よくあるこぼれ話

鈴乃

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魔導師的シガーサービス

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「遊んでいかない? サービスするわよ」
 赤くネイルを塗った指先が男の口元に伸びた。
 女が短くささやくと、煙草の穂先に淡い炎が灯る。
 男が目を瞬かせ、女の腰を引き寄せて何事か囁き返した。

「オイ」
 ソルは不機嫌な声で呼び掛けられて視線を戻した。
 深夜を回った酒場の一角である。イストは早々に酔いつぶれ、テーブルで寝息を立てている。
 ウィザがソルの見ていた方向に視線をやり、先の男女を見て舌打ちをこらえるような顔をした。
 ため息混じりにソルの物入れに手を突っ込み、一本のマッチをつまみ出す。
「火炎よ!」
 垂直に伸びた火柱が天井を炙った。

「ほらよ媚びてやったぜ。満足か?」
「意味がわかんねーし『しょうがねえヤツだな』みたいなカオやめてくんねえ?」
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