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第29話 愛人ファルザンという噂の顛末
「それはマリーにはちょっと難しい質問じゃなくて、お兄様。」
ノックも無く、ドアが開くと、鈴の音のような可憐な声が響いた。
声の主の顔を兄妹で認めると、兄は眉間にシワを寄せ口をへの字に歪ませ、妹はパアッと明るい笑顔を向けて声をかけた。
「リーナ姉様、どうしたの!?帰られたのでは無いのですか?」
「ええ、途中まで帰路についていたのだけれど、気になった情報がもたらされたので、取り急ぎわたくしだけ王宮へと戻って着ましたの。陛下が王子たちを無事にリンネ王国へと連れ帰った後、わたくしを迎えに来て下さるそうだから、もう少しゆっくりさせて下さいな、お・兄・様・。」
そこには、今朝方、帰路につくのを涙で見送った大好きな三姉カロリーナの姿があった。
カロリーナはゆっくりと話ながら、マリアンナの横へと腰かけ、兄皇帝に意味深な目線を送った。
兄皇帝は憮然とした顔付きをしてスッと目を反らした。
「どうしましたの?」
二人の意味深な雰囲気にマリアンナが問うた。
その視線を笑顔で受けて、カロリーナが
「ええ、マリーそんな心配そうな顔をしなくても大丈夫よ。
わたくしとエリー姉様フリード様、そしてお父様、マリーの予知夢を知っているわたくし達はその内容を共有しているわ。勿論、それはマリーが不幸な目に合わないようにと言うのが大前提で、その予知夢を最大限利用して神聖帝国の平和へ寄与する為に。
でも、マリーに無理強いをしてはいけないと、初めてお兄様とマリーが二人で話した後、高い熱、知恵熱のようなものを出した後、そうエリー姉様がお決めになったの。
お兄様を叱りながら、『巫女の予言を無理強いするな!』とね。
だから、その後は二人の会談は持たれなかったでしょ?マリーの予知夢の話はマリーが話したい時にわたくしが聞き、それを後日姉様とお兄様へ告げる、そういう流れになっていたのですから。
しかし、わたくしがフリード様へと嫁いでからはそうも行かない。
だから、今回はわたくしが長く滞在してマリーと話たのだけれど、もうマリーも大人になって、予知夢に魘されることも無くなって、今回そんな話は出なかったでしょ。
皆で話し合って、マリーには悪夢を思い出すことは苦痛なのだから、無理やり聞き出さないことにしましょうと決めたのよ。
それなのに、皆が帰ったその日に一番辛い夢であろう革命のことを聞き出すなんて、お兄様信じられませんわ。マリーにこんな仕打ちをされるのであれば、やはりわたくしとリンネ王国で暮らした方がマリーの為になるのではないかしら?」
そう冷たく言い放った。
「その申し入れは断ったはずだ。マリーが心配ならそちがこの王宮へと戻ればよかろう。」
兄皇帝は間髪いれずにそう返して、いつもの冷たい無表情無機質な声色で答えた。
「それで、リーナ姉様はどんな情報得て、教えに戻ってきて下さったの?」
冷たい兄妹喧嘩の勃発に、その理由にされているマリアンナはあわわと焦りながら、話を変えるように口を挟んだ。
「ああ、その話ねえ。わたくしは情報を自分だけで握っておこうとは露程も思っていないのだけれど、皇帝陛下は如何でしょうかしら?」
まだまだ喧嘩を収める気の無い姉の姿に、恐れ戦きながらもマリアンナが宥めるほかないと、
「そ、そんなお兄様だってそんな気はありませんわよ、きっと、ね?ね?」
兄皇帝に強く同意を求めると、如何にも渋々と言った様子で首肯した。
「ほら、お兄様もこう言ってますでしょ?ね?ね?」
今度はカロリーナへと同意を求めるよう、すがるような目線を投げる。
「ふーぅん」
カロリーナは全く信用していない、不本意そうな言葉を呟きながらも、
「まあ良いでしょう。どうせマリーに聞かせようと思って戻ってきたのですし。」
そう、ため息混じりに独り言を吐き、徐に話し出した。
「予知夢の中で、マリーの離宮にハルク·ファルザンを招き入れたのは、おそらくアンリエッタ·ガルバン。」
「え、ええー!」
その名にマリアンナは驚き過ぎてのけ反って叫んでしまった。
「誰だ、その者は。いや、聞き覚えが。」
