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前編
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『なぁ、なんで俺の言ってる事わかんないの?』
「ちが…ごめんなさい、」
『何が違うの?説明出来る?』
掴まれた手首ごと身体を押されると、背中に当たるのは夜風にあたって冷たい窓ガラス。
事の発端は私のバイトでの出来事。
健人が迎えに来てくれてることを知らずに、バイトが終わってからだらだらとまかないを食べて男の先輩とお喋りしてたのを見られていたから。
それだけならまだよかったのに、たまたま肩に触れられたところを見ていたみたいで
耐えきれなくなった彼はお店に飛び込んできた、らしい。
「ごめんなさい、もう閉店して…え?」
突然お店のドアが開いた音がして、え、この時間にお客さん?なんて呑気に振り返ると、そこにはお客さんではなくてすごい怖い顔をした健人が立っていた。
『何してんの』
「え、けんと、なんで」
『仕事はもう終わってんだろ?帰るよ』
椅子においてあった私のカバンを持ち、半ば無理やり手を掴まれ、唖然とする私の手を引いて助手席に詰められて、今に至る。
『俺、アイカがバイト始める時に約束したよね?なるべく男と話すなって、』
「………うん、」
『じゃあなんでそれが守れねーの、しかもなんで触られてんの?』
何も言い返せなくて俯いたわたしに健人はさらに続ける。
『しかも俺がたまったま迎えに来た日に限ってそうでしょ?いつもこんな事してんの?』
「ちが、本当にそれは違って、」
『そんなん見てないんだからさ、信じらんなくない?』
「でもほんとに『煩い、もう黙って』
そう言われてしまえば黙る他になく、沈黙に包まれた密室の空間。
家に着くまでの数分間が、酷く長く感じた。
家に着き、車を降りて先に先にと歩いて行く健人の背中をひたすら追いかけて、早歩き。
待って、なんて言ったところで待ってもらえないだろうし、何時もは必ずレディーファーストをしてくれる彼をここまで怒らせてしまった、という事実が胸をぎゅうっと締め付けて、苦しくて泣きそうになった。
エレベーターに乗っても沈黙が終わる事は無くて、ひたすらに前を向く彼の背中を見つめるだけ。ああ、もう我慢の限界。
彼の袖を引っ張って、「ねえ、私の話も聞いて」なんて口を開こうとした時だった。
話出す前に振り返ってくれたかと思えば、私の身体は壁に押し付けられて首筋に顔を埋められる。
「ん、やぁ、」
『逃げんな』
もどかしくて擽ったくて、身体をくねって抵抗する腰に手を回されて固定された身体。
恥ずかしくて彼の頭に目線を落としていれば、ふいに顔を上げた彼と視線が絡み合う。刹那、首筋に感じた鋭い痛み。
「いっ、!…」
『見て、これ』
その言葉と同時にぐるり、身体を180度回されてエレベーターに備えつけられている鏡と向かいあわせ。
鏡には後ろから私の腰に手を回して微笑む健人と、私と、彼がとん、と指を指す私の首筋には赤紫の跡が映っていた。
『ここじゃ隠せないね』
口元はにやりと笑いながら鏡を見つめる彼の目は全く笑っていない。しかも、普段の彼ならば絶対に付けないような位置に付けられた"それ"に目を疑って半ば混乱状態。
動揺する私をよそに、目的の階に到着したエレベーター。
『ほら、行くよ?』
腰から離れた手が腕に巻き付けられれば、そのまま歩き出す健人に着いていくしか選択が無かった。
部屋に入りそのまま寝室に連れて行かれると、ベッドに乱暴に投げ出された身体。
そのまま私の上に覆い被さればぎしり、と鳴ったスプリング。
ゆっくりとその端正な顔立ちが近付いてくれば、背筋がぞくりと震えた。
吸い込まれてしまいそうな程綺麗なその瞳には色が無く、怖いはずなのに視線が逸らせない。
「ね……はなし、聞い…っ、ん、う」
このままじゃ飲み込まれてしまうから、と反論しようと動いた唇は健人に捉えられた。
熱っぽい舌がぬるりと私の口内をまさぐって、歯列をなぞって、唾液を流し込まれて。まるで熱が伝染するみたい。
やっと唇を離してもらえた時にはもう脳みそはどろっどろに蕩けていて、ぼーっとして、あたまがまわらなくなっていた。
離れた唇から零れ落ちた銀の糸がやけに艶めかしくて、お互いの鼓動の音がうるさく響いてる。
『……ね、俺が間違ってる?』
「ちが、わたしが……」
『じゃあ黙ってろよ』
そういってベッドの横をまさぐれば、何かを手に取る健人。
ぐるんと私の身体が反転してうつ伏せにされれば、手首に感じたひんやりとした金属特有の感触。
「やだ、これ…ぇ」
『手錠。ドラマで使ってるやつ。だからー…』
どんだけ暴れても取れないよ?
