魔王として転生したはいいけれど無理ゲー過ぎて心が折れそうな俺とサディスティックな勇者の異世界戦記

よすけ

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魔族最強の酒飲みは誰だっ!!吐いたら負けよ酒飲みデスマッチ 決勝戦 終話

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壇上に上がったタマが右手を口に当てながら話し出す。

「コホンッ。ちょっとしたアクシデントはありんしたが、次の回へ移させて頂きんす。」

神殺しを飲み運ばれていったレオの事なんてなんのそのである。

タマの自由奔放さを魔族達も知っているのであろう。散っていった漢に若干の哀悼を捧げ、気持ちを切り替えタマに注目していた。


魔族最強の酒飲みは誰だっ!!吐いたら負けよ酒飲みデスマッチ 決勝戦は2巡目に差し掛かる。


「うむ。それではカシムや、神殺し20滴水割りを用意願いんす。」

タマがカシムに伝えるとカシムは頷き、特大樽から一滴、一滴と神殺しをグラスへと移していく。
一滴落ちる毎に酒の匂いが王間に広まっていき20滴落ちた頃にはその匂いだけで酔っ払いが現れてもおかしくない状況になる。

「酒に弱い者は後ろに下がっておれ。」

壇上にいるタマからは王間の魔族達の状態が見えているのであろう。的確に指示を出し、酒に弱い魔族や酔いそうな魔族を会場から遠ざけていった。

特大樽の上に乗っていたクスもフラフラとし始めていたのでタマがクスを下ろし。その鼻、口に胸元から出した黒色の布を当てている。

(やっぱりタマさんは何だかんだやってるが、キチンとフォローすべき点はしている。⋯⋯俺が言うのも何だが教師みたいだよ。)

神殺し20滴水割りはグラスからその芳醇な匂いを伝え、運んでいるカシムへも間接的な攻撃をやめない。その為、テーブルへと持ち運ぶカシムはほんのりと顔が赤くなっている。
カシム本人もその事には気がついていたが、酒職人の意地がある。ゆっくりとそしてしっかりとした足取りでフェリスへと向かっていった。

「カシムさんも頑張れよっ!」
「おうっ!カシム!!足がふらつき始めてるぞっ!!気張れやっ!!」

「うるせぇっ!!まだまだぁ俺ぁ大丈夫だっ!!酒職人なめんなよって!!」

魔族達の野次を切り替えしフェリスのテーブルへ神殺しを差し出す。

コトッ

「フェリス。神殺し20滴水割りだ。味わってくんれぇ。」

神殺し10滴水割りの時のような心配事をカシムは今回言わなかった。それは覚悟の表れ。

(俺ぁ、さっきの10滴の時にフェリスを心配しちまった。⋯⋯かぁぁぁっ!情けねぇっ!酒呑を心配するなんて烏滸がましいったらあらしねぇっ!!何を心配する必要があったっ!!そんな失礼な事なんてねぇやっ!!アイツは酒呑っ!!我らが酒呑様よっ!!⋯⋯俺ぁ俺の役割をシッカリ務めるだでぃっ!!)

そう、幼い頃からの付き合いであるフェリスへ親心のような想いも持っているカシム。一巡目の時はその想いが前に出てしまった。親が子を想う。当然の反応だろう。
しかしフェリスの飲みっぷり、浩介の飲みっぷりを見てその想いが間違っていた事に気付いたのだ。
⋯⋯勿論心配ではある。心配ではあるがそれは酒呑への非礼。酒呑は酒呑のカシムはカシムの役割がある。
だからこそ、伝えるのは心配ではなく、味わってくれという想い。

カシムの想いがフェリスへ伝わったのだろう。

「カシムさん。ありがとうございます。神殺し美味しく頂きます。」

飛び切りの笑顔でカシムに微笑むフェリス。
その笑顔を見たカシムは一瞬だが幼い頃のフェリスを思い出し

「⋯⋯てやんでぃっ!!目に神殺しが入っちまったっ!!いてて、焼けるように痛いぜぇっ!!」

と目を擦りながらテーブルを去っていった。

カシムの後ろ姿を見ながら、目の前に置かれる神殺しをフェリスは大切そうに持ち上げ

皆が見守る中

⋯⋯フェリスが神殺しを口へと注ぐ。

「ングングッ」

口内へ侵入する神殺し。10滴の時でさえ中々の強さだった神殺しだが20滴になるともう別次元の酒に変わっていた。
いや、酒と称していいのかすらわからない。未知の熱がフェリスを襲う。それは灼熱と表現するのも甘ぬるい焦熱地獄。