兄皇帝も首を捻ってその名を反芻していた。
「夢で生まれたマリーの娘、アレス王国の王女のガバネスの女ですわね?」
カロリーナがマリアンナにそうよねと目で確認してきた。
「ええ、そうですわ。昔お兄様にも、革命軍の幽閉の中、唯一の情報源だった者として話したことがあったと思うのですが。」
マリアンナが兄皇帝に覚えてる?と視線で問いかけた。
「ああ、あの二人の語らいの時だな。確かに私もその女の存在に違和感を感じたのだ。あの時、その者の話の信憑性をマリーに問うたな。」
兄皇帝は覚えてるが?と視線で答えながら、当時の話をなぞった。
「ええ、信憑性も何も夢の中お話ですと申しあげましたが。リーナ姉様、どうして彼女が招き入れたと思うのですか?」
賢い姉のことだ、きっとしっかりした理由があるのだろうと、あの1度目の世界での謎が解けることに期待してマリアンナは聞き返した。
ちらりと兄皇帝へと優越感を含んだ目線を投げながら、カロリーナは話し出した。
「マリーがアンリエッタの父は先王の時代の最高書記官だと言っていたので、まあそこを探りますわね。」
「ええ、まあ、そうでしたの!」
マリアンナは自分の過去の話で出た人物を実際に調べていると初めて知りまた驚いた。
兄皇帝は目線で先を即し、カロリーナはフンと鼻を鳴らして話を続けた。
「そうした所、アレス王国の国王シャルルにも外交担当の側近として、仕えております。」
へえとマリアンナは姉の話に聞き入った。
「その娘アンリエッタは昨年まで北ウエス王国に留学していて、同時期ファルザンも遊学として北ウエスの王宮へと駐留していたのです。
デビュタント前ですから夜会などには出れない反面、北ウエスの王族達とお茶会や狩猟大会、剣闘大会などで仲睦まじい様子をみせていた、と。
そして、今年になってアレス王国の三王女の1人、マリーの言葉だと中叔母ね、彼女の下に侍女見習いとして入っていますの。
ここからはわたくしの想像なんだけれど、彼女、ファルザンに恋して居たのではないかしら。王宮の中叔母の元からファルザン宛に何通も手紙を送っているのよ、ジョセフィーヌという名で。
そして、ファルザンは、ルイーズマリー王妃の小姓として今年まで侍って居たのだけれど、どうも王妃に恋しているような振る舞いをしていて、王妃の戯れの愛人と社交界で噂になっていた模様。
その噂に嫉妬した国王が王妃を王宮の奥へ軟禁し、ファルザン解雇してしまったようなの。
アンリエッタとも縁が切れたと思ったのだけれど、中叔母と一緒に行った仮面舞踏会でファルザンと再開したらしいの。
再開に、熱烈に抱きつくアンリエッタを、ファルザンは北ウエスで数回顔あわせしただけで恋人面をするな!と怒りに任せて、強く言い放ったらしいの。
それに対してアンリエッタは、『何を言っているの100通以上も文通を交わして愛してると書いてきた癖に』と言い返し、社交の場で最悪の修羅場をみせたみたいなの。
その後、どうやらアレス王宮ではアンリエッタからの手紙を王妃からだとファルザンに渡され、ファルザンから王妃への手紙はアンリエッタへと渡されていたようだと醜聞の詳細が貴族の噂になっているようなのよ。
ルイーズマリー王妃は、不貞を否定しているようで、自身の知らない所で勝手に誰かの思惑で年下の愛人を侍らす不貞王妃にされて、よい迷惑ね。」
マリアンナは衝撃を受けていた。
「なにか近視感のある話だわ。じゃあ夢のわたくしも、」
「ええ、そうじゃないかしら。マリーが行った仮面舞踏会、その時の仮面はどうしたの?」
「中叔母様が、北ウエスの仮面舞踏会で使われる洒落た物だからと、貸して下さって、って、ああ!」
「そう、ファルザンが仮面を取ろうとしたのはきっと、北ウエスで知り合ったアンリエッタかどうか知りたかったからじゃない?そして、翌日の謁見ではマリーの顔を見る為では?」
「じゃあ、夢の中での、あの馴れ馴れしい手紙は、」
「きっと、アンリエッタがファルザンに出した手紙がマリアンナからと偽りで渡され、ファルザンからの手紙はマリーとアンリエッタへと内容を見てそれぞれに渡されていたのではないかしら。
新大陸へと行ったファルザンにも王宮からアンリエッタは熱心に手紙を送ったのでは無いかしら?