耳元で囁かれれば、ぞわっと全身が期待に震えた。
身体を仰向けに戻されて、健人が私の上に座るとその重みで背中にくい込んだ手錠が痛くて思わず顔が歪む。
ブラウスのボタンを1つずつ外されて前のボタンが全開になれば、煌々としたライトの下で晒された2つの膨らみ。
『なんかすっげーやらしいね、』
ブラジャーと素肌の隙間に手を滑り込ませ、先端に指が触れると思わずいやらしい声が漏れた。
『はっ、こんなちょっとで感じてんの?えっろ』
1度下着から手を抜き取ると、そのまま背中に手を回し、ぱちんと音が聞こえれば開放感と外気に晒された胸。
『ここもう真っ赤なんだけど、感じてる?』
突っつくようにカリカリと爪先で撫でられ、もどかしい快感に目を瞑る。
そのまま身を委ねて目を瞑っていれば、突然の鋭い刺激に思わず悲鳴が上がって目を見開いた。
刺激の正体は、健人の歯によるものだった。
「ちが…ごめんなさい、」
『何が違うの?説明出来る?』
掴まれた手首ごと身体を押されると、背中に当たるのは夜風にあたって冷たい窓ガラス。
事の発端は私のバイトでの出来事。
健人が迎えに来てくれてることを知らずに、バイトが終わってからだらだらとまかないを食べて男の先輩とお喋りしてたのを見られていたから。
それだけならまだよかったのに、たまたま肩に触れられたところを見ていたみたいで
耐えきれなくなった彼はお店に飛び込んできた、らしい。
「ごめんなさい、もう閉店して…え?」
突然お店のドアが開いた音がして、え、この時間にお客さん?なんて呑気に振り返ると、そこにはお客さんではなくてすごい怖い顔をした健人が立っていた。
『何してんの』
「え、けんと、なんで」
『仕事はもう終わってんだろ?帰るよ』
椅子においてあった私のカバンを持ち、半ば無理やり手を掴まれ、唖然とする私の手を引いて助手席に詰められて、今に至る。
『俺、アイカがバイト始める時に約束したよね?なるべく男と話すなって、』
「………うん、」
『じゃあなんでそれが守れねーの、しかもなんで触られてんの?』
何も言い返せなくて俯いたわたしに健人はさらに続ける。
『しかも俺がたまったま迎えに来た日に限ってそうでしょ?いつもこんな事してんの?』
「ちが、本当にそれは違って、」
『そんなん見てないんだからさ、信じらんなくない?』
「でもほんとに『煩い、もう黙って』
そう言われてしまえば黙る他になく、沈黙に包まれた密室の空間。
家に着くまでの数分間が、酷く長く感じた。
家に着き、車を降りて先に先にと歩いて行く健人の背中をひたすら追いかけて、早歩き。
待って、なんて言ったところで待ってもらえないだろうし、何時もは必ずレディーファーストをしてくれる彼をここまで怒らせてしまった、という事実が胸をぎゅうっと締め付けて、苦しくて泣きそうになった。
エレベーターに乗っても沈黙が終わる事は無くて、ひたすらに前を向く彼の背中を見つめるだけ。ああ、もう我慢の限界。
彼の袖を引っ張って、「ねえ、私の話も聞いて」なんて口を開こうとした時だった。
話出す前に振り返ってくれたかと思えば、私の身体は壁に押し付けられて首筋に顔を埋められる。
「ん、やぁ、」
『逃げんな』
