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カーテンコール キャストの設定解説
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終幕まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
ここでは登場人物の設定を解説をいたします。
ネタバレを含まれているため、終幕まで読んでいただいてから見ていただくことを推奨いたします。
全ての登場人物はよりリアルティを出すため、日本に実在する苗字や名前にしています。
その時の思いつきや中にはなんとなくで決めた人物もいます。
☆主要人物
1.小田友和
○解説
・この作品の主人公でもあり、容疑者の1人、私の考えや思いの代弁者。
そして信用できない語り部でもあります。
4つ目の事件までは彼に動機のある人物が殺されています。
小山の言う通り、アリバイは一切ありません。
どんでん返しで主人公が犯人なのでは?と友和自身も怪しい人物としました。
主に友和目線で物語が進みますが、その中で彼が思っていることや感じたことが描写されているかと思います。
その部分は私自身の今までの経験や見聞きして感じたことを友和を通して表しています。
そして信用できない語り部としてですが、上記にある通りこの物語は彼目線で進むことがほとんどです。
そのため彼に起こる悲惨な出来事を見て、悲劇の主人公に見えるかと思います。
しかし、あくまで彼目線の話。
よく揉め事が起きた際に、2人の話を別々で聞くとそれぞれが感じた、捉えたことを言うため、違いが生じることがよくあります。
物語中、友和の言い分のみが語られています。
浮気や裏切りをしていい理由になりませんが、綾葉や学とそんな関係になってしまったのも、何かしら友和側に原因があったとも言えます。
それに加えて、他人に無関心なところがあり、人のことをよく知ろうとしませんでした。
本名を言われるまで、大谷や大神のことを忘れていたのがその表れとなっています。
その上彼自身も認めていますが、自他ともに甘い部分があります。
例えば綾葉が家庭環境が良くなく、不自由だったからとホストへ行くのを許してしまっています。
あと喧嘩もしたくなかったのも理由にありました。
彼自身、真摯に自分の気持ちに正直にぶつかっていれば何か変わっていたかもしれません。
そのため彼にも落ち度があるため、絶対の被害者というわけではなく、他の登場人物と同様に信用できない人物として書きました。
・しかし彼が裏切られたことには変わりはありません。
人間は反省して成長すると言いますが、反省をしようとするとそれが後悔になり、余計に自分の心を苦しめてしまいます。
友和も自分は甘い人間だと自覚しており、過去を振り返り一層苦しむ姿があります。
何か改善しようにも思い出が苦しみになってしまうことを表しています。
・彼が好んで吸っているジャルムスーパーはタールが40mgある重いタバコです。
コンビニで売られていることはほとんど無く、タバコ屋で売られていることが多いです。
例えばコンビニで売られているタバコで1番タールが高いタバコでいうとピースはタールが28mgです。
友和が以前吸っていたタバコは14mgや17mg、21mgでした。
高いタールのタバコを常日頃から吸っていないとやっていられない友和の心情を表してます。
実際にジャルムスーパーは私も吸ったことがあるんですが、タール数の割には重みを感じない甘い味をしたタバコで、個人的には美味しいタバコだなと思いました。
ただし深く吸ったり、何本も吸うとやはり重みがガッと肺にくる感覚がします。
普段は他のタバコを愛煙してますが、時々吸いたくなるタバコです。
2.豪元武
○解説
・当初は学や綾葉、三重以外で学生時代の人物がいなかったため、もう1人増やそうと思って登場させた人物です。
現状事件の協力はしてはいるけど、卒業後に突然いなくなった人物でもあるため、彼も疑わしい人物として書きました。
・友和達がバンドメンバーだったということ設定は、武がいなくなった表向きの理由をミュージシャンにすると決めたのがきっかけです。
・この人物で表したことは多くあります。
一つ目は理想と現実。
人それぞれ、大人になったらこんな人になりたいやこんな異性と付き合って結婚したい等の理想があると思います。
ただ、それが現実として叶うとは限りません。
生きていく中で何かしらの要因で妥協してその道へ進むこともあるかと思います。
武は綾葉と友和と2人の人間を同時に愛してしまった。
でも現実的にその2人と結ばれるという理想が叶うわけがない。
そうして彼はそれを忘れようとして、皆の前から姿を消し、他の女性と結婚しました。
59幕で彼が語った「理想通りの道に進むとは限らない。」という言葉ですが、それは自分自身に当てはまった言葉と言えるでしょう。
・2つ目は恋愛観やセクシャリティー
彼は高校時代に綾葉と友和の2人を愛してしまいました。
浮気等であれば問題ですが、誰とも付き合っていないときに複数の人に好意を持ってしまうということもあるかと思います。
そのことで悩む苦悩を表しました。
そしてセクシャリティーについては彼の口から語られませんでしたが、バイセクシャルです。
世の中には異性愛だけでなく、同性同士の恋愛もあります。
ただそれを差別的に見たり、中にはそれを気持ち悪いと言う人間もいます。
人それぞれで誰かを好きになるのは自由かと思いますが、恋愛観の違いで辛い思いをされる方もいらっしゃいます。
彼が自分の口から言えなかったのは、世の中が現状そうであるからです。
差別があるからこそどんな状況でも打ち明けられない辛さを表しました。
・3つ目は偽りの英雄です。
彼は兄貴分のような存在で、学生時代は周りからも慕われ、今回の事件も武が率先して動いて友和を引っ張っていました。
しかし、裏では友和をマスコミにリークして弱っているところを自分が助け、友和の心が自分に向くようにしました。
弱っている人程堕としやすいと耳にしたことがあるかと思います。
学生時代は周りを引っ張っていたのも面倒を見ていたのは本心からですが、今回は自分の欲望のために卑怯な手段を使ってしまいました。
何かしら裏で仕組んだ上で讃えられる人がいるかと思います。
そんな偽りの英雄を表してます。
・武がリークしたマスコミについてですが、現実でも報道のやり方について問題視する声もあげられています。
相手のことを顧みず、余計に傷をつけるような質問を投げかける記者もいます。
相手は事件や事故にあわれた方の関係者やその家族、被災にあわれた方々です。
心無い質問がニュースで放送されて問題になったこともあります。
他に事件関係者、自殺された方の家族の自宅まで行ったり、張り込みする行為。
相手に非があるとはいえ、まるでいじめのような質問攻め。
相手によっては報道を控える等の問題があげられます。
良い報道で明るくなるのも事実ですし、明るみにならなかったことが表に出ることができた等、決してマイナスなことばかりではありません。
しかし行き過ぎた報道で人を傷をつけて問題になるのもまた事実であるため、過剰な報道方法で苦しめられる姿を表しました。
3.小山幸四郎
○解説
・モデルは2010年に放送されたドラマ『ストロベリーナイト』に登場した、武田鉄矢さん演じる勝俣健作、通称ガンテツです。
犯人検挙率が高いですが、時には裏金や相手に暴力を振るう等の手段を選ばない人物であり、主人公の姫川玲子の天敵として登場している人物です。
その反面、部下思いの一面も兼ね備えています。
小山の見た目や武闘派の面、手段を選ばない点等は、武田鉄矢さんのガンテツをイメージして書きました。
・彼は元々根は優しく正義感の強い人物で、自分が習ってきた武道が人の役に立てればと思い、警察官になりました。
しかしある一件で彼は変わってしまい、誰も信じず、手段を選ばない非情な人格へと変わってしまいました。
彼の過去等はまた別の機会に………。
・この人物で表したのは人を信用しないことや疑うことです。
23幕で彼の言った裏切られた人の負けという言葉があり、厳しい言い方ですが的を得た発言だと思います。
作中で法に触れていなければ傷つけられた側は泣きを見るという表現があります。
そんなことにならないために、人を多少なりとも疑うということも必要になってくると思います。
時には人の優しさが裏目に出てしまい、友和が言っていたようにその優しさが甘さとなってしまうこともあります。
ただし彼のように一切人を信用せず、疑い続けるというのも欠点になりうるかと思います。
彼は4つ目の事件までずっと友和を疑い続けました。
実際に友和は綾葉と学の関係等も知らず、ただアリバイが無かっただけです。
友和の両親が殺されたことでようやく他の目線に向きましたが、その時には後の祭りでした。
また彼は自分以外の人間を信用せず、自分の力で解決しようという面が見られます。
大鷲は使えないからとほとんど別で捜査していました。
そのため、大鷲は野放しで証拠隠滅や情報捜査がしやすいようになっていました。
実質大鷲は事件の共犯者でしたが、彼を信じて一緒に捜査していれば、もしかしたら大鷲のことに気づくことができたかもしれません。
23幕で武の「人を信じるということを学べきでは?」という言葉を笑って受け流した彼ですが、皮肉にも彼は人を信じることができず、1人の人間を疑い続けたため、事件解決を先延ばしにしてしまったと言えます。
・作中の彼は刑事として活躍する場面が少ないため、無能に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、彼のキャスト紹介であったように実績のある人物です。
ただ彼の今までのようなやり方が通じなかった、刑事が共犯であることや彼の欠点が大きく出てしまったことで解決することができなかったと言えるでしょう。
彼の今後の活躍にご期待ください。
☆7つの大罪
当初は実行犯の沙和子と共犯の大鷲のみでしたが、疑わしい登場人物を増やした際に、沙和子も両親のように情報を集めて誘導したという設定の方が面白いと思い、全員が実行犯となりました。
7つの大罪に当てはまるのは、実は偶然できたものです。
5番目の事件でベルゼブブを手かがりとしてだし、7つの大罪で1番重い罪である色欲の悪魔アスモデウスと沙和子が名乗る設定にした時、他の犯人達がそれぞれ7つの大罪に当てはまると思い、この要素も取り入れてみました。
その際に一部を除いて名前を変更し、それぞれの罪を象徴する動物や幻獣の名前等が入っています。
1.小田沙和子
○解説
・初期段階から今回の事件の犯人として書きました。
名前と事件を並行して考えたため、登場人物の中で1番最初に名前が決まった人物です。
小田家は沙和子→友和→和虎、友三の順で名前が決まりました。
・表向きはお兄ちゃん思いのツンデレ。
本性は究極のヤンデレサイコパスを目指しました。
ヤンデレのイメージだと、相手に対して重過ぎる恋愛感情が多いかと思います。
ただ沙和子の場合は兄に対して、幸せになるようにパートナーや友人ができるように望んでいたため、抱いていた感情は恋愛感情ではなく、強すぎる家族としての愛情を抱いた人物としました。
ヤンデレと聞くと恋愛面が多いため、家族愛にすることで他とは差別化が図れたかなと思います。
ただし、兄に求められた場合は普通に受け入れます。
・沙和子が生まれたのは両親が友和を守るためですが、沙和子があそこまで兄に対して抱いた感情は教育等のせいではなく、本心で兄を愛していました。
友和は幼い頃沙和子を可愛がっており、パズルを作って喜ばしたり、泣いている時はあやしたりしていました。
