カレイなる日々

隠井迅

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一巡目(二〇二二)

第111匙 えっ! バーで昼カレー:Eblack(C18)

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 小川町のカレー・エリアには、ネパール料理の「Gravy」、アジア料理店の「マスターシェフキッチン」、イタリヤンの「デニーロ」、ハワイアン・テイストの「jimbocho」、そして、このエリアからちょっとだけ離れているのだが、デニーロと同じ筋にある「ボンディ・小川町店」など、スタンプラリー参加店がひしめきあっており、ここに、「Eblack(エブラック)」も位置しているのだ。

 ただし、この店、「エブラック」は、料理をアテにお酒を楽しむ事がメインのダイニング・バーなのである。
 
 実は、夜から深夜にかけてやっている、お酒の提供がメインの居酒屋やダイニング・バーの中には、提供可能な料理の中にカレーがある店もあるにはある。だが、そういった店の多くは、昼には営業は行っていなかったり、昼にやっている場合でも曜日限定だったりする。

 その一方で、夜はお酒の提供メインのバーであるものの、昼に営業行っている店もある。しかし、そういった店の場合、実は、昼はカレー提供店に場所を間貸ししていたり、あるいは、間貸しではなく同じ経営なのだが、カレー・メニューの提供は、昼〈だけ〉だったりする。

 つまるところ、飲み屋のカレーは、夜だけ、あるいは、昼だけという、いずれか一方であるケースが殆どなのだ。
 これは、昼と夜・深夜の両方において提供できる程、カレーの仕込みが容易くない事の証左なのかもしれない。
 しかし、昼も夜もカレーを提供している、えっ! と驚きたくなる店が、小川町のカレー・エリアに存在していて、それが「エブラック」なのである。

 もっとも、夜扱っているカレーは、原則、一種類のみらしいのだが、それに対して、昼の間は、複数の種類のスープカレーを提供している。

 書き手が訪れたのは、月曜の十三時過ぎだったのだが、ランチメニューとして、イーゼルに出されていたのは、直接黒板に書かれた「ベーコンモッツァレラチーズスープカレー」「シーフードスープカレー(カキ、エビ、ホタテ)」、「ロールキャベツスープカレー」と、手書き文字を印刷した「野菜スープカレー」「チキンスープカレー」「牛すじスープカレー」であった。
 おそらく、後半三つがレギュラー、消去可能な部分に書かれた前半三つが日替わりか、週替わりなのであろう。
 とまれ、書き手は、交換メニューの中から、これまで味わった経験がない「ロールキャベツスープカレー」を注文したのであった。

 入店した際に書き手が抱いた印象は、バーじゃん、という当たり前の事であった。
 そして、書き手が注文した直後、店主が一度外に出て、何やらちょっと作業をしていたのだが、どうやら、店前の看板を〈閉店〉に変えたらしかった。
 情報では、ラスト・オーダーは〈十四時〉のはずで、それまで未だ四十分ほどあるのに、である。
 カレーが完全に〈枯れ〉てしまったのか、それとも、夜用の分を除いて、昼提供分が予定に達してしまったのかは分からないのだが、十三時二十分頃に入店した書き手が、この日の昼営業時間のラスト・イーターであったようである。

 書き手は、実に運が良かった。

 スタンプラリー終了まで残り約十日、いつどこの店に行くかの計画は既に立てていて、今後、昼時にピンポイントでエブラックに来られるかどうかは不明だし、この日、カレーが枯れる直前に入店できなかったら、リスケしなければならなかったに違いない。

 とまれ、「エブラック」さんはダイニング・バーなので、いつか、スタンプラリーとは無関係に夜に訪店し、まったり、お酒とスープカレーを楽しもう、そう考えつつ、幸運に感謝しながら、ロールキャベツをつつく書き手であった。

〈訪問データ〉
 Eblack(エブラック);神田・小川町
 C18
 十二月五日・月・十三時二十分入店
 ロールキャベツスープカレー:九三〇円(現金)

〈参考資料〉
 「Eblack(エブラック)」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、四十七ページ。 
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