八卦は未来を占う

ヒタク

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第二章 現象①

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 雫から説明を受けた次の日の放課後。俺たちは昨日家で食事をした三人に加え、不思議なことに目がない寛太を入れた四人で夢の家に向かっていた。

「本当にワクワクするぜ……。まさかこんな不思議で面白そうなことが近場で起こったなんて……!」

 隠しきれない嬉しさが混じる声を漏らす寛太。その様子を見た千歳が寛太から距離を取りながら頷き同意した。時折、手帳のようなものに素早く何かを書き加えている。……後で寛太に千歳の本を見せてみようかな。

「本当にそんなことが起きているのかしら?」

 半信半疑な千歳が言う。それを聞いた雫が首肯する。

「本当のようですよ。夢の話を聞く限り、不思議なことが起きたことには間違いないかと思います」

「夢ちゃんが嘘を言っている可能性は?」

「そんなことはありえません!」

 強く否定する雫。親友を疑われたことで過剰に反応しているようだ。

「わるいわるい」

 雫の剣幕に驚きつつも謝る寛太。

「でも、そんなことが起こるなんてあり得るのかなぁ」

「千歳さん! 夢のことを信じないつもりですか!」

「雫、落ち着けって。それを確かめるために見に行っているんだろう?」

「それはそうですけど……」

まだ不満は残っているようだが、雫の怒りはいったん収まったようだ。

「まあ、いいじゃねえか! 早く行こうぜ!」

「そうそう! 行ってみれば本当かどうかなんてすぐに分かるよ! ……まあ、夢ちゃんは嘘を言うような子じゃないもんね」

「それもそうですね。早く向かいましょう」

 寛太と千歳に促され、雫は先ほどよりも速く歩き始めた。

「それにしても毎回思うんだけど、結構夢ちゃんの家は離れているよねえ」

 自転車を押しながら千歳が言う。夏のせいか、夕方となっても蒸し暑い。手で拭ってはいたが、千歳の額には汗の粒が浮かんでいた。いつもなら自転車を使って移動するのだが、今回は歩いていた。千歳の自転車がパンクしてしまったからだ。

「俺が乗せていこうか?」

 俺は左手で自身の自転車を押さえながら、右手を千歳に差し伸べた。

「え? いいよ。それに圭くんも自分の自転車があるから、私の自転車が邪魔になっちゃうじゃない」

「別にいいって。俺の自転車は寛太に押させればいいし」

「おい、圭!」

 寛太が文句を言っているが、気にせずに千歳へ手を向ける。

「じゃ、じゃあ。お願い、しちゃおっかな……」

「おう、任せておけ」

 千歳が下を向きつつ、言った言葉を聞くや否や俺は千歳を自転車の方へ引っ張った。

「きゃっ」

 千歳が小さな悲鳴を上げたすぐ後、

「ぐえっ」

 寛太が変な声を漏らす。どうやら千歳が押していた自転車がちょうど寛太の腹に押し込まれる形になってしまっていたようだ。
 俺の自転車に座った千歳は笑っていた。

「……本当に仲がいいですね」

「えへへ。羨ましい?」

「…………」

「怒らない怒らない」

 無言で雫は自転車にまたがり、漕ぎ始めた。

「お、おい!」

「よし! 圭くんもいこー」

 俺は雫を追いかけるべく、千歳を乗せたまま自転車をこぎ始めた。

「お前ら……。本当に俺に押し付けるつもりかよ!」

 寛太が千歳の自転車と自身のものを掴みながら何か言うのが聞こえる。
 その声を無視して俺たちは進むのであった。
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