31 / 58
第一章
第31話 理由はいらない!!?
しおりを挟む
半ば無理矢理ではあったが、ようやく辿り着いた“紅い荒野”──。
確かにここは紅牙たちが最後に、いつものように楽しく過ごした大切な思い出の場所。
──紅牙の強い思いがあった場所。
だからこそあの時、断片的ではあってもこの光景が見えたのだろう。
ただ、紅牙の記憶…思い出の場所であるのは確かでも、これは記憶の断片の一つにすぎない。
真の紅い荒野を“いつか皆で見たい”。
それが…彼方が俺をここへ連れてきたかった本当の理由かもしれない。
もしも見ることができたのなら、紅牙の記憶が蘇るのでは……そう思ったかもしれない。
残念ながら、真の紅い荒野を見るという願いは今回も叶わなかったけれど。
俺は今その地にいる。この目で見て、この足で立っている──なのに、俺はその言葉を…願いを覚えても、思い出すこともできなかった。
……また俺は彼方に悲しい思いをさせてしまった。
たとえ、その表情がいつもと変わらぬ笑顔であったとしても、分かるよ……その真実を映し出す、琥珀色の瞳を見れば。
いたたまれずその瞳から逃れるように、俯いた俺。
覚えていない、思い出せない自分に情けなさと怒りを感じずにはいられなかった。
俺に記憶がないということが、この幻妖界や秘宝がどうとかいう以前に、仲間であるこいつらに迷惑をかける。
こいつらを…彼方を傷付けている……?
「──…本当にごめん」
心から申し訳ない思いで、自然と口をついた言葉。
「どうしたの? 急に」
俯いたままの俺に、篝が心配げに顔を覗き込んできた。
「……俺、本当に少しずつだけど自分が紅牙だった実感がでてきたのに…確かな記憶もないし、何より俺…お前たちのこと覚えてない……ちゃんと思い出せない…ッ」
友達だった、仲間だったはず…大切にしていたはずなのに──!
「何を言い出すのかと思えば……今更だよ、宗一郎」
どこか呆れたような苦笑で言う幻夜、その横から、
「そんなこと気にしてたのか? ……あのなぁ、宗一郎、オレらは仲間としてここにいるんだ。お互いを認め合った仲だからここにいるんだぜ?」
そう言って天音は改めて俺を見つめると、
「仲間ってのはどんなに時間や距離が引き離したとしても変わらない、けして切れない絆を持った奴らのことをいうんだ」
──…けして切れない絆?
「敢えて口に出すまでもないことだよ?」
篝は付け加えるようにそう言って、にっこりと微笑んだ。
そして幻夜がそれに続くように、
「……きっかけはともかく、僕たちは互いを仲間として認め合ったから一緒にいたし、今もこの場にいるんだ」
呟くように言った後、改めて俺に向かい、
「その事実はけして変わらない……どんなに状況が変わっても、たとえ姿形が変わったとしても、互いが互いである限り、ね」
「……幻夜…?」
俺にとって、その言葉は少し意外な気さえした。
他の奴らならともかく、幻夜の口から聞くことはないと思っていた……。
幻夜は仲間としても一歩引いて客観的に見つめているようなドライさがあったからだろうか??