もどかしくて擽ったくて、身体をくねって抵抗する腰に手を回されて固定された身体。
恥ずかしくて彼の頭に目線を落としていれば、ふいに顔を上げた彼と視線が絡み合う。刹那、首筋に感じた鋭い痛み。
「いっ、!…」
『見て、これ』
その言葉と同時にぐるり、身体を180度回されてエレベーターに備えつけられている鏡と向かいあわせ。
鏡には後ろから私の腰に手を回して微笑む健人と、私と、彼がとん、と指を指す私の首筋には赤紫の跡が映っていた。
『ここじゃ隠せないね』
口元はにやりと笑いながら鏡を見つめる彼の目は全く笑っていない。しかも、普段の彼ならば絶対に付けないような位置に付けられた"それ"に目を疑って半ば混乱状態。
動揺する私をよそに、目的の階に到着したエレベーター。
『ほら、行くよ?』
腰から離れた手が腕に巻き付けられれば、そのまま歩き出す健人に着いていくしか選択が無かった。
部屋に入りそのまま寝室に連れて行かれると、ベッドに乱暴に投げ出された身体。
そのまま私の上に覆い被さればぎしり、と鳴ったスプリング。
ゆっくりとその端正な顔立ちが近付いてくれば、背筋がぞくりと震えた。
吸い込まれてしまいそうな程綺麗なその瞳には色が無く、怖いはずなのに視線が逸らせない。
「ね……はなし、聞い…っ、ん、う」
このままじゃ飲み込まれてしまうから、と反論しようと動いた唇は健人に捉えられた。
熱っぽい舌がぬるりと私の口内をまさぐって、歯列をなぞって、唾液を流し込まれて。まるで熱が伝染するみたい。
やっと唇を離してもらえた時にはもう脳みそはどろっどろに蕩けていて、ぼーっとして、あたまがまわらなくなっていた。
離れた唇から零れ落ちた銀の糸がやけに艶めかしくて、お互いの鼓動の音がうるさく響いてる。
『……ね、俺が間違ってる?』
「ちが、わたしが……」
『じゃあ黙ってろよ』
そういってベッドの横をまさぐれば、何かを手に取る健人。
ぐるんと私の身体が反転してうつ伏せにされれば、手首に感じたひんやりとした金属特有の感触。
「やだ、これ…ぇ」
『手錠。ドラマで使ってるやつ。だからー…』
どんだけ暴れても取れないよ?
耳元で囁かれれば、ぞわっと全身が期待に震えた。
身体を仰向けに戻されて、健人が私の上に座るとその重みで背中にくい込んだ手錠が痛くて思わず顔が歪む。
ブラウスのボタンを1つずつ外されて前のボタンが全開になれば、煌々としたライトの下で晒された2つの膨らみ。
『なんかすっげーやらしいね、』
ブラジャーと素肌の隙間に手を滑り込ませ、先端に指が触れると思わずいやらしい声が漏れた。
『はっ、こんなちょっとで感じてんの?えっろ』
1度下着から手を抜き取ると、そのまま背中に手を回し、ぱちんと音が聞こえれば開放感と外気に晒された胸。
『ここもう真っ赤なんだけど、感じてる?』
突っつくようにカリカリと爪先で撫でられ、もどかしい快感に目を瞑る。
そのまま身を委ねて目を瞑っていれば、突然の鋭い刺激に思わず悲鳴が上がって目を見開いた。
刺激の正体は、健人の歯によるものだった。
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