八卦は未来を占う

ヒタク

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三章 事件①

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 昨日のお礼を言おうと学校にいつもより早めに登校した俺だが、八卦はまだ登校していなかった。

「早く来すぎたのか……?」

「何が早く来すぎたっていうんだよ、圭」

 声とともに背中をたたかれる。振りむけば、そこには寛太がいた。

「そうだよ、圭くん。私たち待ちわびていたんだからね。遅刻しなかったとはいえ、もうHRまで時間がほとんどないじゃない!」

 千歳も近づいてきた。待ちわびていたというのは夢のことだろう。

「ごめん。二人に連絡するのを忘れていたよ」

「圭くんのバカ! 本当に心配していたんだからね……?」

「今回ばかりはお前に非があるぞ。千歳のやつ、本気で泣きそうに……ぐぇ」

 言葉の途中で寛太の首が締められ、意識が落とされた。

「あはは。気にしないでね!」

 目の前で起こされた凶行と千歳の笑う顔がひどく恐怖を誘い、俺は激しく首を縦に振った。

「それより、夢ちゃんは大丈夫なの? そもそも何が起きたの?」

「ああ、それは……」

 俺は迷った。もともと夢が嘘をついていないと思っていた千歳だ。夢の家に行く前の情報から何か不思議なことが起こったと思ってはいるだろう。
 それでも、昨日起きたことはあまりにも信じられないことばかりだった。それこそ、俺もいまだに昨日の出来事が本当に起きたのか疑わしく思ってしまうほどだ。

「なになに? 一体何があった――」

「お前ら、席につけ」

 千歳が聞こうと近づいてきたところで教師が来てしまった。

「くぅ。絶対に後で教えてよ!」

「あ、ああ」

 千歳は悔しそうに言うと自分の席へと戻って行った。

「かはっ」

 途中で勢いよく踏まれた寛太の声が漏れた。……痙攣しているが、平気なんだろうか。
 寛太のことを目に入れないようにしながら教師はHRを進めていく。
 あらかた話し終えた教師の話を聞き流し、俺は外を見た。

「いつ来るんだろ……」

 ほとんど声にならないぐらい小さく呟く。
 そして、俺は後ろの席を見た。

「ああ、そうそう。八卦だが、今日は休むそうだ」

「え! 八卦ちゃんに何かあったんですか?」

 すかさず千歳が訊く。

「詳しくは分からないんだが、なんでも具合が悪いらしいんだ。それで大事を取って休むとのことだ」

「具合が……?」

「どうした、上杉? 何か気になることでもあるのか?」

「いえ、なんでもないです」

 そうか、と教師は返した後、普段通りにHRを終わらせた。
 俺は教師が教室を出て行ったあとも八卦のことを考えていた。
 八卦の具合が悪い。そう聞いた時、八卦の昨日の様子が目に浮かんだ。

「やっぱりあの時の……」

「何か知っているのか、圭?」

 俺の声に反応した寛太が訊ねてくる。

「あ、ああ……」

「八卦さんともう仲が良くなっていたからな。やっぱりお前が一番知っていると思ったが、間違いないようだな」

「そんなのじゃねえって」

 茶化してくる寛太。その横で少しだけ心配そうな千歳がいた。

「もしかして、昨日の夢ちゃんと関係があるの……?」

 恐る恐るといった様子で聞いてくる千歳。相当、夢のことが心配になっているらしい。
 その様子を見た俺は二人に夢のことを話すことにした。
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