そんな優しい兄が大好きで自分も両親のように兄を守りたいと思うようになりました。
ただ、友和の周りの人間の黒い部分を知りすぎたことで、両親よりも猟奇的で残忍な性格になってしまいました。
皮肉にも殺された側が沙和子の残忍性に拍車をかけてしまったと言えます。
・表向きで冷たかったのは、友和が付き合った1番最初の彼女と綾葉が高飛車な性格であったからです。
兄は強気な女性が好きなんだろうと思い、自分もそのようにしました。
逆に友和との関係に溝が深まってしまいますが、本人は気づいていませんでした。
・7つの大罪の発想が浮かんだときも彼女も色欲を示す動物等の要素を名前に入れたかったんですが、上手くいかずこのままに…。
その点のみが心残りです……。
一応色欲を象徴するサキュバスのサが入っているということで………笑
2.小田和虎
○解説
・表には出さないけど、心の底では家族を愛する人物として書きました。
表に出ていない分、彼の過剰な家族愛がより恐ろしさとして表せたかなと思います。
・彼は幼い頃に両親を亡くしてしまい、親戚から見捨てられてしまいます。
ただし親戚側にも家族がおり、借金のことも含めもう1人面倒を見なければならないという経済的面も考慮すると難しい問題ではあったと思います。
もちろん和虎自身もそれを理解する程賢く、心優しい人物ではありましたが、実質見捨てられてしまったという結果に変わりはないので彼の心に傷を残してしまいました。
真に繋がりのある家族を求めていた一方で、自分にはできないだろうと諦めていましたが、自分のことを愛してくれる友三に出会ったことで家族を手にすることができました。
今まで辛いことばかりだったけどようやく掴んだ幸せ。
自身と同じく体が弱くて心優しい息子に、自分と同じような辛い目に合わせたくないと思っていました。
それで友和を守るために、ありとあらゆる方法で友和に傷を負わせたもの達を消していきました。
今回の事件の元凶であり、家族を愛するが故に自分のようになってほしくないという思いから道を踏み外してしまった人物です。
・この人物で表したのは血の繋がりだけが絶対ではないことです。
現実でも家族や親族間の問題や事件が多くあります。
虐待、DV、子供への強姦、殺人、遺産相続での揉め事、パラサイトシング等があげられるかと思います。
血が繋がっていると言っても、人それぞれ性格も考えも違う人間。
何かしらの要因で上記のようなことが起こってしまいます。
逆に血が繋がっていなくても、本物の親子や兄弟のような関係を築く方もいらっしゃるかと思います。
そのため、私は血の繋がりだけが全てでは無いと思っています。
・彼は息子の害になる人物を陥れてきましたが、会社での出世ではそのようなことは行っておらず、熱心に仕事をしていました。
大神の父親に関しては内心良きライバルだと思っていて、彼が過労で亡くなってしまったことに心を痛めていました。
・26幕で見ていた映画『シャッターアイランド』。
何故この映画を取り入れたかというと、後々友和が事件の物語にヒントが無いか模索することを表しています。
実際にシャッターアイランドでも暗号を元に刑事が試行錯誤し、謎を解こうとしています。
他にも別の意味も込められているんですが、映画のネタバレになってしまうためここでは割愛します。
・29幕で見ていた映画『遊星からの物体X』。
友和が語っていたように正体不明の異星人が人間や動物に取り憑き、登場人物達が疑心暗鬼になっていく映画です。
取り憑かれた人間は変形しない限り、人間と見分けがつきません。
そのため他の人間を拘束したり、立て篭ったり、武器を持つ人間まで出てきます。
異星人の奇怪さなどの恐怖も表現している一方で、誰も信じれなくなった人間模様も見事に表している作品だと思います。
人間誰しもが本性を隠していることや人を信じられなくなった友和を表すためにこの作品を取り入れました。
・65幕で彼が好んでいた映画『ビッグフィッシュ』。
主に父親の過去がメインで描写されていますが、この映画のテーマは父と息子の家族愛に満ちたお話です。
家庭環境が悲惨であった彼にとってこの映画は父親としての憧れとも言え、将来息子にも子供が出来たときにこんな父親になってほしいという思いから、この映画が1番好きな設定としました。
友和がこの映画を見たのは単純に和虎が好きな映画だったからというわけでなく、歪んだ愛情を向けられてたとはいえ、友和自身も心の底では父親を愛していたことを表しました。
・名前の由来は友和や沙和子の和と暴食を象徴する虎です。
自身の名前の1文字を子供に付けることで、子供に対する思いの強さを表しました。
3.小田友三
○解説
・表向きのイメージとしては、人の内面を見ることのできる心優しい人物として書きました。
和虎のように無口な人物は近寄りがたい印象が強いですが、彼が実は心優しい人物だと気づき、惹かれていきました。
彼女も愛する夫の間に生まれた友和を愛してます。
しかし彼女も夫の行動に賛同し、協力していました。
彼女自身も両親を早くに亡くしているため、自分が愛した男性と子供を守りたいという思いが強かったと言えます。
主に動いていたのは和虎で、友三は友和の身に起きたことを和虎に教えたり、近所で情報収集をしていました。
どちらかと言うと和虎の行動を見守る立場でした。
表の面でも裏の面でも家族を見守る優しさと、恐ろしさを併せ持った人物です。
・26幕で行方不明の学ではなく、友和を心配していました。
そこは行方不明の息子の友達を心配するのでは?と思われるかもしれないシーンですが、友三と和虎の本性を知ってから読み直すと、見方が変わってくるかと思います。
・和虎と友三が死ぬ理由ですが、当初は違う予定でした。
2通りあって、あまりにも事件を大きくしている沙和子のやり方に口出ししたから、沙和子が兄を守れるのは自分だけで2人を不要に感じたから殺されるという理由です。
しかしそれぞれの事件に実行犯がいる設定にしたこと、歪んでいるとはいえ家族仲が良好である沙和子が両親を殺すのはありえないと思い、ボツにしました。
そのかわりに和虎がどちらにしろ先が長くないため、Splatter Museumのトリを飾りたいという設定にしました。
お互いが殺し合った上に娘が死体を涙ながら解体するという、小田夫婦と沙和子の恐ろしさが際立ったと思っています。
・名前の由来は友和の友に暴食を象徴するケルベロスです。
ケルベロスは3つの頭を持つ地獄の番犬で、その3の数字を名前に入れました。
4.三重 二郎丸
・当初は学ではなく、彼が金庫の中に入れられて殺される予定の人物でした。
ただ、彼の人物像を考えていくうちに、綾葉に恨みを持つ人物として犯人の1人にしました。
ノータリンの結婚式以外では実際関わっていませんが、沙和子へ資金面等を援助していました。
刺された時に沙和子に言いかけた言葉が示すように、全ての事件は沙和子の犯行だと知っており、大鷲を除くと事件の真相に1番近かった人物だと言えます。
性格上、他の事件もニュースで知って、それを楽しんでいました。
・この人物で表したのは、お金が全てではないこととハングリー精神です。
彼はお金さえあればなんでもできると思い込んでいる人物です。
確かにお金さえあれば不自由ない暮らしができますし、好きなものを買うことができます。
それで友人や恋人もできて、結婚にも繋がることだってあるかと思います。
しかし人間関係においては真の意味で心の繋がりを得ることはできないと思っています。
実際に三重は綾葉から利用されて貢がされてます。
それに大神からは内心嫌われており、武や友和からも下の名前すら忘れられていました。
金の力だけでは良い人間関係は作れない。
時にはお金があることをいいことに利用する人だっている。
三重は最後までそれに気づくことができませんでした。
逆に長所としてはどんどん会社を大きくしようとするハングリー精神です。
彼は飲食関係だけではなく、化粧品や宿泊施設にも事業として展開しようとしました。
実際の企業でも別分野の事業を考えたり、元々の事業を飛躍させることで大きくなったところもあるかと思います。
彼はヘッドハンティングにも力を入れて、殺人事件のあった佐藤家の旅館も利用価値があると思い、買収しようとしていました。
そうした新たな発見や挑戦によって、この社会は周っています。
三重は負の面だけでなく、人間にとって必要だなと思う点も付け加えました。
・彼は残酷な描写のある作品を趣味としています。
64幕で彼が好んでいた作品等が原因だと報道されました。
現実でも事件が起こったときにそういったことがあります。
その映画や漫画に影響されたから、とあるミュージシャンの曲を聴いていたから等です。
何かに影響を受けた結果事件に繋がったことがあるのは事実です。
ただ私個人としては、作品や作り手には罪は無いのでは?と思っています。
どんな作品でもその人の趣味や気持ち、思いが込められています。
それを鑑賞してどう感じるかは個々の自由。
でもそれを現実で実行するのはその人自身の問題だと思います。
批判を受けた結果自由度がなくなり、規制をしすぎると表現の幅も狭くなってしまいます。
この場面は何かと作品に責任転嫁したり、過剰に反応する人間達を表しました。
・名前には強欲を象徴する動物や幻獣等を入れたかったんですが、事件の中に彼の名前を入れた後に7つの大罪の設定を思いついたため、途中で変更するのも付け加えるのも難しく……。
偶然ではありますが、強欲を象徴する悪魔のマモンは鳥の頭を2つもつ悪魔です。
友三の名前の由来とかぶってしまいますが、一応二の文字で表せたかなと思います。
ただ、納得できなかったので強欲を象徴する狸のような見た目で、武からもそう呼ばれるようにしました。
5.木原魚月
・当初は同棲中の彼女という設定でしたが、美喜男との関係性を強く表すために結婚している設定に変更しました。
魚月は愛する人と結ばれて、子供を産んで幸せに暮らすという自身の好きな恋愛小説のような幸せな家庭を望んでいました。
ただ、旦那は多くの女性と肉体関係を結んでおり、その理想が全て崩れ落ちてしまいました。
それに加えて妊娠したことをいつ伝えようかと思っていたときに知ってしまって、より一層絶望してしまい、犯行に及んでしまいました。
・この人物で表したかったのは、SNSで知り合っての結婚と不倫についてです。
近年だと恋愛目的以外のSNS等のツールで恋愛に発展することがあります。
もちろん上手くいくこともあれば、そのツールで他の人と浮気や何股かかけられてたなどをよく耳にしたこともあります。
そもそも本来の目的が異なるツールでの出会いは相手のことをよく知れないケースが多いです。
最悪の場合事件に発展することもあります。
魚月の場合は美喜男の本性を知らぬまま本気で愛してしまったため、不倫が発覚したときのショックが大きいものとなりました。
不倫についてですが、された側は心に大きな傷を負ってしまいます。
沙和子が語っていましたが、民事でお金が支払われて懐が厚くなったとしても、それが心の傷として残り、トラウマになる方もいらっしゃるんじゃないかと思います。
殺人という許されない行動ではありますが、不倫が原因で殺人事件に発展するケースも実際にあります。
本来愛し合って結婚した筈なのに、裏切られたことによって消えない傷を負う、事件に発展する可能性があると表した人物です。
・第64幕で美喜男の不倫相手達が週刊誌へ暴露したことが明かされました。
特に著名人の不倫が明らかにされるのは不倫相手の暴露が多い気がします。
その相手に対しての不満等で、匿名で暴露するケースがほとんどです。
ただし、そもそも既婚者相手と知りながら肉体関係を結んでしまった以上、完全なる被害者では無いのでは?
