのランがいつの間にか消えていたらしい、普通ならユリが迷子になったのでは? と考えるところだがしっかりしたあの子ならばそんなことはないだろう。どうせお調子者のランが屋台にでも釣られて迷子になったに違いありません。
……でももしそうじゃなかった場合、この世界だと少し怖いですね。万が一の為に情報収集でもしときますか
【Tips】ロックルの生態、ロックルとはロックタートルの幼体である。見た目は完全に岩なのだが実は地面から栄養を吸い取っている。その殻は鉄以上の硬度を持ち肉はかなりの旨味を誇る、のだが殻が硬すぎて討伐が難しいために珍味扱いされている。
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作者の一言:今回は何故かニャル様が居なくなっていたので作者の一言です……あの邪神、神出鬼没なのが困りものなんですよね。
それはさて置き、実はこの第二章はあと一話か二話挟んだ後に次章になります。
掲示板回ってもっとやった方が良いんですかね?
あと次は短いので大体22時くらいに投稿予定です。
応援ありがとうございます!
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