だが、今の言葉ではっきりした。
そこには偽りのないモノを感じた──。
俺のことも仲間としてちゃんと見てくれている、認めてくれている、と。
「まぁ、そうでもなけりゃあ…オレらバラバラの種族がわざわざつるむと思うか? ……はなっから覚悟が違うんだよ」
そう言ってやんちゃな笑顔を見せた天音。
そう……だよな。
本来なら敵対しているはずの鬼・天狗・妖狐の三妖が仲間として一緒にいた──。
そして、今もこの場に一緒にいるんだから……昔のように。
……すると、今まで黙って聞いていた彼方が静かに口を開いた。
「……確かに、紅牙は認めてなかったかもしれない。宗一郎にも信じてもらえないかもしれない。でも、オレたち…オレにとっては大事な仲間なんだ。一緒に笑いあったり、ケンカしたり…命を懸けて戦ったり──その全てが楽しかったんだ。何よりもなくしたくない大事な仲間で、居場所だった…大切にしたい絆がそこにあったんだよ」
彼方の真摯な…でも優しく、温かな琥珀色の瞳が真っ直ぐ俺を見つめていた…。
「……てるよ」
「え?」
「分かってるよ……そんなこと」
俺だってもちろん、紅牙だって…………ちゃんと分かってる。
同じ気持ちでいるよ。
掛け替えのない大切な仲間で──大事な絆がある、と。
「……うん」
俺の言葉に嬉しそうに微笑んだ彼方、そして他三人にも同様に笑みがうかんでいた。
申し訳なさと感謝の気持ちが俺の心を駆け巡って……何よりも、確かな安心感が生まれたような気がした。
俺は、こいつらと仲間という絆で確かにつながっている──。
「焦らないでいいんだよ、ただ前に進むことを止めないで欲しいだけ」
篝は微笑みながらそう言った。そして、
「それにね、自分を責める必要もないよ、宗一郎。……言ってるでしょ? 現状を…現実を楽しんで、て」
彼方もにっこりと微笑んだ。
「どうせなるようにしかならねぇよ。だが言っとくが、これは諦めじゃねぇ……どうなるのか先を楽しみに変えてけってことだぜ?」
「……結局、最後に信じられるのは自分自身だ。自分が見て、感じたものを信じればいい。何を信じ、何を疑うか…受け入れるか、否定するかは自分で見定めるんだ」
「……うん…」
天音と幻夜の言葉に…俺は自信はないものの、でも覚悟を決めるように頷いた。
そして、俺は改めて四人を見渡すと、
「──…一つだけ、聞かせてくれるか? 紅牙も含めて、お前たちは元々敵同士の種族…なのに、何で……」
一緒にいることを決めた──?
仲間であると認め合った──??
「決まってんだろ、そんなこと…!」
俺の言葉を遮るように天音が呆れたように言った言葉に、
「「「「気に入ったからだよ」」」」
四人全員が笑顔でそう続けた。
「そう……か」
“気に入ったから”
──その一言で十分だった。
だから仲間になった…だから一緒にいた。
種族も立場も関係ない──自分自身で決めたんだ。
皆の笑顔はそう語りかけていた。
俺の不安も迷いも、その一言と笑顔で晴れていく……。
この先は興味本位じゃ済まされない。
もう踏み入れてしまったからには…踏み込んだのは俺自身、だから。
前に進まなきゃ──!
逃げちゃ駄目だ…!!
もう引き返すことは出来ない。
いや、引き返すつもりもない。
俺はこいつらと一緒に前に進むと決めたのだから。
必ず紅牙としての記憶を取り戻し、こいつらのことを…共に過ごした日々を……思い出すんだ。
そして、紅牙が抱え込み、封じようとした真実を──!
「でもね、宗一郎…何度も言うようだけど、時間がないことも事実なんだ」
──…それは、どこか辛そうな篝の言葉。それに幻夜は頷くと、
「せっかくだ、ここらで状況整理をしよう」
そう切り出し、仕方ないといった様子で天音たちも黙って幻夜に視線を移す中、
「皆揃ってるし、いい機会だろ? 宗一郎の記憶も戻りかけているようだし…君には少しでも現状の把握をしてもらい、更に覚醒を進めるきっかけにして欲しい」
俺の記憶は曖昧なものも含めて戻りつつあることは確かだ。
だが、幻妖界のことも…妖のこともよく分からない。それらの現状となれば尚更……。
しかも俺自身の命に関わってくる!?
