黒き邪神と呪われし者(ファンタズマ)

神酒 佐久良

文字の大きさ
1 / 11

入学?

しおりを挟む
「入学おめでとうございます」

 スピーカーから理事長の声がホール全体に響き渡る。
 新入生は皆椅子におとなしく座って、理事長や先生などの人たちの話を聞いている。
 先生などの話が終わり、みんなホールから出て自分たちの教室へ向かう。

「兄さん、これからの学園生活楽しみだね」

 すごくうれしげに少し自分より背の高い兄のアレンに話す。

「そうだな、アリス」

 軽く微笑みながら答える。
 そして、二人は一緒に教室へと向かう。



 教室からはいろいろな人のしゃべり声が廊下まで聞こえてきた。
 楽しげな声を聴いてアリスは嬉しそうに教室の扉を開ける。
 すると、さっきまでのにぎやかなしゃべり声が消えて視線が二人の方に集まった。
 アリスは、みんなの態度を見て嬉しそうにしていた顔が消えてどこかおびえていた。

「アリス席に行くぞ」

 と、無言のアリスの手を引っ張り、後ろの席に座った。
 みんなはまたしゃべりだしたが、時々二人の方を見ながらしゃべる。
 すると一人の男が二人のそばに寄ってきた。

「お前が邪神に呪われてるアレンか?」

 男はアレンに本人かどうかを確かめる。

「ああ、そうだけど、お前は?」

「俺はソラだ。そっちの子がアリスちゃんだよな」

「はい、そうです」

 アレンは少し警戒する。

「で、なんのようだ?」

「同じファンタズマだしなかよくしたいなって」

「お前もファンタズマなのか?」

「そうだぜ、俺は鬼だ」

 アレンは、初めて同じ境遇にあったものと会うことが出来て少しうれしく思い警戒を解いた。

「お前ら、全員席につけよ」

 そう言いながら、先生が教室に入ってきた。

「またあとでな」

 ソラは、そう言って席に戻る。
 みんなも自分の席に戻った。

「え~っと、今日からこのクラスの担任になったクロだ。それなりに知識はある方だから、質問やわからないことがあれば何でも聞いてくれ」

「質問良いですか?」

 ソラが手を上げながら言う。

「いいぞ」

「先生は強いんですか?」

「魔力量はそこまで高くはないが、実力だけなら強い方だと思うぞ」

「そうですか、ありがとうございました」

 そう言い、ソラは椅子に座る。

 だが、ソラは不満そうな顔をしていた。

「質問はないか、ないなら自己紹介をしてもらう」

 アレンの座っている席の反対側から自己紹介をしていく。

 みんなの自己紹介が終わり、アレンの番が来た。

「ファンタズマのアレンです。妹の使い魔としてこの学校に来ました。以上です」

 そう言って椅子に座る。

「君は、入学するつもりはないのか?」

 急に先生が質問する。

「別に、興味ありません」

「強くなりたいとは思わないのか?」

「今のままでも十分です」

「だったら、試してみるか?」

 先生は少し笑いながら言う。

「なにを?」

「君の力で妹を守り切れるのかを」

 アレンは、先生の言葉に少し怒りを覚えた。

「いいですよ」

 そう言って、二人は教室を出た。
 みんなはざわつきながら二人の後を追う。



 二人の向かった先は実習などで使うためのバトルルームだった。
 みんなは、観戦室から二人を見ている。

『準備はいいですか』

 と、アナウンスが入る。
 二人が戦うステージは、障害物が一切ない草原地帯である。
 そして、カウントダウンが始まる。

『戦闘開始』

 聞こえた瞬間アレンは全速力で速攻をかける。

「遅いな」

 先生は軽々とよける。
 アレンは攻撃し続けるがすべて交わされる。
 このままではだめだと思いアレンは距離をとる。
 すると、先生はにやりと笑いながら、

「そんなに遠くで良いのか?」

 そう言いながら右手を前に出す。
 急に先生の手のひらから電撃がアレンに向かって飛んでいく。
 アレンは急なことで回避が遅れて電撃が直撃する。

「なんで魔法が使えるんだ!?」

 驚きながらアレンが叫ぶ。

「魔道具を使っただけだ」

「魔道具だと?」

 アレンも魔道具を知らないわけではない、だがアレンの知っている魔道具は武器などの形状をしている。そのため、手のひらを出しただけで電撃を放っているようにしか見えずアレンは驚いた。