一般人であることや匿名であることを良いことに好き放題暴露してるけど、1番傷を負ってるのは不倫されたほうなのではないか?という私自身の疑問から書きました。
・名前は嫉妬を象徴すると言われる人魚が元になってます。
6.大神心
○解説
・容疑者の1人であり、友和と武に他の人物の情報源になる人物として登場させた人物です。
沙和子との接点を持たせるために、ソフトボールを習っていた設定にしました。
・友和とは小学校の時から一緒でしたが、特に絡みはありませんでした。
高校のときに優しい一面があることや自分の趣味を一緒に話してくれることがきっかけで、友和に好意を抱きました。
しかし自分以外に好意を持っている人物がいること、友和は心の底では綾葉に好意を持っているのでは?と思い、自信が持てずに諦めてしまいました。
大神は男女問わずに人気があり、クラスの人気者である学と成り行きで付き合うことになりました。
周りからみたら可愛いギャルと爽やかイケメンと理想なカップルでしたが、現実は真逆です。
学からの暴力に耐えられず別れましたが、動画を見せられ脅されてしまい、学のことを他言しませんでした。
・母親思いの彼女が高校卒業後に上京した理由は、大学へ通うために上京した友和の跡を追ったからです。
しかし友和は自身に暴力を振るい、動画で脅していた学と、一時期仲が良かったとはいえ、ほぼ絶縁状態の綾葉と仲が良かったです。
そんな状態であったため、彼女は気持ちを伝えることができませんでした。
高校からこっそりと友和の写真を撮っていましたが、その叶えられない気持ちから大学への侵入を行うなど、行動がエスカレートしてしまいました。
キャバクラで働いていたのは生活のため以外にも理由があり、夜以外で自由に行動できるようにするためです。
自分ではやってはいけない事だと理解していても、友和への思いの強さから止めることができませんでした。
月日は流れて友和は綾葉と付き合ってしまい、余計に後悔することとなりました。
自分に自信が持てず、周りの交友関係で気持ちを伝えられなかった悲しい恋心を表しました。
・作中で殺人と盗撮といったストーカー行為をしてしまった彼女ですが、根は真面目で良心を持った人物です。
歳が離れていてもOBとして後輩の練習を手伝ったり、母親の病気が早く治るように祈る面がそれを表しています。
実際に彼女は自責の念に駆られていました。
沙和子が起こした他の事件について気づいていたけど、自分も人殺しであるため何も言えなかった。
盗撮と人殺しをしてしまった自分は友和と結ばれる未来はない。
自分は人としてやってはいけないことをしてしまった。
でも捕まれば母親は加害者家族で飼い猫のすーはどうなるかわからない。
そんな良心の葛藤や叶えられない恋に苦しむ人物として書きました。
・彼女が行ってしまった盗撮やストーカー問題はかなり前からある問題です。
された側に恐怖を与え、最悪の場合は殺人までに繋がってしまいます。
たとえ相手に好意を抱いていたとしても過ぎた愛情は時に狂気となり、相手に恐怖を与えます。
実際撮られてた側の友和は恐怖を感じてました。
人に恋をするのは各々の自由と言いますが、ストーカーにまでなるとただ相手に恐怖を与えてしまうという面を表しました。
・彼女の源氏名であるたまもは作中であったように、狐の妖怪である玉藻前が元になってます。
日本三大妖怪の1人でもあり、人間の姿でいるときは天下一の美女と呼ばれた妖怪です。
もし妖怪好きの女の子が自身を妖怪と名乗るならと考えたときに、有名かつ美女という点から玉藻前のたまもを源氏名にしました。
近年では第6期ゲゲゲの鬼太郎で強大な力を持つ上に美女の姿をした敵として登場したため、ご存じの方も多いのではないかと思ったのも理由の一つです。
・ストラップとして付けていたアマビエですが、近年だと病が早く治るようにとブームになっていたことで、ご存知の方も多いのではないかと思います。
他だと第5期ゲゲゲの鬼太郎で主要人物の1人として登場していました。
彼女が妖怪好きという面や母親思いの面を表すために取り入れました。
・彼女の家に置いてあった妖怪のフィギュアは、可愛らしく馴染み深い妖怪を並べてみました。
最後のバックベアードですが、単純に私が好きな妖怪であったため出してみました笑。
バックベアードは黒い球体に一つの目を持つアメリカの妖怪です。
ゲゲゲの鬼太郎だと西洋妖怪の親玉、大統領、帝王等作品によって肩書きは変わりますが、西洋妖怪を率いる強大な敵として登場します。
「このロリコンどもめ!」という台詞が付けられたコラ画像が作られたことから、その点でも有名だも思います。
・名前は憤怒を象徴する狼が元になっています。
7.日東潮
○解説
・初期の構想では名無しの人物でしたが、係長がいるなら部長もメインで出したほうがいいのではないかと思い、名有りで出した人物です。
それと同時に友和が会社に入社した理由と、気まずさから転職しにくい理由付けにもなっている人物です。
草尾が典型的なパワハラ上司なら、日東は年齢を重ねるごとで出世し、何もしない他力本願な人物で、草尾とは別ベクトルで嫌な上司として書きました。
・この人物で表したの怠惰です。
彼はこれといった努力をしたわけではなく、自然に出世してしまった人物です。
それに加えて、会社の一室で自慰行為までしています。
それで上手くいってないからと大企業に楽して入ろうという気持ちや証拠を消してもらえるならと殺人事件を起こした他力本願な人物です。
彼の場合は過剰でありますが、少なからず楽してできるなら、誰かがやってくれるならという心理は誰しもあるかと思います。
そんな人間の心理を表しました。
・彼は友和のifの姿も表した人物とも言えます。
彼も付き合いで草尾化粧品に入社しました。
付き合いで入社してしまったこともあり、転職しようも気まずさから転職せず働き続けました。
友和も母親のこともあり、転職しづらい状況下にあったため、事件が無かったら日東のようにそのまま働き続けていたと思います。
・彼は振った相手の子供だからと適当な案内をした結果、友和は入社しました。
社長から強くあたられていた彼は、自分と同じ境遇を他人に味わせてしまったと言えるでしょう。
・猟奇的な方法で人を殺した日東ですが、主にど変態のギャグキャラにしました。
キャバクラの時や机に隠してあったもの等でそれを表してます。
・日東の変態的一面に関してですが、このことは友三は知りませんでした。
学生時代の彼はまだまともで優しい人物だったので、学友として仲は良かったのは事実です。
もし友三が変態嗜好の彼のことを知ったら幻滅していたでしょう。
・名前は怠惰を象徴すると言われる牛が元になっています。
8.大鷲 獅太
・よくフィクション作品でベテラン刑事と長身のイケメン刑事のコンビという印象があり、それをイメージして書いた人物です。
現代の技術はとても進歩しており、連続猟奇事件なんて現実だったらすぐに犯人を絞れるだろうと思い、それなら殺人現場をよく知っていて、証拠隠滅しやすい刑事という立場の人間を共犯にしました。
初期の段階から最後まで沙和子に尽くしますが、揉めてしまい殺されるという流れは決まっていました。
・表向きは破天荒な上司に頭を悩ます苦労人ですが、本性は鳥が動物を食べている写真や動画を撮る猟奇的一面を持った人物です。
また傲慢な一面も持ち合わせています。
内心小山も見下しており、沙和子に対しても手伝ってやっていると上から目線で接しています。
鳥が動物を食べているのを撮っていたのも、捕食者を自分が写真で収めているという優越感に浸っているからです。
彼が友和のことをお義兄さんと呼んだのは、誤字ではなく、沙和子に対しての過剰な思いの表れになっています。
もし家庭を持ったとしても、度が過ぎた亭主関白になっていたのではないかと思います。
・彼の家族は事件発覚後に自殺してしまいます。
他の加害者家族で表されているように、酷いバッシングを受けることになります。
現実では解雇された、結婚を破棄された、転居せざるを得なくなった等があります。
調べた中でも自殺を考えたという話が1番多かったです。
加害者家族へのバッシングで環境が悪かった、育て方を間違えてた等があります。
しかし本当に家族に罪はあるんでしょうか?
人の環境や育て方もそれぞれ違いがあり、他人から見て環境がよかった人物でも犯罪は起こします。
私個人の意見ですが、家族に罪は無いのでは?と思います。
被害者遺族が相手の家族に恨みを持つことは致し方ないとは思いますが、何故不特定多数の人間が過剰に叩くのかと疑問に思うことがあります。
そして叩かれた側もそれで命を落としてしまいます。
この場面は加害者家族の苦悩を表しました。
・名前の由来は傲慢を象徴するグリフォンです。
グリフォンは鷲の頭と獅子の体を持つ幻獣です。
その鷲と獅子が名前の元となっています。
☆殺された者達
事件の被害者ではありますが、彼ら達も多くの人間の闇を抱えた人物でもあります。
学を除いて、初期から事件の中で殺されることが決まっていた人物達です。
1.大沢綾葉
○解説
・典型的な悪女をイメージした人物です。
実際の彼女は寂しがり屋で、人と縁を切る一方で誰かがいないと不安になる依存体質なところがありました。
体の繋がりを求めてしまうのもそれを表しています。
しかし彼女は学生時代の友人でもあり、恋人の友和を裏切ってしまいます。
それ以外にも自分さえ良ければと他の人たちを弄んでは切り捨ててきました。
自由に生きるというのは良いことだと思いますが、時にはそれが身勝手となります。
彼女の場合は自由と身勝手を履き違えた人物と言えます。
・友和も思っていましたが、たとえ辛い家庭環境にいたとしても、全員がその痛みを人にはしないとは限りません。
中にはそれを利用する、誇張する人間だっています。
心の痛みを知っている人間が、自分の都合で他人にも心の傷を与えるという人間の身勝手さを表しています。
・たしかに高校時代は良き友人で当初はいい感じで付き合っていましたが、飽き性の彼女はホストへ行ってしまい、里部に惚れてしまいます。
浮気が許される問題ではありませんが、人間はその時の状況で簡単に心変わりをすることを表しています。
髪型や服装、髪色がよく変わるという設定は、何色にも染まりやすいという意味で表現しました。
・33幕で友和が大神と話しているときに、綾葉との会話を思い出すシーンがあります。
綾葉の体調を気遣った友和に対し「それ聞く?」と返されてしまいました。
それは綾葉が自宅でお尻を痛がっていたためです。
本当はこの会話の真相を出す予定でしたが、話の流れ的にカットしました。
何故彼女はお尻を痛がっていたのか………?