「⋯⋯!!!!っケホッ!!ゲホッ!」
(なに⋯⋯こ、れ)

流石のフェリスも酒とは呼べないような飲み物と化している神殺しにむせかえる。
神殺し20滴水割りは余程強いのだろう。グラスにはまだ7分程の量が残っているのにも関わらず飲むのを一度やめ、目を閉じ、はぁはぁと浅い呼吸を繰り返していた。

その状態から数秒経つとフェリスの顔が真っ赤に染まっていく。

その反応、フェリスの顔の変化に驚く魔族達。

フェリスは未だかつて飲みの場で咳き込むこと一切なく、酒呑として対応する場面でも他者とかけ離れた酒量で圧倒してきた。
魔族達の記憶にある限りこの様なフェリスは見たことがない。

「⋯⋯神殺しの攻撃が酒呑フェリスを苦しませておるっ!我らが酒呑も神殺し20滴は苦しいようでありんすっ!!その手にはまだ神殺しが残っておりんすが、フェリスは最後まで飲みきれるのでありんしょうかっ!!」

タマも驚きながら実況をしている。

「⋯⋯あんなフェリス様見たことがねぇ」
「フェリス様っ!!頑張ってくださいっ!!」
「うわっ!あの苦しそうな表情っ!!それ「顔が真っ赤だぜっ!大丈夫なんだろうな。」

誰が見ても限界に近い状態。その変化にタマが珍しく真剣な眼差しでフェリスを見つめている。
辞めさせるか判断をしているようだ。

そんな状況の中、強すぎるアルコールの影響で手元が覚束なくなりながらもフェリスはゆっくりゆっくりとグラスを再度口につけ神殺しを飲み込む。それは酒呑としての矜持か。それとも別の何かか。

「ングングングッ!⋯⋯ ⋯⋯ウッ!!」

(⋯⋯これはっお酒とはもう呼べない別の⋯⋯飲み物です。あたまが、くらく、らして来ました。⋯⋯浩介さまはこのお酒⋯⋯大丈夫かな⋯うっ!)

しかしそんな矜持、プライドなど神殺しの前では無力。再度飲み込んだ神殺しが無情にもフェリスを蹂躙する。
二度目の飲酒は一度目で弱っていたフェリスの意識を一瞬刈り取り

ガタンッッ!!

椅子から身を崩しゆっくりと床に向かって倒れていくフェリス。

王間にいる誰もが床に激突するフェリスを想像しただろう。悲鳴があがる。

しかし

「フェリスさんっ!」

一瞬。

浩介の声が聞こえたと思った瞬間。床に倒れかけていたフェリスを浩介が抱きとめていた。

「⋯⋯今俺、浩介様が移動したの見えなかったぞ⋯⋯」
「俺もだっ!!えっ、どう言う事だ。まるで瞬間移動みたいな⋯⋯」

その速さ、未知の現象を目の当たりにした魔族達は戸惑いの声が上がり始めているが、1番驚いているのは浩介だ。

(なっ⋯⋯フェリスさんを助けなきゃって思ったら、まるで周りがスローモーションの様に感じて⋯⋯間に合っ⋯⋯た??⋯⋯っ!!それより今はっ!)

「フェリスさんっ!フェリスさん大丈夫ですかっ!?」

身体を弱めに揺り意識の確認をする浩介。

「⋯⋯っん。」

浩介の問いかけにフェリスは目を何とか開くが自分が誰に何をされているかわかっていないようだ。そんなフェリスへ

「フェリスさん。これ以上は危険です。多少の無理は酒呑としての矜持でも構いませんが、度が過ぎた無理は矜持でもなんでもないですよ。周りを見てみてください⋯⋯ほら」

「⋯⋯こうすけ、、様?」

ここに来てフェリスは浩介に抱き抱えられていると認識する。しかし平時なら嬉びでどうにかなってしまうような状況だが、その反応はない。酔って頭が回っていないようだ。

フラフラになりながらも言われた通り周りを見渡すフェリスだがそこには

フェリスの反応に驚き、心配そうな顔をしたカシム
自分を止めに来てくれたのだろうタマ
不安、心配そうな顔をしている魔族達

皆がフェリスを心配している。

(あ⋯⋯ぁ私は皆さんを、こんな顔にさせてしまっ⋯⋯てる。酒呑⋯⋯失格ですね)