ファルザンは偽マリーに恋して、悲劇の恋人とでも、報われない愛とでも思っていたのではないかしら。
そうして運命の革命の日、ファルザンは愛しの王妃を救い出すため離宮へやってきて、旧友であるアンリエッタに王妃との面会を懇願した。アンリエッタはマリーと国王の仲を知っているから、ファルザンの忠信に感動でもして取り諮ったのではないかしら。途中で国王オーギュストに命じられてマリーの元を去ったのもマリーが自分ではなく夫を選んで失恋した、とかではなくて?悲恋に酔っていたのかもね。」
「じゃあ、アンリエッタもファルザンも誰かに騙されていたというの?」
マリアンナは震える唇でそう問いかけた。
「これは、あくまでもわたくしの想像なんだけれどもね。
現に今、ファルザンは王妃から遠ざけられて新大陸へと従軍させられているし、アンリエッタは宮廷伯と結婚させられて、王宮を去ったわ。最高書記官の彼女の父親が二人を手駒として使っていたのかも知れないわね。」
カロリーナの話に、マリアンナは言葉を失い白目をむいて倒れたのだった。
ノックも無く、ドアが開くと、鈴の音のような可憐な声が響いた。
声の主の顔を兄妹で認めると、兄は眉間にシワを寄せ口をへの字に歪ませ、妹はパアッと明るい笑顔を向けて声をかけた。
「リーナ姉様、どうしたの!?帰られたのでは無いのですか?」
「ええ、途中まで帰路についていたのだけれど、気になった情報がもたらされたので、取り急ぎわたくしだけ王宮へと戻って着ましたの。陛下が王子たちを無事にリンネ王国へと連れ帰った後、わたくしを迎えに来て下さるそうだから、もう少しゆっくりさせて下さいな、お・兄・様・。」
そこには、今朝方、帰路につくのを涙で見送った大好きな三姉カロリーナの姿があった。
カロリーナはゆっくりと話ながら、マリアンナの横へと腰かけ、兄皇帝に意味深な目線を送った。
兄皇帝は憮然とした顔付きをしてスッと目を反らした。
「どうしましたの?」
二人の意味深な雰囲気にマリアンナが問うた。
その視線を笑顔で受けて、カロリーナが
「ええ、マリーそんな心配そうな顔をしなくても大丈夫よ。
わたくしとエリー姉様フリード様、そしてお父様、マリーの予知夢を知っているわたくし達はその内容を共有しているわ。勿論、それはマリーが不幸な目に合わないようにと言うのが大前提で、その予知夢を最大限利用して神聖帝国の平和へ寄与する為に。
でも、マリーに無理強いをしてはいけないと、初めてお兄様とマリーが二人で話した後、高い熱、知恵熱のようなものを出した後、そうエリー姉様がお決めになったの。
お兄様を叱りながら、『巫女の予言を無理強いするな!』とね。
だから、その後は二人の会談は持たれなかったでしょ?マリーの予知夢の話はマリーが話したい時にわたくしが聞き、それを後日姉様とお兄様へ告げる、そういう流れになっていたのですから。
しかし、わたくしがフリード様へと嫁いでからはそうも行かない。
だから、今回はわたくしが長く滞在してマリーと話たのだけれど、もうマリーも大人になって、予知夢に魘されることも無くなって、今回そんな話は出なかったでしょ。
皆で話し合って、マリーには悪夢を思い出すことは苦痛なのだから、無理やり聞き出さないことにしましょうと決めたのよ。
それなのに、皆が帰ったその日に一番辛い夢であろう革命のことを聞き出すなんて、お兄様信じられませんわ。マリーにこんな仕打ちをされるのであれば、やはりわたくしとリンネ王国で暮らした方がマリーの為になるのではないかしら?」