それはご想像にお任せします……。
2.里部翔馬
○解説
・見た目は良いけど、彼も身勝手で黒い一面を持った人物として書きました。
・彼は綾葉と対照的に普通の家庭環境で育った人物です。
両親が甘かったわけでもなく、厳しすぎたわけでもありません。
ただの反抗期と好きに生きていきたいと思い、上京しました。
・真逆の家庭環境に育った綾葉と里部ですが、行動は全て一緒です。
異性をたぶらかし、大麻にまで手を染めいます。
これは家庭環境が問題なのではなく、その人自身の問題であることを表しています。
・彼がローンで借金を背負っている設定があります。
実際に無闇にローンをした結果、借金してしまったというケースを耳にしたことがあります。
よくCMでご利用は計画的にという言葉をよく耳にします。
彼らのお金にだらしがない面と後々の事を考えないと苦労するという点も付け加えました。
3.木原美喜男
○解説
・魚月と結婚している以外は当初の設定から変更のない人物です。
表向きでは明るく人当たりが良いですが、内面は他者を見下した黒い感情を持ち合わせています。
・この人物で表したのカースト制度。
主に学校等で格差を表すスクールカーストというの耳にしたことがあるかと思います。
主に上位にいる人物はムードメーカーや運動部のエースで、下位は地味で目立たない人物やオタクと呼ばれる人達が挙げられています。
このスクールカーストはいじめにも繋がっており、上位の者が下位の者をいじめるといったことが起きています。
それが原因でいじめた側がやりすぎてしまった結果殺してしまったこと、逆にいじめられた側が復讐で殺人事件を起こしてしまったということがありました。
彼は学生時代運動部のエースで上位のクラスにいました。
運動部のエースだと周りを引っ張ってくれるリーダー的存在や、現状に満足せずに努力を続ける人もいます。
ただし、彼のように増長して他者を見下す人間もいることも事実です。
そして彼は友和の陰口を常日頃から言い、彼と綾葉の関係を社内で言いふらして楽しんでいました。
本来この性格なら周りから嫌われることもあるでしょう。
しかし彼は他の人物には人当たりが良く、成績がいいため、蝿川以外で不満に思う人物はいませんでした。
成績や実績が良ければ許されてしまう、下位の人間ならなんでもしていいという集団生活における人間の黒さを表しました。
・名前は自分の名前をキャッチフレーズにしている人物という設定で考えたときに、この名前になりました。
4.佐藤学
○解説
・初期から構想にあった人物ですが、当初の予定では事件を最後まで協力し、犯人まで辿り着きますが、学がマスコミや警察に友和の情報を流していました。
沙和子には大鷲を通じてバレており、射殺されるという流れでした。
しかし武を登場させた際に、武を友和の協力者にして、学は情報を流していた以上の裏切り行為を行っており、黒い部分を隠しもった人物という設定にしました。
・この人物で表したのは二面性です。
よく事件での被疑者についてのインタビュー等で、こんなことする人だとは思わなかった。と周りからそう見られていたのをよく目にします。
他だと著名人のスキャンダル等でこんな人だったなんて……と驚かれたり、悲しく思われた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
学は好青年という化けの皮を被り、女性に暴力を振るい、性行為をネットに晒す等のリベンジポルノまで行う、どす黒い本性を隠しており、友人であった友和や武も知りませんでした。
人間は表とは真逆に、黒い一面があると表した人物です。
綾葉と性行為を行っていましたが、友和に対しては罪悪感は持っていません。
綾葉とは友達の延長線上でそうなったから仕方ないと思っています。
現実でも浮気相手は罪悪感を持っていないケースが多いかと思います。
・学が行ったDVとリベンジポルノですが、よく現実で取り上げられる問題かと思います。
DVで体の傷は癒えたとしても、心の傷は中々癒えないことがあります。
時にはそれがトラウマになり、異性恐怖症になってしまうこともあります。
リベンジポルノはたとえ元を削除し、投稿した人物が分かったとしても、それを第三者が保存して他のサイトに投稿してしまい、完全な削除が難しく、デジタルタトゥーとして残ってしまいます。
今はネット社会で簡単に投稿ができて、人目に付きやすい時代です。
投稿された側はネットで晒し上げられてしまい、深い心の傷を負います。
それでも投稿した本人はもちろん、それを他に投稿する人間がいるのは事実で、それを面白がったり、性処理に使う人間の残酷さが表わになっている問題だと思います。
5.草尾晃香
○解説
・典型的なパワハラ上司をイメージして書きました。
過剰な部下への叱責や追い詰めるような言葉責めをし、プライベートではキャバクラに通ってその嬢と寝るという、どうしよもない人物にしました。
・この人物で表したのはパワハラ問題。
過剰な叱責、嫌がらせ、最悪な場合暴力等もあります。
それが原因で心を病んでまう人や仕事を辞めざるを得なかった人もいるかと思います。
ただしミスの軽い指摘等もパワハラだと思う人がいるなど、言った側も言われた側もそれぞれ感じ方が違うため、解決が難しい問題となっています。
しかし彼の場合は明らかなパワハラだろうという感じで書きました。
実際に友和はより傷を深めてしまうことになっています。
本来上司であれば、彼の悩みを聞き、どうやったら仕事が上手くいくのかを一緒に考える立場です。
上司でありながら、自分の出世のことしか考えない上司にしたくない上司を表しました。
・彼の叔父である社長は横領していた上に、倒産後逃げ出しました。
現実にも会社に問題があって、実は社長が会社のお金を好き放題使って逃げたという事例があります。
実際に草尾化粧品は少なからず問題があり、友和が過剰な残業を強いられて残業代は無しでした。
どちらにしろ、それがエスカレートして他の社員やお客さんにも何かしらの被害が出てしまい、草尾化粧品は長くなかったでしょう。
・名前の由来は手塚治虫先生の作品に登場するスカンク草井です。
手塚先生の作品で登場する人物は俳優で、様々な役柄で他作品に登場している設定です。
彼は主に小悪党から爆弾を用いたテロ行為を行う大悪人まで演じる俳優です。
性格等は主にチンピラ等の小悪党を演じることが多いハムエッグをイメージしました。
鼻の下にチョビヒゲがあり、それを草尾にも取り入れてみました。
☆事件に関与しなかった者たち
各々必要だと思い、考えた人物達です。
結果として事件に関与していませんでしたが、彼らも怪しい部分がある人物として書きました。
1.大沢亜蘭
○解説
・綾葉が両親と不仲の設定のため、葬式を後押しする人物として登場させました。
彼は姉のことを気遣っていた一方で実の両親のことも愛していました。
本来は家族全員で仲慎ましく暮らすことを望んでいましたが、姉に暴力を振るう父親、見て見ぬふりする母親、それに反抗する姉。
彼は板挟みになってしまい、精神的に負担を抱えてしまいました。
そんな中で姉は殺された上に、不特定多数の人間からバッシングを受けてしまいました。
自分が慕っていた姉が愛する両親だけでなく、身も知らずの人間から批判されている現状に耐えられず、入院してしまいました。
難ありの家族でも愛する心優しさが、返って自身の負担になってしまった悲しき人物として書きました。
・確かに綾葉や里部が行ったことは悪質だと言えます。
しかし家族には罪はありません。
中には怒りの矛先がないからと無関係の人物に牙が向かれることがあります。
その八つ当たりのような行為が人に精神的苦痛を味わせ、最悪の場合病気になってしまうことを表しました。
・彼のチック症という病気は意図せずにある動作等を繰り返し行ってしまう疾患です。
根本的な原因は解明されていないとのことですが、ストレスが要因になっていることが多いようです。
・趣味が絵描きとクラシックにしたのは、事件が見立てであることや運命に繋がることから、彼も疑わしい人物と匂わせるために設定しました。
2.蝿川陸雄
○解説
・最初の段階で木原以外の一般社員の人物がいなかったため、他の社員も出した方がいいと思い、出した人物です。
草尾が実際にいそうなパワハラ上司なら、蝿川は実際にいそうな頭はいいけど嫌味な先輩社員として書きました。
・この人物で表現したかったのは、営業成績による嫉妬や妬みです。
営業成績は数字で表されることが多く、他の社員同士で競っていることがあります。
たとえ社歴や年齢が上だろうと、下の者から抜かされてしまうこともあり、全て数字の世界です。
負けて悔しいけど頑張ろうと思う人もいれば、蝿川のように妬み、いなくなったらそれがいい気味と思ったり、チャンスだと思う人もいます。
今回の木原は殺されていなくなりましたが、実際に競争相手が一身上の都合で退職、ミスの責任で別の部署や支店に異動したことを喜ぶ人がいるかと思います。
実力では勝てないからとその人を妬み、いなくなったら喜ぶという負の面を表現した人物です。
・他には名前に蝿と陸、昆虫が好きという面から、5番目の事件が起きた時に、名前や趣味からもしかしてこの人が犯人かも?と疑いを向けさせる要素も含んでいます。
・彼女思いの面はこういうギャップがあってもいいかな?と思い付け加えました。
3.大谷幸代子
・元々は名前だけで登場させる予定はありませんでした。
第30幕で武から動機のある人物として名前があげられ、事件に隠された名前の頭文字がほぼ被ることからスケープゴートとして出した人物です。
ただ、パティシエという設定を考えた際に、実は友和と綾葉が行っていたお店で働いており、当時は気づかなかったけど終盤で再会するという流れにしました。
・この人物で表したのは、彼女が語っていたマリーゴールドの花言葉『変わらぬ愛』です。
店の名前や息子の名前が友和の友が由来になっていたり、2人の誕生花であるマリーゴールドを飾っていたりと人によっては少々重く捉えられてしまうと思います。
しかし彼女は、好きな人の一言で夢を見つけて、再会を望んでいた純粋な女の子として書きました。
ただ残念なことに同窓会は風邪で行けなかった上、偶然店にきた友和と綾葉を見て深く落ち込んでしまいました。
その時に手を繋いで楽しそうに話している2人を見て察してしまいました。
友和が選んだのはこの人なんだと……。
その時に好意を寄せられていた同僚からアプローチをかけられ一夜を共にし、子供ができたという設定です。
苗字を小田にしたのは友和が彼女の好意に気づくことができず、他の人を好きになってしまった結果、悲惨な目にあったという後悔をより一層表すためにそうしました。
また幸代子視点では、友和の側に綾葉はいなくなったけど、既に子供ができて結婚もしてしまった。
お互いに後悔しても過去は変えられないという面を表した人物です。
ここでは登場人物の設定を解説をいたします。
ネタバレを含まれているため、終幕まで読んでいただいてから見ていただくことを推奨いたします。
全ての登場人物はよりリアルティを出すため、日本に実在する苗字や名前にしています。
その時の思いつきや中にはなんとなくで決めた人物もいます。
☆主要人物
1.小田友和
○解説
・この作品の主人公でもあり、容疑者の1人、私の考えや思いの代弁者。
