よくあるこぼれ話

有事にあなたを救うかもしれないサバイバル知識

　ある日あるときある山の中、野宿が続いた夜のこと。
　イストはグラスの中ほどまで入った水とにらめっこしていた。
　逆の手に持った水筒を逆さにして振る。縁に溜まった滴が一つ、グラスの中へ落ちた。
　イストは地面に膝をついた。
「手持ちの水がこれっきりなんて……！　我が主よ、オレは明日の朝の身支度を諦めるしかないのでしょうか……！」
「水深１㎝ありゃヨユーだよ」
　寝仕度を済ませたソルが横を通りすぎた。


★☆戦士による節水歯磨き講座☆★

①グラスに水を入れます
②歯ブラシを濡らして歯を磨きます
③歯ブラシの汚れはこまめに布で拭き取ります
④グラスの水で少しずつ口をゆすぎます

★☆おしまい！☆★


「……なんだい今の」
「さあ」
　イストは気を取り直して立ち上がった。
「ありがとう、やってみるよ」
「ん」
　ソルは近くの石に腰かけ、自分の水筒を傾けた。
　とぽとぽとぽとぽ、と澄んだ水がグラスに注がれた。
「…………ソル。その水どこで汲んだんだい？」
「向こうの川だよ」
「そっちを教えてくれよ！！」