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アマベル男爵令嬢
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その5名の内1名は、男爵家のたいそう可憐な見目の御令嬢で、名をアマベルと言った。
当然のようにクラスのヒエラルキーは入学したその日に決定しており、成績優秀でAクラスに選ばれた取り巻きじゃない5名は自然と纏まらざるを得なかった。
特に、王女の取り巻きのご令嬢や幼馴染みを除くと、クラスの女生徒はアマベルしか居なかったので、ジェマイマは自然とアマベルと一緒に居るようになったのだ。
アマベルは目を見張るほどの華やかな美貌を持っていたが、その中身はしっかりと将来を見据え、努力してAクラス入りを果たした優秀な少女であった。
彼女の男爵領は王都から遠く離れているが、海に面しており、外国との貿易を元より生業にしていて、3代前の当主が王都に商会を出した。
一族の者は目利きの才があったようで、その珍しい舶来品は話題となり、その商材を一手に扱う商会は瞬く間に大きくなって、アマベルの父親が男爵位を賜ったのだという。
どんなに人気の商会を運営していようが、そこは、階級社会。
新興貴族と侮られることも多く、理不尽な言いがかりをつけてくる貴族の客も間々居て、アマベルは兎に角それが我慢ならなかったらしく、貴族学院在学中に貴族家の子女と友好を深め、どうにか少しは生家の立場を上げて行きたいと考えて入学したと言う。
ところが、入学したその日にそんな目論見は露と消えた。
貴族のつき合いは、幼少期から、いや、親世代から、いや、その脈々と培った時間によるものだと初日に思い知り、今後の生家の男爵家地位向上戦略を再度練り直す、と話してきたアマベルをジェマイマは大層好ましく思った。
「まあ、10軒伯爵家があったなら、ランキング5位か6位か7位である我がキャンベル伯爵家ではお目に叶わないのかしら?」
そう告げたジェマイマに、
「い、いや、全然、全然そんなこと無い、え、い、良いの?お付き合いして貰えるの?いや、え、有り難いです、本当に?あ、ありがとう!感謝します!」
焦って、そう言うアマベルの姿は女の目から見ても、たいそう可愛らしかった。
「なら、この3年間で我が家が持っている数少ない貴族家との縁を出来る限りアマベルに繋ぎましょう、ですからアマベルにはその商会のノウハウ、を教えて頂く!のは申し訳無いから、出来ましたら、少しでも我が領地の特産品になりそうな物を見出だして貰えないかしら?出来たらで良いのよ、無理矢理作るとかそうではなくて、他所からみて価値の有る物がどういうのかがわかりませんのよ。そう言ったこと、我がキャンベル家では、誰も彼もまあ苦手で。全く出来ません、出来る気すらしませんのよ」
「ええ、貴族家をご紹介頂けますの?有り難いですー!特産品を探すお手伝いするする、させて貰いたいです。そこは我が家の得意分野、ええ私も得意なんですよ、喜んでやりますよ!」
そんな話をしたのは、ヒエラルキー上位者がランチへと食堂へと行った後、閑散とした教室で、向かい合って各々持ちよったランチボックスを摘まんでいる時であった。
第1王子が在籍していた時、兄は昼休みの食堂でも気苦労したと言っていたので、休憩時間までヒエラルキーを気にしたくないジェマイマは、初めから弁当持参で登校していた。
それを目にしたアマベルも真似をするようになり、2人で教室や校庭のベンチなどで楽しく昼食を取っていたのだった。
二人とも両親は領地にいて、タウンハウスに居るのは気心の知れた使用人たちであるから、お互い悠々自適な学生生活を過ごし、女学生らしく学院の帰りにお互いの家を行き来したり、休日にアマベルの商会やカフェを訪ねたり、観劇に行ったり、長期休暇にお互いの領地を訪ねたりと、充実した日々を送りながら友好を深めて行った。
アマベルの見目の良さに、ちょっかいを出してくる高位貴族の令息とそれを面白く思わない令嬢の嫌がらせが最初はあったのだが、ジェマイマも立ち会って話し合った後はそう言う厄介事もなくなった。
5名の内残りの3名の令息たちとは、それとなく程好い距離感でつき合いを持ちつつ、距離をとりつつ過ごしていたが、その中の子爵家の嫡男とアマベルは3年生の後半、もうすぐ卒業という頃に婚約を交わしたのだった。