「確かに、記憶の話以前に幻妖界の現状は17年前とは変わってきているしな。現状の把握は必要だろう……オレらにとっても確認しておく良い機会になるしな」
そう天音は頷きつつ、煙管の灰を捨てると新たに火を付け直す。
「記憶があろうがなかろうがすでに事態は動きだしているからね……」
幻夜はそう言うと、焚き火から小枝を一本取り出すと、地面に鬼を頂点に天狗・妖狐の文字を三角になるように書き、鬼に向かいニ本の矢印を加えたのだった──。
確かにここは紅牙たちが最後に、いつものように楽しく過ごした大切な思い出の場所。
──紅牙の強い思いがあった場所。
だからこそあの時、断片的ではあってもこの光景が見えたのだろう。
ただ、紅牙の記憶…思い出の場所であるのは確かでも、これは記憶の断片の一つにすぎない。
真の紅い荒野を“いつか皆で見たい”。
それが…彼方が俺をここへ連れてきたかった本当の理由かもしれない。
もしも見ることができたのなら、紅牙の記憶が蘇るのでは……そう思ったかもしれない。
残念ながら、真の紅い荒野を見るという願いは今回も叶わなかったけれど。
俺は今その地にいる。この目で見て、この足で立っている──なのに、俺はその言葉を…願いを覚えても、思い出すこともできなかった。
……また俺は彼方に悲しい思いをさせてしまった。
たとえ、その表情がいつもと変わらぬ笑顔であったとしても、分かるよ……その真実を映し出す、琥珀色の瞳を見れば。
いたたまれずその瞳から逃れるように、俯いた俺。
覚えていない、思い出せない自分に情けなさと怒りを感じずにはいられなかった。
俺に記憶がないということが、この幻妖界や秘宝がどうとかいう以前に、仲間であるこいつらに迷惑をかける。
こいつらを…彼方を傷付けている……?
「──…本当にごめん」
心から申し訳ない思いで、自然と口をついた言葉。
「どうしたの? 急に」
俯いたままの俺に、篝が心配げに顔を覗き込んできた。
「……俺、本当に少しずつだけど自分が紅牙だった実感がでてきたのに…確かな記憶もないし、何より俺…お前たちのこと覚えてない……ちゃんと思い出せない…ッ」
友達だった、仲間だったはず…大切にしていたはずなのに──!
「何を言い出すのかと思えば……今更だよ、宗一郎」
どこか呆れたような苦笑で言う幻夜、その横から、
「そんなこと気にしてたのか? ……あのなぁ、宗一郎、オレらは仲間としてここにいるんだ。お互いを認め合った仲だからここにいるんだぜ?」
そう言って天音は改めて俺を見つめると、
「仲間ってのはどんなに時間や距離が引き離したとしても変わらない、けして切れない絆を持った奴らのことをいうんだ」
──…けして切れない絆?
「敢えて口に出すまでもないことだよ?」
篝は付け加えるようにそう言って、にっこりと微笑んだ。
そして幻夜がそれに続くように、
「……きっかけはともかく、僕たちは互いを仲間として認め合ったから一緒にいたし、今もこの場にいるんだ」
呟くように言った後、改めて俺に向かい、
「その事実はけして変わらない……どんなに状況が変わっても、たとえ姿形が変わったとしても、互いが互いである限り、ね」
「……幻夜…?」
俺にとって、その言葉は少し意外な気さえした。
他の奴らならともかく、幻夜の口から聞くことはないと思っていた……。
幻夜は仲間としても一歩引いて客観的に見つめているようなドライさがあったからだろうか??
