カレイなる日々

隠井迅

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一巡目(二〇二二)

第058匙 旅の前にはカレーメン:カレーメン京(B09)

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 十月半ばの木・金・土の三日の間、書き手には、東京から仙台に移動し、同日のうちに東京に戻って、翌日にも同じように、一日のうちに、東京と仙台を往復し、そして翌々日の土曜日には、東京から水戸へと、このようなダイナミックな移動をしなければならない事情があった。

 同じ場所を二度往復してからの別の場所への移動は、いわば、〈M/〉字型の移動と言えるかもしれない。
 これは、まともに特急を利用したら、お財布に厳しく、また仮に、深夜の夜行バスを使ったら、身体への負担が大きそうなのだが、実は、「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」という特別切符JR東日本から販売されていて、これを利用すれば、十月における連続する三日間、新幹線を含む列車の乗り降りが自由となるのだ。
 
 利用条件に連続した三日間という縛りはあるものの、その価格は約二万円、三で割ったら、一日の平均交通費は七千円、つまるところ、通常、往復二万円以上かかる東京~仙台間の往復が、およそ三分の一で済んでしまい、条件さえ合えば、コスパ的には最強な切符であるように思われる。

 この切符を木曜日から利用している書き手は、金曜日の昼、JRの秋葉原駅か神田駅の界隈で、未訪問のカレー提供店を探す事にしたのであった。
 そして、書き手が選んだのが、秋葉原エリアの路地裏にある〈カレーメン 京(みさと)〉である。
 京は、秋葉原界隈の店なのだが、中央通りや昭和通りのような大きな通りにメンしていないので、偶然、店を見つけて、気になって足を踏み入れるような稀なケースを除くと、この店に行こう、という意志を持たねば、〈京〉との出会いはなかなかできない、そのような隠れ家的な店なのである。
 また、カレーの提供はランチ・タイムだけで、ディナーは、イタリヤン・レストランとなるので、カレー店としての訪問も難しい。

 とはいえども、昼に、店をカレー店に間貸ししているのではなく、シェフが、昼はカレーメン、夜はイタリヤンといったように、一人二様の料理を提供しているそうなのだ。

 なるほどたしかに、店内は、イタリヤン・バールのような雰囲気であった。
 しかし、である。
 それでは、昼に提供されるカレーメンも、イタリアン風のスパゲティっぽいものか、というと決してそうではなく、むしろ提供された料理は、和風な感じのカレーメン(麺)で、知らなければ、料理人がイタリヤンのシェフだとは気付かないだろう。

 この日本風の料理の印象は、「カレーメン京」という店名の「京」や、パスタではなく、「メン(麺)」という日本語が使われている事からも伺い知れよう。

 提供された品も、メインのカレーメンに加え、さらに、もう一品、「十五穀米」も提供されていた。
 これが、鰹出汁が存分に効いていて、まさに、味付けは純和風であった。ぶっちゃけ、これだけでも美味ここに極まりって感じである。

 そして、メインのカレーメンは、というと、使われているのは幅広い麺で、書き手はきしめんのような印象を抱いた。
 これらの炭水化物に合わせられているのは、「数十種類以上のスパイス」を使ったカレーで、書き手は、それを、きしめんのような麺と絡めたり、十五穀米に付けたりしながら食したのであった。

 その後、カレーメンを完食した書き手は、上野駅から東北新幹線に乗って仙台に向かったのである。

 もし、書き手の身体からカレイ臭が漂っていたとしたら、その時近くに座っていた乗客のみなさん、ほんと、その節は申し訳ありませんでした。

〈訪問データ〉
 カレーメン京;秋葉原
 B09
 十月二十一日・金曜日・十二時
 カレーメン(出汁で炊いた十五穀米付き):一〇〇〇円(現金)

〈参考資料〉
 「カレーメン京」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、五〇ページ。
〈WEB〉
 「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」、『JR東日本』、二〇二二年十月十四日閲覧。
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