めでたいことであった。
当然のようにクラスのヒエラルキーは入学したその日に決定しており、成績優秀でAクラスに選ばれた取り巻きじゃない5名は自然と纏まらざるを得なかった。
特に、王女の取り巻きのご令嬢や幼馴染みを除くと、クラスの女生徒はアマベルしか居なかったので、ジェマイマは自然とアマベルと一緒に居るようになったのだ。
アマベルは目を見張るほどの華やかな美貌を持っていたが、その中身はしっかりと将来を見据え、努力してAクラス入りを果たした優秀な少女であった。
彼女の男爵領は王都から遠く離れているが、海に面しており、外国との貿易を元より生業にしていて、3代前の当主が王都に商会を出した。
一族の者は目利きの才があったようで、その珍しい舶来品は話題となり、その商材を一手に扱う商会は瞬く間に大きくなって、アマベルの父親が男爵位を賜ったのだという。
どんなに人気の商会を運営していようが、そこは、階級社会。
新興貴族と侮られることも多く、理不尽な言いがかりをつけてくる貴族の客も間々居て、アマベルは兎に角それが我慢ならなかったらしく、貴族学院在学中に貴族家の子女と友好を深め、どうにか少しは生家の立場を上げて行きたいと考えて入学したと言う。
ところが、入学したその日にそんな目論見は露と消えた。
貴族のつき合いは、幼少期から、いや、親世代から、いや、その脈々と培った時間によるものだと初日に思い知り、今後の生家の男爵家地位向上戦略を再度練り直す、と話してきたアマベルをジェマイマは大層好ましく思った。
「まあ、10軒伯爵家があったなら、ランキング5位か6位か7位である我がキャンベル伯爵家ではお目に叶わないのかしら?」
そう告げたジェマイマに、
「い、いや、全然、全然そんなこと無い、え、い、良いの?お付き合いして貰えるの?いや、え、有り難いです、本当に?あ、ありがとう!感謝します!」
焦って、そう言うアマベルの姿は女の目から見ても、たいそう可愛らしかった。
「なら、この3年間で我が家が持っている数少ない貴族家との縁を出来る限りアマベルに繋ぎましょう、ですからアマベルにはその商会のノウハウ、を教えて頂く!のは申し訳無いから、出来ましたら、少しでも我が領地の特産品になりそうな物を見出だして貰えないかしら?出来たらで良いのよ、無理矢理作るとかそうではなくて、他所からみて価値の有る物がどういうのかがわかりませんのよ。そう言ったこと、我がキャンベル家では、誰も彼もまあ苦手で。全く出来ません、出来る気すらしませんのよ」
「ええ、貴族家をご紹介頂けますの?有り難いですー!特産品を探すお手伝いするする、させて貰いたいです。そこは我が家の得意分野、ええ私も得意なんですよ、喜んでやりますよ!」
そんな話をしたのは、ヒエラルキー上位者がランチへと食堂へと行った後、閑散とした教室で、向かい合って各々持ちよったランチボックスを摘まんでいる時であった。
第1王子が在籍していた時、兄は昼休みの食堂でも気苦労したと言っていたので、休憩時間までヒエラルキーを気にしたくないジェマイマは、初めから弁当持参で登校していた。
それを目にしたアマベルも真似をするようになり、2人で教室や校庭のベンチなどで楽しく昼食を取っていたのだった。
二人とも両親は領地にいて、タウンハウスに居るのは気心の知れた使用人たちであるから、お互い悠々自適な学生生活を過ごし、女学生らしく学院の帰りにお互いの家を行き来したり、休日にアマベルの商会やカフェを訪ねたり、観劇に行ったり、長期休暇にお互いの領地を訪ねたりと、充実した日々を送りながら友好を深めて行った。
アマベルの見目の良さに、ちょっかいを出してくる高位貴族の令息とそれを面白く思わない令嬢の嫌がらせが最初はあったのだが、ジェマイマも立ち会って話し合った後はそう言う厄介事もなくなった。
5名の内残りの3名の令息たちとは、それとなく程好い距離感でつき合いを持ちつつ、距離をとりつつ過ごしていたが、その中の子爵家の嫡男とアマベルは3年生の後半、もうすぐ卒業という頃に婚約を交わしたのだった。
めでたいことであった。
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