マリーゴールド

Auguste

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第60幕 家族写真

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信じられない光景だった。
あのたぬきが……。
確かにあいつを疑って家に行った。
性格悪いなって思ってたし、殴りたいと思った。
だが、平然にあんなことをしていたなんて…。
ともは物語の答えを言った後から何も話さない。
さわちゃんはずっと下を向いている。
無理もない。
あいつに……。

両親を殺されてるんだ。

とにかく俺が警察に連絡しよう。

携帯を見るとあいつから10件以上電話がきてる。
ディスクをパクったことがバレたのか?
だがお前は終わりだ。
これを警察に渡そう。
窃盗で多少のお叱りはあるだろうが、これで解決だ。
親を殺されてるともはそう簡単に納得できないと思うが…。

ん?
あいつから写真が送られてきたな。
なんだ?



こ、これは………!
俺は急いで三重に連絡をした。

「おい!三重。」

「うっせぇな。」
「聞こえてるよ。」

「さっきの写真はどういうことだ。」

「おい……。なんかあったのか。」
ともに聞かれたが、今はそれどころじゃない。

「見ての通りさ。」
「お前の大事な奥さんと子供だよ。」
「まさか結婚してたなんてな!」

「なんで俺の家族を!」

「当たり前だろ?」
「お前あのディスク、パクっただろ?」

「失敗だったな。モニターでお前が来たこと知ってたから、万が一に備えてプレーヤーから抜いて隠したつもりだったんだが……。」


「………。」
いつかはバレると思っていたが、まさか家族が……。

「なんで俺の家を……。」

「ビッチの葬式のとき、久々にあったやつとSNSを交換してただろ?」
「それ探してお前のプロフィールに働いてるスタジオのリンクを見つけだんだ。」

「な……。」
まさか……

「そこの店長に警察を名乗って電話したんだ。」
「豪元さんは事件の容疑者の可能性があるとな。」
「協力のため、住所教えてくれって言ったら……。」
「あっさりと答えてくれたよ。」

「なっ……。」

「アホだよな。お前のところの店長。」
「海外のあるバーガーショップの事件しらねぇのか?」
「警察を名乗る一般人の言う通りに動いた店長が女性店員を裸にした話。」
「それに似てねえか?」

「………。」
「どうしてほしい?」

「もちろんディスクを返せ。」
「家族と交換だ。」
「あと小田も連れてこい。」

「ともは関係ねぇ!」

「嘘をつくなよ。」
「奥さんが話してくれたぞ。」
「泣きながらな。」

「お前……。」
殺してやりたい。

「友達の家にいるってな。」
「言わなくてもわかると思うが、警察への連絡は……。」
「ジ・エンドだ。」
電話が切れた。
俺は………。

「武。何があった?」
「家族に何があったんだ?」
「正直に言ってくれ!」

「妻と息子が……。」
写真を見せる。
下着姿で縛られて口を塞がれてる妻と椅子に縛られてる5歳の息子。

「奥さんと息子?」
ともには言ってなかった。
家族のことを……。

「これは……。」
ともが絶句する。
そう……。
綾葉と同じ状態なんだ。

「武!お前の家だろ?」
「すぐに行こう!」

「だがよ……。」
「お前を巻き込みたくは……。」
ともが俺の肩を掴む。

「親を殺されてるんだ!」
「黙っていられない。」
「それに友達の大事な家族が失うなんて……。」
「見たくないんだ……。」

「とも……。」
「ありがとう。」
「実は三重から連絡あってディスクと交換って言われたんだ。」
「ともも連れて来いって…。」

「わかった。すぐ行こう。」
「さわのことは何も言ってないんだよな?」

「ああ……。さわちゃんのことは気づいてないみたいだ。」

「よし…。」
「さわ。色々とありがとう。」
「でもお前は家で待っていてくれ。」

「なんでよ!私も……。」

「頼む!お前をこれ以上は……。」
「巻き込みたくないんだ……。」
あのともがさわちゃんの肩を掴みながら力強く言った。

「友和……。」
さわちゃんはこれ以上何も言わなかった。

「武行こう!」

「ああ!」
俺らはともの家を出た。
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