カレイなる日々

隠井迅

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一巡目(二〇二二)

第114匙 ベンガル人の国の〈トルカリ〉、Aジアン・カレーの差異と特徴その3 バングラデシュ:ベンガル料理TORKARI神保町本店(C19)

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 火曜日の昼、書き手が訪れたのが、神保町の九段下側、神保町駅〈A2〉出口から歩いて二分の所に位置している「トルカリ」であった。

 「トルカリ」は、〈現地〉スタッフによって運営されている〈ベンガル地方の家庭料理〉をウリにしている店で、二〇二〇年八月十五日にオープンした、書き手の訪店時点で、開業から二年が経過したばかりの、神保町における新たな、ベンガル・レストランである。

 〈ベンガル地方〉とは、南アジアの北東部の地域で、現代においては、〈西ベンガル〉がインド西部の〈西ベンガル州〉で、〈東ベンガル〉が〈バングラデシュ〉である。そもそも、〈バングラデシュ〉とは、ベンガル語で〈ベンガル人の国〉という意味なのだ。
 このベンガル地方は長い歴史を誇り、この地ではベンガル語が話され、かつ、住民はベンガル人が多いのだが、今現在では、宗教的対立によって、インドとバングラデシュの二国に分断されてしまっているのである。

 つまり、インドに属する西ベンガルが〈ヒンドゥー教徒〉の地となり、これに対して、〈イスラム教徒〉の東ベンガルがバングラデシュとなっている分けなのだ。

 それでは、この店、「トルカリ」は、一体どちらのベンガルなのであろうか?

 『食べログ』の「トルカリ」のページには、肉は全て「ハラール」と書かれていた。

 〈ハラール〉とは、「イスラム法において合法的なもの」の事で、これに対して、「非合法的なもの」の事が〈ハラーム〉である。
 『日本ハラール協会』のページによると、「全ての動物はハラール」らしいのだが、中には、食べることが許されていない動物もあるらしい。
 例えば、「屠殺されていない陸生動物」は「ハラールではない」そうだ。つまり、陸上で生活する動物の場合、屠殺されていれば〈ハラール〉な食品という事になり、さらには、水生動物は全て〈ハラール〉と考えてよいのかもしれない。

 そして、「ナジスを含んだもの」も〈ハラール〉ではないようだ。
 〈ナジス〉とは〈不浄なもの〉の事で、端的に言えば、犬と豚が〈ハラー(ム)〉な動物に当たる。

 とまれかくまれ、〈ハラール〉というイスラム教のワードが出てきている事によって、「トルカリ」は、東ベンガル、バングラデシュ系の料理店と考えられるかもしれない。
 そもそも、「トルカリ」の店のロゴは、深緑色地に橙色の壺となっていて、これは、バングラデシュの国旗と配色が同じなので、この事は、「トルカリ」がバングラデシュ・レストランである事を示唆していよう。

 さて、ベンガル地方は、世界有数の、ジュート(黄麻)と米の産地で、主食は米なのだが、「トルカリ」では、「ビリヤニ」や「キチュリ」などを提供している。そして、この日の書き手は、非常にお安い(税込み九九〇円)のランチ・メニューである「ムルガ・キチュリ・ランチ」を注文したのであった。

 ランチは、ワンプレートで提供されたのだが、そのセットメニューの内訳は、バスティモライスとレンジ豆の炊き込みご飯である「キチュリ」、「ムルガ(チキン)トルカリ」、「ダールスープ」、「バングラサラダ」、「トルカリの辛いチリソース」、「パパード」、「ドリンク1杯」、そして「バングラデザート」で、サラダやデザートを形容している「バングラ」という語が、やはり、「トルカリ」が、イスラム系の東ベンガルたる〈バングラデシュ〉の料理店という事を主張していよう。

〈訪問データ〉
 ベンガル料理TORKARI神保町本店;神保町・神保町
 C19
 十二月六日・火・十三時
 ムルガ・キチュリ・ランチ:九九〇円(QR)

〈参考資料〉
 「ベンガル料理TORKARI神保町本店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、三十二ページ。 
〈WEB〉
 『トルカリ』、二〇二三年七月二十五日閲覧。
 「ハラール認証」、『日本ハラール協会』、二〇二三年七月二十五日閲覧。
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