そして信用できない語り部でもあります。
4つ目の事件までは彼に動機のある人物が殺されています。
小山の言う通り、アリバイは一切ありません。
どんでん返しで主人公が犯人なのでは?と友和自身も怪しい人物としました。
主に友和目線で物語が進みますが、その中で彼が思っていることや感じたことが描写されているかと思います。
その部分は私自身の今までの経験や見聞きして感じたことを友和を通して表しています。
そして信用できない語り部としてですが、上記にある通りこの物語は彼目線で進むことがほとんどです。
そのため彼に起こる悲惨な出来事を見て、悲劇の主人公に見えるかと思います。
しかし、あくまで彼目線の話。
よく揉め事が起きた際に、2人の話を別々で聞くとそれぞれが感じた、捉えたことを言うため、違いが生じることがよくあります。
物語中、友和の言い分のみが語られています。
浮気や裏切りをしていい理由になりませんが、綾葉や学とそんな関係になってしまったのも、何かしら友和側に原因があったとも言えます。
それに加えて、他人に無関心なところがあり、人のことをよく知ろうとしませんでした。
本名を言われるまで、大谷や大神のことを忘れていたのがその表れとなっています。
その上彼自身も認めていますが、自他ともに甘い部分があります。
例えば綾葉が家庭環境が良くなく、不自由だったからとホストへ行くのを許してしまっています。
あと喧嘩もしたくなかったのも理由にありました。
彼自身、真摯に自分の気持ちに正直にぶつかっていれば何か変わっていたかもしれません。
そのため彼にも落ち度があるため、絶対の被害者というわけではなく、他の登場人物と同様に信用できない人物として書きました。
・しかし彼が裏切られたことには変わりはありません。
人間は反省して成長すると言いますが、反省をしようとするとそれが後悔になり、余計に自分の心を苦しめてしまいます。
友和も自分は甘い人間だと自覚しており、過去を振り返り一層苦しむ姿があります。
何か改善しようにも思い出が苦しみになってしまうことを表しています。
・彼が好んで吸っているジャルムスーパーはタールが40mgある重いタバコです。
コンビニで売られていることはほとんど無く、タバコ屋で売られていることが多いです。
例えばコンビニで売られているタバコで1番タールが高いタバコでいうとピースはタールが28mgです。
友和が以前吸っていたタバコは14mgや17mg、21mgでした。
高いタールのタバコを常日頃から吸っていないとやっていられない友和の心情を表してます。
実際にジャルムスーパーは私も吸ったことがあるんですが、タール数の割には重みを感じない甘い味をしたタバコで、個人的には美味しいタバコだなと思いました。
ただし深く吸ったり、何本も吸うとやはり重みがガッと肺にくる感覚がします。
普段は他のタバコを愛煙してますが、時々吸いたくなるタバコです。
2.豪元武
○解説
・当初は学や綾葉、三重以外で学生時代の人物がいなかったため、もう1人増やそうと思って登場させた人物です。
現状事件の協力はしてはいるけど、卒業後に突然いなくなった人物でもあるため、彼も疑わしい人物として書きました。
・友和達がバンドメンバーだったということ設定は、武がいなくなった表向きの理由をミュージシャンにすると決めたのがきっかけです。
・この人物で表したことは多くあります。
一つ目は理想と現実。
人それぞれ、大人になったらこんな人になりたいやこんな異性と付き合って結婚したい等の理想があると思います。
ただ、それが現実として叶うとは限りません。
生きていく中で何かしらの要因で妥協してその道へ進むこともあるかと思います。
武は綾葉と友和と2人の人間を同時に愛してしまった。
でも現実的にその2人と結ばれるという理想が叶うわけがない。
そうして彼はそれを忘れようとして、皆の前から姿を消し、他の女性と結婚しました。
59幕で彼が語った「理想通りの道に進むとは限らない。」という言葉ですが、それは自分自身に当てはまった言葉と言えるでしょう。
・2つ目は恋愛観やセクシャリティー
彼は高校時代に綾葉と友和の2人を愛してしまいました。
浮気等であれば問題ですが、誰とも付き合っていないときに複数の人に好意を持ってしまうということもあるかと思います。
そのことで悩む苦悩を表しました。
そしてセクシャリティーについては彼の口から語られませんでしたが、バイセクシャルです。
世の中には異性愛だけでなく、同性同士の恋愛もあります。
ただそれを差別的に見たり、中にはそれを気持ち悪いと言う人間もいます。
人それぞれで誰かを好きになるのは自由かと思いますが、恋愛観の違いで辛い思いをされる方もいらっしゃいます。
彼が自分の口から言えなかったのは、世の中が現状そうであるからです。
差別があるからこそどんな状況でも打ち明けられない辛さを表しました。
・3つ目は偽りの英雄です。
彼は兄貴分のような存在で、学生時代は周りからも慕われ、今回の事件も武が率先して動いて友和を引っ張っていました。
しかし、裏では友和をマスコミにリークして弱っているところを自分が助け、友和の心が自分に向くようにしました。
弱っている人程堕としやすいと耳にしたことがあるかと思います。
学生時代は周りを引っ張っていたのも面倒を見ていたのは本心からですが、今回は自分の欲望のために卑怯な手段を使ってしまいました。
何かしら裏で仕組んだ上で讃えられる人がいるかと思います。
そんな偽りの英雄を表してます。
・武がリークしたマスコミについてですが、現実でも報道のやり方について問題視する声もあげられています。
相手のことを顧みず、余計に傷をつけるような質問を投げかける記者もいます。
相手は事件や事故にあわれた方の関係者やその家族、被災にあわれた方々です。
心無い質問がニュースで放送されて問題になったこともあります。
他に事件関係者、自殺された方の家族の自宅まで行ったり、張り込みする行為。
相手に非があるとはいえ、まるでいじめのような質問攻め。
相手によっては報道を控える等の問題があげられます。
良い報道で明るくなるのも事実ですし、明るみにならなかったことが表に出ることができた等、決してマイナスなことばかりではありません。
しかし行き過ぎた報道で人を傷をつけて問題になるのもまた事実であるため、過剰な報道方法で苦しめられる姿を表しました。
3.小山幸四郎
○解説
・モデルは2010年に放送されたドラマ『ストロベリーナイト』に登場した、武田鉄矢さん演じる勝俣健作、通称ガンテツです。
犯人検挙率が高いですが、時には裏金や相手に暴力を振るう等の手段を選ばない人物であり、主人公の姫川玲子の天敵として登場している人物です。
その反面、部下思いの一面も兼ね備えています。
小山の見た目や武闘派の面、手段を選ばない点等は、武田鉄矢さんのガンテツをイメージして書きました。
・彼は元々根は優しく正義感の強い人物で、自分が習ってきた武道が人の役に立てればと思い、警察官になりました。
しかしある一件で彼は変わってしまい、誰も信じず、手段を選ばない非情な人格へと変わってしまいました。
彼の過去等はまた別の機会に………。
・この人物で表したのは人を信用しないことや疑うことです。
23幕で彼の言った裏切られた人の負けという言葉があり、厳しい言い方ですが的を得た発言だと思います。
作中で法に触れていなければ傷つけられた側は泣きを見るという表現があります。
そんなことにならないために、人を多少なりとも疑うということも必要になってくると思います。
時には人の優しさが裏目に出てしまい、友和が言っていたようにその優しさが甘さとなってしまうこともあります。
ただし彼のように一切人を信用せず、疑い続けるというのも欠点になりうるかと思います。
彼は4つ目の事件までずっと友和を疑い続けました。
実際に友和は綾葉と学の関係等も知らず、ただアリバイが無かっただけです。
友和の両親が殺されたことでようやく他の目線に向きましたが、その時には後の祭りでした。
また彼は自分以外の人間を信用せず、自分の力で解決しようという面が見られます。
大鷲は使えないからとほとんど別で捜査していました。
そのため、大鷲は野放しで証拠隠滅や情報捜査がしやすいようになっていました。
実質大鷲は事件の共犯者でしたが、彼を信じて一緒に捜査していれば、もしかしたら大鷲のことに気づくことができたかもしれません。
23幕で武の「人を信じるということを学べきでは?」という言葉を笑って受け流した彼ですが、皮肉にも彼は人を信じることができず、1人の人間を疑い続けたため、事件解決を先延ばしにしてしまったと言えます。
・作中の彼は刑事として活躍する場面が少ないため、無能に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、彼のキャスト紹介であったように実績のある人物です。
ただ彼の今までのようなやり方が通じなかった、刑事が共犯であることや彼の欠点が大きく出てしまったことで解決することができなかったと言えるでしょう。
彼の今後の活躍にご期待ください。
☆7つの大罪
当初は実行犯の沙和子と共犯の大鷲のみでしたが、疑わしい登場人物を増やした際に、沙和子も両親のように情報を集めて誘導したという設定の方が面白いと思い、全員が実行犯となりました。
7つの大罪に当てはまるのは、実は偶然できたものです。
5番目の事件でベルゼブブを手かがりとしてだし、7つの大罪で1番重い罪である色欲の悪魔アスモデウスと沙和子が名乗る設定にした時、他の犯人達がそれぞれ7つの大罪に当てはまると思い、この要素も取り入れてみました。
その際に一部を除いて名前を変更し、それぞれの罪を象徴する動物や幻獣の名前等が入っています。
1.小田沙和子
○解説
・初期段階から今回の事件の犯人として書きました。
名前と事件を並行して考えたため、登場人物の中で1番最初に名前が決まった人物です。
小田家は沙和子→友和→和虎、友三の順で名前が決まりました。
・表向きはお兄ちゃん思いのツンデレ。
本性は究極のヤンデレサイコパスを目指しました。
ヤンデレのイメージだと、相手に対して重過ぎる恋愛感情が多いかと思います。
ただ沙和子の場合は兄に対して、幸せになるようにパートナーや友人ができるように望んでいたため、抱いていた感情は恋愛感情ではなく、強すぎる家族としての愛情を抱いた人物としました。
ヤンデレと聞くと恋愛面が多いため、家族愛にすることで他とは差別化が図れたかなと思います。
ただし、兄に求められた場合は普通に受け入れます。
・沙和子が生まれたのは両親が友和を守るためですが、沙和子があそこまで兄に対して抱いた感情は教育等のせいではなく、本心で兄を愛していました。
友和は幼い頃沙和子を可愛がっており、パズルを作って喜ばしたり、泣いている時はあやしたりしていました。
そんな優しい兄が大好きで自分も両親のように兄を守りたいと思うようになりました。
ただ、友和の周りの人間の黒い部分を知りすぎたことで、両親よりも猟奇的で残忍な性格になってしまいました。
皮肉にも殺された側が沙和子の残忍性に拍車をかけてしまったと言えます。
・表向きで冷たかったのは、友和が付き合った1番最初の彼女と綾葉が高飛車な性格であったからです。
