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一巡目(二〇二二)
第014匙 ここは何処の細道じゃ:べっぴん舍・お茶の水(A11)
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書き手は、ランチタイムにしか営業していない店から優先的に訪れよう、と発想し、Aコースに配され、神保町界隈で、さらに、昼営業のみの店を、冊子の「スタンプシート①」から探した結果、木曜日の昼に訪れる事にしたのが〈べっぴん舍・お茶の水〉店であった。
メトロ神保町駅の〈A5〉を出てから、スマフォの地図アプリの検索窓に「べっぴん舎」と打ち込んでみたところ、駅から二分程の場所にある店が表示され、店までのルートも提示されたので、その機械的指示に従って、書き手は店に向かった。
かくして、店に着いたのは開店直後だったのだが、窓から店の中の様子を覗いてみたところ、席は先客で既にいっぱいで、しばらく待つことになりそうであった。
店内で待つべきか、それとも、他の店に行くべきかどうかを考えながら、近くにあるカレー店も確認してみよう、とした時、書き手はある事に気が付いた。
店から程遠くない位置に、もう一軒、べっぴん舎が存在しているのだ。
そこで、冊子の店の紹介頁を見てみたところ、神保町界隈には〈べっぴん舎〉が二軒あって、書き手が今いるのは、Dコースに配されている〈神保町店〉であり、この日に書き手が行こうと考えていた、Aコースの〈御茶ノ水店〉ではない事が分かった。
店は開店したばかりだし、席が空くまでは三十分はかかりそうなので、書き手は、その神保町店を後にし、そもそもの目当てであった、御茶ノ水店の方に向かうことにした。
白山通りから明大通りまでの間ですら、靖国通りの左側に接続している細道は四本もある。
時刻は正午前であった。
そのため、近隣の会社が昼休みになって店が混む前に、べっぴん舎・御茶ノ水店に到着したいと考え、急がんとして焦っていた書き手は、迂闊にも、その四本の細道で迷ってしまったのだ。
ようやく到着した店は、明治通りへの角という、非常に分かり易い場所にあった。
焦ったから迷ったのだが、慌てる必要などまるでなかったのだ。
端末を持ち歩くようになってから、店の場所を事前確認しなくなって久しいが、この情報化時代においても、最低限の情報は前もって確認しておくべきだな、と書き手は思った。
*
店には既に沢山の客がいたものの、ぎりぎり正午直前に到着できた事もあって、待たずにカウンターの空席に座れた。
メニューには、「赤のべっぴん薬膳カリー」「黒のべっぴんカシミールカリー」「濃厚エビカリー」「牛スジカシミールカリー」の四つがあったのだが、冊子の店の紹介頁内に、「赤ワインでとろとろに煮込んだ新牛すじカシミールカリー!」という煽り文句を見止めていた書き手は、「赤ワインとスパイスで柔らかくなるまでコトコト煮込んだ牛スジの旨み」を味わえる、〈牛スジカシミールカリー〉を注文する事を既に決めていたのだった。
注文してから料理が出てくるまで、時間が掛かるようなので、その間に、いつものように〈べっぴん舎〉のカリーについて調べてみた。
べっぴん舎のカリーの特徴は、「20種の薬膳スパイス」であるらしい。
店秘伝のブレンドで調合された、薬膳スパイスは、代謝を促し、身体を内側から温め、さらに、あと味もスッキリしているそうだ。
そして、この店のカリーは「小麦粉を使わないグルテンフリー」であるため、胃にもたれないらしい。
さらに、店のカリーは、この薬膳スパイスと「8種の野菜をワインで煮込んだ自家製香味野菜スープ」が合わされている、との事であった。
実に身体に良さそうなヘルシーな感じで、それ故にか、女性の支持も高く、二〇一六年と二〇一七年に、二年連続で「神田カレーグランプリ マイスター賞」を受賞しているそうだ。
この説明文によって、書き手の期待感は、いやが上にも増した
そしてついに、注文品がやってきた。
料理は、ライスとカリーが別皿で、白い小型の深皿に盛られたカリーは、濃い茶色であった。
書き手は、レードルで掬ったカリーをライスに掛けながら、焦茶色で塗られた白米を次々と口に運んだ。
白い器に入ったカリーは、スープカレー程ではないが、ドロッとしているよりもむしろサラサラしている印象だったものの、女性客も多く、洒落た雰囲気の店という事もあって、書き手は、今回は、豪快な〈おじや食い〉をせずに、欧州風の食べ方をしたのであった。
味の方は、思わず、「スパイシィィィ~~~」と叫びたくなるような印象で、二十種類のスパイスを使っている、というのも納得である。
癖になりそうな味で、近いうちに、神保町店の方にも訪れたくなった書き手であった。
狭い路地に面しているべっぴん舎の神保町店は、過ちの結果とは言えども、既に一度訪れた分けだから、次の機会には、「ここはどこの細道じゃ」と呟きながら、右往左往するような事態には、おそらく陥らないであろう。
〈訪問データ〉
べっぴん舍・お茶の水:神保町・御茶ノ水
A11
八月二十五日・木曜日・十二時
牛すじカシミールカリー:一一〇〇円(現金)
〈参考資料〉
