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第2話 千島方面根拠地隊北東方面艦隊
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第2話
北千島の増援と対潜掃討
情勢
1943(昭和18)年5月、北太平洋アリューシャン列島 のアッツ島日本軍守備隊2,400人が米軍上陸部隊と戦い玉砕し、その東側にあるキスカ島守備隊も風前の灯火であったが、7月に実施され「太平洋の奇跡」と呼ばれた撤退作戦の成功により、5,183人全員が千島列島や北海道へ引き揚げていた。
その後の北海道・千島方面の守備は、海軍は千島方面根拠地隊、陸軍は第5方面軍が担当していたが、激戦続きの南方へ頻繁に部隊抽出も行われていた。
しかし、海が流氷で埋まる冬季を過ぎれば、米軍によるオホーツク海方面から北海道への上陸侵攻も可能性が捨て切れないところであり、また、欧州でドイツ軍を相手に優位を占めつつあるソ連の動向も無視できず、かつ、備蓄した物資も心細かった。
そんな情勢下、北海道や千島方面を管轄する陸軍第5方面軍司令官の樋口季一郎中将にしてみると、年内には、来年も見据えて増援と補給を行っておきたかったのである。
そこで、僅かではあるが、満州などから抽出した部隊を少しずつ千島方面へ増派していた中で、越冬物資の補給も兼ねて、更なる占守島及び幌筵島への 増援が決定された。
併せて、千島列島付近でも跳梁の激しい、米軍潜水艦の掃討をも実施することとして、陸軍第91師団(占守島、幌筵島)増援輸送兼北太平洋対潜掃討作戦が実施されることとなり、急ぎ準備が進められた。
増援・対潜掃討部隊編成
1 艦艇
千島方面根拠地隊北東方面艦隊編成
(1)※君川丸型特設水上機母艦 令川丸(輸送兼務)
(2)占守型海防艦 利尻
(3)鵜来うくる型海防艦 天売
(4)第百一号型二等輸送艦 第百号
(5)宗谷型特務運送艦 根室 (砕氷運送艦)
2 搭載機
(1)令川丸
・零式水上偵察機×4機(磁気探知機索敵)
・零式水上観測機×5機
・二式水上戦闘機×3機
(以上第452海軍航空隊)
(2)根室(分解輸送)
・三式指揮連絡機 ×1機
・九八式直協偵察機×1機
3 乗艦部隊等
(1)輸送艦第百号
・一式中戦車×3輌
・九七式中戦車(新砲塔)×3輌
(以上陸軍戦車第11連隊第7中隊)
・一式砲戦車×2輌
・九七式軽装甲車×3輌
・一式装甲兵車×3輌
(以上陸軍第91師団第1砲兵隊)
(2)根室
車輛
・九七式中戦車(旧砲塔)×3輌
・九五式軽戦車×2輌
・一個整備小隊
(以上陸軍戦車第11連隊第7中隊)
・九七式自動貨車×3輌
・九五式乗用車×2台
・九七式自動側車×2台
・九〇式野砲×2門
・九八式四屯牽引車×3輌
(以上陸軍第91師団第1砲兵隊)
・特二式内火艇×3艇
(海軍横須賀特別陸戦隊)
注)一式砲戦車と九〇式野砲を合わせて機械化 砲兵1個中隊を編成
人員等
・海軍第51警備隊陸戦隊 1個小隊125人
・陸軍歩兵2個中隊480人
(第74旅団独立歩兵第294大隊抽出)
千島列島周辺の12月末は、すでに真冬の海であり、海防艦はともかく、二等輸送艦は、航行自体が危ぶまれたが、ほかに大型艦船を調達する余裕はなく、航海が危うくなれば千島列島のどこかへ避泊すれば足りる、という出たとこ勝負の方針が決定された。
確かに、令川丸は比較的大型で、アリューシャン列島方面での活動実績もあり、根室は北方で行動する前提の砕氷船、占守型海防艦は、元々は北洋警備を目的とした海防艦であったから
「後のことは後で考えればよい。」
と上層部が考えたのも、理由のないことではなかった。
いずれにせよ、天候があまりに酷ければ、敵潜水艦による襲撃の可能性は低くなるので、差し当たりの問題は、便乗者の船酔いであった。
しかし、いつ何時現れないとも限らない敵潜水艦の兆候を捉えるべく、各艦電探員はブラウン管を凝視し、見張員は、敵潜水艦の潜望鏡や魚雷の航跡を見逃すまじと望遠鏡にしがみつき、目を皿のようにして当直に就いていた。
各艦の乗員たちは、冬用外套を着込み、防寒帽を被り、ミトンの厚い手袋をはめ、甲板上のあらゆる構造物への着氷を叩き落してはスコップで艦の外へ放り出していた。
揺れる甲板上では命懸けの作業であるが、張り付いた氷でトップヘビーになれば、艦は復元力を失い転覆することになる。
今、艦隊が通過している海域は、かつて、真珠湾攻撃に向かうために南雲機動部隊が通過した海域に近く、時期も同じく冬季であるが、米軍潜水艦の出没に怯えながら進むこの艦隊に、昔日の面影はない。
