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一巡目(二〇二二)
第120匙 Aジアン・カレーの差異と特徴その4 南インド・ケララ州:三燈舎(C23)
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これまで、インドを、北インドと南インドに分けて言及した事もあったが、例えばそれは、日本を、東日本と西日本に分けただけのようなもので、実に大雑把な仕分け方だと言わざるを得ないであろう。
インドは、十年前の二〇一三年まで、二十八の州、七つの連邦直轄領(UT)、一つの首都圏(NCT)から構成されており、行政区分的に言うと、インドにおける〈州〉の下には〈地方〉があり、その下には、県が存在している。そして、州が無い点を除くと、国が地方、地方が県によって構成されている点は、日本と類似している。ただし、インドには〈地方〉がない〈州〉もあるが、〈県〉は必ず存在するそうだ。
さて、インドを東西南北に分けた場合、二〇二二年現在の〈南インド〉に属するのは、〈タミルナドゥ〉〈カルナタカ〉〈アーンドラ・プラデシュ〉〈テランガーナ〉〈ケララ〉という五つの州と、〈ポンディシェリ〉〈アンダマン・ニコバル諸島〉という二つの連邦直轄領である。
*
十二月の金曜日の夜、書き手は、神保町の「南インドの定食と軽食 三燈舎」を訪れた。
この「三燈舎」の料理長の出身地は、南インドの〈ケララ州〉であるそうで、件のカレー・ガイドブックには、「南インドはケララの地方料理専門店」と書かれており、より厳密に言うと、「三燈舎」は〈南インド・ケララ〉の料理店だと言えよう。
この店の名には「三燈舎」という漢字が当てられているのだが、その読みは「さんとうしゃ」である。
店のホームページの「三燈舎について」によると、店名をラテン文字のスペルに置き換えると「SANTOSHAM」、これは、マラヤーラム語で「幸せ」という意味であるらしい。
幸せを意味する「三燈舎」のホームページの「MENU」の項目によると、店のモットーは、ケララ州の料理を「現地のスタイル」、例えば、定食の〈ミールス〉、軽食の〈ティファン〉で提供する事だそうだ。
そして、お米のクレープである、〈ドーサ〉も様々な種類が提供可能であるらしい。
さて、南インド料理の代名詞でもある〈ミールス〉とは小さな器に盛られた、お米、カレー、副菜などが、大きなお皿の上に載せられている、そういったタイプの〈定食〉の事である。
ミールスは、日本の定食にスタイルが似ているようにも思えるが、日本の場合、給食教育の影響で、三角食べのように順番に食べてゆくのが当たり前のように刷り込まれてしまっている。これに対して、南インドのミールスは、小さな器の中身を全て大きな皿の上に出し、それらを混ぜながら食べるのだ。そして、かくの如く混ぜる事によって、味のバランスが取れるようになっているのだそうだ。
さらに言うと、本場のミールスでは、バナナの皮を大皿に使う場合もあるらしいのだが、日本の南インド料理店では、銀の大皿の上にバナナの皮が敷かれている店が多いようだ。
どうせなら、この南インドならではの〈バナナの皮〉を使った料理を食したいと考え、書き手は、夜の八時半頃に店を訪れた。
さて、常に階段で入店順を待たねばならない印象の「三燈舎」なのだが、ラスト・オーダーの三十分前に来店したという事もあってか、書き手は、すんなりと入店〈は〉できた。
だがしかし、円滑な入店ができた反面、バナナの皮を使った「海老カレーバナナの葉包み」は既に品切れになってしまっていた。
そこで、この日の書き手は、「ビーフカレー」を注文する事にしたのであった。
いかにも南インドっぽい、バナナの皮を使った料理は、次の機会にこそ絶対に食したいものである。
〈訪問データ〉
南インドの定食と軽食 三燈舎;神保町・小川町
C23
十二月九日・金・二十時半
ビーフカレー:一七三〇円(現金)
〈参考資料〉
「南インドの定食と軽食 三燈舎」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、三十三ページ。