兄は強気な女性が好きなんだろうと思い、自分もそのようにしました。
逆に友和との関係に溝が深まってしまいますが、本人は気づいていませんでした。
・7つの大罪の発想が浮かんだときも彼女も色欲を示す動物等の要素を名前に入れたかったんですが、上手くいかずこのままに…。
その点のみが心残りです……。
一応色欲を象徴するサキュバスのサが入っているということで………笑
2.小田和虎
○解説
・表には出さないけど、心の底では家族を愛する人物として書きました。
表に出ていない分、彼の過剰な家族愛がより恐ろしさとして表せたかなと思います。
・彼は幼い頃に両親を亡くしてしまい、親戚から見捨てられてしまいます。
ただし親戚側にも家族がおり、借金のことも含めもう1人面倒を見なければならないという経済的面も考慮すると難しい問題ではあったと思います。
もちろん和虎自身もそれを理解する程賢く、心優しい人物ではありましたが、実質見捨てられてしまったという結果に変わりはないので彼の心に傷を残してしまいました。
真に繋がりのある家族を求めていた一方で、自分にはできないだろうと諦めていましたが、自分のことを愛してくれる友三に出会ったことで家族を手にすることができました。
今まで辛いことばかりだったけどようやく掴んだ幸せ。
自身と同じく体が弱くて心優しい息子に、自分と同じような辛い目に合わせたくないと思っていました。
それで友和を守るために、ありとあらゆる方法で友和に傷を負わせたもの達を消していきました。
今回の事件の元凶であり、家族を愛するが故に自分のようになってほしくないという思いから道を踏み外してしまった人物です。
・この人物で表したのは血の繋がりだけが絶対ではないことです。
現実でも家族や親族間の問題や事件が多くあります。
虐待、DV、子供への強姦、殺人、遺産相続での揉め事、パラサイトシング等があげられるかと思います。
血が繋がっていると言っても、人それぞれ性格も考えも違う人間。
何かしらの要因で上記のようなことが起こってしまいます。
逆に血が繋がっていなくても、本物の親子や兄弟のような関係を築く方もいらっしゃるかと思います。
そのため、私は血の繋がりだけが全てでは無いと思っています。
・彼は息子の害になる人物を陥れてきましたが、会社での出世ではそのようなことは行っておらず、熱心に仕事をしていました。
大神の父親に関しては内心良きライバルだと思っていて、彼が過労で亡くなってしまったことに心を痛めていました。
・26幕で見ていた映画『シャッターアイランド』。
何故この映画を取り入れたかというと、後々友和が事件の物語にヒントが無いか模索することを表しています。
実際にシャッターアイランドでも暗号を元に刑事が試行錯誤し、謎を解こうとしています。
他にも別の意味も込められているんですが、映画のネタバレになってしまうためここでは割愛します。
・29幕で見ていた映画『遊星からの物体X』。
友和が語っていたように正体不明の異星人が人間や動物に取り憑き、登場人物達が疑心暗鬼になっていく映画です。
取り憑かれた人間は変形しない限り、人間と見分けがつきません。
そのため他の人間を拘束したり、立て篭ったり、武器を持つ人間まで出てきます。
異星人の奇怪さなどの恐怖も表現している一方で、誰も信じれなくなった人間模様も見事に表している作品だと思います。
人間誰しもが本性を隠していることや人を信じられなくなった友和を表すためにこの作品を取り入れました。
・65幕で彼が好んでいた映画『ビッグフィッシュ』。
主に父親の過去がメインで描写されていますが、この映画のテーマは父と息子の家族愛に満ちたお話です。
家庭環境が悲惨であった彼にとってこの映画は父親としての憧れとも言え、将来息子にも子供が出来たときにこんな父親になってほしいという思いから、この映画が1番好きな設定としました。
友和がこの映画を見たのは単純に和虎が好きな映画だったからというわけでなく、歪んだ愛情を向けられてたとはいえ、友和自身も心の底では父親を愛していたことを表しました。
・名前の由来は友和や沙和子の和と暴食を象徴する虎です。
自身の名前の1文字を子供に付けることで、子供に対する思いの強さを表しました。
3.小田友三
○解説
・表向きのイメージとしては、人の内面を見ることのできる心優しい人物として書きました。
和虎のように無口な人物は近寄りがたい印象が強いですが、彼が実は心優しい人物だと気づき、惹かれていきました。
彼女も愛する夫の間に生まれた友和を愛してます。
しかし彼女も夫の行動に賛同し、協力していました。
彼女自身も両親を早くに亡くしているため、自分が愛した男性と子供を守りたいという思いが強かったと言えます。
主に動いていたのは和虎で、友三は友和の身に起きたことを和虎に教えたり、近所で情報収集をしていました。
どちらかと言うと和虎の行動を見守る立場でした。
表の面でも裏の面でも家族を見守る優しさと、恐ろしさを併せ持った人物です。
・26幕で行方不明の学ではなく、友和を心配していました。
そこは行方不明の息子の友達を心配するのでは?と思われるかもしれないシーンですが、友三と和虎の本性を知ってから読み直すと、見方が変わってくるかと思います。
・和虎と友三が死ぬ理由ですが、当初は違う予定でした。
2通りあって、あまりにも事件を大きくしている沙和子のやり方に口出ししたから、沙和子が兄を守れるのは自分だけで2人を不要に感じたから殺されるという理由です。
しかしそれぞれの事件に実行犯がいる設定にしたこと、歪んでいるとはいえ家族仲が良好である沙和子が両親を殺すのはありえないと思い、ボツにしました。
そのかわりに和虎がどちらにしろ先が長くないため、Splatter Museumのトリを飾りたいという設定にしました。
お互いが殺し合った上に娘が死体を涙ながら解体するという、小田夫婦と沙和子の恐ろしさが際立ったと思っています。
・名前の由来は友和の友に暴食を象徴するケルベロスです。
ケルベロスは3つの頭を持つ地獄の番犬で、その3の数字を名前に入れました。
4.三重 二郎丸
・当初は学ではなく、彼が金庫の中に入れられて殺される予定の人物でした。
ただ、彼の人物像を考えていくうちに、綾葉に恨みを持つ人物として犯人の1人にしました。
ノータリンの結婚式以外では実際関わっていませんが、沙和子へ資金面等を援助していました。
刺された時に沙和子に言いかけた言葉が示すように、全ての事件は沙和子の犯行だと知っており、大鷲を除くと事件の真相に1番近かった人物だと言えます。
性格上、他の事件もニュースで知って、それを楽しんでいました。
・この人物で表したのは、お金が全てではないこととハングリー精神です。
彼はお金さえあればなんでもできると思い込んでいる人物です。
確かにお金さえあれば不自由ない暮らしができますし、好きなものを買うことができます。
それで友人や恋人もできて、結婚にも繋がることだってあるかと思います。
しかし人間関係においては真の意味で心の繋がりを得ることはできないと思っています。
実際に三重は綾葉から利用されて貢がされてます。
それに大神からは内心嫌われており、武や友和からも下の名前すら忘れられていました。
金の力だけでは良い人間関係は作れない。
時にはお金があることをいいことに利用する人だっている。
三重は最後までそれに気づくことができませんでした。
逆に長所としてはどんどん会社を大きくしようとするハングリー精神です。
彼は飲食関係だけではなく、化粧品や宿泊施設にも事業として展開しようとしました。
実際の企業でも別分野の事業を考えたり、元々の事業を飛躍させることで大きくなったところもあるかと思います。
彼はヘッドハンティングにも力を入れて、殺人事件のあった佐藤家の旅館も利用価値があると思い、買収しようとしていました。
そうした新たな発見や挑戦によって、この社会は周っています。
三重は負の面だけでなく、人間にとって必要だなと思う点も付け加えました。
・彼は残酷な描写のある作品を趣味としています。
64幕で彼が好んでいた作品等が原因だと報道されました。
現実でも事件が起こったときにそういったことがあります。
その映画や漫画に影響されたから、とあるミュージシャンの曲を聴いていたから等です。
何かに影響を受けた結果事件に繋がったことがあるのは事実です。
ただ私個人としては、作品や作り手には罪は無いのでは?と思っています。
どんな作品でもその人の趣味や気持ち、思いが込められています。
それを鑑賞してどう感じるかは個々の自由。
でもそれを現実で実行するのはその人自身の問題だと思います。
批判を受けた結果自由度がなくなり、規制をしすぎると表現の幅も狭くなってしまいます。
この場面は何かと作品に責任転嫁したり、過剰に反応する人間達を表しました。
・名前には強欲を象徴する動物や幻獣等を入れたかったんですが、事件の中に彼の名前を入れた後に7つの大罪の設定を思いついたため、途中で変更するのも付け加えるのも難しく……。
偶然ではありますが、強欲を象徴する悪魔のマモンは鳥の頭を2つもつ悪魔です。
友三の名前の由来とかぶってしまいますが、一応二の文字で表せたかなと思います。
ただ、納得できなかったので強欲を象徴する狸のような見た目で、武からもそう呼ばれるようにしました。
5.木原魚月
・当初は同棲中の彼女という設定でしたが、美喜男との関係性を強く表すために結婚している設定に変更しました。
魚月は愛する人と結ばれて、子供を産んで幸せに暮らすという自身の好きな恋愛小説のような幸せな家庭を望んでいました。
ただ、旦那は多くの女性と肉体関係を結んでおり、その理想が全て崩れ落ちてしまいました。
それに加えて妊娠したことをいつ伝えようかと思っていたときに知ってしまって、より一層絶望してしまい、犯行に及んでしまいました。
・この人物で表したかったのは、SNSで知り合っての結婚と不倫についてです。
近年だと恋愛目的以外のSNS等のツールで恋愛に発展することがあります。
もちろん上手くいくこともあれば、そのツールで他の人と浮気や何股かかけられてたなどをよく耳にしたこともあります。
そもそも本来の目的が異なるツールでの出会いは相手のことをよく知れないケースが多いです。
最悪の場合事件に発展することもあります。
魚月の場合は美喜男の本性を知らぬまま本気で愛してしまったため、不倫が発覚したときのショックが大きいものとなりました。
不倫についてですが、された側は心に大きな傷を負ってしまいます。
沙和子が語っていましたが、民事でお金が支払われて懐が厚くなったとしても、それが心の傷として残り、トラウマになる方もいらっしゃるんじゃないかと思います。
殺人という許されない行動ではありますが、不倫が原因で殺人事件に発展するケースも実際にあります。
本来愛し合って結婚した筈なのに、裏切られたことによって消えない傷を負う、事件に発展する可能性があると表した人物です。
・第64幕で美喜男の不倫相手達が週刊誌へ暴露したことが明かされました。
特に著名人の不倫が明らかにされるのは不倫相手の暴露が多い気がします。
その相手に対しての不満等で、匿名で暴露するケースがほとんどです。
ただし、そもそも既婚者相手と知りながら肉体関係を結んでしまった以上、完全なる被害者では無いのでは?