「スタンプシート①」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、四十ページ。
「べっぴん舍・お茶の水」、『前掲本』、七十ページ。
〈WEB〉
『ビストロべっぴん舎』、二〇二二年九月四日閲覧。
メトロ神保町駅の〈A5〉を出てから、スマフォの地図アプリの検索窓に「べっぴん舎」と打ち込んでみたところ、駅から二分程の場所にある店が表示され、店までのルートも提示されたので、その機械的指示に従って、書き手は店に向かった。
かくして、店に着いたのは開店直後だったのだが、窓から店の中の様子を覗いてみたところ、席は先客で既にいっぱいで、しばらく待つことになりそうであった。
店内で待つべきか、それとも、他の店に行くべきかどうかを考えながら、近くにあるカレー店も確認してみよう、とした時、書き手はある事に気が付いた。
店から程遠くない位置に、もう一軒、べっぴん舎が存在しているのだ。
そこで、冊子の店の紹介頁を見てみたところ、神保町界隈には〈べっぴん舎〉が二軒あって、書き手が今いるのは、Dコースに配されている〈神保町店〉であり、この日に書き手が行こうと考えていた、Aコースの〈御茶ノ水店〉ではない事が分かった。
店は開店したばかりだし、席が空くまでは三十分はかかりそうなので、書き手は、その神保町店を後にし、そもそもの目当てであった、御茶ノ水店の方に向かうことにした。
白山通りから明大通りまでの間ですら、靖国通りの左側に接続している細道は四本もある。
時刻は正午前であった。
そのため、近隣の会社が昼休みになって店が混む前に、べっぴん舎・御茶ノ水店に到着したいと考え、急がんとして焦っていた書き手は、迂闊にも、その四本の細道で迷ってしまったのだ。
ようやく到着した店は、明治通りへの角という、非常に分かり易い場所にあった。
焦ったから迷ったのだが、慌てる必要などまるでなかったのだ。
端末を持ち歩くようになってから、店の場所を事前確認しなくなって久しいが、この情報化時代においても、最低限の情報は前もって確認しておくべきだな、と書き手は思った。
*
店には既に沢山の客がいたものの、ぎりぎり正午直前に到着できた事もあって、待たずにカウンターの空席に座れた。
メニューには、「赤のべっぴん薬膳カリー」「黒のべっぴんカシミールカリー」「濃厚エビカリー」「牛スジカシミールカリー」の四つがあったのだが、冊子の店の紹介頁内に、「赤ワインでとろとろに煮込んだ新牛すじカシミールカリー!」という煽り文句を見止めていた書き手は、「赤ワインとスパイスで柔らかくなるまでコトコト煮込んだ牛スジの旨み」を味わえる、〈牛スジカシミールカリー〉を注文する事を既に決めていたのだった。
注文してから料理が出てくるまで、時間が掛かるようなので、その間に、いつものように〈べっぴん舎〉のカリーについて調べてみた。
べっぴん舎のカリーの特徴は、「20種の薬膳スパイス」であるらしい。
店秘伝のブレンドで調合された、薬膳スパイスは、代謝を促し、身体を内側から温め、さらに、あと味もスッキリしているそうだ。
そして、この店のカリーは「小麦粉を使わないグルテンフリー」であるため、胃にもたれないらしい。
さらに、店のカリーは、この薬膳スパイスと「8種の野菜をワインで煮込んだ自家製香味野菜スープ」が合わされている、との事であった。
実に身体に良さそうなヘルシーな感じで、それ故にか、女性の支持も高く、二〇一六年と二〇一七年に、二年連続で「神田カレーグランプリ マイスター賞」を受賞しているそうだ。
この説明文によって、書き手の期待感は、いやが上にも増した
そしてついに、注文品がやってきた。
料理は、ライスとカリーが別皿で、白い小型の深皿に盛られたカリーは、濃い茶色であった。
書き手は、レードルで掬ったカリーをライスに掛けながら、焦茶色で塗られた白米を次々と口に運んだ。
白い器に入ったカリーは、スープカレー程ではないが、ドロッとしているよりもむしろサラサラしている印象だったものの、女性客も多く、洒落た雰囲気の店という事もあって、書き手は、今回は、豪快な〈おじや食い〉をせずに、欧州風の食べ方をしたのであった。
味の方は、思わず、「スパイシィィィ~~~」と叫びたくなるような印象で、二十種類のスパイスを使っている、というのも納得である。
癖になりそうな味で、近いうちに、神保町店の方にも訪れたくなった書き手であった。
狭い路地に面しているべっぴん舎の神保町店は、過ちの結果とは言えども、既に一度訪れた分けだから、次の機会には、「ここはどこの細道じゃ」と呟きながら、右往左往するような事態には、おそらく陥らないであろう。
〈訪問データ〉
べっぴん舍・お茶の水:神保町・御茶ノ水
A11
八月二十五日・木曜日・十二時
牛すじカシミールカリー:一一〇〇円(現金)
〈参考資料〉
「スタンプシート①」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、四十ページ。
「べっぴん舍・お茶の水」、『前掲本』、七十ページ。
〈WEB〉
『ビストロべっぴん舎』、二〇二二年九月四日閲覧。
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