その頃、東京から南へ約1,000㎞、小笠原諸島父島付近にも、日本の小艦隊が集結しつつあった。
北千島の増援と対潜掃討
情勢
1943(昭和18)年5月、北太平洋アリューシャン列島 のアッツ島日本軍守備隊2,400人が米軍上陸部隊と戦い玉砕し、その東側にあるキスカ島守備隊も風前の灯火であったが、7月に実施され「太平洋の奇跡」と呼ばれた撤退作戦の成功により、5,183人全員が千島列島や北海道へ引き揚げていた。
その後の北海道・千島方面の守備は、海軍は千島方面根拠地隊、陸軍は第5方面軍が担当していたが、激戦続きの南方へ頻繁に部隊抽出も行われていた。
しかし、海が流氷で埋まる冬季を過ぎれば、米軍によるオホーツク海方面から北海道への上陸侵攻も可能性が捨て切れないところであり、また、欧州でドイツ軍を相手に優位を占めつつあるソ連の動向も無視できず、かつ、備蓄した物資も心細かった。
そんな情勢下、北海道や千島方面を管轄する陸軍第5方面軍司令官の樋口季一郎中将にしてみると、年内には、来年も見据えて増援と補給を行っておきたかったのである。
そこで、僅かではあるが、満州などから抽出した部隊を少しずつ千島方面へ増派していた中で、越冬物資の補給も兼ねて、更なる占守島及び幌筵島への 増援が決定された。
併せて、千島列島付近でも跳梁の激しい、米軍潜水艦の掃討をも実施することとして、陸軍第91師団(占守島、幌筵島)増援輸送兼北太平洋対潜掃討作戦が実施されることとなり、急ぎ準備が進められた。
増援・対潜掃討部隊編成
1 艦艇
千島方面根拠地隊北東方面艦隊編成
(1)※君川丸型特設水上機母艦 令川丸(輸送兼務)
(2)占守型海防艦 利尻
(3)鵜来うくる型海防艦 天売
(4)第百一号型二等輸送艦 第百号
(5)宗谷型特務運送艦 根室 (砕氷運送艦)
2 搭載機
(1)令川丸
・零式水上偵察機×4機(磁気探知機索敵)
・零式水上観測機×5機
・二式水上戦闘機×3機
(以上第452海軍航空隊)
(2)根室(分解輸送)
・三式指揮連絡機 ×1機
・九八式直協偵察機×1機
3 乗艦部隊等
(1)輸送艦第百号
・一式中戦車×3輌
・九七式中戦車(新砲塔)×3輌
(以上陸軍戦車第11連隊第7中隊)
・一式砲戦車×2輌
・九七式軽装甲車×3輌
・一式装甲兵車×3輌
(以上陸軍第91師団第1砲兵隊)
(2)根室
車輛
・九七式中戦車(旧砲塔)×3輌
・九五式軽戦車×2輌
・一個整備小隊
(以上陸軍戦車第11連隊第7中隊)
・九七式自動貨車×3輌
・九五式乗用車×2台
・九七式自動側車×2台
・九〇式野砲×2門
・九八式四屯牽引車×3輌
(以上陸軍第91師団第1砲兵隊)
・特二式内火艇×3艇
(海軍横須賀特別陸戦隊)
注)一式砲戦車と九〇式野砲を合わせて機械化 砲兵1個中隊を編成
人員等
・海軍第51警備隊陸戦隊 1個小隊125人
・陸軍歩兵2個中隊480人
(第74旅団独立歩兵第294大隊抽出)
千島列島周辺の12月末は、すでに真冬の海であり、海防艦はともかく、二等輸送艦は、航行自体が危ぶまれたが、ほかに大型艦船を調達する余裕はなく、航海が危うくなれば千島列島のどこかへ避泊すれば足りる、という出たとこ勝負の方針が決定された。
確かに、令川丸は比較的大型で、アリューシャン列島方面での活動実績もあり、根室は北方で行動する前提の砕氷船、占守型海防艦は、元々は北洋警備を目的とした海防艦であったから
「後のことは後で考えればよい。」
と上層部が考えたのも、理由のないことではなかった。
いずれにせよ、天候があまりに酷ければ、敵潜水艦による襲撃の可能性は低くなるので、差し当たりの問題は、便乗者の船酔いであった。
しかし、いつ何時現れないとも限らない敵潜水艦の兆候を捉えるべく、各艦電探員はブラウン管を凝視し、見張員は、敵潜水艦の潜望鏡や魚雷の航跡を見逃すまじと望遠鏡にしがみつき、目を皿のようにして当直に就いていた。
各艦の乗員たちは、冬用外套を着込み、防寒帽を被り、ミトンの厚い手袋をはめ、甲板上のあらゆる構造物への着氷を叩き落してはスコップで艦の外へ放り出していた。
揺れる甲板上では命懸けの作業であるが、張り付いた氷でトップヘビーになれば、艦は復元力を失い転覆することになる。
今、艦隊が通過している海域は、かつて、真珠湾攻撃に向かうために南雲機動部隊が通過した海域に近く、時期も同じく冬季であるが、米軍潜水艦の出没に怯えながら進むこの艦隊に、昔日の面影はない。
その頃、東京から南へ約1,000㎞、小笠原諸島父島付近にも、日本の小艦隊が集結しつつあった。
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