一般人であることや匿名であることを良いことに好き放題暴露してるけど、1番傷を負ってるのは不倫されたほうなのではないか?という私自身の疑問から書きました。
・名前は嫉妬を象徴すると言われる人魚が元になってます。
6.大神心
○解説
・容疑者の1人であり、友和と武に他の人物の情報源になる人物として登場させた人物です。
沙和子との接点を持たせるために、ソフトボールを習っていた設定にしました。
・友和とは小学校の時から一緒でしたが、特に絡みはありませんでした。
高校のときに優しい一面があることや自分の趣味を一緒に話してくれることがきっかけで、友和に好意を抱きました。
しかし自分以外に好意を持っている人物がいること、友和は心の底では綾葉に好意を持っているのでは?と思い、自信が持てずに諦めてしまいました。
大神は男女問わずに人気があり、クラスの人気者である学と成り行きで付き合うことになりました。
周りからみたら可愛いギャルと爽やかイケメンと理想なカップルでしたが、現実は真逆です。
学からの暴力に耐えられず別れましたが、動画を見せられ脅されてしまい、学のことを他言しませんでした。
・母親思いの彼女が高校卒業後に上京した理由は、大学へ通うために上京した友和の跡を追ったからです。
しかし友和は自身に暴力を振るい、動画で脅していた学と、一時期仲が良かったとはいえ、ほぼ絶縁状態の綾葉と仲が良かったです。
そんな状態であったため、彼女は気持ちを伝えることができませんでした。
高校からこっそりと友和の写真を撮っていましたが、その叶えられない気持ちから大学への侵入を行うなど、行動がエスカレートしてしまいました。
キャバクラで働いていたのは生活のため以外にも理由があり、夜以外で自由に行動できるようにするためです。
自分ではやってはいけない事だと理解していても、友和への思いの強さから止めることができませんでした。
月日は流れて友和は綾葉と付き合ってしまい、余計に後悔することとなりました。
自分に自信が持てず、周りの交友関係で気持ちを伝えられなかった悲しい恋心を表しました。
・作中で殺人と盗撮といったストーカー行為をしてしまった彼女ですが、根は真面目で良心を持った人物です。
歳が離れていてもOBとして後輩の練習を手伝ったり、母親の病気が早く治るように祈る面がそれを表しています。
実際に彼女は自責の念に駆られていました。
沙和子が起こした他の事件について気づいていたけど、自分も人殺しであるため何も言えなかった。
盗撮と人殺しをしてしまった自分は友和と結ばれる未来はない。
自分は人としてやってはいけないことをしてしまった。
でも捕まれば母親は加害者家族で飼い猫のすーはどうなるかわからない。
そんな良心の葛藤や叶えられない恋に苦しむ人物として書きました。
・彼女が行ってしまった盗撮やストーカー問題はかなり前からある問題です。
された側に恐怖を与え、最悪の場合は殺人までに繋がってしまいます。
たとえ相手に好意を抱いていたとしても過ぎた愛情は時に狂気となり、相手に恐怖を与えます。
実際撮られてた側の友和は恐怖を感じてました。
人に恋をするのは各々の自由と言いますが、ストーカーにまでなるとただ相手に恐怖を与えてしまうという面を表しました。
・彼女の源氏名であるたまもは作中であったように、狐の妖怪である玉藻前が元になってます。
日本三大妖怪の1人でもあり、人間の姿でいるときは天下一の美女と呼ばれた妖怪です。
もし妖怪好きの女の子が自身を妖怪と名乗るならと考えたときに、有名かつ美女という点から玉藻前のたまもを源氏名にしました。
近年では第6期ゲゲゲの鬼太郎で強大な力を持つ上に美女の姿をした敵として登場したため、ご存じの方も多いのではないかと思ったのも理由の一つです。
・ストラップとして付けていたアマビエですが、近年だと病が早く治るようにとブームになっていたことで、ご存知の方も多いのではないかと思います。
他だと第5期ゲゲゲの鬼太郎で主要人物の1人として登場していました。
彼女が妖怪好きという面や母親思いの面を表すために取り入れました。
・彼女の家に置いてあった妖怪のフィギュアは、可愛らしく馴染み深い妖怪を並べてみました。
最後のバックベアードですが、単純に私が好きな妖怪であったため出してみました笑。
バックベアードは黒い球体に一つの目を持つアメリカの妖怪です。
ゲゲゲの鬼太郎だと西洋妖怪の親玉、大統領、帝王等作品によって肩書きは変わりますが、西洋妖怪を率いる強大な敵として登場します。
「このロリコンどもめ!」という台詞が付けられたコラ画像が作られたことから、その点でも有名だも思います。
・名前は憤怒を象徴する狼が元になっています。
7.日東潮
○解説
・初期の構想では名無しの人物でしたが、係長がいるなら部長もメインで出したほうがいいのではないかと思い、名有りで出した人物です。
それと同時に友和が会社に入社した理由と、気まずさから転職しにくい理由付けにもなっている人物です。
草尾が典型的なパワハラ上司なら、日東は年齢を重ねるごとで出世し、何もしない他力本願な人物で、草尾とは別ベクトルで嫌な上司として書きました。
・この人物で表したの怠惰です。
彼はこれといった努力をしたわけではなく、自然に出世してしまった人物です。
それに加えて、会社の一室で自慰行為までしています。
それで上手くいってないからと大企業に楽して入ろうという気持ちや証拠を消してもらえるならと殺人事件を起こした他力本願な人物です。
彼の場合は過剰でありますが、少なからず楽してできるなら、誰かがやってくれるならという心理は誰しもあるかと思います。
そんな人間の心理を表しました。
・彼は友和のifの姿も表した人物とも言えます。
彼も付き合いで草尾化粧品に入社しました。
付き合いで入社してしまったこともあり、転職しようも気まずさから転職せず働き続けました。
友和も母親のこともあり、転職しづらい状況下にあったため、事件が無かったら日東のようにそのまま働き続けていたと思います。
・彼は振った相手の子供だからと適当な案内をした結果、友和は入社しました。
社長から強くあたられていた彼は、自分と同じ境遇を他人に味わせてしまったと言えるでしょう。
・猟奇的な方法で人を殺した日東ですが、主にど変態のギャグキャラにしました。
キャバクラの時や机に隠してあったもの等でそれを表してます。
・日東の変態的一面に関してですが、このことは友三は知りませんでした。
学生時代の彼はまだまともで優しい人物だったので、学友として仲は良かったのは事実です。
もし友三が変態嗜好の彼のことを知ったら幻滅していたでしょう。
・名前は怠惰を象徴すると言われる牛が元になっています。
8.大鷲 獅太
・よくフィクション作品でベテラン刑事と長身のイケメン刑事のコンビという印象があり、それをイメージして書いた人物です。
現代の技術はとても進歩しており、連続猟奇事件なんて現実だったらすぐに犯人を絞れるだろうと思い、それなら殺人現場をよく知っていて、証拠隠滅しやすい刑事という立場の人間を共犯にしました。
初期の段階から最後まで沙和子に尽くしますが、揉めてしまい殺されるという流れは決まっていました。
・表向きは破天荒な上司に頭を悩ます苦労人ですが、本性は鳥が動物を食べている写真や動画を撮る猟奇的一面を持った人物です。
また傲慢な一面も持ち合わせています。
内心小山も見下しており、沙和子に対しても手伝ってやっていると上から目線で接しています。
鳥が動物を食べているのを撮っていたのも、捕食者を自分が写真で収めているという優越感に浸っているからです。
彼が友和のことをお義兄さんと呼んだのは、誤字ではなく、沙和子に対しての過剰な思いの表れになっています。
もし家庭を持ったとしても、度が過ぎた亭主関白になっていたのではないかと思います。
・彼の家族は事件発覚後に自殺してしまいます。
他の加害者家族で表されているように、酷いバッシングを受けることになります。
現実では解雇された、結婚を破棄された、転居せざるを得なくなった等があります。
調べた中でも自殺を考えたという話が1番多かったです。
加害者家族へのバッシングで環境が悪かった、育て方を間違えてた等があります。
しかし本当に家族に罪はあるんでしょうか?
人の環境や育て方もそれぞれ違いがあり、他人から見て環境がよかった人物でも犯罪は起こします。
私個人の意見ですが、家族に罪は無いのでは?と思います。
被害者遺族が相手の家族に恨みを持つことは致し方ないとは思いますが、何故不特定多数の人間が過剰に叩くのかと疑問に思うことがあります。
そして叩かれた側もそれで命を落としてしまいます。
この場面は加害者家族の苦悩を表しました。
・名前の由来は傲慢を象徴するグリフォンです。
グリフォンは鷲の頭と獅子の体を持つ幻獣です。
その鷲と獅子が名前の元となっています。
☆殺された者達
事件の被害者ではありますが、彼ら達も多くの人間の闇を抱えた人物でもあります。
学を除いて、初期から事件の中で殺されることが決まっていた人物達です。
1.大沢綾葉
○解説
・典型的な悪女をイメージした人物です。
実際の彼女は寂しがり屋で、人と縁を切る一方で誰かがいないと不安になる依存体質なところがありました。
体の繋がりを求めてしまうのもそれを表しています。
しかし彼女は学生時代の友人でもあり、恋人の友和を裏切ってしまいます。
それ以外にも自分さえ良ければと他の人たちを弄んでは切り捨ててきました。
自由に生きるというのは良いことだと思いますが、時にはそれが身勝手となります。
彼女の場合は自由と身勝手を履き違えた人物と言えます。
・友和も思っていましたが、たとえ辛い家庭環境にいたとしても、全員がその痛みを人にはしないとは限りません。
中にはそれを利用する、誇張する人間だっています。
心の痛みを知っている人間が、自分の都合で他人にも心の傷を与えるという人間の身勝手さを表しています。
・たしかに高校時代は良き友人で当初はいい感じで付き合っていましたが、飽き性の彼女はホストへ行ってしまい、里部に惚れてしまいます。
浮気が許される問題ではありませんが、人間はその時の状況で簡単に心変わりをすることを表しています。
髪型や服装、髪色がよく変わるという設定は、何色にも染まりやすいという意味で表現しました。
・33幕で友和が大神と話しているときに、綾葉との会話を思い出すシーンがあります。
綾葉の体調を気遣った友和に対し「それ聞く?」と返されてしまいました。
それは綾葉が自宅でお尻を痛がっていたためです。
本当はこの会話の真相を出す予定でしたが、話の流れ的にカットしました。
何故彼女はお尻を痛がっていたのか………?