〈WEB〉
「三燈舎について」「MENU」、『南インドの定食と軽食 三燈舎』、二〇二三年八月八日閲覧。
インドは、十年前の二〇一三年まで、二十八の州、七つの連邦直轄領(UT)、一つの首都圏(NCT)から構成されており、行政区分的に言うと、インドにおける〈州〉の下には〈地方〉があり、その下には、県が存在している。そして、州が無い点を除くと、国が地方、地方が県によって構成されている点は、日本と類似している。ただし、インドには〈地方〉がない〈州〉もあるが、〈県〉は必ず存在するそうだ。
さて、インドを東西南北に分けた場合、二〇二二年現在の〈南インド〉に属するのは、〈タミルナドゥ〉〈カルナタカ〉〈アーンドラ・プラデシュ〉〈テランガーナ〉〈ケララ〉という五つの州と、〈ポンディシェリ〉〈アンダマン・ニコバル諸島〉という二つの連邦直轄領である。
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十二月の金曜日の夜、書き手は、神保町の「南インドの定食と軽食 三燈舎」を訪れた。
この「三燈舎」の料理長の出身地は、南インドの〈ケララ州〉であるそうで、件のカレー・ガイドブックには、「南インドはケララの地方料理専門店」と書かれており、より厳密に言うと、「三燈舎」は〈南インド・ケララ〉の料理店だと言えよう。
この店の名には「三燈舎」という漢字が当てられているのだが、その読みは「さんとうしゃ」である。
店のホームページの「三燈舎について」によると、店名をラテン文字のスペルに置き換えると「SANTOSHAM」、これは、マラヤーラム語で「幸せ」という意味であるらしい。
幸せを意味する「三燈舎」のホームページの「MENU」の項目によると、店のモットーは、ケララ州の料理を「現地のスタイル」、例えば、定食の〈ミールス〉、軽食の〈ティファン〉で提供する事だそうだ。
そして、お米のクレープである、〈ドーサ〉も様々な種類が提供可能であるらしい。
さて、南インド料理の代名詞でもある〈ミールス〉とは小さな器に盛られた、お米、カレー、副菜などが、大きなお皿の上に載せられている、そういったタイプの〈定食〉の事である。
ミールスは、日本の定食にスタイルが似ているようにも思えるが、日本の場合、給食教育の影響で、三角食べのように順番に食べてゆくのが当たり前のように刷り込まれてしまっている。これに対して、南インドのミールスは、小さな器の中身を全て大きな皿の上に出し、それらを混ぜながら食べるのだ。そして、かくの如く混ぜる事によって、味のバランスが取れるようになっているのだそうだ。
さらに言うと、本場のミールスでは、バナナの皮を大皿に使う場合もあるらしいのだが、日本の南インド料理店では、銀の大皿の上にバナナの皮が敷かれている店が多いようだ。
どうせなら、この南インドならではの〈バナナの皮〉を使った料理を食したいと考え、書き手は、夜の八時半頃に店を訪れた。
さて、常に階段で入店順を待たねばならない印象の「三燈舎」なのだが、ラスト・オーダーの三十分前に来店したという事もあってか、書き手は、すんなりと入店〈は〉できた。
だがしかし、円滑な入店ができた反面、バナナの皮を使った「海老カレーバナナの葉包み」は既に品切れになってしまっていた。
そこで、この日の書き手は、「ビーフカレー」を注文する事にしたのであった。
いかにも南インドっぽい、バナナの皮を使った料理は、次の機会にこそ絶対に食したいものである。
〈訪問データ〉
南インドの定食と軽食 三燈舎;神保町・小川町
C23
十二月九日・金・二十時半
ビーフカレー:一七三〇円(現金)
〈参考資料〉
「南インドの定食と軽食 三燈舎」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、三十三ページ。
〈WEB〉
「三燈舎について」「MENU」、『南インドの定食と軽食 三燈舎』、二〇二三年八月八日閲覧。
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