その様子を見てフェリスは泣きそうな顔をしながら頭を下げ

「⋯⋯もうし、わけありません。私は⋯⋯ここでギブアップで⋯⋯す。浩介さ、ま飲まれる際は⋯⋯お気をつ⋯⋯けて」

何とかそう言葉にすると、突然カクンと身体から力が抜け浩介の腕の中で意識を手放した。その頬には涙が落ちていた。

「救護班っ!!フェリスを頼みんすっ!」

同時にタマが救護班へ指示を出す。

(酒呑として、フェリスさんは己がもてる力を存分に見せてくれた。⋯⋯俺は⋯⋯このままでいいのだろうか。このまま神殺しを何事もなく飲んで勝ち、新しい酒呑の誕生。きっと魔族達、フェリスさんは祝福してくれるけど⋯⋯ ⋯⋯それは⋯⋯違うよなやっぱり。
フェリスさんの涙、カシムさんの酒職人としての矜持。レオさんの行動。魔族達の信頼。この会を開催してくれたタマさん。彼らに嘘はつきたく無いっ!)

やってきた救護班がフェリスを運び出そうとした時。

「待ってくださいっ!!皆さんに伝えないといけない事があります。⋯⋯タマさん。申し訳ないですがレトリーさん、コクウさん、レオさんをこちらへ運んでもらう事は可能でしょうか。」

浩介の真意はわからないが意図には気がついたのだろう。
タマは驚きながらも頷き、声をあげた。

「御意。誰かっ!3人をこちらへ」

タマの言葉に救護班から驚きの声があがる。

「タマ様っ!!彼らは今動かせる状態ではございませんっ!!それにフェリス様にも早急な処置が必要ですっ!!」

「わかっておりんすっ!!だから浩介殿が対応してくれるのですよっ!!」

タマの反論に救護班も納得が言ったのか慌てて浩介へ頭を下げる。

「浩介様っ!!申し訳ございませんでした。すぐにっ!!」


⋯⋯ ⋯⋯数刻後

壇上の上にはフェリス、レトリー、コクウ、レオの4名が横たわっていた。

「運んでいただきありがとうございます。」

そう浩介は告げ、目を閉じ集中をする。

(願いが力になる。今はあの声は聞こえないけど⋯⋯きっと出来る!)

少しすると浩介の身体を緑色の光が纒う。その光は先程浩介が放ったフルリヴァイブの光とは違い次第に蛇のような形になり、浩介の身体に巻き付いていた。

「⋯⋯綺麗だ」

誰が発した言葉かはわからないが、その光は浩介の身体を
ぐるぐると回り、離れ、また近く。まるで主人にじゃれているような光に魔族達は見入っている。

【リカバー】

浩介の口から呪文が放たれると
その光は巨大な大蛇の様になり、一瞬で横たわる4人をまとめて包み込み消えていった。その光が消えた後に王間にさわやかな風が吹き抜け

「??何だが調子が良くなったような気がするぞっ!」
「⋯⋯私もだっ!」
「さっきまで少し酔ってたのに⋯⋯」
「ふぁぁぁあっ!クスも気分が良いでちゅよっ!!キャッキャッ!」

王間で神殺しの匂いに当てられていた魔族たちが、自身の体調が良くなっているのに驚く。

程なくして

「ふぁ~気分がいいでやんすっ!!」
「何か凄い事があった様な気がしますが⋯⋯清々しいです。」
「⋯⋯はっ!!浩介様はっ!特等席はっ!!」
「⋯⋯浩介様。ありがとうございます。⋯⋯先程は申し訳ありませんでした。」