それはご想像にお任せします……。
2.里部翔馬
○解説
・見た目は良いけど、彼も身勝手で黒い一面を持った人物として書きました。
・彼は綾葉と対照的に普通の家庭環境で育った人物です。
両親が甘かったわけでもなく、厳しすぎたわけでもありません。
ただの反抗期と好きに生きていきたいと思い、上京しました。
・真逆の家庭環境に育った綾葉と里部ですが、行動は全て一緒です。
異性をたぶらかし、大麻にまで手を染めいます。
これは家庭環境が問題なのではなく、その人自身の問題であることを表しています。
・彼がローンで借金を背負っている設定があります。
実際に無闇にローンをした結果、借金してしまったというケースを耳にしたことがあります。
よくCMでご利用は計画的にという言葉をよく耳にします。
彼らのお金にだらしがない面と後々の事を考えないと苦労するという点も付け加えました。
3.木原美喜男
○解説
・魚月と結婚している以外は当初の設定から変更のない人物です。
表向きでは明るく人当たりが良いですが、内面は他者を見下した黒い感情を持ち合わせています。
・この人物で表したのカースト制度。
主に学校等で格差を表すスクールカーストというの耳にしたことがあるかと思います。
主に上位にいる人物はムードメーカーや運動部のエースで、下位は地味で目立たない人物やオタクと呼ばれる人達が挙げられています。
このスクールカーストはいじめにも繋がっており、上位の者が下位の者をいじめるといったことが起きています。
それが原因でいじめた側がやりすぎてしまった結果殺してしまったこと、逆にいじめられた側が復讐で殺人事件を起こしてしまったということがありました。
彼は学生時代運動部のエースで上位のクラスにいました。
運動部のエースだと周りを引っ張ってくれるリーダー的存在や、現状に満足せずに努力を続ける人もいます。
ただし、彼のように増長して他者を見下す人間もいることも事実です。
そして彼は友和の陰口を常日頃から言い、彼と綾葉の関係を社内で言いふらして楽しんでいました。
本来この性格なら周りから嫌われることもあるでしょう。
しかし彼は他の人物には人当たりが良く、成績がいいため、蝿川以外で不満に思う人物はいませんでした。
成績や実績が良ければ許されてしまう、下位の人間ならなんでもしていいという集団生活における人間の黒さを表しました。
・名前は自分の名前をキャッチフレーズにしている人物という設定で考えたときに、この名前になりました。
4.佐藤学
○解説
・初期から構想にあった人物ですが、当初の予定では事件を最後まで協力し、犯人まで辿り着きますが、学がマスコミや警察に友和の情報を流していました。
沙和子には大鷲を通じてバレており、射殺されるという流れでした。
しかし武を登場させた際に、武を友和の協力者にして、学は情報を流していた以上の裏切り行為を行っており、黒い部分を隠しもった人物という設定にしました。
・この人物で表したのは二面性です。
よく事件での被疑者についてのインタビュー等で、こんなことする人だとは思わなかった。と周りからそう見られていたのをよく目にします。
他だと著名人のスキャンダル等でこんな人だったなんて……と驚かれたり、悲しく思われた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
学は好青年という化けの皮を被り、女性に暴力を振るい、性行為をネットに晒す等のリベンジポルノまで行う、どす黒い本性を隠しており、友人であった友和や武も知りませんでした。
人間は表とは真逆に、黒い一面があると表した人物です。
綾葉と性行為を行っていましたが、友和に対しては罪悪感は持っていません。
綾葉とは友達の延長線上でそうなったから仕方ないと思っています。
現実でも浮気相手は罪悪感を持っていないケースが多いかと思います。
・学が行ったDVとリベンジポルノですが、よく現実で取り上げられる問題かと思います。
DVで体の傷は癒えたとしても、心の傷は中々癒えないことがあります。
時にはそれがトラウマになり、異性恐怖症になってしまうこともあります。
リベンジポルノはたとえ元を削除し、投稿した人物が分かったとしても、それを第三者が保存して他のサイトに投稿してしまい、完全な削除が難しく、デジタルタトゥーとして残ってしまいます。
今はネット社会で簡単に投稿ができて、人目に付きやすい時代です。
投稿された側はネットで晒し上げられてしまい、深い心の傷を負います。
それでも投稿した本人はもちろん、それを他に投稿する人間がいるのは事実で、それを面白がったり、性処理に使う人間の残酷さが表わになっている問題だと思います。
5.草尾晃香
○解説
・典型的なパワハラ上司をイメージして書きました。
過剰な部下への叱責や追い詰めるような言葉責めをし、プライベートではキャバクラに通ってその嬢と寝るという、どうしよもない人物にしました。
・この人物で表したのはパワハラ問題。
過剰な叱責、嫌がらせ、最悪な場合暴力等もあります。
それが原因で心を病んでまう人や仕事を辞めざるを得なかった人もいるかと思います。
ただしミスの軽い指摘等もパワハラだと思う人がいるなど、言った側も言われた側もそれぞれ感じ方が違うため、解決が難しい問題となっています。
しかし彼の場合は明らかなパワハラだろうという感じで書きました。
実際に友和はより傷を深めてしまうことになっています。
本来上司であれば、彼の悩みを聞き、どうやったら仕事が上手くいくのかを一緒に考える立場です。
上司でありながら、自分の出世のことしか考えない上司にしたくない上司を表しました。
・彼の叔父である社長は横領していた上に、倒産後逃げ出しました。
現実にも会社に問題があって、実は社長が会社のお金を好き放題使って逃げたという事例があります。
実際に草尾化粧品は少なからず問題があり、友和が過剰な残業を強いられて残業代は無しでした。
どちらにしろ、それがエスカレートして他の社員やお客さんにも何かしらの被害が出てしまい、草尾化粧品は長くなかったでしょう。
・名前の由来は手塚治虫先生の作品に登場するスカンク草井です。
手塚先生の作品で登場する人物は俳優で、様々な役柄で他作品に登場している設定です。
彼は主に小悪党から爆弾を用いたテロ行為を行う大悪人まで演じる俳優です。
性格等は主にチンピラ等の小悪党を演じることが多いハムエッグをイメージしました。
鼻の下にチョビヒゲがあり、それを草尾にも取り入れてみました。
☆事件に関与しなかった者たち
各々必要だと思い、考えた人物達です。
結果として事件に関与していませんでしたが、彼らも怪しい部分がある人物として書きました。
1.大沢亜蘭
○解説
・綾葉が両親と不仲の設定のため、葬式を後押しする人物として登場させました。
彼は姉のことを気遣っていた一方で実の両親のことも愛していました。
本来は家族全員で仲慎ましく暮らすことを望んでいましたが、姉に暴力を振るう父親、見て見ぬふりする母親、それに反抗する姉。
彼は板挟みになってしまい、精神的に負担を抱えてしまいました。
そんな中で姉は殺された上に、不特定多数の人間からバッシングを受けてしまいました。
自分が慕っていた姉が愛する両親だけでなく、身も知らずの人間から批判されている現状に耐えられず、入院してしまいました。
難ありの家族でも愛する心優しさが、返って自身の負担になってしまった悲しき人物として書きました。
・確かに綾葉や里部が行ったことは悪質だと言えます。
しかし家族には罪はありません。
中には怒りの矛先がないからと無関係の人物に牙が向かれることがあります。
その八つ当たりのような行為が人に精神的苦痛を味わせ、最悪の場合病気になってしまうことを表しました。
・彼のチック症という病気は意図せずにある動作等を繰り返し行ってしまう疾患です。
根本的な原因は解明されていないとのことですが、ストレスが要因になっていることが多いようです。
・趣味が絵描きとクラシックにしたのは、事件が見立てであることや運命に繋がることから、彼も疑わしい人物と匂わせるために設定しました。
2.蝿川陸雄
○解説
・最初の段階で木原以外の一般社員の人物がいなかったため、他の社員も出した方がいいと思い、出した人物です。
草尾が実際にいそうなパワハラ上司なら、蝿川は実際にいそうな頭はいいけど嫌味な先輩社員として書きました。
・この人物で表現したかったのは、営業成績による嫉妬や妬みです。
営業成績は数字で表されることが多く、他の社員同士で競っていることがあります。
たとえ社歴や年齢が上だろうと、下の者から抜かされてしまうこともあり、全て数字の世界です。
負けて悔しいけど頑張ろうと思う人もいれば、蝿川のように妬み、いなくなったらそれがいい気味と思ったり、チャンスだと思う人もいます。
今回の木原は殺されていなくなりましたが、実際に競争相手が一身上の都合で退職、ミスの責任で別の部署や支店に異動したことを喜ぶ人がいるかと思います。
実力では勝てないからとその人を妬み、いなくなったら喜ぶという負の面を表現した人物です。
・他には名前に蝿と陸、昆虫が好きという面から、5番目の事件が起きた時に、名前や趣味からもしかしてこの人が犯人かも?と疑いを向けさせる要素も含んでいます。
・彼女思いの面はこういうギャップがあってもいいかな?と思い付け加えました。
3.大谷幸代子
・元々は名前だけで登場させる予定はありませんでした。
第30幕で武から動機のある人物として名前があげられ、事件に隠された名前の頭文字がほぼ被ることからスケープゴートとして出した人物です。
ただ、パティシエという設定を考えた際に、実は友和と綾葉が行っていたお店で働いており、当時は気づかなかったけど終盤で再会するという流れにしました。
・この人物で表したのは、彼女が語っていたマリーゴールドの花言葉『変わらぬ愛』です。
店の名前や息子の名前が友和の友が由来になっていたり、2人の誕生花であるマリーゴールドを飾っていたりと人によっては少々重く捉えられてしまうと思います。
しかし彼女は、好きな人の一言で夢を見つけて、再会を望んでいた純粋な女の子として書きました。
ただ残念なことに同窓会は風邪で行けなかった上、偶然店にきた友和と綾葉を見て深く落ち込んでしまいました。
その時に手を繋いで楽しそうに話している2人を見て察してしまいました。
友和が選んだのはこの人なんだと……。
その時に好意を寄せられていた同僚からアプローチをかけられ一夜を共にし、子供ができたという設定です。
苗字を小田にしたのは友和が彼女の好意に気づくことができず、他の人を好きになってしまった結果、悲惨な目にあったという後悔をより一層表すためにそうしました。
また幸代子視点では、友和の側に綾葉はいなくなったけど、既に子供ができて結婚もしてしまった。
お互いに後悔しても過去は変えられないという面を表した人物です。
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