「魔道具にはいろいろあって、指輪やピアスなどのアクセサリの形のものもある。だけど、扱いが難しいからあまり使われることはないな」

 授業をするかのように先生は余裕な表情をしながら語る。
 そんな態度の先生に、アレンはイラついて真正面から突撃する。
 だが、さっきと同じようにすべての攻撃をかわされる。
 すきを見て先生はアレンを右手で押すように吹き飛ばす。

「痛って~」

 壁にぶつかりアレンは座り込む。

「もう終わりか?」

「まだいける!」

 アレンは痛いのを我慢しながら立ち上がる。

「なら、封印を解けよ」

 唐突に先生が真剣な顔で言う。

「な、なんでお前がそれを知っている」

 アレンは誰にも言っていないはずなのに、先生が知っていて驚きを隠せないでいる。

「吹き飛ばした時に確認した。封印の種類は七星封印だろ」

 一度触れただけで封印を確認して種類まで当てられたアレンは驚きつつも少しうれしそうに笑った。

「先生ってすごいな、だけど封印は解けない」

「これでも勝敗が分からないのか?」

 そう言われて、少し落ち込んだ表情をして、

「俺には解けないんだ」

 先生は少しため息をつき、

「だったら、俺が解いてやるよ」

 そう言い、先生はすごい速さでアレンの後ろにきて今度は握りこぶしで殴る。
 その一撃でアレンは吹き飛んで倒れこんだ。
 立ち上がろうとするアレンから黒いものが流れ出ている。
 アレンは先ほどと違い苦しそうにする。

「なにをした?」

 何とか立ち上がったアレンは苦しそうなのを耐えながら問う。

「封印の一門を破壊した。少し経てば苦しくもなくなるから我慢しろ」

 驚きながらもアレンは一度深呼吸をする。
 すると、苦しかったのがウソのように引いていき、力がみなぎってくる。

「これならいける」

 嬉しそうに言い、アレンは先生に突っ込む。
 だが、さっきまでよりもかなり早いスピードで、先生も予想以上で驚く。
 一撃を先生にあてることに成功する。
 先生は右腕でガードしたが、威力が強く後ろの方へ少し飛ぶ。
 服が破れていて少しはダメージがあると思って先生の腕を見ると肌色は見えず、灰色の腕がある。

「ばれたか」

 と笑いながら言う。

「それなんだよ?」

「何でも聞けとは言ったが、質問が多すぎるぞ」

「そんなのいいから、それはなんだよ!?」

「魔道具だよ」

「もしかしてさっきの電撃も――」

「ああ、これで出した。でも、小さな魔道具は存在するぞ」

 アレンは少しため息をつき

「あとでいろいろ教えてくれよな」

「答えられる範囲なら何でも」

 アレンは拳に魔力を込める。
 そして、先生もこの戦いで初めて構える。

「これで決める」

 そう言ってアレンは走って行き全力で一撃を振るう。
 先生もそれに応えるように右手で受け止める。
 すさまじい一撃により二人を隠すほど砂埃が上がる。
 砂埃が薄くなり二人の姿が見える。
 そして力尽きて倒れていたのはアレンであった。
 だが、先生も魔道具の右手が壊れていた。

「お前は、もっと強くなれる」

 そう言い残して先生はその場を去って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ガーランド大陸魔物記  人類が手放した大陸の調査記録

#Daki-Makura
ファンタジー
※タイトルを変更しました。 人類が植物に敗北した大陸〝ガーランド大陸〟 200年が経ち、再び大陸に入植するためにガーランド大陸の生態系。特に魔物の調査が行われることになった。 これは調査隊として派遣されたモウナイ王国ファートン子爵家三男 アンネスト•ファートンが記した魔物に関する記録である。 ※昔に他サイトで掲載した物語に登場するものもあります。設定なども使用。 ※設定はゆるゆるです。ゆるくお読みください。 ※誤字脱字失礼します。 ※一部AIを使用。(AI校正、誤字検索、添削等) ※その都度、修正させてもらっています。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

真実の愛ならこれくらいできますわよね?

かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの でもそれは裏切られてしまったわ・・・ 夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。 ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...