4人もゴソゴソと起き出し始めた。

フェリスは最後に泥酔した為、浩介が処置してくれたことを多少覚えている様だが他の3名は快眠後の清々しい朝を迎えたような反応だ。

(リカバーは状態異常を回復される魔法なのかな?何はともあれよかった。⋯⋯後は)

王間では魔族達が浩介を称える歓声をあげているが、浩介はその歓声を腕を前に出し止める。

突然の浩介の行動に鳴り止む歓声。

「皆さんに伝えたい事があります。⋯⋯どうやら私は酒に酔わない体質になった様です。」

浩介の発言にはてな顔の魔族達。いきなり酒に酔わないと発言されれば誰だってそういう反応だろう。

(⋯⋯やっぱりこういう反応だよなぁ。まぁ言葉足らずだった感じはするけど、一度見てもらった方がわかりやすいかな。)

「すいません。いきなり言われてわかりませんよね。⋯⋯少し見ていてください。」

そういうと神殺しのある特大樽へと向かう浩介。そして片膝をつき、特大樽の吐水部に口をつけ、一気に蛇口を捻る。

「⋯⋯ングングングッ」

「浩介様っ!!」「浩介殿っ!?」
悲鳴のような声を上げるフェリスとタマ

「浩介様っ!!何をしてるんでぇっ!!神殺しを薄めずに飲むなんて自殺行為だっ!!死ぬぞっ⋯⋯ってえぇっっっっ!!飲んでるのか本当に⋯⋯まじかよっ」

フェリスの事を目の当たりにしていれば当然の反応だろう。王間にいる魔族達は呆気にとられ声が出ていない。

「⋯⋯ングッ!ご馳走様でした。」

特大樽から口を外し、口元を手で拭う浩介。
その表情は平時と変わっておらず、足取り、口調にも何ら支障がない。
その状態は誰がどう見ても異常。

「「「⋯⋯ ⋯⋯」」」

酒呑フェリスの惨状を目の前で見ていた魔族達は言葉が出ていない。

そんな中で神殺しの強さを1番よく知るフェリスが疑問を口にする。

「⋯⋯しかし浩介様、魔王殺しの際はお辛そうでした。とても演技には見えませんでしたが⋯⋯」

フェリスの疑問はもっともだろう。予選の時に浩介が咽たのは演技には思えない。魔族達もフェリスの言葉に頷く。

「はい。あの時の状態は演技ではありません。⋯⋯私自身、自分の変化に驚いているんですが、魔王殺しを飲んでいる最中に⋯⋯お酒が全く効かなくなりました。これが魔王としての力なのかわかりませんが⋯⋯」

肝心なあの声の事は伏せて話す浩介。
(俺自身まだわかっていない声の事を今話しても、混乱するだけだろうし。)

「⋯⋯この状態が判明した時にすぐに皆さんに伝えばフェリスさんやレオさん達に無理をさせなくてすんだと思います。⋯⋯申し訳ございませんでした。私の失態です。」

そう言うと頭を深く下げる浩介。
その姿は弱々しく、見ているものからすると本当に心から悔いているように映る。

「⋯⋯ ⋯⋯」

雰囲気が一変した王間。フェリスや他の魔族達はそんな浩介の姿を見てなかなかに声をかけることが出来ない。

実際フェリスにしてもレオにしてもその他魔族にしても浩介の話した内容に驚いているのだが、心中では浩介の体質の問題なのだから謝る必要は無いんじゃないかと思っていた。
フェリスとレオが飲んだのは自分の意思で浩介から強制させられた訳でもなく、フェリスに至っては浩介と飲み比べ対決のまだ2巡での出来事だった。これが仮に10巡くらいしてからの話だったら。また少し思いも違ったかもしれないが、フェリスは全く気にしていない。

「⋯⋯ ⋯⋯」

王間が重苦しい雰囲気に包まれる中

浩介の謝罪にイライラしていたカシムがもう我慢ならねぇと声を上げる。

「かぁぁぁぁぁっ!!浩介様よぅ!!そんな小せぇ事気にすんなっ!!浩介様は酒に酔わない体質っ!!フェリスに関してもその他参加者に関してもっ!!飲んだのは強制ではなく自分の意思っ!!んで酔っ払ったところを浩介様の魔法で助けてもらったんだろぅ??⋯⋯寧ろ酔いをさましてくれてありがとうございますじゃねぇーかよっ!!なぁぁぁあに辛気臭ぇこと言ってるんだぁ。なぁフェリスよおい??」