そう冷たく言い放った。
「その申し入れは断ったはずだ。マリーが心配ならそちがこの王宮へと戻ればよかろう。」
兄皇帝は間髪いれずにそう返して、いつもの冷たい無表情無機質な声色で答えた。
「それで、リーナ姉様はどんな情報得て、教えに戻ってきて下さったの?」
冷たい兄妹喧嘩の勃発に、その理由にされているマリアンナはあわわと焦りながら、話を変えるように口を挟んだ。
「ああ、その話ねえ。わたくしは情報を自分だけで握っておこうとは露程も思っていないのだけれど、皇帝陛下は如何でしょうかしら?」
まだまだ喧嘩を収める気の無い姉の姿に、恐れ戦きながらもマリアンナが宥めるほかないと、
「そ、そんなお兄様だってそんな気はありませんわよ、きっと、ね?ね?」
兄皇帝に強く同意を求めると、如何にも渋々と言った様子で首肯した。
「ほら、お兄様もこう言ってますでしょ?ね?ね?」
今度はカロリーナへと同意を求めるよう、すがるような目線を投げる。
「ふーぅん」
カロリーナは全く信用していない、不本意そうな言葉を呟きながらも、
「まあ良いでしょう。どうせマリーに聞かせようと思って戻ってきたのですし。」
そう、ため息混じりに独り言を吐き、徐に話し出した。
「予知夢の中で、マリーの離宮にハルク·ファルザンを招き入れたのは、おそらくアンリエッタ·ガルバン。」
「え、ええー!」
その名にマリアンナは驚き過ぎてのけ反って叫んでしまった。
「誰だ、その者は。いや、聞き覚えが。」
兄皇帝も首を捻ってその名を反芻していた。
「夢で生まれたマリーの娘、アレス王国の王女のガバネスの女ですわね?」
カロリーナがマリアンナにそうよねと目で確認してきた。
「ええ、そうですわ。昔お兄様にも、革命軍の幽閉の中、唯一の情報源だった者として話したことがあったと思うのですが。」
マリアンナが兄皇帝に覚えてる?と視線で問いかけた。
「ああ、あの二人の語らいの時だな。確かに私もその女の存在に違和感を感じたのだ。あの時、その者の話の信憑性をマリーに問うたな。」
兄皇帝は覚えてるが?と視線で答えながら、当時の話をなぞった。
「ええ、信憑性も何も夢の中お話ですと申しあげましたが。リーナ姉様、どうして彼女が招き入れたと思うのですか?」
賢い姉のことだ、きっとしっかりした理由があるのだろうと、あの1度目の世界での謎が解けることに期待してマリアンナは聞き返した。
ちらりと兄皇帝へと優越感を含んだ目線を投げながら、カロリーナは話し出した。
「マリーがアンリエッタの父は先王の時代の最高書記官だと言っていたので、まあそこを探りますわね。」
「ええ、まあ、そうでしたの!」
マリアンナは自分の過去の話で出た人物を実際に調べていると初めて知りまた驚いた。
兄皇帝は目線で先を即し、カロリーナはフンと鼻を鳴らして話を続けた。
「そうした所、アレス王国の国王シャルルにも外交担当の側近として、仕えております。」
へえとマリアンナは姉の話に聞き入った。
「その娘アンリエッタは昨年まで北ウエス王国に留学していて、同時期ファルザンも遊学として北ウエスの王宮へと駐留していたのです。
デビュタント前ですから夜会などには出れない反面、北ウエスの王族達とお茶会や狩猟大会、剣闘大会などで仲睦まじい様子をみせていた、と。
そして、今年になってアレス王国の三王女の1人、マリーの言葉だと中叔母ね、彼女の下に侍女見習いとして入っていますの。
