黒き邪神と呪われし者(ファンタズマ)

神酒 佐久良

文字の大きさ
2 / 11

おめでとう

しおりを挟む
 アレンは目を覚ますとベッドに寝ていた。

「兄さん大丈夫!?」

 アレンが顔を横にすると、床に座り込んで心配そうな顔をしているアリスがいた。

「ああ、大丈夫だ。それよりここは?」

「これから私たちが住む部屋だよ」

 嬉しそうな顔をしながらアリスは言う。
 アレンは体を起こして部屋を見渡す。
 ベッドは二つあり両端に置かれていて、真ん中に収納が可能な仕切りの板があり、入口のそばにはキッチンがありその反対側にはトイレと風呂が別々に設置されていている。
 洗濯は共有の洗濯機が寮の中にある。

「また一緒に住めるな」

 アレンもうれしそうな顔をして、アリスの頭をなでる。
 アリスは照れ臭そうに顔を赤くした。

「兄さんお腹すいてない?」

 そう言われて、アレンの腹が返事をする。
 恥ずかしくてアレンは顔を赤くして下を向く。

「私もお腹が空いているから一緒に食堂に行こうよ」

「ああ」

 そう言って、二人は食堂に向かった。
 食堂に付くと夕食時でたくさんの生徒がいた。
 二人はメニュー表を見て何を食べるか迷う。

「兄さん何食べるか決めた?」

「俺は……、カレーにするか」

 悩みながらもアレンはカレーを選ぶ。
 そんなアレンを見てアリスは少し笑った。

「どうした?」

 不思議そうにアレンが訪ねる。

「兄さんはカレーが好きだなって」

「そうか?」

「そうだよ。ほとんどカレーばっかり食べてるし」

「へ~~、それよりアリスは決めたのか?」

「私はA定食にする」

 二人は食券を買い、列に並ぶ。
 列が長いため少し待って、おばちゃんに食券を渡してまた待って、食べるものを受け取ったのは並び始めて30分から40分ぐらいたっていた。
 席はたくさんありあまり探す必要が無くすぐに座ることができた。

「やっと座れた~」

 アレンは深く座り込む。

「長かったね」

 アリスも少し疲れ気味に笑いながら椅子に座る。
 二人は少し落ち着いてから冷めないうちに食べ始める。
 そして、二人ともお腹が凄く減っていたためすごい勢いで食べ終えた。

「食堂のメシって意外と高いな」

 腹がいっぱいになったアレンは、食券の切れ端を見ながら言う。
 アリスも自分の食券の切れ端を見る。

「確かに少し高いね。でもそれがどうかしたの?」

「支給された生活費を考えたら、毎回食堂で食べていたら魔道具とか変えないと思うんだが」

 生活費は学園から支給されていて、食費と衣服や武器や防具などの物を買うために支給される。

「本当だ!」

 少し頭の中で計算したアリスは驚いた。

「ってことは、何か欲しいものがある場合は自炊や節約をしろよってことか」

 アレンは学園の考えを察して少し苦笑いをする。

「少し考えないとね」

 そう言って二人は食器などを返してから部屋へと戻って行った。
 そして、二人はいつものように他愛もない話をして、明日の用意をしてから眠りについた。



 夜中
 アレンは目を覚ました。
 そして、ベッドから降りてアリスが寝ているかを確認してから、起こさないように部屋を出た。
 寮を出て少し離れた外にある訓練場に向かった。
 訓練場は丸太や鉄板の的などが設置されている。
 そこは、今ではほとんど使われていない場所だがアリスと一緒に体験に来た時に見つけた場所である。
 その時に先生に聞いたところ自由に使っていいと言っていたため、アレンはそこを自主練に使おうと決めていた。
 訓練場から音がしてくる。
 誰かいるのかと思いアレンは茂み隠れてこっそりと除くと、そこにはクロがいた。
 アレンは夜中に外をうろついていることがばれないようにそっとその場を離れようとしたが、

「お前も自主トレか?」

 クロは、アレンがそばにいることに気づいていた。
 ばれていたため、茂みから出てクロのそばへと歩く。

「いつから気が付いていたんですか?」

「たぶんお前より先に気が付いていたと思うぞ」

「やっぱりすごいですね」

 苦笑いをしながらアレンが言った。

「そう言えばお前に伝えることがあったわ」

「なんですか?」

 クロは少し笑いながら、

「入学おめでとう」

 その言葉に少し驚くアレンだが、教室でのことを思い出して納得がいく。

「なんとなくそんなことになるような気がしてましたよ」

 そんな風に言っているが、アレンは嬉しそうな顔をしている。

「よ~~し、入学祝だ。少し稽古してやる」

 クロは張り切って上の服を脱いでシャツ一枚になる。
 そして、一晩中二人は組手をした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ガーランド大陸魔物記  人類が手放した大陸の調査記録

#Daki-Makura
ファンタジー
※タイトルを変更しました。 人類が植物に敗北した大陸〝ガーランド大陸〟 200年が経ち、再び大陸に入植するためにガーランド大陸の生態系。特に魔物の調査が行われることになった。 これは調査隊として派遣されたモウナイ王国ファートン子爵家三男 アンネスト•ファートンが記した魔物に関する記録である。 ※昔に他サイトで掲載した物語に登場するものもあります。設定なども使用。 ※設定はゆるゆるです。ゆるくお読みください。 ※誤字脱字失礼します。 ※一部AIを使用。(AI校正、誤字検索、添削等) ※その都度、修正させてもらっています。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

真実の愛ならこれくらいできますわよね?

かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの でもそれは裏切られてしまったわ・・・ 夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。 ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...