だが、今の言葉ではっきりした。
そこには偽りのないモノを感じた──。
俺のことも仲間としてちゃんと見てくれている、認めてくれている、と。
「まぁ、そうでもなけりゃあ…オレらバラバラの種族がわざわざつるむと思うか? ……はなっから覚悟が違うんだよ」
そう言ってやんちゃな笑顔を見せた天音。
そう……だよな。
本来なら敵対しているはずの鬼・天狗・妖狐の三妖が仲間として一緒にいた──。
そして、今もこの場に一緒にいるんだから……昔のように。
……すると、今まで黙って聞いていた彼方が静かに口を開いた。
「……確かに、紅牙は認めてなかったかもしれない。宗一郎にも信じてもらえないかもしれない。でも、オレたち…オレにとっては大事な仲間なんだ。一緒に笑いあったり、ケンカしたり…命を懸けて戦ったり──その全てが楽しかったんだ。何よりもなくしたくない大事な仲間で、居場所だった…大切にしたい絆がそこにあったんだよ」
彼方の真摯な…でも優しく、温かな琥珀色の瞳が真っ直ぐ俺を見つめていた…。
「……てるよ」
「え?」
「分かってるよ……そんなこと」
俺だってもちろん、紅牙だって…………ちゃんと分かってる。
同じ気持ちでいるよ。
掛け替えのない大切な仲間で──大事な絆がある、と。
「……うん」
俺の言葉に嬉しそうに微笑んだ彼方、そして他三人にも同様に笑みがうかんでいた。
申し訳なさと感謝の気持ちが俺の心を駆け巡って……何よりも、確かな安心感が生まれたような気がした。
俺は、こいつらと仲間という絆で確かにつながっている──。
「焦らないでいいんだよ、ただ前に進むことを止めないで欲しいだけ」
篝は微笑みながらそう言った。そして、
「それにね、自分を責める必要もないよ、宗一郎。……言ってるでしょ? 現状を…現実を楽しんで、て」
彼方もにっこりと微笑んだ。
「どうせなるようにしかならねぇよ。だが言っとくが、これは諦めじゃねぇ……どうなるのか先を楽しみに変えてけってことだぜ?」
「……結局、最後に信じられるのは自分自身だ。自分が見て、感じたものを信じればいい。何を信じ、何を疑うか…受け入れるか、否定するかは自分で見定めるんだ」
「……うん…」
天音と幻夜の言葉に…俺は自信はないものの、でも覚悟を決めるように頷いた。
そして、俺は改めて四人を見渡すと、
「──…一つだけ、聞かせてくれるか? 紅牙も含めて、お前たちは元々敵同士の種族…なのに、何で……」
一緒にいることを決めた──?
仲間であると認め合った──??
「決まってんだろ、そんなこと…!」
俺の言葉を遮るように天音が呆れたように言った言葉に、
「「「「気に入ったからだよ」」」」
四人全員が笑顔でそう続けた。
「そう……か」
“気に入ったから”
──その一言で十分だった。
だから仲間になった…だから一緒にいた。
種族も立場も関係ない──自分自身で決めたんだ。
皆の笑顔はそう語りかけていた。
俺の不安も迷いも、その一言と笑顔で晴れていく……。
この先は興味本位じゃ済まされない。
もう踏み入れてしまったからには…踏み込んだのは俺自身、だから。
前に進まなきゃ──!
逃げちゃ駄目だ…!!
もう引き返すことは出来ない。
いや、引き返すつもりもない。
俺はこいつらと一緒に前に進むと決めたのだから。
必ず紅牙としての記憶を取り戻し、こいつらのことを…共に過ごした日々を……思い出すんだ。
そして、紅牙が抱え込み、封じようとした真実を──!
「でもね、宗一郎…何度も言うようだけど、時間がないことも事実なんだ」
──…それは、どこか辛そうな篝の言葉。それに幻夜は頷くと、
「せっかくだ、ここらで状況整理をしよう」
そう切り出し、仕方ないといった様子で天音たちも黙って幻夜に視線を移す中、
「皆揃ってるし、いい機会だろ? 宗一郎の記憶も戻りかけているようだし…君には少しでも現状の把握をしてもらい、更に覚醒を進めるきっかけにして欲しい」
俺の記憶は曖昧なものも含めて戻りつつあることは確かだ。
だが、幻妖界のことも…妖のこともよく分からない。それらの現状となれば尚更……。
しかも俺自身の命に関わってくる!?
「確かに、記憶の話以前に幻妖界の現状は17年前とは変わってきているしな。現状の把握は必要だろう……オレらにとっても確認しておく良い機会になるしな」
そう天音は頷きつつ、煙管の灰を捨てると新たに火を付け直す。
「記憶があろうがなかろうがすでに事態は動きだしているからね……」
幻夜はそう言うと、焚き火から小枝を一本取り出すと、地面に鬼を頂点に天狗・妖狐の文字を三角になるように書き、鬼に向かいニ本の矢印を加えたのだった──。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる