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第四章 都市防衛戦の波乱

イベント開始「守護竜の墜落」

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 某稲作な姫様のゲーム。コンビニにプリペイドカードを買いに行くだけなのに自分の面倒くさがりが発動して動こうとしません。誰かやる気を分けてください。


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 ついにイベント開始日の8月12日となった。私とユリ、ラン、クリム、アリスの5人はイベントの開始場所となる噴水広場にいた。
他にも訪問者プレイヤーらしき腰に本を携えた者達が思い思いに過ごしている。
 現実時間の時計が18時を示した瞬間。私の上……否、遥か上空にて何かがぶつかる音が都市中に響き渡る。
仕事に勤しむ住人とプレイヤーは空が見上げると、白く輝く流星とまるでそこだけ切り取られたこのような闇がぶつかり合っていた。

「あれは……」

 ここからでもかなりの大きさと認識できる流星は何度も闇とぶつかり合う度にその輝きを失っていく。そしてついに、光のベールが剥がされてしまった。
 流星に闇が覆い被さるように包み込んでドクンッと跳ねる、まるで満足したこのように闇は消え去って代わりに黒い何かが降ってくる。着地地点を予測するに……ここ、噴水広場だろう。

「ちょま!?」「ハァ!?」「マジかよ!?」「ええ!?」

 困惑するプレイヤーや住人はその流星が降ってくるのがここだと気がついて急いで逃げる。
 いつもは騒がしい広場から完全に人がいなくなった瞬間、黒い流星……いや、違ったそれは漆黒の鱗を纏い、黒く鋭いツノを携え、全てを貫く爪牙を持つ生物を蹂躙するブレスを吐くとされる……竜である。
 トカゲのような姿をしているので分類としては西洋竜と呼ばれるものだ。

 そしてこの竜はただの竜ではなく、この都市国家を守る9ついる守護竜の1柱と言う存在だ。
名は混沌の守護竜ケーオス。そう、この都市の名前は守護竜の名前を取っているのだ。

 守護竜はゆっくりと閉じていた瞳を開いて瞳を動かしてその瞳はプレイヤー達に止まった。

『……我は守護竜である。急な話だが異界からの訪問者よ。我はあの空喰らう闇に力を奪われてしもうたのだ。もはや都市を守る力など残ってはおらぬ……そして彼奴の支配下に置かれているモンスターどもがこの都市を襲おうとしている……どうかこの都市を守ってくれ…………』

 それだけ告げるとまるで深い眠りにつくように瞳を閉じてしまった。
そして新たにプレイヤー達の本が輝きながらそれぞれの主に情報を見せる。


『EVENT QUEST』
【都市防衛戦線 ~守護竜の墜落と平穏を遮る暗雲~】

目的:混沌都市の防衛
報酬:モンスター討伐時のポイントにより変動

〈都市を守る竜は撃ち落とされ、九竜結界は破壊されてしまった。守護者が居なくなった都市にて頼れるのは訪問者、あなた達だけだ。〉


 こうして始まった初のイベントは竜の墜落という衝撃的な出来事から始まった。





 時は進んで都市外……原初の草原。カルマが最初に行ったフィールドで原初系の中でも最高難度と言われている。
その理由は───

「クソ!こっちくんなぁ!」

 槍使いが槍を振りましながら言うが、狼はそんなことは気にせずに一匹がわざと槍に刺さりに行き、その隙に槍使いに噛み付くと槍使いは無数の光となって消え去ってしまう。

 そう、実に厄介なのは狼の連携と学習能力だ。プレイヤーを観察して対処法を考えてから行動するという面倒くさいルーチンがあるのだ。……まぁ、何処かの信仰者には意味のない行動だったようだが

 原初の草原は中々の激戦区の一つ……というか、原初系フィールドは全て激戦区であった。


 視点が変わってここは原初の沼地。足場が柔いために戦士などの前衛には不人気の場所だ。
なので魔術師達が奮闘していた。

 魔術師達は迫る蛙に対して電撃魔術“ディスチャージ”を使い放電をする。ここは沼地なために常に湿っているのだ。そんなところに電気を放てばもちろん蛙達は耐えきれずに死んでしまう。
一方プレイヤー達は全くダメージを負っていない。このゲームにはフレンドリーファイアがないためにできる荒技だろう。


 お次は原初の山道。ロックルという堅牢なモンスターが実に活発化しており、その岩のように硬い体で転がりながらぶつかってくるので山道の地形もあいまり、高速で岩が転がって来るという地獄のような光景が広がっていた。

「ぶっは!?」「ガハッ!!!」「ヒャッハー!ぶげら!!!」「やっふー!あわわゴフッ!」

 実に愉悦……コホン。カオスな光景であり、プレイヤー達は手も足もでない……のだが実はロックル達も手も足もでない。
 その訳はそもそもロックル達も転がっているのだがそれを止める術がないのだ。所々に生えている木にぶつかるか、仲間同士や岩にぶつかって勝手に死ぬのでここにいる必要はあまりない。


 またまた変わって原初の森林。ここでは緑ゴブリンだけでなく、魔術師ゴブリンや神官ゴブリン、ゴブリンリーダーなど実に種類様々なゴブリンが取り揃えてある。
 炎の弾、水の槍、土の棘、風の刃などが飛び交っているがそこに真紅のドリルを携えた我らがお嬢様、アリスが現れた。
 アリスがやるのはダンジョンで使ったあの火炎の竜巻。ユニゾンである。
 赤と緑の魔法陣が展開されてそれは重なり合うように動いてチャージが完了し、トリガーを引く。

「“エッジトルネード”」「“ファイアブレス”」

 魔法陣から噴き出すは全てを蹂躙する刃竜巻と火焔吐息が混ざり合った超高威力の魔術。それは渦巻ながら木々を燃える熱の刃で切り刻み、ゴブリンは吹き飛ばされながら茹でられて、プレイヤー達は呆然としていた。
 それなのにアリスはまた詠唱を行い別方向に火炎の竜巻を放つ。即効で効くSPポーションを飲み干すとまた放っていく。
 尚、この蹂躙が終わった後に【焔嵐の支配者】と【無差別蹂躙者】という称号を手に入れたのは仕方がないことだろう。


『焔嵐の支配者』
効果:火炎属性と暴風属性の威力増加150% 他の属性威力減少90%

『無差別蹂躙者』
効果:全てを巻き込んで攻撃する際、威力増加50%


【Tips】守護竜。それは元々九つ首の竜だったという、だが異界の神によって9つに分けられてしまう。それに憤怒した竜は勇敢にも立ち向かったが結果は惨敗。怪我をした竜を人々は癒してその礼として守ることを決意した。……今回の闇と何やら関係があるかもしれない。


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【スケジュール】
12月11日金曜日 18時

【ニャルの語り】

 やほやほ、ニャル様だよー
どうでもいいけどさ、この前の投稿のせいで作者がステーキを食べたくなったらしくていきなりなステーキを食べたんだってさ。
 あそこのステーキ、しつこくないし味も美味しいからいいよね……集ろうかなぁ。

 さてさて今回も来ていた質問に返答してくぜい!

@にゃるさん「日本の観光地だったらどこ行きたいですか」

 ふむぅ、地味に難しいね。普通なら東京や大阪、北海道とかだけど……え?愛知?あそこはビジネス目的ばっかだし、観光地が少ないからね。某ブロックなランドは大人が対象じゃなくて幼稚園とか小学生低学年の子が行くところだからね。
 まぁボクが行ったのはプレオープンの時だから今は知らないけど話を聞く限りだとあまり変わってなさそうだよね。

 おっと、質問からズレたね。ボクの行きたい観光地は夏の北海道かな?
 他と違って暑苦しいなんてことはないみたいだし、丁度良いよね。まぁ冬なら沖縄だね。あぁでも京都は京都でいいから……うーん、実に悩ましいね。もう化身を使って同時に行けばいいかな?

@にゃるさん「世界の某ウイルスはにゃるさんのせいですかそれとも他の邪神のせいですか?絶対邪神がいたずら心にばらまきそうだと思いましたwww」

 実際、作者も何処かの神が増えすぎた人間を減らすために放ったんじゃね?と思ったらしいね。
 ボクは違うよ?もっと面白くするから、まぁ何処かの邪神が放ったのはあながち間違いじゃないかもね?
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