カシムの発言は正に的を得ており、魔族達の心中をそのまんま代弁してくれていた。さらにフェリスへと話を繋げるカシム。

「えっ⋯⋯あっはいっ!!そうですよ!!浩介様。カシムさんの言ったとおり強制で飲んでたのではなくあくまで自分の意思です。ですので頭をあげてください。浩介様の魔法のおかげで酔いも覚めました。感謝してます。」

2人の言葉を皮切りに王間に次々と声が上がる。

「浩介様っ!!カシムの言う通りだと思うぜっ!」
「気になさらないでください。」
「そーだそーだっ!!酒に飲まれた奴がわるいっ!⋯⋯しかしレオの様子は面白かったなぁ。わはははっ!」
「酒呑フェリス様の酔った姿も初めて拝見できたしねぇ」
「浩介様の魔法のおかげで気分爽快でっさぁ。気になさらないでいいと思いますよぅ!!」
「はぁはぁしてるフェリスたま、、、萌えます」

その歓声、笑い声に頭を上げる浩介。目の前に見える光景は皆が笑っており、誰一人として浩介を責めていない。

「⋯⋯浩介殿。我らが種族は皆馬鹿どもばかりでありんす。後悔されてるかもしれませぬが、我らにとっては些細な事です。ですからどうぞ応えてやってください。我が主」

いつの間に浩介の隣にいるタマ。その顔は他の魔族達と同様に笑っていてとても美しかった。

「タマさん⋯⋯はいっ!!」

浩介は勢いよく頷き

「皆さんのお気持ちとても有り難いです。ありがとう。それと召喚されたばかりの【俺】のためにこの会を開いてくれてありがとうございました。この会のおかげで皆さんへの偏見はなくなりましたし、色々と知ることが出来ました。⋯⋯明日からはどんな日になるかわかりませんが、魔王として皆さんを守り共に歩んで行こうと思います。これからもよろしくお願いしますね。」

ペコリとお辞儀をする浩介。すると

「「「ワァァァァァァァァァッッッツ!!」」」

王間が大歓声に包まれる。その歓声は本当の意味で浩介と魔族達が繋がった事を告げるように長々と王間にこだまし続けていた。
_______________________________________________________


「⋯⋯そう言えば酒呑の座はどうなるんでちゅか?」

大歓声が終わり、懇親会の最中にクスがふとした疑問を口にした。その疑問は魔族達も思っていた事でみな浩介の方へ視線を向ける。

そこには魔族達に囲まれで笑っている浩介がいた。飲み会前に誰も近寄ってこなかったのが嘘のように色々な魔族達から話され、話している浩介。まさにタマの思惑通り、いやそれ以上の状況だ。

そんな中、浩介はクスの質問に答える。

「フェリスさんがそのまま酒呑でいいと思います。⋯⋯私は酒で酔うことが一切ないので。アルコールを堪能できない酒呑って矛盾しか感じられませんしね⋯⋯フェリスさん~っ!今後ともよろしくお願いしますね。」

少し離れた場所で魔王殺しをロックで飲んでいるフェリスに苦笑しながら伝える浩介。

「はっ!はいっ!!このフェリス。浩介様以外の方には酒呑の座を譲る事は致しません。今後とも期待してて下さい。」

そう話していると遠くからカシムの声がフェリスの耳に入る。

「いやぁぁぁフェリスが酔うなんて子供の時ぶりでぃっ!!!おいっお前ら知ってっか??フェリスの野郎がまだこーーんな小さい時にあいつ酒玉食べて酔わなかったんだせえ!!わはははっ!、俺ぁビックリしたもんよっ!!それが今じゃ⋯⋯ックっ!!神殺しがまだ目にしみるやがるっ!!!⋯⋯おうっ!!てめぇら今日は飲むぞっ!!」

(全くカシムさんったら、でも今日はありがとうございました。)

フェリスは何だか嬉しくなり皆に囲まれている浩介の元へ走り出した。

その後フェリスも交えての懇親会は大いに盛り上がり、宴は夜遅くまで続いたのだった。



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