ここからはわたくしの想像なんだけれど、彼女、ファルザンに恋して居たのではないかしら。王宮の中叔母の元からファルザン宛に何通も手紙を送っているのよ、ジョセフィーヌという名で。
そして、ファルザンは、ルイーズマリー王妃の小姓として今年まで侍って居たのだけれど、どうも王妃に恋しているような振る舞いをしていて、王妃の戯れの愛人と社交界で噂になっていた模様。
その噂に嫉妬した国王が王妃を王宮の奥へ軟禁し、ファルザン解雇してしまったようなの。
アンリエッタとも縁が切れたと思ったのだけれど、中叔母と一緒に行った仮面舞踏会でファルザンと再開したらしいの。
再開に、熱烈に抱きつくアンリエッタを、ファルザンは北ウエスで数回顔あわせしただけで恋人面をするな!と怒りに任せて、強く言い放ったらしいの。
それに対してアンリエッタは、『何を言っているの100通以上も文通を交わして愛してると書いてきた癖に』と言い返し、社交の場で最悪の修羅場をみせたみたいなの。
その後、どうやらアレス王宮ではアンリエッタからの手紙を王妃からだとファルザンに渡され、ファルザンから王妃への手紙はアンリエッタへと渡されていたようだと醜聞の詳細が貴族の噂になっているようなのよ。
ルイーズマリー王妃は、不貞を否定しているようで、自身の知らない所で勝手に誰かの思惑で年下の愛人を侍らす不貞王妃にされて、よい迷惑ね。」
マリアンナは衝撃を受けていた。
「なにか近視感のある話だわ。じゃあ夢のわたくしも、」
「ええ、そうじゃないかしら。マリーが行った仮面舞踏会、その時の仮面はどうしたの?」
「中叔母様が、北ウエスの仮面舞踏会で使われる洒落た物だからと、貸して下さって、って、ああ!」
「そう、ファルザンが仮面を取ろうとしたのはきっと、北ウエスで知り合ったアンリエッタかどうか知りたかったからじゃない?そして、翌日の謁見ではマリーの顔を見る為では?」
「じゃあ、夢の中での、あの馴れ馴れしい手紙は、」
「きっと、アンリエッタがファルザンに出した手紙がマリアンナからと偽りで渡され、ファルザンからの手紙はマリーとアンリエッタへと内容を見てそれぞれに渡されていたのではないかしら。
新大陸へと行ったファルザンにも王宮からアンリエッタは熱心に手紙を送ったのでは無いかしら?
ファルザンは偽マリーに恋して、悲劇の恋人とでも、報われない愛とでも思っていたのではないかしら。
そうして運命の革命の日、ファルザンは愛しの王妃を救い出すため離宮へやってきて、旧友であるアンリエッタに王妃との面会を懇願した。アンリエッタはマリーと国王の仲を知っているから、ファルザンの忠信に感動でもして取り諮ったのではないかしら。途中で国王オーギュストに命じられてマリーの元を去ったのもマリーが自分ではなく夫を選んで失恋した、とかではなくて?悲恋に酔っていたのかもね。」
「じゃあ、アンリエッタもファルザンも誰かに騙されていたというの?」
マリアンナは震える唇でそう問いかけた。
「これは、あくまでもわたくしの想像なんだけれどもね。
現に今、ファルザンは王妃から遠ざけられて新大陸へと従軍させられているし、アンリエッタは宮廷伯と結婚させられて、王宮を去ったわ。最高書記官の彼女の父親が二人を手駒として使っていたのかも知れないわね。」
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